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CM
木の上が好きだった。
葉っぱが奏でる音も、なでていく風も、とても心地よい。

チップは木の上で休むことが多かった。
最近は、彼の隣にメイがいる回数が増えた。

買出しか何かで地上に降りていたらしく、
たまたまチップを見つけると、自分もと木に足をかける。
おいおい、と思ったが、メイは苦労することもなくチップの隣にたどり着いた。

「落ちンなよ?」
いつもはもっともっと高い空の上にいる彼女には、いらん心配だろうとは思ったが。

「空の上とはまた違うね。気持ちイイ」


そう言った、メイの笑顔が印象に残った。




それ以来、機会があれば木の上の、チップの隣にメイは居た。
別に何かする訳でもない。
たまに、他愛の無い会話を交わした。

メイがチップへ声をかける。
「ねえねえ、耳。見せて」
木の幹に寄りかかっていたチップが、メイに耳が見えるように姿勢を変えた。


「ピアス、左耳に1コしかしてないんだね。両耳にしないの?」
「あー・・・、穴は開いてんだけどな」

「片耳に1コずつ?」
「や、もっと開けたけど・・・・今は入れてねぇな。塞がってっかも」

「いくつ開いてるの?」
「んー・・・忘れた」

メイがチップの耳を覗き込む。
「わ、こんなとこにも開いてるッ」
チップの軟骨あたりをつまむ。

「えー、いくつ開いてんのコレ・・・右に1、2、3・・・・」
「何お前、ピアス開けんの」
「うーん、ちょっと開けたいカナーなんて思って・・・でも痛いのヤだし。チョット怖いかも・・・。あと膿んだりしたらやだなー」
視線はチップの耳に落としたまま、そう言った。


「痛かった?開けたとき。」
「・・・そーでもねぇよ」

「今、間があった」
「もう覚えてねぇんだよ。・・・あー、上の方が痛かったかもな」

「病院で開けた方がいいかな?」
「心配ならそうすりゃいいだろ」

「病院じゃなかったらやっぱ・・・安全ピンとか??」
「自分でピアス開ける道具みたいなの売ってんじゃねぇの?つか消毒とかすりゃ平気だろ」

「え~~、でもやっぱ病院の方が痛くなさそうだよね・・・。高くつくかなぁ」
「あの紙袋被った妖怪みてーな医者に開けてもらいやいーだろ」

「え゛、ヤダ!!それは絶ッ対にイ・ヤ!!」
「・・・・そうかよ」

「奇数がいいとか言うよね。なんでだろ?」
「知るかよ」

「運命変わった?」
「・・・さあな」


「そんなに開いてて使ってないんなら、1、2コちょうだいよ」
「・・無理言うな」


「でもよく耳にはツボがあって・・・」
「・・・・・・・ちょっとお前もう黙れ」
まだ色々と言ってくるメイの耳に手を伸ばして、
「!」
黙らせるために耳たぶを舐めた。

「キレーな耳してンだから、あんま穴だらけにすんなよ?」
もったいねぇから。


「・・・ヘンタイ!」
べち、と顔をはたかれた。









「まだ分かんないケド・・・もし開けたら」
メイがポツリとつぶやく。


お揃いの赤いピアスがいいな。
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