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うろほろぞ
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めでたし。めでたし。

パラリ、ページをめくって静かに閉じる。パタリと軽い音が鳴れば、物語はそこで終わり。ついさっき読み終えた話を反芻する。みんなが幸せになれるかなれないか。前者が八割で後者が二割で。物語は大抵誰も彼もが幸せになれるように組まれている。けれども、幸せになれてもなれなくても。パタリと閉じればそこで終わり。

めでたし。めでたし。

くるくるくるくる泡になった人魚姫。泡になり。海に溶け。紅い靴を履いて。百年の眠りについて。眠り姫は死ななかったけれども。幸せになれたけれども。いつか、いつの日か幸せになるまで。ずっと、百年。待って待って待ち続けて。

考えてみれば、いつも不幸なのは女の人ばかり。最後は幸福になれたとしても。ずっとそれを待ち続けるばかり。

(王子様は幸せなのに)

けれども、唯一、幸福の王子だけが、何もかもを人に与えて死んでしまった。

(身を削って。命を削って。金色もいつの間にか鉄の色)

それに怖くなって、本を置くと走り出した。ソファーに座っている人を見つけて、ぽんっと膝の上に飛び乗った。随分勢いをつけたのに、彼は欠片も姿勢を崩さなかった。ただ、おやっと不思議そうな顔をした。突然飛び乗ったのに、怒らないのもいつも通り。どうやら新聞を捲っていたらしいのに、何も言わないのもいつも通り。

「おじさんは、人にあげるばっかりね」

そっと手を伸ばす。指を無骨な頬に触れさせてそう言えば、訝しげな表情が返った。急にどうしたと聞く声は心配そうで、何でもないのとゆっくりと首を振った。

そう、お姫様を助けるのはいつも王子様で。貧しい者を病める者を助けるには、魔法が使えなければ身を削るしかなくて。この世界は悲しいほどに現実で。物語ではなくて。

お姫様は一人じゃないから。助けなくてはならない人は無数にいるから。

だから、幸福の王子は幸せにはなれない。


(鉄色さえも削って、削って、削り過ぎた跡には何も)


「ねぇ、おじさんは」

辛くないのと聞こうとして、言葉を飲み込む。少女はお姫様で、彼は勇者で。彼女の王子様で。どこにいても、何があっても助けてくれて。ずっとそう。百年たっても。茨に囲まれても。助けてくれることを知っていて。だから、助けられる立場のものは、そんなことは聞けはしない。彼は笑って、嘘を答えるだろうから。


彼女は、お姫様だったから。


だから、自分がツバメになれないことなんて、とうの昔に知っていた。


反 幸 福 論
ルビー一つ運べない。この手は幼すぎて飛ぶことすらできない。
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その日は月の綺麗な日だったから。
だから、軽く殺し合いでもしようかと思った。
多分、それは殺したい相手が自分より先に死んでしまいそうな、いなくなってしまうような、そんな根拠の無い予感に駆られたせいかも知れない。
それとも、やっぱり月が綺麗だったせいかもしれない。
そんなことは、まぁどっちでもよかったのだけれども。

だから、相手の家を目指して、酔ったような足取りで道を歩いた。理由にしたはずの月は途中で隠れ、暗闇が濃く辺りを覆っていた。帰りは雨が降るかも知れないと思い、なおさら急いだ。肩をぽんぽんとバットで叩く。見慣れた道だった。酒を飲みに行くため歩いたり。意味なく向かったり。土産を持っていったり。来るなといわれているのに会いに行ったり。何度も繰り返し歩いた道だった。けれども、途中、冗談のように道は遮られていた。

白い線が、一本。灰色の道路を横切るように引かれている。

黒く塗りつぶしたような闇の中でも、それは酷く目立った。思わず、その直前で立ち止まる。一種後、子供の落書きかとそう思い、踏み越そうとした瞬間だった。

「動かないで」

月は見えなかった。雲は霞んでいた。それでも、不思議とそれは見えた。

それだけが、見えた。


黒光りする、銃口。白い手に握られたリボルバー。


気づいたときは、それは随分近くにあった。しかし、止まる必要などなかった。そんな脅しは聞かないで、問答無用に近寄り、バットを一振りすればそれで済んだ。けれども、わざわざ立ち止まったのは、ただ純粋に驚いたからだ。銃口を向けてきた相手が、あまりに意外だったからだ。

まず、銃口を握っている白い指に目がいった。長い黒髪が僅かになびく。細い肢体が、闇の中に優美な線を描いていた。十七、八を超えるか超えないかの少女だった。甘やかさの中に、強さを感じさせる顔立ち。その頬の白くすべらかな線と大きな瞳は、今も昔も変わりない。

見慣れているはずなのに、まるで別のものに見えるその姿。

「その線を、越えたら撃つから」

哀願する響きはそこにはなかった。ただ、淡々と事実のみを語る。少女が手に持っているのは、安物のリボルバーだった。握りにくいグリップ、黒く光る銃身、耐久度の低いシリンダーを持った粗悪な武器。使い捨ての、弾が出るだけの壊れやすい銃。それでも、これだけ近くで狙い撃つには十分だった。細く白い指はしなやかで、その向こうの目が、まるで猫のように光っていた。

まるでドラマのワンシーンのようだ。
それも、酷く喜劇的な。

「なんやぁ、桐生ちゃんのとこの遥ちゃんやないかい? 一体どないしたんや?」
「―――――とぼけないで」

口調は冷たかった。一端のやくざでも、自分にこんな口をきく人物はいない。一体、いつの間にこの少女はここまで育ったのか?こんな風に育ったのか?そう思ったら、酷く愉快で、面白かった。

「おじさんの、ところに行く気なら帰って」
「どうしてや?」

そう言って、所々へこんだバットを肩の上で弾ませる。それに、少女はちらりと道路に引かれた線を見た。真っ直ぐに、チョークで引かれた白線。まるで子供の落書きのようだ。ここから先は自分の領地だと、歪んだ線を引く、子供の遊び。何の意味も無い国境。それでも、向けられている銃口は本物だ。

ここと、ここが境界線。踏み越えれば戦場だ。

「今日は、薫さんが、死んで三日目だから」

少女の声に、感情は無かった。その声は、静かに凍っていた。

ふと思いをはせる。そういえば、すっかり忘れていた。覚えていたはずなのに、気がつけば記憶から零れ落ちていた。

あの女性が死んで三日目。
些細なことで逆恨みしたヒットマンの、流れ弾から、大事な男を庇って三日目。
最期に笑って、取り乱した顔を叱り付けて、礼を言ったというのだから、あの女らしい話だった。

「ああ、そうやったな……誰も彼もが、桐生ちゃんを一人にしてよう死ぬわ」

ぼんやりと呟く。ほんまになぁと言いながら、ぶんとバットを振る。それに、少女は頷いた。

「そうね、だから、今のおじさんは死ぬことに惹かれてる」

手に持った銃口が揺らがない。その指は重さを感じないかのように固まったまま。まるで冗談のように、少女が銃を構える光景は続く。

「今のおじさんは簡単に死ぬことへ傾いてしまうの。だから、真島のおじさんは桐生のおじさんに会わないで。このまま、帰って」
「だから、どうしてや?」
「あなたからは、血の匂いがするもの」

さらりと少女はそう言った。
鉄錆びの、紅色。滴る肉の色。
そんなものは、この少女には分からなかったはずだというのに。

「何や、そんなことまで、分かるようになってしもうたんか?」

尋ねる。少女は答えなかった。何も言わなかった。

それが答えだった。少女は、大切に育てられた。それこそ、ガラスの箱に仕舞われているかのように。閉じ込められているかのように。大切に大切に育てられた。血に触れないように。汚れないように。歪まないように。その体に万が一でも傷などつくことのないように。健やかに優しいままで育つように、祈るように大切にされた。けれども、目の前で自分を守って傷つく人がいれば。あるいは、箱の周りが血で汚れれば。

その肌が汚れなくても、紅色の匂いも、色も覚える。

錆びた、色の紅。普通の子供として育つには、彼女はあまりに色々なものを見すぎた。

その果てが、この光景なのか。とそう思う。
撃鉄の降ろされた、リボルバーを握って、戦場に立つように立っている。

「今、あなたがおじさんを殺そうとしたら、きっとおじさんは死んでしまうから」
「何やぁ、桐生ちゃん。そんなにへこんどるんか?」
「うん。きっと、自分でも気づいてないけど。すごく、すごく疲れてる。おじさんを、止めるものはもうないから。薫さんは死んでしまった。東城会も、今は安定してる。私は――もう育ってしまった」

それは、自嘲的な響きだった。そう言って、自分の体に少女はちらりと目を走らせた。育った足、手、腕。女の形に、あと少しで辿り着く体。幼さを失った体は、あと少しで育つことを止める。

いつまでも子供の腕だったのなら、銃口など構えられなかった。

「育ったなぁ。リボルバー、構えられるくらいにな」
「『一人でも、生きていける』くらいに、だよ」

揶揄する響きに答えた声は、欠片も揺らがない。
真っ直ぐにこちらを睨む瞳は、落ち着き過ぎていて逆に恐ろしい。感情がそこにない。静かな湖面のようだ。欠片も揺らがない、感情を握り潰して、殺している。機械のようなその表情が気に入らなくて、軽く尋ねた。

「桐生ちゃんは、嬢ちゃんのモンやないで?」
「そうだよ。おじさんは、あなたのものでも、私のものでもない。薫さんのものだった。でも、今は誰のものにもなれない」

一瞬だけ、声に悲しさが滲んだ。哀れんでいるのか、悲しんでいるのか。自分のことをか、彼のことをか。その心は分からなかった。ただ、ほんの少しだけ唇を噛み締めた。その動作だけが、昔の強いけれども弱かった少女の面影を引き戻す。

「なれないんだよ」

守ると誓った者を守れなかったのならば、最早、彼は孤独になるしかないのだ。

そのことを嘆きながら、徐々に少女の顔から表情が消えていく。リボルバーを必死になって構える腕。ほんの一瞬だけ、その白い指が、痛々しいものに見えた。

「ああ――――」

あまりにも、孤独な、その姿。
愛しているのに、愛されているのに。本当の意味で、愛されないことを知っている。

「嬢ちゃんは、女になってしもうたんやなぁ」

ゆっくりと、呟く。それに少女は答えた。淡々と。嘆きも、誇りもせず。変わったものは、変わってしまった。それに、何も感じていないかのように。

「そう、だから私が守らないといけない」

鉄の軋む音がする。リボルバーがゆっくりと鳴く。そんな気がした。それは幻聴だったけれども。合わせるように、バットをもう一度肩にぶつけた。

「そうか――――――」

ぽんっと軽い音。肉を打つ、硬い音。目の前にいるのは、あの少女ではなかった。そのことを確認する。小さな、かわいらしい、傷つけてはいけない生き物ではなかった。ただ、こちらを殺すつもりで立っていた。迷うことなく、そこにいた。

小さく、呟く。

「なら、本気でいかせてもらうわ」

重く曇った空は、灰の色に滲む。風が遠くで渦を巻いている。水を孕んだ空気が、徐々に強くなる。
やがて、最初の一滴が地に落ちる。まるで涙のように、静かに落下する。
白線が滲む。じわりと水滴の中に拡散する。
それが合図だった。男は、踏み越しては、行けない線をあまりに軽く踏み越した。そして、少女は躊躇わなかった。


銃声が鳴り響く。終幕を告げる、ベルのように。




何かに別れを、告げるかのように。





サタデー・ナイトスペシャル
安物の拳銃と、どうしようもない愛情


気がつけば、彼女が料理をするようになったのはいつからだっただろうか。

子供は、親の知らないところで成長するというのは本当だった。そう嘆くように呟いたとき、伊達にそんなもんだと疲れた顔で肩を叩かれたのは記憶に新しい。今、遥はガスコンロの上にフライパンを置いていた。その傍には、合わせ終わった調味料と、切り終わった野菜と肉。慣れた動作で、それをフライパンに移すと炒めていく。いつの間にそんなことができるようになったのか。そう問い掛けると、嬉しそうに声を立てて笑った。

「ずっと前だよ。隠れて練習してたの」

高い笑い声が響く。ひどく大人びているというのに、声は普通の子供のものと同じ高さだった。エプロンを結び、少しだけ爪先立ちで料理を作っていく。柔らかな湯気が立ち上り、ジュージューという音が続く。穏やかな昼下がりだった。まるで、一年前の事件が嘘だったかのような。

ずっと、二人だけでここで静かに暮らしていたかのような。

そんな錯覚に陥って、後ろからその姿を見つめる。
白くて丸い頬は甘い輪郭を描き、人の肌というより何故か雪を思わせた。

触れれば、溶ける。そんな気がする。
ここにあることが、まるで奇跡のような。

(まだ小さい)

けれども。

(いつの間にか、大きくなった)

一年、まだ経っていない。それでも、子供は育つことに不意に気づく。少しずつ、少しずつ、緩やかに彼女が育っていくことでそれを知る。時が着実に積み重なっていく。

今はまだ小さな後姿を見ながら、育った姿を脳裏に描く。
やがて手が伸びて、足が伸びて、あいまいな、ただ優しいばかりの輪郭が削れて。花が咲くように、蛹が破れるように。あるいは、子犬がしなやかな獣になるように。少女は変わっていく。

いつか、育ちゆく。

彼女のように。

かつて自分の愛した女性の面影が揺れる。長い髪と、細く、けれども凛とした立ち姿と。その光景は切なく、あまりに儚く。僅かに目を逸らせば、光と共に消えていく。振り向いて、笑う。その姿を、思い出そうとして、うまく思い描けない。

そのことに、眩暈を覚えた。


「どうしたの、おじさん?」

視線を感じたのか、遥が振り向いた。それと同時に、重なっていた残像は音も立てずに霧散する。子犬のような大きな目がこちらを見る。一瞬、言葉に詰まり、けれども淀みなく答えた。

「いや――遥も大きくなったなと思ったんだ」

そう言うと、ふふっと彼女は笑った。絶え間なくフライパンを揺すりつつ、小さく胸を張る。

「そうだよ。背だって随分伸びたんだから」

笑顔を返すと、彼女も微笑んだ。同時に、何か油が跳ねる音が響いた。彼女は笑みを消すと、慌ててフライパンに向き直った。火を弱めて、胡椒を手に取る。その姿は慣れきっており、安定感がある。フライ返しを動かす様子も、堂に入ったものだった。そんな彼女の成長が嬉しく思えて目を細める。

「待っててね、もう少しでできるから」

柔らかな声が告げる。
甘い声が嬉しげに言う。

『待っててね、もう少しで―――』

ぐらりと、景色が揺れた。

どこかの酒場で。
緩やかな橙色の灯りの中で。
満たされきった幸福な場所で。
かつて、同じ言葉を、聴いたことがあった。

(失って、失って、失って)

全て空っぽになった先に、この小さな後姿だけが残った。
やわらかく、温かく幼い姿。唯一残された大切な家族だった。
けれども、不意に失った者と背中が重なる。

誰一人として守ることのできなかったこの手を。
擦り抜けて行った儚い姿が。
そのせいで、思案に沈む。後姿を見つめながら思う。

(やがて手が伸びて、足が伸びて)

幼い姿が失われて。
いつか自分以外の誰かを見つけて、生きて、生きていけるまで。

(俺は、お前を守っていけるだろうか?)

小さな後姿に思う。
やがて、この手を離れて、彼女が生きていけるまで。
まるで祈るように、願うことはひとつだけだ。

(お前が、生きて、生きて、幸せになれるように)

そのためならば、この身など。

壊れたとしても構わなかった。



幸 福 論
ただ、幸せにと、まるで祈るように。
*

彼女の気持ち

「遥、帰ろう!」
下校の時間になり、女子生徒たちは口を揃えて声をかける。日直で、日誌を職員室に持って行ってきたばかりの遥は大きく頷いた。
「校門までならいいよ」
「えー!また遥、駅の方に行っちゃうの?」
少女の1人が口を尖らす。堂島家に世話になる際は、いつもの下校ルートと違い、電車に乗って帰るので友人とは校門を出た後は
正反対の道になるのだ。遥は申し訳なさそうに手を合わせた。
「ごめんね、月曜からまた一緒に帰ってくれる?」
別にいいけど、と別の女子生徒が首をかしげた。
「遥って二つ家があるわけ?今日帰るのはどういうおうちなの?」
「えー……と」
説明に困って彼女は口ごもる。回りくどく、桐生の、昔の、仕事先の、上司の家と言ってもいいのだが、どうして昔の上司の家に
世話になるのだと聞かれたりしたら、今度こそ説明のしようがない。さんざん悩んだ挙句、遥は答えた。
「と、遠い親戚、かな?」
言った後に彼女は思う。桐生は弥生を姐さんだと言っていた。「姉さん」と変換すれば、保護者の兄弟なわけだから、親戚だと言っても
大きく言えば間違ってはいない、はず。恐る恐る友人を見ると、彼女達は顔を見合わせた。
「親戚かあ」
「いいなあ、うちも家から離れて過ごしたいな」
どうやら不信感は抱かれてないようだ。遥は胸をなでおろす。少女達は彼女を促した。
「ほら、行こう。遥」
「あ、うん」
遥は手早く荷物をまとめ、皆について歩く。教室を出たので携帯の電源をそっと入れると、メールが一件届いていた。
「あれ……」
遥は幾分歩く速度を遅めてメールを確認する。差出人は、彼女のよく知っている人物からだった。
『校門前、早く出て来い』
驚いて彼女は立ち止まる。こんな場所にその人物がいること自体、ありえない事だ。しかし、その人がこういった悪戯をするようにも
思えない。悩んでいると、少し離れたところで友人が声を上げた。
「遥、何やってんの?早く~!」
「あ、う、うん!」
遥は小走りに彼女達の方へかけていく。半信半疑のまま、彼女は靴を履き替え校門へと急いだ。


 道路わきに停めた車の中で、男は不機嫌そうに煙草をふかしている。少し離して停めているとはいえ、小学校の前に車を止めて
若い男が人待ち顔をしているのは、不審者以外の何物でもない。
「何やってんだ、あいつ……」
呟いた時、遠くから遥が出てくるのが見えた。彼女は、何かを探すように辺りを見回している。男は大きく溜息をつき車から降りた。
「遥、こっちだ」
声を聞き、遥は視線を動かす。彼女は男を見つけると顔を輝かせた。
「あ、大吾お兄ちゃん!本当にいた!」
嬉しそうにかけて行く遥を見て、そばにいた数人の少女達は顔を見合わせる。大吾は腕を組み、彼女を見下ろした。
「本当にいた、って人を珍獣みたいに言うな」
「だって、お兄ちゃんがこんなところに来てるとは思わなかったんだもん」
口を尖らす遥に、大吾は大きく溜息をついた。
「メール送っただろ、出てくるの遅えんだよ」
「日直だったんだもん。それに、教室内では携帯の電源入れるの禁止なんだよ」
日直、教室、懐かしい単語の連続に、大吾は遠い目をする。そういえば、自分が小学生時代は携帯がなかった。今はそういう校則が
あるのか。時代の流れとは恐ろしいものだと思った。
「ねえ、遥。この人誰?」
二人のやり取りを眺めていた少女達が、好奇心に負けて問いかけてくる。遥は大吾をちらりと見上げ、曖昧に笑った。
「えと……お世話になってるおうちの人」
少女達はその瞬間黄色い声を上げた。その異様な雰囲気に、大吾はわずかに後ずさる。この小さくて騒がしい生き物は一体なんだ。
遥も流石に友人の反応に驚いているらしい、言葉もなく固まってしまう。彼女達はかっこいい、だの、大人、だの、ちょっと怖そう、だの
言いたい放題だ。やがて、それぞれの感想が出尽くした頃、1人が大吾に小走りに寄ってきた。
「あ、あの、私、遥と仲良くさせてもらってます、神田といいます!」
大吾は驚いたように少女を見下ろす。こういう時は何て言うものなのだろう。彼は戸惑いながらもわずかに笑みを浮かべ、小さく
頭を下げた。
「それは……どうも」
「私、野本です!」
後ろの方でもう1人が手を上げる。それにつられるように次々と、中村です、打田です、と手を上げだす。名前を聞いて一体、どうしろと
いうんだ。困ったように遥を見ると、彼女は手を体の後ろで組んだまま、その状況をぼんやり眺めていた。この年頃の少女達は
何を考えているのかさっぱり分からない。大吾は無難に切り上げる事にした。
「それじゃ、今後とも、こいつと仲良くしてやってくれ。ちょっと急ぐし、こいつは連れて行くから」
はーい!と少女達は大きく手を振る。大吾は乾いた笑いを浮かべ、手を振り返すと車に乗り込んだ。
「遥、乗れ」
「あ、うん。みんな、またね」
遥は助手席に乗って皆に手を振る。少女達が見送る中、車は滑らかに加速していった。

小学校を後にしてから、遥はしばらく黙ったまま窓の外を眺めていたが、ふと思い出したように大吾を見た。
「お兄ちゃん、車乗れたんだ」
大吾はああ、と正面を見つめたまま苦笑を浮かべた。
「免許は持ってたからな。ムショに入った後にも、一応手続きだけはしてあったんだ。まあ、遊んでる分には車がなくてもやっていけたし
 東城会で仕事をするようになったら、それこそ運転する機会もなくなったからな。たまに忘れねえようにこうやって車に乗る事にしてんだ」
「それで、わざわざ来てくれたの?」
首を傾げる遥に、大吾は肩を竦めた。
「車動かしてくるって言ったら、お袋が『ついでに遥も連れて帰っておいで』ってうるせえのなんの。まあ、ここまで来るとなると仕事も
 休めるし。それで仕方なくな」
「……そっか」
遥は幾分残念そうに窓の外に視線を移す。信号で車を停め、大吾は彼女の頭を小突いた。
「どうしたんだよ」
「なんでもないよう」
遥は頭を押さえて首を振る。彼は首をかしげていたが、やがて信号も変わる。車を出しながら、大吾は口を開いた。
「お前と同い年の女ってのは、みんなああなのか?」
「え?何で?」
驚いたように視線を向ける遥に、大吾は溜息をついた。
「なんつーか、元気だよな」
「元気だもん」
素直に突っ込む遥に、大吾は首を振った。
「そうじゃなくて……やたらとやかましい」
遥は苦笑を浮かべ、視線を落とした。
「そうだね、私もよくお兄ちゃんにうるさいって言われるもんね」
「ああ、そうだな」
大吾は小さく笑う。それを聞いて遥はそっと溜息をついた。
 彼女は同級生が大吾に対して騒いでいるのを見て、正直うんざりしていた。自分も傍から見たらこうなのだろうかと思う。彼の周りで
うるさく付きまとっている姿は、同じ年代である自分から見ても気持ちのいいものではない。大吾が困っている顔を見ると、尚更実感する。
堂島家で世話になっているからと色々してはいたが、結局自分は周囲の好意に甘えてしたつもりでいるだけの子供なのだと思った。
沈黙している遥に苦笑を浮かべ、大吾は続けた。
「でも、甘かった」
「甘かった?」
顔を上げる遥に、大吾は頷いた。
「さっきのガキどもと並べてみたら、お前の方が何倍もマシだった」
「え……」
遥は言葉を失う。彼はハンドルを切りながら言葉を続ける。
「うちでも、本部でも、自分の分をわきまえて動ける奴だからな、お前は。もしあいつらを本部に入れてみろ、あの調子で引っかき
 まわされんのがオチだ」
この言葉はどう捉えたらいいのだろう。彼女は慌てたように声を上げた。
「で、でも私だって迷惑かけたりするよ。本当は私みたいな子供は、本部にいちゃいけないんだよね。でも皆さんすごく優しいから
 やかましいのを我慢してくれてるんでしょう?」
あのな、と大吾は遥を睨んだ。
「仕事に支障が出るくらい迷惑な存在なら、その時点で本部には入れねえよ。そのことは、お前がうちに来た頃に本部を歩かせて
 その様子を組員に報告させた。もちろんその組員からの評価も含めてな。その上での決定だ。いくらお袋のお気に入りだからって
 本部はガキが無条件にいていい場所じゃねえんだ」
初めて聞いた事実に、遥は目を丸くした。自分の知らないところで、そんなことが行われていたなんて思わなかった。どうりで本部に
立ち入った当時の組員は厳しい目をしていると思った。それも全て自分が最低限ここにいていい存在かどうか見定めていたのだ。
黙りこくった彼女に、大吾は苦笑を浮かべた。
「お前、ずっとそんなこと考えてたのか?」
「……うん」
遥は小さく頷く。大吾は彼女の頭を乱暴に撫でた。
「ばーか」
「ばかだもん」
そっぽを向く遥を笑い、彼はハンドルを握る。彼女はふと大吾の横顔を眺め、ぽつりと呟いた。
「あとね、お兄ちゃんが他の子に笑ってるのを見るの、ちょっと嫌だったんだ」
「は?」
驚いたように彼女を見る大吾に、遥は不満そうに声を上げた。
「大吾お兄ちゃん、私にはあんな風に笑ってくれないもん」
「お前な……それは無理」
うんざりしたように首を振る彼を見て、遥は運転席に身を乗り出した。
「何で?」
問われ、大吾は噛み付くように怒鳴った。
「なんでお前に作り笑いしなきゃいけねえんだよ、面倒くせえな!」
「作り笑い……」
そう、と彼はきまりが悪そうに宙を睨んだ。
「あそこでガキども睨んでみろ、即行先公呼ばれんだろ。不審者扱いされて警察に引き渡しになったら、シャレになんねえだろうが」
「そ、そうだね……」
遥は納得したように頷く。大吾は彼女をちらりと眺め、溜息混じりに告げた。
「そんなに俺、お前に冷たいか?」
「うん」
「……今すぐ車から飛び降りろ」
「あ、嘘、嘘!わざわざ迎えに来てくれる、優しいお兄ちゃんです!」
どうだかな。大吾は慌ててフォローを入れる遥に肩を竦め、アクセルを踏み込んだ。車は加速して高速に乗る。遥は彼を覗き込み
そっと微笑んだ。
「また車に乗せてね」
「わかんね」
素っ気無く答える大吾を怒るわけでもなく、遥は何かを思い描くように遠い目をした。
「それで、二人で遊びに行こうよ。お弁当持って。また海もいいよね、山もいいな。上流の綺麗な川とかで水遊びしたいよ。前にテレビで
 見てすごく涼しそうだったんだ。あとねえ、天体観測したいな。授業で星座の探し方教えてもらったの。それでね……」
「お前な、そんなに沢山休みが取れるわけねえだろ」
次々にあふれ出す彼女の提案に、大吾は呆れる。遥はそれを聞いて彼を覗き込んだ。
「少しだったら、付き合ってくれるの?」
しまった、と大吾は言葉を詰まらせる。遥の期待に満ちた目が、彼女の方を向いていなくてもわかる。彼はしばらく沈黙していたが
やがて根負けしたように声を上げた。
「まあな」
「やったー!今から計画立てちゃうよ、いいよね!」
遥は無邪気にはしゃいでいる。大吾は小さく溜息をついて彼女を眺めた。
「言っとくが、いつになるかわかんねえからな」
「うん、わかってる」
頷いてはいるが、彼女の頭の中はもう二人で遊ぶ計画でいっぱいのようだ。何を言っても上の空の彼女に呆れ、大吾は前を走る車に
視線を向けた。さて、この先彼女が提案した計画をこなすためには、どれだけ休みをとればいいだろう。そして、それを申請した時の
弥生の渋い顔が目に浮かぶようだ。
まあ、何とかなるか。彼は呟くと、わずかに表情を和らげた。

2ch
おじさん、由美お姉ちゃんがいなくて寂しいんだね・・・私が慰めてあげる・・
ねえ、桐生おじさん、気持ちいいっ?気持ち、いいんだねっ・・あは、うれしいな・・・・
あ、出るの?いいよおじさん、私の顔に好きなだけかけていいよ・・




郷田 「のう桐生、龍は一匹でええんじゃ」

遙  「おじさん、ドジョウがいるよ」

郷田 「お嬢ちゃん やるやないけ」


つまり遙は射精が何かという事も、チンポをどういう風に刺激すれば、粘っこい白い液がビュッビュッといやらしく飛ぶかという事を知っていると言う事
そして、その射精は男にとって何物にも変えがたいくらい気持ちが良い行為だという事を知っているという事・・・・・・・・
桐生が由美の事を思って寂しそうにしてたら、「おじさんはじっとしてて」とか言って黙って生チンポを手コキくらいしてくれそう


龍司「極道の世界で、龍と呼ばれる男は一匹でええんですわ」

遥「あっちのほうはおじさんみたいに龍じゃなかったよ?ミミズみたいだった」
大吾「…お前最低だな」
挟山「わいせつ罪の追加ね、幼子に毒牙をかけた罪は重いわよ」
遼「天は二物を与えず、ですかね」
吾郎「桐生チャンにアソコで勝てるわけあらへんやろ、なんせ伝説だからなぁ~」
郷田「竿はその者の本質を表すか、不甲斐ない息子だ」
桐生「お前の背中の龍が泣いてるぞ」


龍司「じゃかぁしい!!わいはそういう趣味とかではな…ウワァァァァァアアアアアン!!!!」



桐生「で、出るぞ遙っ・・・!!ん゛ん゛ーーッッ!!!」
びゅーっ!!びゅーーーーっ!!!びゅびゅーーっ!!
遙「あ、あぁーーーっ!!!んぐっ!!ごきゅっ・・!!あ゛ぁ~~っ・・・」
舌の上で大量の精液をビシャビシャと全部受け止める遙。


遥「おじさんのココ、もうこんなになってる…んぐ、ちゅぷ…ちゅぽっ…」
桐生「は、遥…くっ…どこでこんなことを…」
遥「んじゅっ…ぷはぁ…薫さんに聞いたの…どぉ、気持ちいいの…?」
桐生「あ、ああ…でも薫が、どうして…う、そこは…お、おおっ…」
遥「あ、ここも気持ちいいんだ…ぺろっ…ぺろぺろ…」
桐生「う、くっ!」
遥「あ、出てくる…んぶっ…ごくっ、ごきゅ…はああぁ…凄い量だよ…それに臭い…」
桐生「それが男の味ってもんさ…」
薫「ハイ淫行~~~~!」

















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