とても、静かで。
とても、穏やかだ。
こんな日もあるのかと思ってしまう静けさのなか、真島はふっと微笑んだ。
隣にいる桐生は壁を背に、静かな寝息をたてている。
その膝には遥が転がっていて、真島の足に手を伸ばし…桐生と真島、二人を感じながら眠っている。
こんなに静かで、穏やかな。
大切な人たちとの、普通の暮らし。嶋野が知れば、鼻で笑い飛ばすだろうなと真島は苦笑した。
玄関のチャイムが鳴る。
真島は二人を起こさないようそっと立ち上がり、玄関へと向かう。
ドアスコープを見て…こんな習慣ができたことに驚きつつ、ドアを開けた。
「宅急便です!」
威勢のよい配達員に、真島はしっと指をたてた。
「すまんのぅ、いま、嫁さんと子供が寝とんのや」
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