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  <title type="text">うろほろぞ</title>
  <subtitle type="html">うろほらぞ</subtitle>
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  <updated>2006-12-25T19:56:03+09:00</updated>
  <author><name>No Name Ninja</name></author>
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    <published>2011-03-20T18:44:53+09:00</published> 
    <updated>2011-03-20T18:44:53+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>gk</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[開幕前夜(1/7)<br />
<br />
現在国営放送局にて放送中の某サッカーアニメの監督(主人公)×広報で。<br />
・若干無理矢理、のち和姦。エロ自体はそんなに激しくも変哲もないです。<br />
<br />
<br />
<br />
｢遅くなっちゃった｣<br />
そう独りごちて見た有里の腕時計の針は、午前0時を迎えようとしている。<br />
｢終電なくなっちゃう｣<br />
明日は大事な開幕戦。諸方面へのアポイントや、書類の整理に手間どって結局、事務所の最終退出者になってしまった。<br />
<br />
重いカバンを肩にかけクラブハウスを出たとき、用具室から明かりが漏れていることに気付く。<br />
<br />
(達海さん、まだ起きてるんだ)<br />
こんな時間まで相手チームの映像チェックをしているんだろうか。<br />
明日は試合なんだから早く寝たら、と一言言ってから帰ろうと思い、一度出たドアを引き返した。終電にはまだ間に合うし、むしろ今から行って駅についても延々と待たされるだけだ。<br />
<br />
用具室のドアをノックする。<br />
しかし反応は無い。<br />
｢達海さん？｣<br />
控えめにドアを開け、中を覗きこむ。<br />
達海は、モニターをつけたままベッドの上で倒れていた。手にはリモコンが握られている。<br />
どうやら映像を見ている間に眠り込んでしまったようだ。<br />
<br />
｢まったくもう｣<br />
春とは言え、3月の夜はまだ冷える。<br />
何もかけずに寝て風邪をひかない保証は無い。<br />
<br />
つかつかとベッドまで歩み寄ると、カバンを床に置いて<br />
ベッドの下の方で丸まっている毛布を引っつかみ、ばさりと達海にかけてやった。<br />
あまり丁寧とは言い難いかけ方が災いし、その風に鼻腔をくすぐられた達海が目を開ける。<br />
<br />
｢うん……？｣<br />
｢あ、ごめんなさい起こしちゃった？｣<br />
言葉とは裏腹に、あまり悪びれたそぶりは無く有里は達海からリモコンを取り上げて、モニターの電源を落とした。<br />
｢明日は開幕戦なのに、風邪でもひいたらどうするんですか。もう今日は寝たほうがいいですっ｣<br />
｢あぁ、有里ちゃんか…｣<br />
達海はぼりぼり頭を掻きながら上体を起こした。<br />
<br />
｢ありがと。でもまだやらなきゃならないこと、あるから｣<br />
｢達海さんが今やらなきゃいけないのは、明日に備えて休むことでしょ！ほら、寝た寝た!｣<br />
有里は達海の肩に手をかけて体を倒そうとした。が、その拍子に床に置いていたカバンに足を取られ、そのまま達海の上に倒れこんでしまった。<br />
｢きゃっ！ごめんなさい｣<br />
達海の顔が未だかつてないほど至近距離にきたことに動揺しつつ、慌てて起き上がろうとする。<br />
<br />
が、それを阻止する力を腕に感じて、有里は少しパニックになった。なんで、と思うのと達海が自分の手首を掴んでいることに気付くのが同時だった。<br />
<br />
｢有里ちゃんさぁ｣<br />
達海が低い声で呟く。その声に、有里は少し背筋がぞくっとするのを感じた。<br />
｢な、何よ｣<br />
｢いくら俺がここの監督でも、やっぱり男一人の部屋に夜中に勝手に入ってくるってのは、ちょーっとまずいんじゃないの｣<br />
｢な、何言ってるのよ、私はただ｣<br />
｢言い訳してもだーめ。俺、その気になっちゃったから｣<br />
｢ちょっと、『その気』ってなんのこ…｣<br />
<br />
<br />
有里の言葉は最後まで紡がれなかった。達海が口づけたせいで。<br />
｢決まってるじゃん｣<br />
達海は有里の上半身に腕を絡め、体制を入れかれると強引に組み敷いた。<br />
<br />
｢セックスしたいの｣<br />
<br />
事も無げに放たれた達海の言葉に、抵抗することすら忘れていた有里の表情がたちまち固まっていく。<br />
｢な……なに言って……っ｣<br />
わずかに自由になる足をバタバタさせてみるが、元スポーツマンの力に女性が敵うわけもなく、靴が脱げるだけに終わった。<br />
｢ごめんね有里ちゃん。俺、言い出したらきかないの、ピッチの上だけじゃないから｣<br />
微笑みすら浮かべてそう語る達海。<br />
服をたくし上げられ下着を露にさせられた有里の目から涙が一筋、二筋とつたった。 <br />
<br />
<br />
｢こんな…こんな…｣<br />
<br />
少なくとも有里は、達海に好意を寄せていた。<br />
それが、幼い頃の憧れや、達海のカリスマ性に惹かれるサッカー関係者としてのものなのか、<br />
恋愛感情に起因するものなのかは自分でも分かっていなかった。<br />
でもそれがどちらにせよ、こんな形ではなくて、もっと丁寧に、優しく、段階を踏んで睦みあうことになったのならば、幸せだと思えたに違いなかったのだ。<br />
<br />
けれど今、こうして半ば犯されるようにして用具室のベッドの上にいる。<br />
それでも達海への好意を捨てきれない自分と、こんな形で体を許すなんてしたくないという気持ちのせめぎあいが、心と体を震わせていた。<br />
<br />
達海が胸のふくらみの頂点に唇を寄せる。<br />
｢ひゃんっ！｣<br />
意図しない声が出てしまい、赤面する有里。<br />
｢有里ちゃんけっこうおっぱい大きいんだねー。知らなかった｣<br />
知ってるわけがないだろう、見せたことないんだから。<br />
<br />
犯しているという自覚すらなさそうな相手に、有里は若干呆れてしまう。<br />
そう、この人に常識なんて通用しないのはずっと前からよく知っていたこと…。<br />
だからと言って力ずくで押し倒していいことにはならないが、欲望を吐き出すのに黒い感情を挟まないことに達海らしさを感じて、有里は少しだけ肩の力を抜いた。<br />
<br />
<br />
達海の指が、衣服を取り払った有里の腰をなぞり、少しずつ下へと向かっていく。<br />
その行方を想像して、有里は少しだけ期待をしてしまう。<br />
この数年、仕事に夢中で恋人をつくるなんて考えたことは殆どなかった。<br />
クラブ、サッカーが恋人だとまでは言えなくても、彼氏がいないことで寂しさを感じることなどなかったのだ。<br />
でも、体は違っていた。時には一人で慰める夜だってあったのだ。<br />
<br />
この期でそんな自分を思い出して恥ずかしくなり、有里は自分を心の中で叱咤した。<br />
しかし、体の奥がじわっと熱くなってしまったのも事実だ。<br />
<br />
達海の指は有里の内股を行き来する。だが、中心へは向かわない。<br />
有里は少しじれったくなって、ついくぐもった吐息を漏らしてしまった。<br />
それを聞いた達海がくすっと笑う。<br />
<br />
｢素直になんなよ｣<br />
｢な、何のことよっ｣<br />
恥ずべき期待を見透かされ、食ってかかる有里。<br />
｢触って欲しいんじゃないの？｣<br />
｢……っ、ちがうわよ｣<br />
嘘を見破られそうで、顔を背けた。<br />
<br />
｢じゃあ、どうして濡れてるのかな？｣<br />
不意に、ショーツ越しにそこを触れられ、有里の体を電流のような快感がひとすじ走った。<br />
｢っあ…濡れて、なんか｣<br />
｢じゃあ見せて？確かめてあげるから｣<br />
臆面も無く言い放つ達海。その目は少しだけ意地悪だ。<br />
｢っ、勝手にすればっ｣<br />
｢はーい、勝手にしまーす｣<br />
おどけたような返事をすると、達海は有里の下着に手をかけた。<br />
<br />
｢ほーら、やっぱり濡れてるじゃん。しかもすっごく｣<br />
｢そんなのっ、こんな暗いとこで見たって、わからないでしょ｣<br />
｢もうー、素直じゃないなぁ。触って欲しいならそう言えばいいのにー｣<br />
｢だから違うってば！｣<br />
ちゅぷん、という音。<br />
｢あっ…｣<br />
達海の中指が、有里の入り口に入り込む。<br />
｢うん、すごく濡れてる｣<br />
その指が、そのまま蕾へと滑っていく。<br />
｢ひぁん!!｣<br />
｢やっぱり、ここが好き？｣<br />
有里は必死で首を横に振る。でも、ほんの少し刺激されるだけで、頭の中がとろけてしまいそうだった。もちろん頭だけでなく、達海が触れるその場所も。<br />
やわやわと、くにくにと、しばらくそこを弄ばれて、有里はもう艶かしい声を上げることに抵抗がなくなってきていた。<br />
<br />
と、達海が手を放す。<br />
有里はつい、物欲しげな目で達海を見てしまった。<br />
それを達海は見逃さない。<br />
｢なに？どーしてほしい？｣<br />
｢……して｣<br />
有里は、蚊の泣くような声で呟いた。<br />
｢聞こえなーい｣<br />
達海はニヤニヤしている。<br />
｢もっと、して!!｣<br />
顔を真っ赤にして有里が叫んだ。<br />
｢うん、素直でよろしい｣<br />
達海は体を下にずらすと、有里が求めた花芯へ舌を這わせた。<br />
<br />
｢あああああーっ!!｣<br />
指よりも、暖かく、淫らな感触。<br />
有里は軽く気をやりそうになった。<br />
尚も達海は舌を動かす。<br />
舐め、つつき、僅かに吸う。<br />
｢あっ、あっ、あっ…もう…｣<br />
達海が顔を上げると、全身がうっすらと紅潮し、目に涙を溜めた有里がそこにいた。<br />
ずくん、と自身が反応してしまう。 <br />
<br />
｢いい……？｣<br />
達海は一応問う。<br />
だがここでよくない、と言われてもおそらく自分を止めることはできないと思った。<br />
視線が絡む。<br />
ややって、有里はうなずいた。<br />
その拍子、涙が一筋だけ流れる。<br />
<br />
｢大丈夫、俺、有里ちゃんのこと好きだから｣<br />
<br />
唐突にそう呟かれて、有里は達海の顔を見た。<br />
真摯な瞳が自分のそれをじっと捉えている。<br />
鼓動が早くなり、顔が赤くなるのが分かった。それを悟られるのが嫌で、悪態をついてしまう。<br />
<br />
｢好きだったら、何してもいいわけ？｣<br />
すると達海はにっと笑った。<br />
｢うん、いいの｣<br />
<br />
その瞬間、達海は有里の中に深く潜った。<br />
たまらず高い声を上げる有里。<br />
<br />
｢だって、有里ちゃんも俺のこと好きでしょ？｣<br />
腰を少し引いて、自信たっぷりの顔でいたずらっぽく笑いかける達海。<br />
<br />
｢っバカ……、ひぁっ｣<br />
精一杯の抵抗の言葉を吐いた有里に、達海は再び沈み込む。<br />
<br />
熱い塊りが自分の中を行き来する感覚、そして｢好き｣という達海の言葉。<br />
有里は目を閉じた。本当は、私も、と言いたかった。<br />
でもそれを口にしたら、この強引な行為を認めてしまうようで、悔しかった。<br />
その代わり、達海の背中に腕を回した。<br />
<br />
目を開けた時、達海と視線がかち合い、その眼差しがとても優しくて、そのまま口づけられて、舌を絡められても心地よかった。<br />
(達海さんとキスするの、初めてだ)<br />
ふと気がついて、ふふっと笑ってしまった。<br />
<br />
｢なに？｣<br />
唇を離し、少し怪訝な顔をする達海。<br />
｢なんでもない。それより達海さん、張り切りすぎないように腰、気をつけてよね｣<br />
｢ばーか、このくらいなんてことねぇよ｣<br />
達海は少し憮然とした表情を返す。<br />
子供みたいだ、三十も半ばのくせに。<br />
俄然動きを激しくした達海を、有里はいとおしく思った。<br />
<br />
<br />
狭いベッドで達海の横に引っ付きながら、有里は窓の外が少しだけ白んできたのを感じた。<br />
｢つかれたぁ～ふぁあ｣<br />
達海があくびまじりにぼやく。<br />
｢達海さん、張り切りすぎ！明日試合なのにもうこんな時間じゃない｣<br />
｢思い知ったか、俺の持久力を｣<br />
｢バカ！｣<br />
有里はくるりと達海の反対側を向いた。<br />
<br />
｢有里ちゃん、俺まだ返事聞いてないんだけど｣<br />
｢なんの？｣<br />
｢俺、言ったじゃん。『有里ちゃんも俺のこと好き？』って｣<br />
有里は全身の血が顔の方に集まってくるのを感じて口をわなわなさせた。<br />
｢ば、バカじゃないの、あんなの真っ最中のたわごとでしょっ｣<br />
｢え～本気なんだけどなぁ。ま、いっか。おやすみー｣<br />
達海はそんな有里の背を見て微笑み、目を閉じる。<br />
<br />
(もう分かってるくせに)<br />
有里はすぐに寝息を立て始めた達海の方に向き直ると、頬に軽く、キスをした。<br />
<br />
<br />
<br />
fin.<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <published>2009-07-19T00:02:24+09:00</published> 
    <updated>2009-07-19T00:02:24+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>kh</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
「おじさん、お願いがあるの…」<br />
遥からのいつものおねだりだと思っていた。<br />
「なんだ？」<br />
何か欲しい物でも見つけたのだろうか。<br />
「あのね、ここにね…お友達連れてきたいんだけどダメ？」<br />
桐生は思いもしなかった遥の申し出に目を丸くする事となった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
sweet　time<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
遥と共に暮らし始めて早一年。遥と迎える二度目の冬がもうすぐ訪れようとしていた。<br />
お互い仕事や学校にも慣れ、心身ともに落ち着きを取り戻していた。<br />
仕事が忙しく、遥が家で日中何をしているのかなどは桐生の知る範疇ではなかったが、そういえば今まで家に友達を連れてきたなど聞いた事がない。<br />
知らない内に連れてきていたのかもしれないが、遥の事だ、そんな事はせず、必ず自分に断ってから連れてくるであろう。<br />
遥からの突然の申し出ではあったものの、そんな事もあるだろう、至極当然だと桐生は思い直した。<br />
しかし、はたと周りを見渡してみるとこの部屋の荒れよう。<br />
いや、部屋を荒らしているのは自分の物ばかりで遥の物など微塵足りともないのだが、これはまずい。<br />
遥との不可侵条約で、お互いの物は自分で片付けるという事になっている。<br />
始めのうちは、「おじさん、片付けてよ」と小言の一つや二つが遥から飛んできていたものの、今では諦めたのかそんな言葉すらない。<br />
たまに物の散乱ぶりが酷くなり過ぎると、自然と片付いている事があったが、それは遥が見るに見かねて片付けてしまったのだろうと桐生は理解していた。<br />
今回もその手があるかと思ったものの、それでは余りにも大人気ない。<br />
「その友達はいつ来るんだ？」<br />
部屋を片付ける猶予はいつまであるのだろうか。<br />
「あのね…明日なんだけど、いい？」<br />
猶予はゼロに等しかった。<br />
<br />
ひとまずこの部屋をなんとかしなければならないと、仕事が終わって疲れのたまる重い腰を上げたものの、どこから手をつけてよいのか分からない惨状に困り果てた。<br />
整頓が出来ないという事は遥の教育上も良くないと考えるものの、やはり小さな時からの癖はなおらない。<br />
10年という長い服役生活での理路整然ぶりが嘘のように、今や何かが解き放たれてしまったかの如く、脱いだ服やら読んだ新聞などが床に放置されていた。<br />
とりあえず、ゴミを片付けようと捨てる物を集めてみたが、そのうち「あぁこれは後で読むつもりだった雑誌だな…」などと捨てるに捨てられず、仕舞いには座り込んで読み出す始末。<br />
結局時間がどれだけ経っても片付いたと言える状態にはならなかった。<br />
しかし、そこは遥の事、自分でさっさと片付けてしまった。<br />
「今回だけ特別だよ」<br />
ウィンクしながら、てきぱきと雑誌をまとめたり、洗濯物を籠に入れたり、桐生の部屋に掃除機をかけたりするその有様は手慣れたものだった。<br />
(子どものくせに、何か自分より大人びてるんじゃないか…？)<br />
腑に落ちない感情を持ちつつ、桐生は遥に「すまないな…」と感謝の言葉を呟いた。<br />
<br />
翌日の日曜日、桐生はとても驚く事になった。<br />
なぜなら遥が連れてきたのは男の友達だったからだ。<br />
てっきり遥の友達といえば女の子だろうと思い込んでいた自分を呪いたくなる程に愕然とした。<br />
しばらくして、そんな事に愕然とした自分を情けなく感じ始めたものの、そんな事は露知らずか遥が笑顔で友達を桐生に紹介した。<br />
「はじめまして、おじゃまします」<br />
十になるかならないかの少年相手に自分は何故敵意のような感情を抱いてるのか分からない。いや、分かりたくもない。<br />
「宿題教えてもらう約束してたんだ」<br />
遥の宿題など俺が見てやると言いたかったものの、満面の笑みで遥にそう言われると何も言葉が出なかった。<br />
「ここで机使ってもいいよね」<br />
リビングの机を指し、遥が問う。<br />
遥の学習机ではせまく、床に座ってリビングで二人、ノートを広げたいというのだろう。<br />
「…あぁ」<br />
返事をしたものの、それでは自分の居場所が無くなるじゃないかと桐生は思った。<br />
タバコでも買いに外に出ようかと思ったが、二人の事の成り行きが気になる。<br />
横でずっと付き添うのも格好がつかないし、かと言って自分の部屋に篭ってしまえば、事の成り行きが分からない。<br />
どうも居心地が悪い。<br />
自分の居場所を見つけようとしたものの、見つからない苛立ちとともに、困った桐生は仕方なしにリビングからキッチンへと足を向けた。<br />
キッチンとリビングには何の仕切りもないため様子が伺える。<br />
しかしキッチンで何をするわけでもなく、手持ち無沙汰となった桐生は二人に背を向けて換気扇を回し、煙草に火をつけた。<br />
そんな桐生にはおかまいなしに、二人は並んで座って教科書を広げ始めた。<br />
「あのね、ここが分からないんだけど…」<br />
「…あー、そこはね…こうだよ」<br />
遥の境遇を思うと仲の良い友達は多ければ多いほどいいと常日頃思っているものの、これは想定外の出来事だ。<br />
二人は時折声を上げて笑いながら勉強している。<br />
いや、それはちゃんと勉強できているのか？　もっと真面目に黙って勉強しろよ。<br />
心の中に次から次へと訪れる感情を表に出したいが、じっと堪える桐生は、ふうとため息混じりの紫煙を吐き出した。<br />
様子をもっと窺いたいが正面切って見るのも沽券に関わると、背中で二人の気配を感じつつ、会話をそばだてて聞くのに換気扇の回る音が邪魔だなどと思っていた。<br />
そして、煙草もいつしか根元まで吸いきってしまった。<br />
本当の手持ち無沙汰が訪れた桐生は次の一本に手を出そうかと思考を巡らせたが、もう一本吸った所で心の平安は訪れそうも無い。<br />
しかし、何かしら口寂しい。<br />
換気扇からキッチン台に目を移したところ、ある物に目がいった。<br />
<br />
桐生はケトルを流し棚の下から取り出し、コンロに火をつけて湯を沸かし始めた。<br />
そして湯の準備が出来る間に用意したのは三つのマグカップ。<br />
そこに桐生がいつも飲んでいるインスタントのコーヒー瓶を開け、それをカップに人数分入れた。<br />
そんな桐生の物音にも気付かず子ども達は熱心に黙って机に向かっている。<br />
そっと振り返ってみた桐生は、その二人の様子をよしよしといった表情で湯が沸くまでしばらく眺めた。<br />
<br />
「ほら、飲め」<br />
載せる盆もなく、桐生の大きな手にそのまま握られたカップをいきなり目の前にぐいと差し出された少年は少し驚きの表情を見せた。<br />
少年は状況がすぐには飲み込めなかったものの、カップから立つ暖かな湯気と香りに気が付いた。<br />
「ありがとうございます」<br />
ぺこりと頭を下げた礼儀正しい遥の友達に内心桐生は安堵した。<br />
これが礼の一つも言えない男だったら、げんこつの一つでも食らわしてるかもしれないと自制しきれない思いだった。<br />
「おじさん、ありがとう」<br />
遥も桐生の行動に少し驚きつつもカップを受け取った。<br />
「あの…お砂糖ありますか？」<br />
先にカップを受け取ってカップの中を見ていた少年がおずおずと桐生に問いかけた。<br />
言われて桐生は気づいた。<br />
確かに小学生にブラックはいけない。<br />
しかし、角砂糖だのスティックシュガーだの洒落たものはうちにはないはず。<br />
普段コーヒーを飲むのは桐生だけでそれもブラック一辺倒だからだ。困ったな…<br />
「子どもなのにブラックコーヒーは飲めないよ、ミルクもなきゃ」<br />
そう言った遥はにこりと笑いながら、立ち尽くす桐生をおいて、台所へ向かった。<br />
帰ってきた遥の手にはどこから取り出したのかシュガーポットと牛乳パック。<br />
「これが無いとね…」<br />
また大人びたウィンクを桐生に向けつつ、遥は机におかれた自分と少年のマグカップに砂糖をたっぷりと入れ始めた。<br />
桐生は事の次第を見守るため、少年の横に腰をかけた。<br />
遥は次に牛乳をふんだんに注いだ。<br />
「これでおいしいカフェオレが出来るんだよ」<br />
どこでそんな事を覚えたのだろうか。<br />
桐生の疑問をよそに、遥は手際よくスプーンでかき混ぜ、少年に「はい！」と手渡した。<br />
子ども達はそれぞれのカップにふうふうと息を吹きかけ、やけどしないように少しずつ口をつけた。<br />
「美味しい…」<br />
少年の口からもれた感想に遥は笑顔を浮かべた。<br />
「…でしょ？　どう、おじさんもカフェオレ飲む？」<br />
突然自分に矛先を向けられた桐生は驚いたが、<br />
「…いや、俺はブラックでいい」<br />
と断ってしまった。<br />
<br />
その後桐生はやはり居場所が無いと一人何の当ても無くこの寒い中、散歩に出かけた。<br />
子ども達はそれからも温かいカフェオレを時折口にしながら真面目に勉強を続けた。<br />
桐生は小一時間ほど時間を潰したところで、家に戻ってきた。<br />
勉強の邪魔になってはいけないと黙ってドアを開けると、玄関にはもう少年の靴はなかった。<br />
(もう帰ったのか…)<br />
思いの外早い少年の帰宅に桐生はなぜかちりりとした寂しさを少し感じた。<br />
リビングのドアを開けるといつものように遥が床にちょこんと一人座っていた。<br />
「おかえりなさい」<br />
声をかけてきた遥は桐生の姿を見ると立ち上がった。<br />
桐生がリビングに座って寒い体を休ませて一息ついていると、台所から遥がやってきて、桐生にカップを差し出した。<br />
「はい、外は寒かったでしょ？」<br />
いつの間に入れたのだろうか、そこには温かなカフェオレがなみなみと入っていた。<br />
「味見してみて」<br />
そう言われると断れないのを知ってか、遥は桐生に笑顔を向けた。<br />
味見とはいえ、飲む前に桐生は躊躇した。<br />
なぜなら甘ったるいコーヒーなどこんなにたくさん飲めるはずもない。大体ここ数十年ブラック以外飲んだ事がない。<br />
「おいしいよ」<br />
急かすような遥の言葉に意を決した桐生はくいと一口飲んだ。<br />
桐生の体の中ですうっと溶け込むように甘さと温かさが染み込んでいく。<br />
外気で冷えきった体を解きほぐすようだ。<br />
遥の目が何か感想を言ってほしいと訴えんばかりにきらきらと光っている。<br />
「…どう？」<br />
「…意外とうまいな…」<br />
桐生の言葉に、やったという表情を隠せない遥はその場で小躍りした。<br />
「おじさんもたまにはこれを飲めばいいよ。ミルクはね、コーヒーと同じ量入れるの。そしたらおいしく出来るんだよ」<br />
遥は自分の二杯目の為に牛乳と砂糖、そしてコーヒーの入ったマグカップを持ってきた。<br />
そして桐生の前で見本を見せるように自分の分を作り始めた。<br />
「ほら、簡単でしょ？　ミルクもあっためるともっとおいしいよ」<br />
「そうか…」<br />
桐生は遥の小さな手の動きを眺めた。何気なく動いているようだが無駄がなく慣れたものだ。<br />
「砂糖はね…おじさんの分は入れなくてもいいかもね。さっきのも少ししか入れなかったの。コーヒーはおじさんが入れたみたいに濃いほうがいいよ」<br />
砂糖をスプーンですくった遥はお喋りを続けながら、自分好みの甘さに整えていく。<br />
「今日来た子ね、帰る時に、コーヒーおいしかったです、おじさんによろしく伝えてください、って言ってたよ」<br />
自分が一人、子どもだったという事か…<br />
桐生は少年の素直な礼の言葉に、今まで自分が何に対して苛立っていたのかと馬鹿らしくなってふっと口に笑いを浮かべた。<br />
初めての訪問者に自分と遥の二人の生活に突然割って入ってこられたと感じてしまっていたのだろうか。たかだか小学生の少年ではないか。<br />
「宿題はちゃんと出来たのか？」<br />
「難しかったけどね、教えてもらって出来たよ」<br />
「そうか…よかったな」<br />
桐生はカップの縁に口をつけた。<br />
「あいつには…またいつでも来い、って言ってやれ…」<br />
そう言った桐生はカップの中の残りをぐいと一口飲み干した。<br />
「うん！」<br />
桐生の言葉に遥は目を輝かせた。<br />
こうして、その後も湯気が揺らぐ机の上ではあたたかな時間が二人の間にゆったりと流れていった。<br />
<br />
それからどうした事か桐生は時折自分でも遥に内緒でカフェオレを割と頻繁に入れるようになった。<br />
内緒という程ではないが遥がいない時についつい作ってしまう。<br />
ブラックばかりでは何となく体に悪い気がしてきた上に、遥があの時入れてくれたものが本当に美味しいと感じたからだ。<br />
あれから数年が経っても相変わらずの自分流儀で濃く入れたコーヒーに、見よう見まねで牛乳パックからざっと牛乳をカップに注ぐ。<br />
疲れた時には砂糖も大きめのスプーンで二杯。すると甘い香りが湯気と共に上がってくる。かなり手慣れた感じだ。<br />
遥のいない部屋で、桐生はこうして今日も甘いカフェオレが体の芯からあたためてくれる感覚に浸っていた。<br />
しかし桐生はふと思った。<br />
同じ作り方なはずだが自分が入れるより、遥の入れてくれたものの方がなぜかずっとうまく感じると。<br />
そういえば最近遥にカフェオレを作ってもらう事もあまりなくなったな。<br />
遥ももう高校生となって何かと忙しくしている。<br />
今更飲みたい度に入れてくれと言うのも何だし、言って頼んでみたところでその時の遥の顔が見て取れる。<br />
「じゃあ、愛のこもったとっておきの一杯を作ってあげるからね」<br />
遥はこんな冗談交じりの答えを返してきて俺を困らせて喜ぶのだろう。<br />
そんないたずらな遥がまた次に気まぐれで一杯を入れてくれるのはいつの事だろうか。<br />
まあ、そう遠くない未来には違いないな…<br />
そう思いを巡らせた桐生はそろそろ遥が買い物を終えて帰ってくるだろうかと寒い窓の外を見遣り、たまには自分が遥に一杯入れてやるかと思案しつつ今日もマグカップを片手に温かな冬の一日を送ろうとしていた。<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/950</id>
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    <published>2009-07-19T00:01:01+09:00</published> 
    <updated>2009-07-19T00:01:01+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>kh</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[沖縄に行く。<br />
そう考えた時に真っ先に遥の顔が浮かんだ。<br />
楽しそうに友達と遊ぶ姿。<br />
それを見るにつけてなかなか言い出せずにいた。せっかく慣れてきた学校からまた離れさせるのか。遥をまた悲しませるような事になるのか。<br />
しかし言わなければ。そしてこれは遥のためでもある。<br />
神室町の近くにいればいるほど遥へ危険が及ぶ可能性は高くなる。命を危険に晒す様な真似は今後一切させるわけにはいかない。<br />
遠く離れた常夏の島は、遥と暮らすのに理想の場所のように思えた。<br />
今日こそ遥に言おう。<br />
決意して伝えたあの日。<br />
遥は驚く程のはやさで答えを出した。<br />
「いいよ。おじさんと一緒なら私はどこでもいいもん」<br />
何の迷いも無く返してきた笑顔が嬉しかった。<br />
<br />
<br />
<br />
一月の海<br />
<br />
<br />
<br />
そして初めて遥と二人で訪れたアサガオ。<br />
今日から住み始める場所。<br />
建物のすぐ脇には海岸線がどこまでも広がっている。<br />
「おじさん、すぐそこが海だよ海！」<br />
初めての沖縄の光景に目を輝かせている遥。そんな遥にせかされた俺は荷物を置いて、遥の手を取り海岸へと歩き始めた。<br />
「わーきれいな海だねー」<br />
陽光が反射して見つめるのも眩しい程の海面はどこまでも青かった。<br />
「わっ、あったかいよ」<br />
しゃがんで両手を波につけた遥は驚きの声をあげた。<br />
「おじさんも触ってみて」<br />
なぜか遥の声が遠くに聞こえる。耳に膜が張ったように遠くぼやけている。<br />
ずっと遠い沖の波間を見つめていたからだろうか。きらきらと光り輝く海が脳裏に焼きついたせいだろうか。<br />
「ねえおじさん、あったかいから触ってみてよー」<br />
遥がくいとシャツの裾を引っ張った。<br />
ぼんやりと立っていた俺がまだ裾の端を持っている遥の方を見遣ると、肩まで伸びた遥の髪もきらきらと陽を受けて輝いていた。<br />
すべての存在が遠く夢のように思えた。<br />
そして、俺はなぜか足元に手を遣り、靴を脱いだ。<br />
「おじさん？」<br />
遥の声がまた遠く感じる。<br />
１月だというのに靴を脱いだ足をそっと浸してみれば温かくて。<br />
そのまま一歩、また一歩、足を進めれば、まとわりつくような温かい水の感触が膝上に、そして次第に腰まで及んできた。<br />
「おじさん、服濡れちゃうよ！」<br />
背後から聞こえる引き止めるような遥の声。<br />
だが俺は進んだ。何かを思い出すように、思い出すために。この感覚が何かを呼び覚まそうとしている。<br />
10年、いや20年以上前だろうか、いつ以来か分からない久しぶりの海の感触に溺れていく。<br />
波も驚くほど静かで、まるで人肌に抱かれるような温い感覚にじわりとひたる。<br />
完全に腰までつかった時、突然、しかし鮮やかに記憶がよみがえった。<br />
最後に海に入った時の事を。<br />
今と同じような感覚におそわれた時の事を。<br />
服のままで錦とふざけて海に入った時の事を。<br />
神室町に出てきたばかりのあの日、二人して海に出かけた事を。<br />
そして俺は気がつけば唐突に涙を流していた。<br />
今、あいつはいない。<br />
この海が広がる世界中どこをさがしたっていない。<br />
その事実を今しがた初めて知ったかのように茫然とした。<br />
濡れてひたと肌にまとわりつく服とあたたかい波の感覚が呼び覚ました亡き友の記憶。<br />
友の不在に慣れようともたった１年という束の間しか時は流れていない。<br />
あまりにも急な喪失感に襲われた日々。<br />
そんな感情が自分に残っていたなんて思わなかった。<br />
あの時、友と大事な人を守るためにすべてを捨て、友の罪を甘んじて受け入れた。<br />
だからこれ以上失うものなど何もないと思っていた。<br />
しかし守ったはずの友と大事な人はあっという間に目の前からいなくなった。<br />
なんという喪失感。<br />
身をえぐられる苦しみに耐えた日々。<br />
そこから逃れたくて、こんな遠くへ来てしまったのかもしれない。<br />
そして今、改めて思い浮かぶのは友との楽しかった過去の日々。<br />
沖を向き、太陽の光を浴びながら流す涙は波しぶきに紛れてあっという間に海に消える。<br />
すべてを流したくて、そのまま頭まで海に沈みこんだ。<br />
｢おじさん！｣<br />
海から上がるとざあっと耳傍を水音が流れ、それに紛れて遥の驚いた声がようやく近くに聞こえだした。<br />
涙が流れた目を乾かすように眩むばかりの太陽を見つめながら、海に向かって腹の底から声を上げた。<br />
｢遥、お前もこい！｣<br />
｢え？｣<br />
｢服なんかあとで洗えばいい。気持ちいいぞ｣<br />
しばらくすると背後では遥が躊躇しながらもこちらへ向かってきた気配が分かった。<br />
｢ここ深いよ…｣<br />
おそるおそる近付いてきた遥が途中で止まってしまった。<br />
俺はようやく振り向き、遥の方へ歩き出した。<br />
胸まで水につかった遥を見ていると、そのままにしておけば波間にさわられてしまいそうだと思い、水の抵抗を受けながらもぐいぐいと遥に近付いた。<br />
ようやく助けが来たと思った遥は不安な顔から少し笑顔になった。<br />
その笑顔をすくうように俺は遥を両脇から抱き上げた。<br />
｢１月なのにすごいあったかいね｣<br />
服のままで海に入るなんて不思議な状況なのに、びしょ濡れになりながらも遥は笑ってくれている。<br />
そんな遥がいとおしくて、抱きかかえたままじゃぼんと一緒に頭まで海に沈んだ。<br />
｢おじさん、ひどいよ！｣<br />
一瞬で海面に上がったが、むせながら必死で息を整えている遥は腕の中でどんどんと俺の胸をたたいた。<br />
そんな抵抗する遥と、そんな遥を放したくない俺は冬の海の中にもう一度もぐりこんだ。<br />
沖縄の海は包むように温かくもしょっぱくて、波間に漂いながら二人はともに目に涙を浮かべた。<br />
｢塩で目が痛い…｣<br />
しょげかえるような顔をして呟いた遥だったが、二人で見つめ合ううちに何がおかしいのか分からないが笑いがこみ上げてきた。<br />
次第に慣れた海の水。<br />
痛いと訴えていた遥の目からも涙は次第に出なくなり、今度は二人して声を合わせてせいのでもぐりこんだ。<br />
水の中、目を開けてみれば透明な海にゆらりゆらりとした遥の姿が見えた。<br />
水にゆれる遥の姿に見とれた俺は、また夢のようだと思い、そのままずっとそこでいたい気分になった。<br />
揺れてぼやけてはいる。<br />
しかし手を伸ばせば確実にそこにいる愛する存在。<br />
確かにそこに、すぐ傍にいると分かった一月の海水浴。<br />
それからしばらく二人で子どものようにどこまでも無邪気に濡れて遊んだ。<br />
沖縄の海と自分、そして遥と何もかもがすべて一つに溶け込むように思えた。<br />
そして、同じようにたわむれた友の事を思い出しながら、遥に誓った。 <br />
遥、もう二度とお前を置いてどこにも行かないって約束したからな。<br />
こうして二人、海の傍で溶け合うようにいつまでも一緒にいような遥。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/949</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://itu25.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/dh_949" />
    <published>2009-07-18T23:22:32+09:00</published> 
    <updated>2009-07-18T23:22:32+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>dh</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[大遥です。<br />
既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2009年春コミにて配布しましたペーパーSSでございます。<br />
いえ、コレくらいしか更新できるブツが無くてね…。<br />
<br />
<br />
大遥、可愛くて大好きなかぷなんですよ～。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
こんなに不安なのは自分だけ<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
さらりと吹き抜けていく夜の海風に、遥は縁側に立って海岸へと顔を向けた。<br />
しんと静まり返った中、小さく聞こえるみんなの寝息といびき、それからこの沖縄に来てアサガオに住むようになってからもうずっと聞いている波の音に柔らかく笑ってから側の柱にとんと寄り掛かった。<br />
見える限り何処までも広がっている海は、ずいぶんと高くなった丸い月の灯できらきらと輝いている。穏やかに波だけが繰り返し砂浜に寄せて返りって月灯りの名残ごときらめく砂浜は、真っ白でとても綺麗だ。<br />
<br />
<br />
<br />
「……おじさん、今晩は遅いのかなぁ…」<br />
<br />
<br />
<br />
遅くなるなら先に寝てて構わないと、そう言って出て行った姿を思い出して、きっと遅いんだよね。と納得する。<br />
<br />
<br />
咲ちゃん、大丈夫かな。<br />
力也さんすごく心配してた。幹夫さんは、どうしてるんだろう。<br />
名嘉原さん…そんなに暴れてるのかなぁ。<br />
<br />
<br />
ぼんやりと思い出して、遥はくすりと目を閉じる。<br />
<br />
ああなんだか、こういうのってすごくおじさんらしい。<br />
だって昔から、自分と初めて会ったあの時だってああやって誰かの為に走ってた。<br />
それが世界で一番大好きな桐生一馬というおとこのひと。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「怪我なんてしてないと良いんだけどな」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
何時もいつも、こうして誰かの為に走り回っているのを心配するたび、どうかおじさんが怪我なんてしませんようにと願ってしまう。でも危険な事や危ない事をしないでねなんて、言うだけ無駄だとも良く分かっているから自分は言わない。<br />
<br />
<br />
自分が死ぬかもしれないと、分かっていたって行ってしまう。<br />
<br />
<br />
そういう時、本当は少しだけ寂しい。<br />
また自分は置いて行かれちゃうんじゃないのかな。<br />
もしもおじさんが居なくなっちゃったら、また私は一人だけなのかな。<br />
<br />
そうなったら、どうしよう―――<br />
<br />
<br />
<br />
「………そんな事、無いのにねぇ…」<br />
<br />
<br />
浮かんでしまった馬鹿な考えに、静かに目を開けてしゃらしゃらと引いては返す海を眺めてまた遥は小さく笑う。<br />
<br />
<br />
戻ってきてくれた。<br />
何時だって、帰ってきてただいまって笑ってくれる。<br />
あの大きな手で頭を撫でてくれる。<br />
凄く、嬉しい、安心する。<br />
<br />
私はおじさんと一緒に居られて、本当に幸せだと思う。<br />
<br />
だから、神室町を離れるって聞いたとき沖縄で孤児院をやるって聞いたとき、ちょっとだけ嫌だなって思った。<br />
みんなのおじさんになったら、私だけのおじさんじゃなくなっちゃう。<br />
<br />
我侭だったんだな、と少しだけ凹んだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「内緒だけどね…」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
くるりと振り返って、居間のテーブルに置いた自分の携帯を取って縁側に戻ると、遥は腰を下ろして両足をぶらりとたらした。裏を返して目を向けるとそこにはずっと前に神室町で取った二人のプリクラが一枚と、この沖縄に来て初めて取ったプリクラが並んで張ってある。どちらもぎこちない桐生と笑顔の遥の写真。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
――こういうのはどうしていいか分からないんだ――<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「笑わないんだよなぁ」<br />
<br />
<br />
もっと何時ものように静かに笑って写れば良いのに。<br />
見ている私が幸せをもらえるような、あの顔で笑ってくれれば良いのに。<br />
<br />
<br />
るるるると、不意に手の中でメールの着信を伝えて震えた携帯に遥は首を傾げてそれを開いた。ぱかりと開いた中の、液晶画面の右下には、アサガオの全員と写ったプリクラ写真が貼ってある。けれど、やっぱりその中でも桐生は笑っていない。いっそう戸惑うように視線が泳いでいるのが見て分かる。<br />
それにくすりと遥は笑って着信を示すアイコンを押した。<br />
<br />
差出人表示は真島のおじさん。<br />
<br />
<br />
<br />
「…え？、何だろう…」<br />
<br />
<br />
<br />
たまにそっちはどないや？と真島からはメールが送られてくる。<br />
<br />
<br />
神室町は相変わらずや。<br />
嬢ちゃんの顔が見たいわ。沖縄の海は綺麗なんやろな？<br />
神室町は、相変わらずネオンしか綺麗やないで。<br />
<br />
<br />
そのたび、昔からよく交わしたメール同様、写真を添付して送り返している。<br />
沖縄の海、空、市場の賑わい、桐生と二人で写した写真。それから、アサガオの誰かとの写真。<br />
<br />
<br />
<br />
真島のおじさんも、きっと沖縄が好きになるよ。<br />
<br />
<br />
<br />
それに返されるメールは何時もこんな感じだ。<br />
<br />
<br />
なんや、そないのもええなぁ。<br />
今度遊びに行くわ。<br />
<br />
<br />
けれどまだ真島は沖縄の地を踏んでいない。その理由を、遥は分かっている。<br />
<br />
自分には話さないけれど、神室町は大変なんだ。<br />
<br />
大吾さんも、きっといろいろ難しい事がたくさんあるに決まっている。<br />
だから自分は、そういうみんなが自分に言わない大人の世界の事を尋ねないようにしている。言ってくれる時まで、分かっているんだよという事を胸の中に仕舞っておく。<br />
言ってくれたなら、そのときは自分を同じだけだって、思ってくれる時だと信じてるから。<br />
そうなれるまで、私は精一杯大人になる準備をしておかなきゃ。<br />
<br />
<br />
<br />
画面に表示されたメールに目を落として、その内容に遥は驚いて月明かりだけのアサガオの庭と門へと急いで顔を向けた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
『タイトル：申し訳ないけどなぁ<br />
本文：嬢ちゃん、もう大吾はそっちに行っとるか？なんや今回のは急でなぁ。わし、沖縄土産を頼むの忘れてしもたんや。会ったら黄金アグーを買うて来るよう言うてや。買ってこんかったら、東城会の敷居跨がせんて言うといて（笑）。ああ、せやせや。ほんまそのうち、嬢ちゃんと桐生ちゃんに会いにわしも沖縄行くでぇぇぇぇ！！只今 ＼(￣^￣)／ 参上!!』<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
きょろきょろと見える限りの全てを探すけれど、見慣れたものばかりで人影もまして車の音すらしない。<br />
浮かしかけた腰をもう一度下ろして、遥は真島からのメール画面を見つめた。<br />
<br />
<br />
「大吾おにいちゃん…沖縄に、来てるんだ」<br />
<br />
<br />
何の用事だろうと思って、ああでもきっと仕事なんだろうなと答えに行き着く。<br />
おじさんも何も自分に話さなかった。それならきっとこの事は知らなかったんだ。ああだったら、私が知らなくても仕方ないか。<br />
大吾おにいちゃんも、やっぱり何処かで自分に話さないという選択をしている。<br />
真島のおじさんもそうだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「優しくしてもらってるんだから、不満じゃないよ」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
みんな優しい。だから、私は子供な自分をまだ演じて居られる。<br />
また不意に震えた携帯に、遥は新しく着信したメールを開いた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「…あれ、大吾おにいちゃんまた…」<br />
<br />
<br />
<br />
『タイトル：沖縄に来てる<br />
本文：沖縄は、綺麗だな。でもまだ海とか見れてない。飛行機の窓からちょっと見ただけだ。まぁ音だけは聞きっぱなしだけど。あと琉球街も回りきれなさそうだ。お袋に買って来いって言われた土産の、なんだっけしーさーの置物だけどうにか買って帰る。ってか、何処で売ってんだ？？ったく、初めて来た場所だってのによ。お袋は人使いが荒いよな？遥もそう思うだろ？次に来る時は、アサガオにも行くから沖縄案内してくれよな』<br />
<br />
<br />
<br />
目を通した文面に思わず笑いが込み上げて少しだけ遠い場所に居る相手を思う。<br />
<br />
<br />
なんか嬉しいなぁと、じんわり感じる。<br />
<br />
<br />
おじさんみたいに安心させる言葉を言うんじゃない。何時もと変わらない、まるで自分も相手も何一つ変わらないままだと言っているような気軽さを向けてくる。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
いろいろがな事がたくさん動いているのに。<br />
それでも大丈夫だと言われているんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
すぐに次のメールの着信を知らせる振動が続き、それがまた大吾からだと分かると今度は何だろうと遥はまたメールを開いた。<br />
<br />
<br />
『タイトル：追伸<br />
本文：アサガオは大丈夫だからな。買収の件、心配するなよ。俺と桐生さんが居る限り、何も心配いらねぇからな。あああと、名嘉原ってのとも大丈夫だ。一応、これ報告しとくぜ』<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「大吾おにいちゃん…」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
驚いた。<br />
大吾おにいちゃんとおじさんは会ってるんだ。そして、全部が巧く行ったんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
「もしかして、これを私に言うため…」<br />
<br />
<br />
<br />
きっとそうだ。間違いない。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「……あ、私…」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
瞬間、泣きたくなるくらいに嬉しくなって遥はぎゅと携帯を握る。<br />
<br />
<br />
<br />
自分が子供だなんてよく知ってる。昔からずっと解かってる。<br />
<br />
<br />
<br />
だけど、と少しだけ俯いて暗くなってしまった液晶画面に目を向けながら遥は首を振った。<br />
<br />
<br />
少しだけなのかもしれないけれど、この人は私を大人と扱ってくれていた。<br />
自分と同じ立場だって思ってくれている。<br />
真実を伝えられるだけの強さがあると思ってくれていた。<br />
<br />
<br />
ゆっくりと遥は携帯の返信のボタンを押す。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ありがとうね、大吾おにいちゃん」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ぴぴぴと鳴った携帯に、大吾はちらと顔を向け胸ポケットに手を入れるとそれを取り出す。隣を歩く富眞が一瞬だけどうしたんですかと視線を向けた事は知らん振りをした。<br />
開いた画面にメールの着信を知らせるアイコンが点滅している。それを選んで開いて、差出人の名前に大吾はふふと小さく笑う。<br />
<br />
<br />
<br />
『タイトル：大吾おにいちゃん<br />
本文：ありがとう。そして沖縄は本当に綺麗です。他にも素敵な処はたくさんあるんだよ。今度はゆっくり遊びに来てね。おじさんも、私もアサガオの皆も待ってるよ』<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「おじさんも、自分も、か…」<br />
<br />
<br />
<br />
呟いて閉じようとした携帯が再び鳴った事に、また大吾は二通目を受信した画面に目を落とす。誰からだと僅かの訝む目をそれを開いて、差出人に驚いたように目を瞬いた。<br />
<br />
<br />
『追伸：<br />
本文：琉球街とか沖縄の素敵な場所、私が案内するね(∇≦d)(b≧∇) 』<br />
<br />
<br />
進めていた足を大吾はふいと止める。<br />
<br />
<br />
<br />
「…六代目、どうされましたか？」<br />
「ん？ああ、ちょっと…今から沖縄観光したくなった、かな」<br />
「今ですか？それはちょっと、案内人もおりませんし何より時間が」<br />
「解かってる、冗談だ冗談」<br />
<br />
<br />
<br />
携帯を胸ポケットに仕舞ってまた歩き出しながら、大吾は天空高く光る神室町では見る事の出来ない眩い星々目を細めた。<br />
<br />
<br />
「次に来たときにって話だ。それに、案内人はもう居るから必要ねぇさ」<br />
「先ほどの、桐生一馬ですか？」<br />
「……いや、別の相手だな」<br />
<br />
<br />
誰ですかと言いたげで言わない相手にくすりと笑って大吾は足を速めた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
終わり<br />
<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/948</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://itu25.blog.shinobi.jp/%E3%81%98%E3%82%87%E3%81%AB%E3%82%81/jjmm" />
    <published>2009-07-03T23:32:34+09:00</published> 
    <updated>2009-07-03T23:32:34+09:00</updated> 
    <category term="じょにめ" label="じょにめ" />
    <title>jjmm</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[明るい月の下で <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「寒っ」<br />
扉を開けたとたんに入りこんできた冷気に、体が竦みそうになる。<br />
それでもかまわずに、開いた隙間から、甲板に出た。<br />
夜だというのに外は意外なほど明るく、澄み切った冷気の中で、雲が月の光を受け、輝いている。<br />
「きれい……」<br />
その光に誘われるように、メイは、寒さも忘れて甲板の端に駆け寄った。<br />
手すりから身を乗り出すようにして、下を見下ろす。<br />
満月近い明るい月の光を受けて煙るように輝く切れ切れの雲と、ぽつり、ぽつりと光る星のような地上の明かり。<br />
空の上でさえ稀にしか見ることのできない幻想的な光景に息さえも奪われて、メイはその場に立ち尽くした。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「風邪引くぜ、レイディ」<br />
どのくらいの間そうやって立ち尽くしていたのか、後ろからかけられた声に、声も出せないほど驚いた。<br />
「びっくりさせないでよ、ジョニー」<br />
そう文句を言って、差し出されたマグカップを受け取る。彼女の手には少しばかり大きいそれには、熱いカフェ・オ・レがたっぷりと入っていた。<br />
「ちゃんと砂糖も入れといたぜ？」<br />
いくつになっても子供扱いをやめない彼にちょっと頬を膨らませてから、メイは手に持った甘いカフェ・オ・レに口をつけた。<br />
「何見てたんだ？」<br />
自分の分のコーヒーを一口飲んで、ジョニーが問うた。<br />
「ん。月がね、きれいだったから」<br />
そう言って、眼下を指差す。<br />
「へェ、綺麗だな」<br />
「うん」<br />
そのまま二人並んで、雲を見つめる。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
すぐ横に大好きな人のぬくもり、眼前には夢幻の光景<br />
　（しあわせ、だな）<br />
しばしその幸福感に、身を任せる。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　ヒュウ<br />
突然吹き付けた冷気に、意識せずに身を震わせた。と、<br />
　パサッ　と、肩に暖かいものがかけられた。<br />
「えっ」<br />
「そんな格好じゃ寒いだろ？」<br />
そういう彼は、一枚だけ着ていたコートをメイの肩にかけてしまった為、上半身裸だ。<br />
「ジョニーの方が、寒そうだよ」<br />
「平気さ。イイ男は寒さになんか負けないんだぜ」<br />
そう言われてしまえば返す言葉もない。が、いくらなんでも寒そうで、見ていられない。<br />
「そうかも知れないけど……見てるほうが寒いよ」<br />
「そうか？」<br />
「うん。だから、半分コしよ？」<br />
そう言ってマグカップを手すりに置くと、メイは自分の肩にかかっていたコートを持ち上げ、隣にいる男の肩にかけようとする。<br />
「サンキュー、メイ」<br />
ジョニーは笑ってコートを受け取ると、自分の肩に引き上げた。<br />
「ほら、もっとこっち寄れよ」<br />
ジョニーの腕がメイの肩を引き寄せる。<br />
「ジョ、ジョニー?!」<br />
慌てて見上げたジョニーの表情には何の含みもなくて、それが残念なような、ほっとしたような、複雑な気持ちでメイは、隣のぬくもりに体を預けた。<br />
「ったく、こんなに冷えちまって。お前さんが風邪なんかひいたら、シップ全体が困るんだぜ。わかってるのかい、レイディ？」<br />
そんなジョニーの言葉さえ耳に入らずに、メイは、大好きな男のぬくもりに包まれ、月を見上げていた。<br />
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    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/947</id>
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    <published>2009-06-27T23:48:39+09:00</published> 
    <updated>2009-06-27T23:48:39+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>dh</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[堂島家の小さな異変は、朝早くに起きた。<br />
「おはよう、遥ちゃん」<br />
朝食の支度を済ませた居間へ、一番早くやってきたのは弥生だった。東城会を息子に任せたとはいえ、彼女には何かとやること<br />
が多い。今日もいくつか予定があるらしく、それに間に合わせるため早く現れたというわけだ。遥もそれを心得ているらしく、特に<br />
戸惑う様子もなく、明るく挨拶をした。<br />
「おはようございます」<br />
弥生は久しぶりに聞く遥の挨拶を聞き、嬉しそうに目を細める。少し前、彼女が桐生と沖縄へ行ってしまった時は、まるで今生の<br />
別れをしたような寂しい心持だった。しかし、遥は沖縄へ住まいを移しても、頻度は減ったものの、堂島家へ何度も遊びに来てく<br />
れている。おかげで、堂島家の空気が再び明るくなったが、申し訳なく思うのも確かだ。弥生は席に着いて苦笑を浮かべた。<br />
「遥ちゃん。前ならまだしも、今は遠いところから来ていて疲れてるのだから、食事の支度なんてしなくていいんだよ。ゆっくりおしよ」<br />
「はい、ありがとうございます」<br />
遥は柔らかく微笑んで礼を言う。しかし、すぐに首を振って弥生を見つめた。<br />
「でも、私あさがおでも毎日同じ事してるんです。こっちに来て急にやめちゃうと、怠け癖がついちゃいますから、やらせてください」<br />
「でもねえ」<br />
「それに、弥生さんのおうちは、用意する食事の量が少ないから、あさがおより楽なんですよ。あさがおのみんなって、朝でも<br />
　沢山食べるから、食事作るのだって汗だくなんです！もう、すごいんですから、こーんな大きなお鍋にいっぱいカレーを作って……」<br />
遥はさりげなく話をそらし、弥生の気遣いを受け流してしまう。どうやら何があっても家事を譲る気はないようだ。弥生は少し呆れ<br />
つつ、遥が楽しげに語る沖縄の話を聞いていた。<br />
「おはよ」<br />
不意に、居間へ素っ気無い声が聞こえた。堂島家の食卓につく最後の一人が、ようやく登場だ。遥と弥生はそれぞれの表情で<br />
その人物を迎えた。<br />
「おはよう、お兄ちゃ……」<br />
「遅いじゃないのさ。折角遥ちゃんが温かい朝御飯を……」<br />
二人は、居間に入ってきた大吾を見るなり、きょとんとして言葉を失う。大吾は二人の反応に気付き、わずかに顔を曇らせた。<br />
「なんだよ」<br />
弥生と遥は一旦顔を見合わせ、首を傾げる。そして、再び大吾を見上げて指差した。<br />
「だって、大吾あんた」<br />
「前髪ないよ」<br />
二人は驚きを滲ませた声で指摘する。そう、今日の大吾はいつもの前髪を下ろしていた髪型とは違って、無造作にオールバック<br />
にしていた。驚きすぎだろ。大吾は顔をしかめ、自分の席に腰を下ろした。<br />
「いいだろ別に、どんな髪型しようが」<br />
「いや、別にいいんだけどねえ」<br />
弥生は肩を竦め、しげしげと大吾を眺める。遥は彼に身を乗り出したかと思うと、真剣な顔で声を潜めた。<br />
「お兄ちゃん……気になるのはわかるけど、一生懸命隠すより、堂々としてたほうがいいと思うよ」<br />
「てめえ……誰が薄髪に悩むオヤジだコラ……！」<br />
大吾は唸るように声を上げ、遥の頭に拳骨をぐりぐり押し付ける。遥は小さく悲鳴を上げ、頭を抑えながら身を引いた。<br />
「だ、だって、お兄ちゃんが急にそんな髪型にするから！何で変えちゃったの？」<br />
「教える義理はねえ。遥、飯！」<br />
あっさり回答拒否し、大吾は遥を促す。取り付く島がないなあ。遥が不満げに大吾の御飯をよそっていると、弥生が何もかもわか<br />
ったような顔で、遥に告げた。<br />
「放っときなさいな。大方、歳より若く見られて幹部に舐められるからって、無駄な努力してるだけなんだから」<br />
「そんなんじゃねえよ！知ったような口きくんじゃねえ！」<br />
大吾は即座に弥生を怒鳴りつける。どうやら図星のようだ。なんてわかりやすい子だろうね。弥生はやれやれとおいう風に首を<br />
振った。<br />
「ああ、やだやだ。見てくれだけいじったって、中身が伴わなかったら意味ないってのにさあ。その短絡的なとこ誰に似たんだろう<br />
　ねえ。間違っても私や宗兵さんじゃないね」<br />
「オイコラ、そんじゃ俺は誰のガキだ、ああ！？上等だ、今からでも堂島の名前捨てて、別の人生突っ走ってもいいんだぞ！」<br />
「……だってさ。遥ちゃん、大吾が仕事放り出して新しい人生に旅立つそうだから、あなた養子に貰ってやってちょうだい。沖縄で<br />
　二人仲良く『あさがお』やりなさいな。あ、その時は桐生をこっちに戻しておくれね。大吾よりは役に立つから」<br />
「よ、養子って、なに素っ頓狂なこと言ってんだよ！あとな、さりげに桐生さんと俺のトレード交渉するな！遥が真に受けたら……」<br />
「真に受けるほど、もう子供じゃないよ。お兄ちゃん」<br />
二人の言い合いを黙って聞いていた遥は、困ったように笑う。そして、大吾へ御飯をよそった茶碗をそっと差し出した。<br />
「はい、御飯」<br />
「……あ、ああ」<br />
大吾は小さく頷いて茶碗を受け取る。遥がそんな大人びた物言いをするから、なんだか一人で騒いでたのが、途端に恥ずかしく<br />
なってきた。彼は不機嫌に箸を取り、朝食を食べ始めた。そんな大吾を、弥生は呆れた様子で眺め、遥は何か物思う様子で見つ<br />
めていた。<br />
<br />
<br />
　遥にとっては久しぶりの本部だったが、組員達は相変わらず優しかった。顔を合わせれば、沖縄の話を聞いてきたり、遥のいな<br />
い間に東城会であったことや、大吾のことなどを話してくれた。沖縄に来てからも堂島家へ行くことに、桐生はひどく渋い顔をして<br />
いたが、説得して来てよかったと思う。遥は嬉しそうに組員達との触れ合いを楽しんだ。<br />
　一通りの組員と話し終えた後、遥は会長室へ向かった。忙しいかな。少し不安に思いつつ扉をノックすると、中から大吾が返事<br />
をしてきた。<br />
「入れ」<br />
扉を開けて顔を覗かせれば、大吾は仕事の手を止め、一服しているところだった。丁度良かったかも。遥は顔をほころばせて<br />
部屋に足を踏み入れた。<br />
「なんだ、遥か。土産話は終わったのか」<br />
大吾は遥に気付くと、煙草を消して肩を竦める。遥は小さく頷いて、彼の横に立った。<br />
「話しすぎて、喉乾いちゃったくらい」<br />
肩を竦める遥を見て、大吾は穏やかに笑う。それがいつになく落ち着いて見えるのは、髪形のせいだろうか。遥は黙って大吾の<br />
横顔を見つめた。<br />
「なんだよ」<br />
窺うような視線を感じ、大吾は遥へ怪訝に首を傾げる。遥は慌てて首を振った。<br />
「う、ううん。なんでも、ないよ」<br />
「あ、そ」<br />
大吾は素っ気無く呟き、少し疲れた様子で遠くを見つめる。遥は黙って立ち尽くしていたが、ふと口を開いた。<br />
「お兄ちゃん」<br />
「なんだ」<br />
「あのね、その髪型……ずっと、そのまま？」<br />
「はあ？」<br />
思いがけない質問に、大吾は目を丸くして遥に顔を向ける。遥は胸の前で組んだ両手を揺らしながら、ちらりと大吾を見た。<br />
「私ね、その髪型もお兄ちゃんに似合ってると思うよ、思うけど、前の髪型の方が好きだったなあ、なんて」<br />
遥の声は、だんだん小さくなっていく。我侭なことを言っていると、自覚しているのだろう。でも言わずにはおれないのか、少し<br />
迷うように視線を落とした後、そっと続けた。<br />
「今のお兄ちゃんは、とっても会長さんらしいけど、ちょっと、遠い、なって」<br />
「遥」<br />
「寂しい、なって」<br />
それきり、遥は黙り込んでしまった。大吾は俯く彼女を困ったように眺めた。会長らしくなろうと、しっかり見せようと思ってやって<br />
んだから、いいじゃないかと思う。だが、そう思っているのに、どうして胸が痛いのだろう。こんな小さな女の子に、少し頼りない<br />
ことを言われたくらいで。<br />
――お袋の言う通り、中身が外面に伴ってねえのか、単に遥に弱いだけか。<br />
大吾は不意に大きく溜息をつく。遥が不安げに大吾を覗き込んだ時、彼は舌打ちして前髪を乱暴に下ろした。<br />
「お前がいる時だけだからな」<br />
驚いている遥にちらりと視線を送り、大吾はぶっきらぼうに言い放つ。遥は短い沈黙の後、顔を輝かせて大きく頷いた。<br />
「うん！ありがとう、お兄ちゃん！」<br />
遥は礼を言い、ふと大吾の机の引出しを探り出した。<br />
「ね、ね、お兄ちゃん。ここに櫛があったよね？私が前みたいにしてあげる！」<br />
「そりゃどうも」<br />
大吾は遥に明るい笑顔が戻ったことに、ようやく安堵する。しかし、それを表に出す気はないのか、至極ぞんざいに促した。<br />
「早くしろよ。組員がこういうとこ見たら、妙にニヤニヤして鬱陶しいんだよ」<br />
「うん、すぐする、すぐ！私、お兄ちゃんの髪型、ちゃんと覚えてるもん！」<br />
引出しから櫛を探し出した遥は、弾んだ声を上げ、嬉しそうに笑う。大吾もつられるようにそっと微笑み、遥に向き直って少し屈ん<br />
だ。遥の手が髪に届きやすいように。<br />
　その後、大吾がすっかり元の髪型に戻ってしまったことで、組員達は揃って首を捻ることとなる。本人に尋ねてみようとも思った<br />
が、大吾自身が満足そうだったし、それ以上に遥が嬉しそうだったので、皆はそれでいいと思うことにした。<br />
以来、遥が本部に現れる時は、決まって大吾の髪型が昔に戻るらしい。<br />
<br />
―終―<br />
<br />
]]> 
    </content>
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            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/946</id>
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    <published>2009-03-29T23:02:56+09:00</published> 
    <updated>2009-03-29T23:02:56+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>ppuu</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[難しい顔をして、彼はパソコンの画面を睨み付けていた。<br />
　私は遅めの朝食を用意しながら、掃除をする。<br />
　部屋にはどこかで聴いた曲が流れていた。<br />
<br />
　私には彼が今している仕事の細かい内容はわからない。<br />
　けれど彼は彼女に私を「相棒」だと告げた。<br />
　<br />
<br />
<br />
　人間には適材適所というものが在るのだという。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇<br />
<br />
<br />
<br />
　最後にみんなで飲んだあの日、彼は新しく仕事を始めようと思うと言った。<br />
　本当のところ私はほんの少しだけ複雑な心境だったけれど、これから忙しくなると彼がこれまでにない表情をするのは素直に嬉しかった。<br />
　これからやっと、何にも縛られずに新しくやっていく気になったということなのだから。<br />
　私達４人は笑顔で祝杯を挙げた。<br />
<br />
<br />
<br />
　酔い潰れたマーヤは始末に負えない。<br />
　普段の更に３割増しで陽気に騒いだかと思えば、突然糸が切れた様にどこででも眠り込んでしまうのだ。<br />
　周防さんも強いわけではないようで、マーヤの無茶なペースに付き合わされた挙句仲良くふたり、肩を寄せ合って寝息を立てている。<br />
<br />
<br />
　私は酔うこともなく、黙って盃を重ねた。<br />
　隣には彼がいる。<br />
　同じ灰皿を使うほど、こんなにも近い位置にいるのは初めてかもしれない。<br />
　そんなささやかなことが私に幸せをくれる。<br />
　今感じているこの気持ちは、多分正しく伝えられはしないだろうけれど。<br />
<br />
<br />
　気詰まりでない沈黙はどれだけ続いたのか、ふと彼が口を開いた。<br />
「…お前はこの先どうすんだ？」<br />
「会社…はもうクビかなぁ。大分休んじゃったしね」<br />
「そうか…」<br />
　取材名目で外に出られていたマーヤ、謹慎中だった周防さん、学生の達哉くん、自由業の彼。<br />
　普通に勤めていた私には生活に支障が有ったけれど、後悔していなかった。<br />
　もともと明確な目的もなく就いた仕事だ。<br />
　それなりにきたけれど、もう充分に自分はやり遂げたと思う。<br />
「次は自分のホントにしたいことしよっかなってね」<br />
「もう、決めたのか？」<br />
「なにするか、とかはまだわかんないけど、さ」<br />
　何杯目になるか判らないグラスを一息に空けて隣に笑いかける。<br />
　と、彼は思いのほか真剣な顔をしていた。<br />
「な…なによぅ」<br />
　空気に気圧される。<br />
　彼は前を向いていた。<br />
　きっと、会話をしている間中ずっと、私のことなど見ずに。<br />
<br />
<br />
　なんだか感傷的な気分になった。<br />
　言葉を探そうとして、止める。<br />
　俯きかけて、代わりに彼と同じ方向を見つめた。<br />
　届かなくても解らなくても、届きたいし解りたいと思う。<br />
　彼の目に、私が映っていなくても。<br />
<br />
<br />
<br />
　それから閉店時間になるまでなんとなく言葉を交わさずに、私達はその場を後にした。<br />
<br />
<br />
<br />
「ほらマーヤ起きて！…悪いけどパオ、周防さん頼むね」<br />
「仕方ねぇな…こんなんで刑事が勤まんのかぁ？」<br />
　文句を言いながらも完全に潰れてしまった周防さんに肩を貸して、後ろ手を振り彼はそのまま去って行こうとする。<br />
「あ…ちょっとぉ！」<br />
　気付くと呼び止めていた。<br />
　２、３歩進んだところで怪訝そうに彼が振り返る。<br />
　なんでもないとは流せずに、口を開いた。<br />
「あのさ、…また、会えるよね…？」<br />
　もう日々を共にする理由はない。<br />
　側にいたいのは自分の我が侭で。<br />
<br />
<br />
　これまで、幸せになることばかり考えてきた。<br />
　相手がどんな人間だからかじゃなくて、外見や収入やステータスに恋をしていた。<br />
　今抱えているこの気持ちがなんなのかはっきりとは言葉にできないけれど、誰より彼を大切に想う。<br />
　彼の与えてくれる物はなんでも大事だし、彼がなにか望むならば喜んで叶えたい。<br />
　私がなにを感じるかより彼の意思を尊重したいと、そう思う。<br />
<br />
<br />
「ヒマになったらさ、またみんなして遊ぼうよ？」<br />
　邪魔はしたくないから、がんばって笑う。<br />
「芹沢…？」<br />
　不意になぜか、彼が近づいた。<br />
「なに？」<br />
「お前、…目から水垂れてるぜ」<br />
　頬に触れる手に、覚えず落としていた滴を知らされる。<br />
　街灯をサングラスが反射して、彼の表情は見えない。<br />
「きっと、酔ってるからよ」<br />
「…そう、かもな」<br />
　気を抜いたら縋ってしまいそうな身体を、必死に心で押し留める。<br />
「そうよ。…アンタ、私に触んの初めてね」<br />
　どうやっても止められない涙を拭って、そっと掌を外した。<br />
　今度こそ本当に離れる時間だと、自分に言い聞かせる。<br />
<br />
<br />
　側を通る車のクラクションを合図に背を向けた。<br />
　彼のしたように後ろ手を揺らして、半分眠ってしまっているマーヤを引っ張りながらゆっくりと離れる。<br />
　見送る視線をなんとなく感じたけれど、振り返らなかった。<br />
<br />
<br />
<br />
　家に帰り着いたのは明け方になってからだった。<br />
　大通りでなんとか拾った車に乗った途端起きだしたマーヤが気分が悪いと騒ぎ出し、歩いて帰る羽目になったのだ。<br />
　都合が、よかったかもしれない。<br />
　引っ張るためにつないだマーヤの手は温かくて、自分はひとりじゃないと思わせてくれた。<br />
　夜の冷気にだんだんと酔いが覚めて、それとともに涙も少しずつ収まっていった。<br />
　なんとかマーヤをベッドに運んで軽くシャワーを浴びた頃には気持ちの整理も付き始めていた。<br />
<br />
<br />
　結局私は好きなのだ。<br />
　他の誰でもなく、彼のことが。<br />
<br />
<br />
「馬鹿ねぇ、うらら…」<br />
　呟いて、自分の部屋のベッドで膝を抱える。<br />
　ふと視界に入ったカレンダーの書き込みに、そういえば明日はまたお見合いパーティだったと思い出した。<br />
　あんな事件に巻き込まれて、彼に出会って。<br />
　たった２週間ほどしか経っていないのに、なにもかもが変わった。<br />
　先払いした料金のことを思うと癪に障るけれど、予約したパーティももう行く気がしない。<br />
　自分にはもう、必要のない物だから。<br />
<br />
　いろいろ考え出すとまた意思とは関係なく涙腺が緩んでしまいそうで、とりあえず毛布をかぶった。<br />
　目を閉じて、暗闇に身体を委ねる。<br />
<br />
<br />
　―――――と、携帯が鳴り始めた。<br />
　せっかく、眠ろうとしていたのに。<br />
　頭に来て、誰からかも確認せずに留守録に切りかえる。<br />
　一拍置いて、赤い光が小さく明滅した。<br />
　どうやらちゃんとメッセージを吹き込んでいるらしい。<br />
　悪戯電話の類ではないようで、録音されているまま電話に耳をつけた。<br />
『…もし、良けりゃだがな』<br />
　電話越しに声を聴くのは初めてで、瞬間、判らなかった。<br />
　さっき、別れたばかりの声。<br />
『やりたい事が見つかるまでの間…手伝いに来られるなら来い』<br />
　偉そうで、飾り気も素っ気もない口調。<br />
　でも本当は誰より優しい事を、知っていた。<br />
　こんな、風に。<br />
　急に目の前で泣き出した私を見かねて、かもしれない。<br />
　私の気持ちに、気付いているからかもしれない。<br />
　同情でも構わない。<br />
　<br />
<br />
<br />
　出る間もなくきっちり30秒で切れた録音を何度も何度も聴き返しながら、私は声を上げて泣いた。<br />
　ひとしきり身体中の水分を搾り出した後最初にしたのは服を選ぶことだった。<br />
　新しい仕事の雇い主である彼に、会いに行くための。<br />
<br />
<br />
<br />
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇<br />
<br />
<br />
<br />
「パオ、ご飯！」<br />
　強く言わないとパソコンの前から離れようとしない彼は、仕事熱心というよりゲームに集中する子供のようだ。<br />
「…なに、笑ってんだ？」<br />
「なんでも～」<br />
「……阿呆」<br />
　憮然とした顔が更におかしい。<br />
　笑い続けていると、彼は先にテーブルへ行ってしまった。<br />
<br />
<br />
　あれから、一月が経つ。<br />
　仕事も少しずつ軌道にのってきて、毎日が充実していた。<br />
　危なっかしいという理由で大したことはさせてもらえていないけれど、「相棒」としてはいつか目にモノ見せてやろうと考えていたりもする。<br />
<br />
<br />
　そしてひとつ、解った事がある。<br />
「ねぇパオ、あの日ホントは最初っから、アタシのことスカウトする気だったんでしょ？」<br />
　炊き立てのご飯を手渡しながら言うと彼は一瞬詰まって、けれどいつも通りシニカルな笑みを浮かべた。<br />
「んなわけあるかい。どっかのガキがぴゃあぴゃあうるせぇから拾ってやったんだよ」<br />
「…ったく素直じゃないんだから」<br />
　負けずに言い返す。<br />
　しばらく戯れに睨み合って、同時に笑い出した。<br />
<br />
<br />
<br />
　人間には適材適所というものが在るのだという。<br />
<br />
<br />
<br />
　本当の居場所や成すべき事はまだ判らなくて、それでも祈っていることがある。<br />
　どうか私にとって彼の側が本当の居場所で、彼と共に過ごすことが私の成すべき事でありますように。<br />
<br />
「今日って仕事早く終わりそう？」<br />
「多分、な」<br />
「そしたらさ、久しぶりにみんなで飲みに行こうよ」<br />
「…阿呆が酔っ払って絡まなきゃなぁ？」<br />
「またそんなこと言う！」<br />
<br />
　今、自分があの日言った「本当にやりたいこと」をできていると思えるから、どうかこのなによりも幸せななんでもない日常が、永遠に続きますように。<br />
　<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　祈りは通じると私は、信じる。<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/945</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://itu25.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/puu_945" />
    <published>2009-03-29T23:02:37+09:00</published> 
    <updated>2009-03-29T23:02:37+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>puu</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[土曜昼12時。<br />
<br />
　食事の支度をしようと冷蔵庫の中身をチェックする、と。<br />
　足元を灰色の物体が走り抜けていった。<br />
　一瞬のことすぎて悲鳴は出なかったけれど、その代わり堪忍袋の尾が切れる。<br />
<br />
「なんでこの事務所、こんなにボロいの!?」<br />
　叫んで、丸めたエプロンをパソコンデスクへ投げ付ける。<br />
「なんだぁ？」<br />
「鼠よ！ネ・ズ・ミ！ここんとこ毎日見るのよぅ!!」<br />
　偉そうに椅子に座るパオは目線すら上げない。<br />
「見るだけならいいじゃねぇか」<br />
「だけならね？でもどこでなに食べて来んだか知らないけどそこら中フンは撒き散らすし・・・<br />
　だいたい不衛生じゃない！」<br />
<br />
　前の日どんなに掃除をしても、次の朝には嘲笑うかのように点々と黒く小さなものが落ちている。<br />
　お風呂場、流し、炊飯器の横からこの間はパソコンの上にまであった。<br />
<br />
「もう、嫌…それにねぇ」<br />
「それに？」<br />
　パオは器用に片眉をあげた。<br />
　でもまだ画面と仲良しのまま私へは向かない。<br />
　余計に腹が立った。<br />
「５万歩譲ってネズミ1匹なら我慢の範囲かもだけど仲良く親子連れ。<br />
　ゴキブリホイホイは連日大盛況！おまけにそこの鉢植えはナメクジまみれ!!<br />
　一体ここはなに、動物園？多摩？上野!?」<br />
　言うだけ言ったら息が切れた。<br />
　肩で呼吸しながら睨み付けるとようやくパオは顔を上げる。<br />
「ここは珠閒瑠市だ。鼠なんだから子供ぐらい産む。<br />
　ちゃんと掃除しねぇからフンは散らかるしゴキブリも出んだろ？この部屋の古さとは関係ねぇ」<br />
「じゃあの鉢はなんだってのよ？」<br />
「花の名前も知らねぇのか？ありゃ蘭だ。あいつが…美樹が好きだった花だよ」<br />
<br />
　その時自分のこめかみから確かに、血管の千切れる音が聞こえた気がした。<br />
「ホントに、プチっていうのね・・・」<br />
「あぁ？」<br />
　できるだけ冷静になろうと深く空気を吸い込む。<br />
　それでも押さえ込めなくて横の壁を一発殴った。<br />
　コンクリートにひびが入る。<br />
　その傷に自分の感情を知った。<br />
　私は、こんなに、怒ってるんだ。<br />
「…アタシ、出てく」<br />
「おい、」<br />
「あとで働いた分の給料は請求するから。じゃね」<br />
<br />
　あまりに興奮しすぎたからか頭が冴えていくのに合わせて、どうしようもなく力が抜けていく。<br />
　何も考えないように最大限努力しながら事務所を出た。<br />
<br />
<br />
<br />
　呆気なく背後で扉は閉まって、パオは追いかけて来なかった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　アラヤ神社の石段に座って溜め息をつく。<br />
　財布さえ持って来なかったから、缶ジュースすら買えない。<br />
　だからといってまさか手水場の水を飲むわけにもいかないから、喉は渇いていたけれど我慢して膝を抱える。<br />
<br />
<br />
　スーパーでもコンビニでもない場所を一人で歩くのは久し振りだった。<br />
　ウインドーショッピングをする暇はないし、依頼人との約束はふたりで行く。<br />
　仕事に昼夜がないことを理由に、事務所兼パオの部屋へ押し掛けてからは家までの往復もなくなって、必然的に食料買い出し以外で個別行動をしなくなっていた。<br />
<br />
「一人のがせいせいするわ」<br />
　部屋を飛び出してしばらくは楽しかった。<br />
　サトミタダシクローンズはやっぱり同じ顔だったし、しらいしのおばちゃんからは相変わらず嘘か本当か判らない昔話をたっぷり聞かされた。<br />
　ビキニラインでは無闇な歓迎を受けたし、葛葉では営業癖が出てつい商売仲間の顔で挨拶をしてしまった。<br />
　あいつの昔のアジトは今瓦礫の下で近づいても場所が判らなかったから、少し周りを歩いただけで戻って来た。<br />
　あの人のお墓に行ってこようかとも考えたけれど、なんだか自分が余計惨めになるようで止めた。<br />
<br />
　最後に訪れたこの神社の境内には、来る度会ったあのおばあさんもいない。<br />
　今、何時になるのだろう。<br />
　もう陽は沈みかけている。<br />
　気温も少しずつ下がり始めた。<br />
　マフラーくらい、持ってくればよかった。<br />
<br />
　薄暗い人気のない場所に独りで蹲っているせいで、どんどん思考が滅入ってくる。<br />
　寒いと寂しいが似ているかどうかだなんてどうだっていいことなのに。<br />
「レッツポジティブシンキング、か…」<br />
　何度目かの溜め息のついでに何年も一緒に暮らした親友の口癖を、ふと思い出した。<br />
　そういえば港南区にはまだ行っていなかった。<br />
　マーヤはどうしているだろう。<br />
　お互いに忙しくてしばらく会っていない。<br />
「…様子でも見に行ってやるかな」<br />
　携帯を忘れたから、連絡できない。<br />
　突然行ったら迷惑かもしれない。<br />
　第一、家にいるとは限らない。<br />
　同居している間にもたまに取材が長引いて午前様になるのを見てきたし、周防さんとデートの可能性だってないとは言えない。<br />
<br />
　どんどん弱気に飲み込まれてしまいそうになるのを頭を振って払う。<br />
　立ち上がって軽く服を叩いた。<br />
　ここにこうしてずっといるより、確実じゃなくてもまだ行き場があるのなら。<br />
「レッツらゴー、ってね」<br />
　マーヤの口癖をもうひとつ呟きながら、おなかが空いたなとぼんやり思った。<br />
<br />
<br />
<br />
　ルナパレス港南703号室、ちょっと前までは私も住んでいた場所。<br />
　8回目のインターホンを押しながら、さすがに半分以上諦めていた。<br />
　マーヤのことだから寝ていて気付かなかったということも有り得ないではないけれど、それなら一層始末に悪い。<br />
　ＴＶのオンタイマーを目覚し代わりにセットして、その最大音量でもびくともせずに眠り続けた記録がある。<br />
　電話のベルと食べ物の匂いにだけは素早い反応をするところは記者であり、マーヤらしいのだけれど。<br />
<br />
　ともかくどうしよう。<br />
　鍵は財布の中に入ったまま、手元にはない。<br />
　港南署は近いし周防さんなら喜んでマーヤに連絡を取ってくれそうでも、わざわざ仕事場に私用で訪ねていくのは気が引ける。<br />
　だいたい刑事さんを訪ねに警察へ、なんて悪いことをしたわけじゃなくてもぞっとしない。<br />
<br />
<br />
　いつまでいても事態が好転するわけでもなくて、マンションを出てすぐの外壁に寄りかかる。<br />
　これで今度こそ本当に向かうあてがなくなってしまった。<br />
　どうしたらいいのか考え付かなくてただ目の前の海を見る。<br />
　今日1日、行ける範囲は全部歩いたけれど、どこにも落ち着けはしなかった。<br />
　皆で立ち寄った時にはあんなに緊迫した状況の中、それでも楽しかった所ばかりなのに、今日はどこにも居たたまれなくて。<br />
<br />
　そういえばあの事件に巻き込まれる前も似たように感じていた。<br />
　どこにも自分のいられる隙間がない、と。<br />
<br />
　あの頃はただ空っぽでこの感覚の名前も知らなかった。<br />
　でも今は解る。<br />
「寂しい…」<br />
　ひとりでいるのは、寂しい。<br />
　誰でもいいわけじゃない、誰かの側にいたい。<br />
　相手が認めてくれるなら、その隣が自分の居場所になる。<br />
　そのことを言葉でなく教えてくれた人がいるから。<br />
「パオ…」<br />
　そして、パオがあたしの居場所なら、あたしはパオの居場所だと信じる。<br />
　ひどい言い方かもしれないけれど、権利を瓦礫や墓石には譲りたくない。<br />
「帰ん、なくちゃ」<br />
　辺りは完全に真っ暗だった。<br />
　普段なら夕食もとっくに済ませているような時間になっていそうで、急いで通りへ向かう。<br />
　タクシーでも拾えばすぐに着く。<br />
　食事をしながら謝ろう。<br />
<br />
<br />
　いちばん近い街道へ出て思いきり手を振った。<br />
　ほどなくして一台が目の前へ止まる。<br />
　なぜかやけに見慣れたその車は、ドアの代わりに窓を開いた。<br />
　運転手まで涙が出そうになるほど見覚えの有る、顔。<br />
「こんな所で運動会の応援練習か？」<br />
「…んなわけないでしょ。まだ…準備体操よ」<br />
「そりゃ随分とまぁ気合いの入ったこって」<br />
「まぁ、ね」<br />
　皮肉げな笑みには、ない胸を反らして返す。<br />
　睨むために目を合わせたら、感づかれてしまいそうだった。<br />
　ここへ探して迎えに来てくれたことを、私が、どう思ったのか。<br />
「で、パオはなにしにこんなとこまできたわけ？」<br />
「住んでる街ん中で迷える全く有能な食事係を拾いに、だよ」<br />
「…アンタの辞書に皮肉以外の言葉はないの？」<br />
「見たことねぇな。…いいから早く乗れ」<br />
「…うん」<br />
　助手席側のドアを開けて、自分の居場所へ座る。<br />
　パオは責めないし、私も言わない。<br />
　だからそっと心の中で囁いておく。<br />
　数え切れない程の謝罪と感謝。<br />
<br />
　ゴメンナサイと、ありがとう。<br />
<br />
<br />
<br />
「…ここあったかい」<br />
「そりゃま外よりは、な」<br />
　車が走り出してふと呟くと、信号待ちの合間、不意にパオが指先を掴んだ。<br />
「冷てぇな」<br />
「なら、あっためてよ」<br />
「部屋へ帰ったら…な」<br />
「手だけじゃなくて、ね」<br />
　薄く笑って返事をしないまま青に変わってパオの手は離されたけれど、一瞬の体温で心が十分に満たされた気がしていた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
　そして部屋に着く寸前、ようやく思い出したことがあった。<br />
<br />
<br />
<br />
　そういえば先週も先々週もそのまた前も、全く同じ理由で全く同じ1日を過ごしたような気がするな、と。<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
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    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/944</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://itu25.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/er_944" />
    <published>2009-03-29T22:09:20+09:00</published> 
    <updated>2009-03-29T22:09:20+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>Er</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[*FOR ME LOVER*<br />
<br />
<br />
最近おかしい。<br />
自分の心の中を占める栄吉の割合が日に日に増してくるような気がする・・・<br />
何でだろう、何なんだろうこの切なさは・・・<br />
・・・・・・つーかどうして私が栄吉の事なんかで悩まなきゃなんないの！<br />
第一私には達哉っていうステキな情人が・・・<br />
「情人かあ」<br />
<br />
ついさっき仲間達と解散したリサは、ひとりで夢崎区のピースダイナーに来ていた。<br />
家へ帰るにはまだ少し早かったし、だからといって友達と遊び歩く気にもなれない。<br />
むしろずいぶん前の事になるが、MUSESの件であさっちとみーぽを失ったリサには、心を許せる友人が誰もいなかった。<br />
「私の本当の情人って誰なんだろう・・・」<br />
「情人がどうかしたのかい？」<br />
突然油断している所に背後から声をかけられたリサは、普段からの癖か振り返りざまに思わず身がまえた。<br />
「リッリサ、僕だって」<br />
聞き覚えのある声に反応しよく見てみると、そこにはすっかり逃げ腰の淳がいる。<br />
「淳！？」<br />
ほんの数十分前に別れたはずの、思いがけない人物の登場にリサは驚いた。<br />
「ふう、殴られるのかと思ったよ、あっ、隣いい？」<br />
「いいけどねえ、急に声かけないでいるんならいるっていいなさいよ！」<br />
「ご、ごめん、だってリサってば真っ赤な顔しながら考え込んでるみたいで声かけにくくて・・・」<br />
（真っ赤な顔！？私が！？<br />
　達哉の事考えてたんなら分かるけど、今私が考えてたのは・・・栄吉？）<br />
「リサ？」<br />
「え、あ、うん、大丈夫、そっそれよりもさぁ、淳は何でこんなとこに来たの？ 寄り道なんてめずらしいじゃん」<br />
自分の顔が再び赤く染まり始めるのを感じたリサは、カンのいい淳に気付かれる前に話をうまくそらした。<br />
（末期症状なのかな・・・あいつの事思い出しただけで顔が赤くなるなんて・・・）<br />
「あっ、そうだ！実は舞耶姉さんからの伝言を伝えるためにリサを探してたんだよ<br />
　『今すぐ青葉公園に集合！！』だって」<br />
「今すぐ！？あっ、でも・・・それってさぁ、もしかして達哉と栄吉も来るの？」<br />
「うん、来ると思うよ、何でもけっこう大切な用事らしいからね」<br />
（やっぱり自分の気持ちを確かめたい、でもそのためには今日じゃなきゃダメな気がする・・・<br />
きっと、あいつに会えばすべてが分かる）<br />
「分かった！じゃあ淳、急いで公園に行こ！」<br />
「そうだね、みんなもう待ってるかもしれないし」<br />
午後５時、リサはそろそろ暗くなり始める街へ、不安と期待を抱きながら飛び出した。<br />
<br />
　<br />
「よーし、みんな集まったわね～。<br />
　わざわざこんなに遅くなってから集まってもらったのにはちゃんとワケがあるのよ。<br />
　ユッキー達からの連絡でね、近頃夜になるとこの公園でラストバタリオンに襲われる人が急激に増えてるらしいの。<br />
　そ・こ・で！今から私達が見回り係と連絡係に分かれてユッキー達のお手伝いをしたいと思いま～す！」<br />
「ハイ！舞耶ちゃん、しつもーん！」<br />
「何、リサ？」<br />
「それってぇ、何人ずつに分かれてやるの？」<br />
「そうねえ・・・、見回り係は二人組を二組、連絡係は一人で十分でしょ」<br />
（二人組か、達哉はやっぱり・・・やっぱり舞耶ちゃんの方見てる<br />
　でもそうだよね、達哉はきっと舞耶ちゃんの事が好き。<br />
　こんな光景、今まで何回見たんだろう・・・。なのに、今日は不思議とそんなにつらくない）<br />
「舞耶姉、俺と・・・」<br />
「え？達哉クンはリサと一緒じゃなくていいの？」<br />
「えっ、あっ、いいのいいの！舞耶ちゃんは達哉と行ってきなよ。<br />
　わ、私は・・・うん、栄吉と行くからさあ。ほ、ほら、行くよ、栄吉！」<br />
「は！？お、おい待てよ、おいっ！」<br />
リサは答えも聞かないうちに、栄吉の腕をつかんで全速力で公園の奥へと走り出した。<br />
あの状況の中で、自分が達哉にとって邪魔者なのは明らかであったし、これ以上舞耶に変な気を使われる事に耐えられなかったからだ。<br />
<br />
<br />
<br />
「はあ、はあ、はあ、・・・おまえさぁ、急に走り出して何があったか知らねえけど、あれで良かったのかよ？」<br />
「はあ、はあ、はあ、達哉と舞耶ちゃんの事？」<br />
「お、おう、やっぱりさ、何て言ったらいいのかわかんねえけど・・・<br />
　あのタッちゃんの態度は良くないよな、ギンコがいるってのにあんなにストレートに言わなくても・・・<br />
　あ、別にタッちゃんは舞耶ネェが好きなんじゃないかとかそういう事を言ってるんじゃなくて、あの、その・・・」<br />
「いいよ、別に、いくら私でももう分かってるから」<br />
「わりぃ・・・」<br />
二人の間にしばらく沈黙が流れた。栄吉の顔もずっと曇ったままでうつむいていた。<br />
「バーカ、何であんたが悲しそうな顔してんのよ！ 私は全然大丈夫なんだからね、ほらこの通り！」<br />
リサは無理に最高の笑顔をつくってみせた。もうこの話題から離れたかったからだ。<br />
こうすれば栄吉もいつもの栄吉に戻る・・・<br />
そう思ったのに、返ってきた言葉はあまりにも予想外のものであった。<br />
「つらかったら泣けばいいじゃん、少なくともオレの前では素直になっとけよ。<br />
　オレならすべて受け入れてやるから・・・」<br />
その言葉を聞いたとたん、リサはまるで時がとまったような感覚におそわれた。<br />
今まで自分を閉じ込めていたオリが解き放たれたかのように、涙が瞳からとめどなく溢れてくる。<br />
そして頭で考えるより先に体が動き、次の瞬間には栄吉の胸に飛び込んでいた。<br />
（どうしよう、私本気で栄吉の事が好きなんだ・・・<br />
　この涙だってつらかったからながれたんじゃない、栄吉の言葉うれしくてうれしくてどうしようもなくて溢れてきたんだ・・・）<br />
初めはリサの突然の行動に驚きを隠せなかった栄吉も、次第に自分の胸で泣きじゃくる弱々しい天使を守り、包み込むかのように優しく背中に手をそえた。<br />
<br />
　<br />
「も、もう落ち着いたのかよ？」<br />
「う、うん・・・」<br />
ベンチに並んで座った二人は、ついさっきまできつく抱き合っていた恥ずかしさからか、お互いの顔も見れずにうつむいていた。<br />
「なあ！」「ねえ！」<br />
「・・・栄吉からどうぞ」<br />
「ギンコから言えよ」<br />
（やっぱり言おう、自分の気持ちがやっとはっきりしたんだから、私は栄吉が好き、それだけ分かれば十分じゃん）<br />
リサは高鳴る鼓動をおさえるように深く息をすると、栄吉の目をまっすぐにみつめた。<br />
「私ね、私・・・、実は達哉の事けっこうあきらめついてきてるんだ」<br />
「え､マ、ジで・・・？」」<br />
「うん、いつもいつもつらくて、みじめで、落ち込んでばっかりだった<br />
　達哉に嫌われないようにって本当の私をずっと隠して、自分にウソついて・・・<br />
　その上、舞耶ちゃんにやきもちやいたりしてホントに私って最低だなあって<br />
　でもね、でも・・・」<br />
「でも？」<br />
「そんなふうに暗くなってる私をいつも優しくはげましてくれたり、気使ってくれたり<br />
　私には気付かれてないつもりなんだろうけど実はバレバレで・・<br />
　そんなバカな奴を最近好きになっちゃた！」<br />
「え、誰だよ、そいつって？」<br />
「はあ・・・もう！まだ分かんないの？そんなバカな奴なんてあんたしかいないでしょ！」<br />
「！！！！！」<br />
突然すぎるリサの告白に、白く化粧した顔が桜色に見えるほど栄吉の顔は紅潮した。<br />
そして大きく深呼吸したあとに、決意をしたような面持ちで前に乗り出すと、<br />
リサの肩をしっかりとつかみ、そのまま額に唇を軽くおとした。<br />
「栄吉・・・」<br />
「そ、そのよお・・・実はオレから言うつもりだったんだけど先こされちゃったみたいだから・・・。<br />
　でも、あ、あ、改めて言わせてもらいます。<br />
　オレ、三科栄吉は、ギンコことリサ＝シルバーマンにマジで惚れてしまいました。<br />
　付き合ってください！！」<br />
リサの瞳から再び大粒の涙がながれはじめた。<br />
生まれて初めて大好きな人と心から思い合えた事に感激しての涙だった。<br />
「情人、だーいすき！！」<br />
リサと栄吉は時間を忘れて、いつまでもお互いを確認するかのように抱き合っていた・・・。<br />
<br />
<br />
<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　FIN　<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>No Name Ninja</name>
        </author>
  </entry>
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    <id>itu25.blog.shinobi.jp://entry/943</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://itu25.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/puu_943" />
    <published>2009-03-29T21:53:49+09:00</published> 
    <updated>2009-03-29T21:53:49+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>puu</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[何度も何度も書き直しても <br />
<br />
それでも、もう <br />
<br />
ニ度と描くことはできない… <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ク <br />
<br />
　レ <br />
<br />
ヨ <br />
<br />
　ン <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
何もかもがひどく虚ろで。 <br />
<br />
何もかもが薄らいでいってしまうだけで。 <br />
<br />
だから、私はゆっくりと、瞼を閉じる。 <br />
<br />
暗闇の中に、ふんわりと浮かび上がる、笑顔。 <br />
<br />
あの声を。あの姿を。あの手を。 <br />
<br />
あの人の表情を忘れたくなくて。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
崩れそうな記憶というキャンバスに、あの日々あの憧憬を一枚一枚塗りかさねていく。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
あ　お　。 <br />
<br />
それはあの人の好んでいたシャツ。その柔らかな色彩。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
あ　か　。 <br />
<br />
それはあの人の好きだった煙草の銘柄。そのパッケージ。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
く　ろ　。 <br />
<br />
それはあの人がよく読んでいた全書。その厚みを覆う表紙。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ぎ　ん　。 <br />
<br />
それはあの人が愛していた世界。その真っ直ぐな心、正義。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
こ　は　く　。 <br />
<br />
それはあの人が好んで飲んでいたお酒。その透き通った美しさ。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
…透明な、し　ず　く　。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
それは私の涙。そして、弱さ。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
途端、記憶の糸が撓む。 <br />
<br />
瞼を開いたら、世界がぐるりと滲んだ。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
眠りに落ちても、後姿だけが遠ざかり <br />
<br />
辺りを見渡しても、息遣いすら感じられない。 <br />
<br />
通り過ぎていくものは、あまりにも曖昧で不確かな、けれど確固たる形を持った感情だけ。 <br />
<br />
あの人を描くには、記憶だけが鮮明で、現実にそれを著す事はできない。 <br />
<br />
なぜなら、もう既に失ってしまったものだから。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
記憶を彩っていたクレヨンが、ぽきりと折れる。 <br />
<br />
あの日々は、もうニ度と、描く事は出来ない。 <br />
<br />
…もうニ度と、還っては来ない。 <br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
あの人は　還って　来ない]]> 
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            <name>No Name Ninja</name>
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