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よく吾朗は一馬に絡んでいた。
どうしてかなど、吾朗本人にしか分からない。
だがきっと、一馬との喧嘩が楽しいからだ。
一馬は、そう思っていた。




しかし、気付いたことがあった。




さり気なさ過ぎて、見落としがちな優しさ。



たまに見落としてしまう時もあった。




それほどの小さな優しさだが、吾朗は一馬にそれを与えた。




もちろん、今までと変わらない関係ではあった。



それでも少しだけ、吾朗に変化があるのだ。
いつも通りの吾朗ではあるのだが、どこかがおかしかった。





それが何か、分からなかった。
…気付かされるまで。















今日もいつものように、一馬は町を歩っていた。




絡んでくる輩は相変わらずだ。




だからいつものように、一馬は男達を伸していく。





男達は地に沈み、一馬はそのまま去って行く。




しばらく歩くとカップルの会話が聞こえた。



「凄かったねぇ。」

「あぁ、あれ死んだな。」

「やっぱり、あの人強いねぇ。」

「けど、ありゃ遣り過ぎだろ。」

「でも、あの人恐い人で有名だから。」



その話に、一馬は嫌な予感がした。



「悪い、それどこだ?」

「あぁ?!何あんた?!」

「…あそこ曲がった先。」

「すまないな。」



女の言葉の方向に、一馬は向かった。


「あなたこの町来たばっかだからね。でも覚えた方がいいよ?今の人は、桐生一馬。“堂島の龍”って呼ばれてる人。」

「えっ?!」

「それから、さっきの眼帯の人は、真島吾朗。“嶋野の狂犬”。2人とも有名な人だよ。」


一馬が去った後に、こんな会話がされていた。







一馬が向かった先には、やはり思った通りの人物がいた。




「…兄さん。」


「…どないした?桐生ちゃん。」



振り向いた吾朗の顔は、無表情に近かった。


血塗れで地に沈んでいる男達を伸していた時は、おそらく無表情だったのだろう。



その為、気分が戻りきっていないのだ。




だからいつも一馬に向けている顔ではなかった。



「…兄さんこそ、どうしたんだ?」

「どうもせんわ。」

「なら、この状況は?」


「ただちぃーっと、暴れたくなっただけや。」



それにしては、ひどい有様だった。
もしかしたら、死人がいるかもしれない。




「…最近、よく暴れているみたいだが?」

「暴れたい気分なんや。」


「…何かあったんですか?」

「なんもないで。」

「なら…、」

「ほんまに何でもないわ。ほなな。」



そう言って、吾朗は行ってしまった。




明らかにいつもの吾朗ではない。



いつもなら、絡んでくるはずだ。




それなのに、足早に立ち去ってしまった。





いつもの吾朗らしくない彼に、一馬は戸惑っていた。
そして何故か気になった。


いつもの日常が変われば、気にもなるだろう。




それでも深くは追求しなかった。



きっとまた、いつもの吾朗に戻ると思ったからだ。





しかし戻らなかった。




戻るどころか日増しにひどくなる。





ついには、吾朗の舎弟が泣き付いてくる有様。




そして一馬は、吾朗がよくいるバッティングセンターの前にいた。





看板には『いてはります。真島』の文字。





「…兄さん。」



吾朗の舎弟に泣き付かれ、来てみたものの、一馬に何が出来るというのだろう。



「…理由を聞いて、素直に話す人じゃないしな。」



それ以前に顔を合わせにくかった。
自分でも分からない。
それでも、自分の中の何かがおかしかった。



「あれ?桐生さん!」




ここに立っていれば予想出来ただろう。



吾朗の舎弟が来るかもしれない。
もしかしたら、吾朗が出て来るかもしれないということに…。



「やっぱり来てくれたんスね!」


「…いや、…何でも、ない。」


そう言って一馬は歩き去っていく。


「あ!桐生さん!」



最後の望みが絶たれ、舎弟の1人は肩を落とした。






外で一馬と会った舎弟が中に入ると、吾朗は興味なさそうにバットを振っていた。
的は自分の舎弟達。




手加減されていない吾朗の振りに、舎弟達は地に沈んでいく。



飽きたのか、今度はネタを要求する。



「おもろい話ないんか?」



ドゴっ!!!



吾朗にバットで殴られ、1人沈む。



「ないんかぁ?」



「あ、兄貴!」

「なんや?」

「今、さっき。…き、桐生さんに会いました。」

「ほんまか?」

「はい。でも何だか様子が変でし…」



ドカっ!!、ドゴっ!!!


最後まで言う前に、また地に沈める。




「そういうんは、はよ言えや。」




吾朗はそのまま、バットを持って外へ出るべく、出入口に向かう。



広いこの町で、人1人探すのは大変なことだ。




しかし吾朗は気にしない。



「ついてくんなや。」



自分の舎弟達に釘を刺して、吾朗は町に繰り出した。









どのくらい探しただろう。
しかし見つからない一馬に、吾朗はあることを思った。



もしかしたら、あそこにいるかもしれない。




荒れたまま放置されたセレナに…。





そして吾朗はセレナに向かう。




いてほしいという。
僅かな希望を抱き…。


ついた先で、吾朗は慎重に扉を開けた。




中を見渡せば、ソファに放心したように座る一馬の姿がある。





静かに一馬に近寄り、隣に腰を下ろした。



「…なんぞ、あったんか?」



その声に、一馬の身体がビクっとなる。
しかし返事はない。
吾朗は構わずに続けた。



「なんや、おかしいで?」

「いつもの桐生ちゃんやないやんか?」

「どないした?」


「…兄さんこそ。」



今まで黙っていた一馬が、ようやく声を出した。



「…先に様子が変わったのは、兄さんの方だろ。」


「…別に変やないやんか、俺が暴れるんわ毎度のことやろ。」


「兄さん。」

「うん?」


「それでも暴れ方が異常だ。」

「なんや、突然。」



「…何かにイラついてるように見える。」

「…何が言いたいんや。」


「兄さんの舎弟が泣き付いて来たんだ。」


「…なんやと?」

「明らかに様子がおかしいと…。」

「そんなん、」

「俺もおかしいと思う。」


「…だったら、なんや?」

「兄さん?」

「俺の様子がおかしかったら、なんやっちゅーねん。」



不機嫌を隠そうともせず、吾朗は声を低くした。



「そんなん、自分のことや。俺がよぅ知っとる。」

「そやけど、どないせい言うんや?!」

「こんなん、おかしいやないか!そやけど、あかんかったんや!」



そこに、一馬が知る吾朗はいなかった。
何かにイラつき、自分の気持ちを持て余していた。



「…兄さん。」


呼び掛けた一馬の腕を取り、自分の方に引き寄せる。
近づいた一馬の顔に、吾朗は自分の顔を寄せる。
そのまま一馬の耳に唇を近付けた。



「桐生ちゃん、好きなんや。」



その言葉に、一馬は目を見開いた。



「…好、き?」

「せや。男同士やし、おかしいんは分かっとる。せやけど、駄目やったわ。」

「ぁ、俺、を?」

「他に誰がおんねや。」

「だけど…、」

「言わせたんは、桐生ちゃんやで?」

「なっ?!」


そして吾朗はまた唇を、一馬の耳に寄せる。
声を低くして、囁く。



「一馬、愛してるで。」



耳元で囁かれた言葉。
だが何故か嫌な気分ではなかった。



『あぁ、そうか、俺は…。』



そして気付いた自分の気持ち。



「桐生ちゃん?」

「…っ、にぃ、さん。」

「ん?」



今度は一馬が吾朗に近寄り、耳に唇を寄せた。



「俺も、愛してます。吾朗さん。」

「…っ。」



「…兄さん?」

「あかん。反則やわ。」

「え?」

「両想いやったら、なんも問題ないやんな?」

「…何が、」


「責任、取りや?」

「…ぁ。」



耳元に囁かれた艶を帯びた吾朗の声に、一馬は責任の取り方がどんな方法なのか気付いた。




ソファに押し倒され、腰に手を回されて抱き合えば、密着する身体。
隙間なく抱き合えば、一馬の太股に吾朗の下半身が当たった。
押し付けられる吾朗の熱さに、一馬は目眩を感じた。



「桐生ちゃんが、あないなこと言うから、勃ってしもたわ。」

「…にぃ、さ、」

「そやから、責任取り?もう、我慢出来へん。」

「兄さん。」


一馬は了承の意を、吾朗に縋りつくことで示した。




「…一馬。」

「…んっ。」



そして重なる唇。






2人は時間を忘れて抱き合った。




吾朗は何度も一馬を求めて抱いた。
一馬は何度も吾朗に求められて満たされた。
そして同じ分だけ、吾朗も満たされていた。






最後は激しい行為に、気絶した一馬を、吾朗は抱き締めて眠りについた。



朝目覚めて、腕の中で眠る存在に吾朗は目を細めた。




誰よりも愛しい恋人。
失いたくない大切な存在。




「…ん。」



腕の中で、一馬が起きる気配がした。



「起きたんか?」

「…に、ぃ、さん。」

「身体、平気か?」

「平気、だ。」



そうは言うものの、一馬の声は擦れていた。



「無理、させたなぁ。」

「…っ、いい。」

「なんや、照れてんのかいな?」

「…っ、」



そう言いながら、吾朗は一馬の頬を撫でた。


一馬は目を閉じて、それに身を委ねる。




愛しい人との時間は、こんなにも穏やかな気分にさせる。



「桐生ちゃん、好きやで。」

「分かってる。」

「誰にも渡さへんし、離さへんで。桐生ちゃんは俺のもんや。」

「だったら、兄さんは俺のものだな。」

「そやな。俺は桐生ちゃんのもんやで。」



どちらともなく、口付けを交わす。




深くではなく、何度も軽く交わされるキス。
まるで約束を交わす儀式のような光景だ。





「そやけど、桐生ちゃんとは喧嘩もしてたいわ。」

「言うと思った。」

「えぇんか?」

「駄目だと言っても、絡むつもりだろう?」

「分かってるやないか。」



そして2人は笑い合った。


「桐生ちゃん。」

「なんだ?」

「喧嘩するのもえぇけど、それ以上に愛したるからな。」



そして、吾朗は再び一馬に口付けた。
一馬はキスを受け取り、いつしか深いものに変わる。



そうして、吾朗に再び火がついた。


「マズイわ、またヤリとぅなってきた。」

「っ、兄さん?!」

「駄目か?」

「…ぁ。」


耳元に囁かれた声に、一馬は身体を震わせた。
吾朗が身体を密着させれば、一馬に当たる吾朗の猛った熱。
そのまま吾朗は、再び一馬の身体を貪り始める。
一馬も抵抗することなく、吾朗を受け入れた。






2人は今幸せの真っ只中にいる。
そしてそれから、吾朗の態度は元に戻ったと言う。


end



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紅い世界。






たいして広くもない部屋。







漂うは死の香。






ただ1人立ち尽くすのは、全身が紅く染まった少年だった。

















昔の夢を見た。





初めて人を殺した時の…。





どうしてそうなったのか、覚えてはいない。




それでも記憶に残った。





紅と鉄臭い血。




床に転がった死体。





自分にもともとあった衝動なのか、ひどい有様だった。






最初は殴った。




それでも満足出来ずに殴り続け、足も出た。





殴り過ぎたのか、血を流し出すのを無視し、ただひたすら加える暴力。





顔の形が変わり、骨の砕ける音。




あちこちが変形していく、人の身体。






信じられない光景だった。






まだ少年の男の子とは思えない力。



冷めた瞳。





少年は口元だけに、薄く笑みを浮かべた。



子供とは思えない、残酷な冷笑だった…。





恐怖に引きつる顔をした相手を殴り続けながら…。




どこまでも冷酷な顔で…。




少年は暴力を振るい続ける。





殴られ蹴られ続け、血塗れになっていく身体。
骨が折れ、変な方向に曲がる腕。





それでも足りないと言わんばかりに続けられる行為。





加え続けた暴行は、すでに相手から抵抗する気力を奪う。




一旦は止まった少年の手。



しかし希望はない。






何故なら少年の手には、包丁が握られていたからだ。

カオス

□※※狂気
3ページ/5ページ

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そして少年は切り付ける。




持ち出した包丁で、滅多刺しにする。





何故こんな状況になったのか…。






すでに覚えていない。





少年にはすでに理由など、どうでもよかった。




少年が今捕らえているのは、目の前の獲物だけだ。





だから加える暴力は止まらない。






包丁で刺し切り刻むことで、辺りは更に鮮血に染まる。




呻き声さえ上げなくなったが、それでも少年は止めなかった。





肩を突き刺し。
頬を突き刺し、そのまま上に押し上げる。
腹を突き刺し、抉る。
そして内蔵…、腸を引き摺り出す。
太股を突き刺し、そのまま捻る。
瞳に刄を突き刺し、潰し。
あるいるは、瞳を指で抉り出し。
その眼球を舐める。




切り付けたあとに、指で肉を剥ぎ。
指は1本づつ切り落とす。
切り落とした指から滴る血を、まだ辛うじて長さのあった指を口に含み、血の味を楽しむ。
肩は脇のところの皮一枚で繋がっているのか、切れてはいるがまだ繋がり、垂れ下がっている。
ところどころ皮膚が無く、肉が見えている。
あるいるは、その肉さえ無く骨が出ていた。




包丁で首を切り付け。
でたらめに刺して、骨を断つ。



ドンっ!という音がした。



そして少年の足元に転がる、人の頭部。





吹き上げた血を頭から被り、全身が紅く濡れていた。







そしてようやく止めた時は、部屋は血の海だった。






興味を無くし、見下げた視線の先には、原型を留めていない人の身体。





首から下がない頭が2つあるそれは、男と女のもの。




身体に加えられた行為に違いはあるが、2人ともに首は切り落とされていた。






只の肉塊となったその犠牲者は、少年の両親だった。




壁一面に紅く広がる血痕。
ドス黒く変色している血。




存在するのは血の海と、立ち尽くす少年だけ。




『そのまんま飛び出して、親父に拾われたんやったっけ。』




まるでたいした思い出でもないように、吾朗は昔を懐かしむ。





血塗れの少年を見て、嶋野は何を思ったのか…。




吾朗は嶋野に拾われた。





嶋野はきっと、知っていたのだ。



出会ったあの瞬間、吾朗の中に眠る獣の存在を…。




だからこそ手元に置き、極道の世界に身を置かせた。




その時から吾朗は、自分の狂気を抑えることはしなくなった。





もっとも最初から抑えることなどしていなかった。




そのおかげで彼の両親は、その餌食になったのだ。







だからこそ、吾朗はこの世界で有名になった。




たとえ仲間や舎弟だろうが、気に入らなければ殴る。



やり過ぎて死なせた仲間は数知れず。
それでも何故か舎弟は吾朗に付いた。






そして吾朗の狂気を満たしてくれる龍は、彼にとって唯一の楽しみ。





思いきりやり合える相手。



本気で命のやり取りが出来る相手。




吾朗の中に眠る存在が、唯一歓喜する相手。





『ほんま、楽しいわ。』


『俺がこない楽しめるんわ、桐生ちゃんだけやで。』





龍はこれからも、吾朗を満たす存在。




『これからも、俺を楽しませたってくれや。』


『そやないと、退屈でしゃーないわ。』


『なぁ?桐生ちゃん。』




知らず、吾朗は口元に笑みを浮かべた。







そしてこれからも変わらない。




吾朗の狂気は絶えることなく、彼の中に存在し続ける。








狂犬と呼ばれる、男の中に…。


end









「こら!サニー、お前のその力は無闇に使ってはならんっ」

「おじさまどうして?サニーあたらしいおにんぎょうさんがほしいの」

「我慢しなさい」

「だって・・・ほしいんだもん・・・」

「お前にはまだその力を上手く使うことはできん。それに私とこの前約束しただろう、『魔法』は自分の欲求を満たすために使うことは絶対にダメだと」

「おにんぎょうさん・・・ほしい・・・」

「ダメだ」

「・・・・・・・・・」

口を尖らせて涙目になってしまったサニーを見て樊瑞は小さく溜め息を漏らす。
「ダメ」と言うばかりでこの小さな子どもに「どうしてダメなのか」と説明し納得させる言葉は生憎持っていない。それでも、わかってもらえるよう彼は心を砕いていた。




樊瑞に厳しく言われてサニーは古くなった金髪の人形を手にトボトボと本部内を歩いていた。もうかれこれ2年、遊び相手に使い込んでいるため人形の髪は色あせ、白い肌の顔は黄ばみ一部浅黒くなってしまっている。

人形くらいならセルバンテスが大喜びでサニーに買い与えようとするが、樊瑞が固くそれを禁じているためサニーが持つ人形はこれだけ。ぬいぐるみは熊とウサギの2匹。他は一般的な子どもが持つようなささやかな程度。金銭的には恵まれている環境ではあったが意外とサニーが持っているおもちゃというのは少ない。

本部の中庭の芝生に腰をおろし、古びた人形相手に「ままごと」を始めるサニー。
友達がいない彼女には少々寂しい遊びだ。


「おかえりなさい、じゃあごはんにする?おふろにする?」

どこで覚えたのかそんなやりとりを人形相手にしていたら、突然頭上から

「風呂にするかな」

見上げれば大きな樫(かし)の木の枝に横になっていた幽鬼がいた。

彼は3mの高さから音も無く飛び降り、サニーの横に腰を下ろすと人形を手に取り「ずいぶんと使い込んでるなぁ」と苦笑する。サニーは樊瑞とのことを彼に話し、本当は『魔法』を使って新しい人形が欲しいことを吐露してみた。

「・・・・・なるほどな樊瑞ならそう言うだろう」

しかしサニーとしてはダメと言われても、どうしてダメなのかがさっぱりわからない。せっかく力があるのだから使ってもいいじゃない・・・当然そう思っていた。
不満を残す表情から幽鬼はサニーが納得していないことくらいわかる。
しかし・・・

-----「大きな力」というのは扱いを間違えれば大変なことになる
-----それに・・・際限の無い『魔法』という能力は、特に自己を保たねば自分を見失う。
-----サニーを大切に思う樊瑞はそれを恐れているのだろう。

十傑集は一様に「大きな力」を持ち、またその力もそれぞれではある。中でも自らの「大きな力」の存在に苦しんだ経験を持つ幽鬼は樊瑞の考えがよくわかった。まるでかつてのカワラザキのようだ。

「あたらしいおにんぎょうさんほしいのに・・・」

「そうか、困ったな・・・・」

事情はどうあれ子どもに欲望の自制を強いるのはなかなか難しい。
それに人形はサニーにとっては貴重な「友達」、いつも寂しくこの場所でままごとをしている姿を見ている幽鬼はサニーの気持ちもよくわかる。
どうしたものかと溜め息を吐きそうになった時

「せっかく力があるのだから使えばいいと思うがね。お嬢ちゃんが欲しいのならば好きなだけお人形さんをだせばいい」

「・・・!素晴らしきの」

空中楼閣からヒィッツカラルドが薄い笑みを浮かべてこちらを眺めていた。
男の言葉に幽鬼は眉を寄せる。
この男は力の否定を行わない、それどころか誇示することを躊躇わない。
性質は幽鬼とは正反対にあるといっていい。
高いところから身を乗り出し、軽々と中庭に飛び降りると笑みを浮かべたままサニーに歩み寄ってきた。

「新しく綺麗なお人形さんに飽きたらイチゴが乗ったケーキに甘~いプリンも出せばいい、腹が膨れれば・・・そうだなお嬢ちゃんを慰めてくれるやさしいママを出せばいい。どうだい素晴らしいことじゃあないかね?ククククク・・・・」

「ママも・・・?」

「・・・おい、よせっ」

サニーは少しドキリとする、「もしかしたら可能じゃないだろうか」と密かに胸の奥にしまってあった考えだったからだ。ヒィッツカラルドは幽鬼の珍しい怒気を含んだ声にひるみもせず、彼は薄ら笑いを浮かべて尚も続ける。

「ただし・・・そんなことしてると『お化け』が出てきてお嬢ちゃんを食べてしまうがね?」

「お・・・ばけ?」

「ふふふふ・・・『お化け』の胃の中は光が無くて真っ暗で、一度食べられたらもう逃げられない。助けを呼んでも声は誰にも届かなければまるで沼地のように足を取られていくらもがいても・・・這い出せない」

まるで見たかのように彼は語る。

「身体が溶けて無くなるまで・・・真っ暗いそこで生きてゆかねばならなくなる」

白眼を邪(よこしま)に細めて少女を覗き込んだ。

「自分が真っ暗闇に溶けていくのを感じながら・・・」

白いはずの彼の目が暗がりに澱んだ様に見え、サニーは怖くなった。
ますます怯え、幽鬼のスーツのスラックスにしがみ付いてしまい離れない。
小さな震えがしがみ付く手から伝わり幽鬼は思わず自分の身にサニーを寄せた。

「奴の口はとても大きい、カワイイお嬢ちゃんならペロっと一口で食べられてしまうかもなぁ、はははは!!」

途端に明るく笑い飛ばし、ヒィッツカラルドは幽鬼の背後で怯えるサニーの頭をクシャクシャに撫で回して去っていった。

「ゆ・・・幽鬼さま・・・ほんとうにおばけっているの?」

サニーは幽鬼を見上げ、震える小さな声で聞いた。
彼はは苦しそうに眉を寄せ沈黙を続けていたが、ゆっくりと膝をつくとクシャクシャになったサニーの頭を丁寧に撫でてやり

「古いのを捨てないと約束してくれるなら、私が樊瑞に内緒で新しい人形を買ってやろう」

『お化け』の存在を肯定もしなければ・・・否定もしなかった。







昼間ヒィッツカラルドが自分に語って聞かせた『お化け』のことが頭から離れず、サニーはベッドの中に潜り込んで震えた。小さな子どもにとってそれは例えようも無く怖い存在に思えたからで、サニーはその夜は一晩中眠れなかった。







次の日から秘密の新しい友達が一人増え、古い友達と一緒に遊ぶようになった。
それと同じくしてサニーは力(能力)を使うことを自制するようになった。
理屈などではなく、ただ単純に『お化け』が怖かったからなのではあるが、樊瑞としてはサニーが力の乱用をしなくなったことを不思議に思う。しかしそれ以上に安堵した。



少し大きくなってから『お化け』というものが子供だましだと気づいた後でも彼女は無闇な力の乱用は決してしなかった。小さい頃から染み付いた『お化け』への畏怖が完全に消えたわけではないというのもあるが、意思を持って自制を続けてきたお陰で子どもながらも自身に宿る『欲望』と折り合いをつけ、バランスを保って彼女は自分の力と向き合えるようになっていたからだ。








さらに後年



サニーはもっと大きくなってから、小さい頃に語って聞かされた『お化け』が唯の子供だましではないことをようやく理解した。



それに気づいた時にはもう

『お化け』の存在を語って聞かせてくれた男は既に溶けて無くなった後だった。





END








 「―――ええい、畜生ッ」
 悪態と共に吐き捨てた唾は、錆びた鉄の味がした。
 視界が狭い。
 右目の少し上をしたたか殴られたせいで瞼が腫れあがり、半ば塞がっているせいだった。
 魚の腹に似た鈍い光が、じり、と間を詰める。
 まるで陸酔いにでもなったかの様にぐらつく頭を押さえながら、疾風は奥歯を噛み締めた。
 ―――奴の祟りかよ、まったく。
 そもそも一人で出歩くきっかけを作ってくれた同僚の、冷たい眼光が思い出される。
 ―――こうなったら、
 気の済むまで暴れてやる、と―――
 握った拳に力を込めた刹那。
 「…何を、している」
 聞きなれた声が冷え冷えと耳を打った。




++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



 肩が触れたの触れないのと、どうでもいい事で喧嘩を売ってくる足りない奴は、どこにでもいるものだ。
 それが町中なら、まして軒行灯の連なるような目抜きならば、なおのこと数が増える。
 徒党を組んだ上に酒精の匂いを纏いつけ、肩で風切って歩いている奴ばらは、まず大概このクチであった。
 兵庫水軍・手引を努める疾風も、まあ、他人の事をとやかく言えるほど品行方正ではない。
 若手を引き連れて練り歩くのも多いし、機嫌が悪ければ八つ当たりもする。
 ただ、そんなゴロツキと異なるのは、相手を選ぶ事だった。
 ひと目で堅気と知れる者なら、肩どころか正面きっての衝突でも、責め立てる真似は絶対にしない。
 堅気でなくても、難癖をつけて先に手を出す事はなかった。
 餓鬼じゃあるめえし、というのがその理由である。
 しかし、『もうそこまで若くはない』と考えていた訳でもない。
 疾風は、“餓鬼じゃない”と“もう若くはない”は同義語ではない、と思っている。
 衝動に分別が追いつかないのが『餓鬼』で、分別に体力が追いつかないのが『もう若くはない』なのだ。
 だから自分としては、“餓鬼ではないが若くない訳じゃない”のである。
 もっとも、館で皆と呑んだ折にそんな話をしたら、『なるほど』と頷いたのは山立の名をとる同僚だけであった。
 『ふん』と鼻先で笑ったのが一人、軽く肩を竦めたのが一人、あとは揃って苦笑だ。
 かちんときて、何か文句があるのかと怒鳴ったら、それではまるで暴れてないみたいに聞こえる、と口々に返された。
 大きなお世話である。
 そんな事を言う当の奴ら自身、穏やかに見えようが、もの静かに思えようが、売られた喧嘩に尻尾を巻く者など誰一人いないのだ。
 なのに皆、自分のことを遠くの棚に放り上げて、疾風一人が喧嘩っ早い様に言う。
 それこそ、船も出せない程に波を荒立てる、乾の風の如き扱いだ。
 だが、そんな軽口悪態には、明確な親しみが含まれてもいた。
 疾風は、名前の通り、ざっと荒れてざっと引く―――後を濁さず、むしろ爽快な気を呼び込む質である。
 言葉も態度も乱暴だが、情は厚い。
 要役にありながら、先陣を好む。
 駆け抜け、斬り抜け、とどまるをよしとせず―――淀みを嫌う陽性の人となりが、特に若手の人望を集めているせいであった。
 それだけに、厄介事に巻き込まれ易い点もあるのは否めない。
 下っ端どもをぞろぞろ連れて町へ繰り出せば、それなりの騒動は起こるからだ。
 酔った挙句に所構わず寝込む者、絡み酒愚痴り酒、果ては泣き上戸まで、数が多ければ多いほどややこしい展開は増すばかりである。
 幸いにも面倒見のいい面子が一人二人は混じるから、殆どはそれらに押し付けておくとしても、小競り合いが生じれば、どうしても出ていかざるを得なくなるのだった。
 一旦殴る蹴るの事態になれば、引っ込んでいられる性格でもない。
 そうやって、月に数度はあちこちで荒っぽい状況になり、また、それを楽しんでもいるうちに、
 ―――どこかで、妙な恨みを買ったものと見えた。




++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



 変だな、とは思っていたのだ。
 その日の昼間、ほんのささいな理由で舵取を努める同僚と衝突した疾風は、番明けに一人で町へ出て、ふらふら店を梯子した。
 そして、最後に入ったのは、狭くて、小汚い呑み屋である。
 いい加減、腹も一杯になっていたので、突き出しの小鉢で二合ほどやり、勘定をしようと立ち上がったところで、隣の席の男に引き止められた。
 ちょいと実入りがあったから、振舞ってやる、と言う。
 疾風が返答する前に、引き止めた男は小女を呼びつけて銚子を五、六本持ってこさせ、まあ一杯、と勧めた。
 注がれた酒を呑み干せないようでは名が泣くぞ、と煽られて―――
 上げかけた腰を据え直し、瞬く間に猪口を空にしてみせたのは、どうにもむしゃくしゃしていたのと、つまらぬ意地の成せる業である。
 お見事、
 流石、
 そう乗せられ始めた時点で、何だかおかしいと感じてはいた。
 この男、疾風の事を知っている様なのだ。
 しかし、普段が普段である。
 盛り場あたりでちょっとは名の売れている自覚もあったものだから、その時はさして気にはしなかった。
 相手が腕っぷしのなさそうな、貧相な小男だったのにも油断したのだろう。
 さんざん呑まされ、そろそろ限界に近くなって、疾風はようやく撤収を決めた。
 今度は、小男も引き止めなかった。
 兄さんお気をつけて、と妙な笑いを貼り付けたまま、手など振ってみせたものである。
 ―――随分と気前のいいこった。
 安酒とはいえ、もういらねえと言うくらいたっぷり馳走になったのだから、悪い気はしない。
 言葉通りの千鳥足で町を抜け、館への道を辿り出した途端、

 囲まれた。

 「…ああン?なんだ、手前ェら」
 酔いに縺れかける舌で問い掛ける。
 兵庫水軍の疾風と知っての事か、と見得も切ってみせたが、返事はない。
 代わりに、白っぽい光が見えた。
 「いきなり刃物たぁ、尋常じゃねェなあ…」
 茶化しながらも、身構えた―――つもりだった。
 ―――ヤベぇ。
 足が、ふらつく。
 腰が、定まらない。
 ―――呑みすぎたか。
 微かに、頭痛もした。
 質のあまり良くない酒を、勢いだけで流し込みすぎたせいだと悔やんだが、遅かった。
 あるいは、一服盛られたか―――そんな疑いが頭を擡げてきたのは、殺気だらけの男たちの後ろに、あの貧相な小男の顔を見つけたからである。
 どうやら、仕組まれていたらしい。
 命を狙われる心当たりなど、あり過ぎて考えるのも面倒だ。
 でかいところでは縄張り争い、小さいところでは熨した相手の逆恨み―――いずれにしても茶飯事ではある。
 「けっ―――かかって、きやがれ!」
 半ばやけくそじみた台詞を吐き終えぬうちに、数本の刃が翻った。
 叩き落し、
 蹴り払い、
 殴り飛ばし―――
 悪酔いに痛む頭で、疾風は暴れた。
 避ける、などという行動はこの際、無理である。酒精だか薬分だかが、身体中に回っているのだ。
 だから、間合いを詰められまいと、とにかく滅茶苦茶に手足を振り回した。
 それはもう、つむじ風の如くだ。
 下手に近付いた者は皆、吹っ飛ばされた。
 だが、疾風自身、無傷では済まない。
 何しろ相手は刃物を持っている。衿を裂かれ、袖を斬られ、頬を掠め、腕を突かれた。
 どれ一つとしてまともに入らなかったのは、もう、奇蹟に近かった。
 「…何を、している」
 不意に―――
 遠雷を孕んだような低い声が、周囲を凍りつかせた。
 すう、と流れた秋風が、半月を背に立つ長身の、真っ直ぐに流れ落ちる髪を揺らめかせる。
 「何を、している、疾風…」
 鋭い光を溜めた瞳は、右に一つ―――左側は、漆黒の眼帯が覆っていた。
 その下に、夜目にも白く凄まじい傷が見てとれる。
 「蜉蝣…手前ェこそ、こんなところで何してやがる…」
 殴りかけた一人の胸倉を掴んだまま、疾風は唸った。「陸酔いはどうした、え?」
 「いつも酔ってる訳じゃない。貴様みたいにな」
 「うるせえ!」
 があっ、と怒鳴った勢いで手元の男をぶちのめし、そのままつかつかと同僚の元へ詰め寄る。
 「ムッツリ面下げてんじゃねえ!だいたい手前ェは毎度毎度―――」
 「毎度は俺の台詞だ。ガキの頃からいらん騒ぎばかり起こしやがって…」
 「手前ェの世話になったか、ああ!?」
 唐突に始まった口喧嘩に、無視された形になった男たちは唖然と展開を見守っていたが、ややあって我に返り、この際まとめて、と言わんばかりに斬りかかってきた。
 「―――だあッ、うるせえんだよ、手前ェら!」
 「―――阿呆共が、邪魔をするなッ!」
 振り返ったのは、同時。
 突風に、雷雲が加わった事を男たちが思い知るまでに、そう時間はかからなかった―――。




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 ―――朝。
 まだ明けきらないうちに館へ帰還した要役二人は、嵐にでもあったかの様な姿だった。
 着物は汚れ、破れているし、髪は乱れ放題、手拭も巻いてはいない。
 痣だの傷だの、それはもうボコボコで、前の日に二人の諍いを目撃していた者達は、どこぞで一戦やりあったのかと、おろおろしたくらいである。
 しかし、二人揃って戻ったところを見ると、和解は成ったらしい。
 一人で町に呑みに出たはずの疾風と、陸酔いを避けて船に残っていたはずの蜉蝣とが何故、どこで行き会ったのかは不明だったが、そこまで突っ込んで問えるほどの命知らずは、さすがにいないようだった。
 そして、放っておいても適当に気晴らしを済ますはずの疾風を、陸酔いに耐えながらわざわざ迎えに行ったとは、幸いにも誰一人として思い至らなかったし、無論、蜉蝣自身も口にはしない。
 どこかの馬鹿が喧嘩を売ってくれたお蔭で暴れ足り、すっきり収まった乾風を、好んで呼び込むような真似は、さすがにしたくはないからであった…。






 半助が窓を見やると、そのガラス越しに夜の帳が落ち始めているのが分かった。灯りを点さないこの部屋に差し込む日の光はすでになく、家々の明かりや街灯の人工的な明るさが微かに差し込むばかりだ。
ベッドに腰掛けたままの半助はとにかく手持ち無沙汰な状態だったので、目にかかった長めの前髪を一房、ついと摘んで指を滑らせてみる。それで自分の心持がどうなるわけもない。何度か同じような作業を繰り返すも飽きてしまい、もう一度窓の外に視線をめぐらせたところで、下方からくぐもった声と濡れた音が聞こえてきた。
半助の膝を割り、その間に体を滑り込ませて鎮座するきり丸。その上、自分の雄を銜えこみ苦しげな姿を見たところで、やはり自分の興味を駆り立てるのはこれしかないという思いが胸を渦巻いてゆく。
賢明に奉仕する子供の頭に掌を乗せると、ぴくりと体が震えた。そして緩慢な動きで顔を上に向けたそこには、情欲に塗りたくられて熱の篭った眼差しがあった。僅かに差し込んだ光がその瞳を射ると、細かく光が拡散するのは生理的に浮かんだ涙なのか、はたまた半助の雄を銜えたままの体制が辛いのか、判別はつかなかったけれどそんなことはどうでもいい。だらしなく全裸で口淫を続けるきり丸を、半助は満足そうに見下ろし続ける。

「あまりがっつくなよ、きり丸」
「…っ、んなこと、してませ…っ…」

半助が羞恥をあおれば、意識だけは辛うじて理性を保っているのか、吐息を混じらせながらも憎まれ口を叩いてくる。しかし、これまでの生活の中で、半助はきり丸に快楽を長い時間をかけて叩き込み、痛みも愉悦に変えさせるように仕込んできたのだ。思わせぶりな手で、抱擁で、口付けで、些細な行動が全てきり丸の全身を敏感にさせ、眠っていたはずの快楽を呼び起こさせる。
殊勝な態度も半助の想定内で、寧ろここから理性の壁を完全に取り去ってしまうことのほうが半助にとっては
「嘘はよくないな」

冷めた声で放つと同時に、左右に開かれたままの足を唐突にきり丸の中心へ近づける。蕩けた頭でも何をさせるのか理解したきり丸は咄嗟に腰を引くものの、下ろされる足からは逃れられず、そのまま足の裏で勃起したきり丸のものを踏みつけられてしまう。

「ああ!…っだ、だめ…!」

水分の増した目でかぶりを振るきり丸を、口元を弓なりにしならせ微笑んだままの半助は行動をエスカレートさせる。踵でぐりぐりと力を込めていじり倒せば、悲鳴に似たきり丸の嬌声が上がった。先走りの液体が勢いを増し、半助の足とフローリングに淫靡な水溜りを作ってゆく。

「ほら、悪い子にはおしおきが待っていると以前教えただろう?」
「んん、あっ…!い、いや…」
「こういうときはどうするんだっけな、きり丸」

痛みを伴う快楽に意識は混濁し、銜えていた半助の雄の存在すらも忘れたように悲鳴を上げるきり丸に対し、思惑を完遂させたい半助は一度その足を離す。荒く呼吸を繰り返す胸が上下するたびに、いきり立った胸の先が視界にちらついた。

「あっ…ごめ、なさ……」
「…聞こえない」

不機嫌な苛立ちを含めた声を出せば、叱られた子供のように身をすくませる。加えて足の指で性器の形を辿るように撫で付けてやると、きり丸の背が大きくしなった。

「もっと大きな声で言いなさい」
「っは、…ご、めんな、さい…っ…ごめん、なさい…!」

ごめんなさい、ごめんなさいと、何度も何度も繰り返すきり丸に口元を歪めて満足した半助は、先ほど放った言葉とは間逆に優しい仕草できり丸の頭に掌を重ねる。

「あっ…」
「きり丸、最後まで出来るね?」

仰け反った体を起こし、頭を己の股間へ導くと、釣られるようにきり丸は直立した熱を躊躇いもなく口に含んだ。もたらされる快楽により、正常な思考はいよいよ霞と化してしまったらしい。積極的に舌をこすり付けるきり丸の変わりように、半助の征服欲がまた一つ満たされたのだった。





一万ヒットありがとうございました!
07.04.14/丹後

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