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 「なぁにぃーッ、サニーが急病だと!?樊瑞!」
 「ああ、いま十常寺が診ているが・・・かなり悪いようだ」
 衝撃のアルベルトはおのれの不注意を呪った。カウントダウンを控えた「地球静止作戦」に没頭するあまり、家庭をほとんど顧みなかった報いが、こんな形で訪れるとは。
 「どうなのだ、十常寺」
 「東洋医学を極めし本職、古今未曾有の奇病なり。薬石功なく病膏肓(やまいこうこう=手のほどこしようがない)、余命は半日ああ無常・・・」
 「貴様、それでも十傑集かぁーーーッ!」
 やり場のない怒りに任せて、アルベルトは十常寺の首をしめあげた。無意識の内に、全身から衝撃波が放射される。
 「しょ、衝撃大人、起死回生の秘策あり。登雲山の頂き近く、独角竜の巣窟に・・・げほ」
 アルベルトは手を離した。樊瑞が何かを思い出したように腕を組む。
 「独角竜の生き血か!あの秘薬ならば、この症状にも効くかも知れぬ。だが、あと半日ではとても・・・アルベルト?」
 彼の姿は、すでに病室から消えていた。

 登雲山の怪物たちとの熾烈な戦いで受けた負傷と疲労をものともせず、音速をはるかに超えた速度で、アルベルトは走り続けた。その手には、竜の生き血を密封したフラスコがしっかりと握られている。集中力を少しでも維持するために、好物の葉巻は口にしていない。
 不意に視界が暗くなる。巨大な人型の影がアルベルトをはるか上空から見下ろしていた。
 「ワシを超える速度の物体といえば、あやつしかおらぬ。ちィッ、こんな時に・・・!」
 「ジャイアント・ロボ、急速降下!逃がさないぞ!BF団!!」
 衝撃波を撃ち尽していたアルベルトは、なすすべもなく巨大な手に捕らえられた。アルベルトは覚悟を決めた。国際警察機構の本部に連行されたらすぐ、体内の全エネルギーを放出して自爆する。私情に溺れて任務を忘れたBF団員の、最後のけじめとして。
 ロボから降ろされた場所を見て、アルベルトは思わず叫んだ。
 「小僧!どういうことだ!?ここは・・・」
 ワシらのアジトの近所ではないか、とは、さすがに口に出せなかった。
 「載宗さんから緊急通信があったんです。『オレたちには子供がいないからな』だって・・・どういうことなんだろ?」
 飛び去って行くロボのシルエットに、載宗の人なつっこい笑顔がオーバーラップした。
 「フン、いらぬ真似をしおって・・・」

 生き血を投与されて数分後に、サニーは目を覚ました。
 「パパ!あ、樊瑞のおじさま・・・。おじさま、父はいないのですか?」
 久しぶりの娘の声を背中で聞きながら、アルベルトは病院を出た。夕日を見上げて、これも久しぶりの葉巻に火をつける。
 「ワシも甘くなったと思うか?なあ、おまえ・・・」
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