――一体なにをやっているのか・・・。
レッドカーペットのしかれている回廊で、
孔明は呆れていた。
季節は十月。
滅多に基地の外へ出ない孔明ですら、
街が賑わっているのがわかる。
もとより、主に外部で働く十傑集が、その余韻を持ち帰っては、
色々と議論しているのを聞いて、
孔明はここに来る前から、うすうす勘付いてはいた。
しかし、自分にはまったくもって関係のないことで、
そして仕事もそこそこに、世間の催し事などに浮き足立つ十傑に、
半ば諦観した。
――どうしてこうも盛り上がっているのか。
孔明はふと思う。
昨年は、この時期に何もなかったはず。
いつものように黙々と頭脳を酷使した記憶しかない。
そもそも、孔明の頭脳が何かを「忘れる」といったような機能を持ち合わせていない。
何もかも全てが、この1.5㎏の脂質の中。
そんな頭脳が、昨年は何もなかったと告げている。
――記憶違いなど。
あるわけがない。
孔明は記憶を積み上げる。
そしてすぐに結論が出た。
瀟洒な屋敷にぴたりと合う、猫足のゆったりとしたソファの上に、
今日の主催者・・・樊瑞と、
――サニー・ザ・マジシャン・・・。
サニーはまだ幼いはず・・・。
だが、どうやら今日はサニーが主賓のようで、
小さな黒い衣装に身を包み、先のとがった帽子と、身の丈に合うように作られたのであろう古風な箒を握っている。
孔明はサニーにまだ一度も会ったことがなかったが、
話には聞いていた。
「Trick or treat !」
可愛らしい舌足らずな声で、周りの客に駆け寄るサニー。
今夜はどうやら無礼講で、十傑集の補佐役や、優秀な部下達がこの屋敷に招待されているようだった。
そして全員が、仮装していた。
さすがに十傑の部下であるため、同じ十傑の一人、衝撃のアルベルトたる娘には恐縮していたが・・・。
孔明はちらと視線を動かす。
客が多く、ざわめきが周りを支配していた為、力が抜けて、
思わず溜息をついた。
勿論、羽扇で顔を隠すことを忘れない。
――何故こんなことに・・・。
作戦が一段落つき、少しばかり仮眠をとろうと、ちかくの寝所に赴こうとドアを開いたところ、
・・・・この屋敷につながっていたのだ。
さすがの孔明の頭脳でも、現実が認識出来ずに、ドアを一回閉め直し、そしてまた開いてみたのだが、・・・無意味だった。
何度開けても、孔明を案内するよう言付かったのであろう執事が、「お待ちしておりました。」と機械のように繰り返す。
孔明はそれでも諦めきれずに、ほかに3つ別の部屋へつながるドアがあって、そのどれもを開けてはみたものの、あけたドア全てが屋敷に繋がっていた。
こうなっては窓から逃げるしか・・・と決意しかけたが、
生憎基地は高層ビルで、孔明は断念せざるを得なかった。
策士・孔明に、こんな悪質で性質の悪いことをするのは十傑の中でも限られている。
恐らくは、白いクフィーヤを身に纏う、冗句の類が好きな男だろう。
孔明は再度溜息をつく。
今日の主役には今のところ見付かっておらず、なるべく遠くにと、孔明は高い天井まで届き
そうな窓の下に避難した。
外を見ると、日はとうに沈んで、星達がうっすらと自己主張をはじめている。
屋敷の庭の電灯が、周りの木々を闇から救っている。
辺りをうかがうと、十傑はどうやらサニーを引き止めて、何やかんやとお菓子をプレゼントしている。
中には、仲間内に性質の悪い悪戯を仕掛けている者もいた。
サニーは手持ちの籠がいっぱいになったようで、嬉しそうに微笑んで十傑一人ひとりに挨拶した。
――くだらない。
眉根が自然と寄る。
不機嫌な顔は羽扇で隠れて見えないだろうが、
そもそも何故策士である自分がこのような和気藹々とした場にいなければならないのか。
――不自然にもほどがある。
周りの客は孔明の姿かたちを知らない者が多いようだ。
あまりにも出不精、そして陰険な噂が広まって、孔明の容姿など上級エージェントであっても関わりがなければ知らない者が多い。
それが幸いしてか、この屋敷についてから執事に案内されるまで、一切話しかけられもしなかった。
――十傑に、知られる前に、
羽扇を握る手に自然と力が込められ、窓から離れる。
――早々にこの場を離れたい・・・。
だが、
足を進めようとした瞬間、
「・・・!」
赤い瞳とかち合った。
――この男も、この場に居たのか。
意外に思う。
スーツはいつもの仕立てを着用しているが、上に黒いマントを羽織っている。
――しかも仮装までしているとは・・・。
そんな男だったか?
顔の半分は羽扇で隠しているため、疑問は相手に伝わらないと思うが、
赤い瞳の持ち主・・・サニーの実の親である衝撃のアルベルトは、
至極嫌そうな顔をして、孔明を睨み付けた。
孔明と同じようにこうした雰囲気が苦手と見えて、人の少ない窓辺の椅子に腰掛けていたようだ。
孔明は早々に立ち去りたい身、
アルベルトの視線をさらりと受け流して、
椅子の傍を通り過ぎようと踏み出した時、引き止められた。
「おお、策士殿!トリックオアトリート!」
白いクフィーヤは相変わらずだが、中身は包帯で巻かれている眩惑のセルバンテスが意気揚々に孔明の肩に手をかけてきた。
「離していただきたい。私は帰りますので。」
羽扇でぴしゃりと手をはたくが、セルバンテスはものともしない。
「アルベルト、出不精な策士もわざわざ来てくれたんだ。もっとこのお祭りに参加してはどうだい?」
セルバンテスは包帯で巻いた手をひらひらさせて、不機嫌なアルベルトを一層不機嫌にした。
「・・・わしは、貴様と樊瑞に謀られてここに連れて来られたんだぞ!」
怒号があたりに響くが、周りの喧騒が勝って、サニーたちの居る広場には伝わってないようだった。
セルバンテスはアルベルトの怒号などには慣れているが、この場の雰囲気を壊されては、と思ったのか、多少穏やかな笑みを残して、
「まぁまぁ、君が天邪鬼だって事はとうにわかりきってるからね。」
――策士殿もこの男を使うには気を揉むだろう?
爽やかに笑いながら、肩にかかっていた腕を離した。
「ところで策士殿。」
白いクフィーヤが隙間から入ってきた風にたなびいて、一層優雅にみせる。
セルバンテスは孔明にむかって、何とも意地の悪い笑みを向けた。
孔明は悪い予感がして、「失礼。」とこの場を退去しようと試みたが、その前に切り出された。
「この不遜で天邪鬼な衝撃のアルベルトでさえ仮装しているのだよ?・・・この場に居るには、君の服装は残念ながら不適切だと思うのだが・・・。」
――もちろん、君だって謀られてこの場に来たことは重々承知しているよ。
ニヤニヤと、笑みが止まらないのか、セルバンテスは隠すことを諦め、孔明を舐めまわすように見た。
「でね、この衣装は実をいうとサニーちゃん直々に選んでくれたんだよ。十傑集だけなんだけどね。あんな幼い子がだよ。涙が出そうだと思わないかい?」
自分の衣装を指して、そういう。
セルバンテスはアルベルトの方ににやりと視線を向けたが、アルベルトは気恥ずかしいのか、ふん、と相手にしない。
なるべく早く、この場を立ち去りたい孔明としては、相手が悪すぎた。
というより、運がなかった。
セルバンテスの後ろでは、不機嫌を抑えるためか、アルベルトが煙草をのんでいる。
この舌を使って、逃げおおせるなど孔明には可能なはずだが、
――動けない。
もしや、眩惑術を使われたのではあるまいか、と危惧するほど、セルバンテスの瞳は強かった。
否、強いというより、好奇心が混ざったような、少年のような若々しい光を帯びている。
孔明は、謀られた自分の甘さを恥じ、今日ばかりは・・・と諦めようとしたが、
「で、君は十傑ではないけれど、サニーちゃんが特別に選んでくれたんだ。はい、これ。」
手渡されたのは、
鈴のついた細身の首輪と、白い猫耳だった。
おまけに、ふかふかの尻尾までついていた。
・・・孔明は、さすがに孔明は、
「ふざけないで下さい!」
羽扇でそれをすべて叩き落とした。
わずかばかりに目が怒りで潤んでいる。
セルバンテスは手馴れたものか、
余裕で笑っている。というより、・・・爆笑している。
アルベルトといえば、普段扱き使われている己の身を思い出してか、「ざまぁみろ」とでも
言わんばかりに赤い瞳が訴えてくる。
「策士殿は手厳しいなぁ!せっかくサニーちゃんが選んでくれたのにねぇ。」
――ねぇアルベルト?
孔明はその場で初めて、盟友といわれる所以を見た気がした。
――いつか謀殺してやる。
孔明は興奮したのを無理矢理落ち着かせようと、必死になっていた。
「レッドが黒で、策士殿が白らしいよ。・・・樊瑞に何を吹き込まれたのか、サニーちゃんは感受性が強いねぇ。」
あはは、とクフィーヤを優雅に捌きながら、アルベルトの隣に座る。
アルベルトは多少の鬱憤が晴れたのか、すこし機嫌が直ったようだった。
周りの喧騒はそろそろと収まってきて、
幼いサニーを気遣ってか、今日の催しは9時までと執事が言っていた。
残りの時間は30分もない。
アルベルトの煙草の煙が、孔明の鼻を突く。
「策士殿、時間もあと少ししかない。・・・つけてはどうだい?」
もったいないし。
と、床下を指差す。そこには叩き落とした首輪と猫耳と尻尾が。
「結構です。」
また怒りで感情が飲み込まれそうになるが、ぐっと堪える。
・・・すると、後ろからちょいちょいと、スーツが引っ張られた気がした。
――何だ?
振り向くと、黒き小さな魔女・・・サニー・ザ・マジシャンがそこに立っていた。
「は、はじめまして、策士さま。わたくしはサニーと申します。」
ぺこり、と可愛らしくお辞儀する。
幼いながら、礼儀作法はしっかりとみについているようだった。
「あの、策士さま、その、お気に召しませんでしたか・・・?」
そっと俯いて、自分が見繕った仮想用の品を、拾い上げる。
「ひどいよねぇ、サニーちゃんがせっかく選んでくれたっていうのに!・・・お父様だって着てくれたのにねぇ。」
ふん、とサニーから目を離すアルベルト。
煙草がそろそろなくなってきているが、気づいていない。
――サニーはお父様が来て下さったでも、とっても嬉しい一日だったのに、さらに策士さままでお越し下さって、本当に嬉しかったのです。
少し小さな声で、かすかに聞こえる程度の声で、そういう。
――策士さままで、仮装していただくなんて、その、サニーはわがままでしょうか・・・。
一生懸命選んだのです!と訴えてくる。
セルバンテスはこの状況をものすごく楽しんでいる。
そうだよねぇ。やら、サニーちゃんはわがままなんかじゃないよ。やらいらぬ合いの手をいれてくる。
アルベルトはアルベルトで、策士がしてやられているのが自分の娘だということに少しばかり面白みを感じているよう。
孔明は進退窮まる。
――四面楚歌とは、このことか・・・。
遠い目を、したくなった。
そのあと、ハロウィーンパーティーは無事に9時お開きとなり、
満面の笑みのサニーと、疲れきった策士を同時に見れる機会となった。
策士の謀殺リストに、
新たにサニー・ザ・マジシャンが加わったのは言うまでもない。
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□01□ 秘密の味<樊瑞とサニー>
□01□ 秘密の味
「好きな・・・食べ物。」
ふむ、とうなずく。
目の前には幼い養い子。
しろいテラスの真ん中で、尋ねられた言葉を反芻する。
樊瑞は困った。
正直、食べ物など胃に入れば皆同じもの、と思っているし、
どちらかというと、自分は美食家ではない。
養い子と一緒に暮らし始めてからは、
それこそ神経質なまでに、カロリー摂取量から食品添加物の有無、着色料、保存料などの危険性を考慮し、さまざまなシェフを雇い入れ、すべてサニーのためになるように、気を使ってはきたものの。
・・・さて、どうしたものか。
自分の事となると、一向鈍くなるのが、樊瑞の生まれながらの性質。
まぁ、あえて言うなら辛口の酒とそれにあう肴は好きだが、
子供にそんなこと言えるはずもなく。
「好きな食べ物は?」
と、幼い子に聞かれて、
すぐさま答えられない自分が恥ずかしくなった。
作戦実行時など、
食べ物に気を使っている余裕などない時の方が多いし、
さらに、
幼い子に言っても分からないような、
特殊な食べ物であるとか、
珍味などは好きなのだが・・・。
樊瑞はどう答えるか迷った。
まだ小さいサニーには、包丁を握らせたことはない。
周りには優秀なシェフやパティシエがいるし、
何より父親の部下であるイワンが、
これもまたとても優秀なコックなのである。
サニーはイワンがとてもお気に入りで、
特にイワンの作ったザッハトルテが大好物のようで、
・・・チョコにチョコを重ねたような、あんな糖質や脂質の多いケーキは健康上良くない。
と、何度もイワンに言っては見たものの、
サニーが落ち込んだときや、何かご褒美をやっていいときに、
秘密で作ってやっているようだ。
少女はまた秘密が好きだから、
そのチョコの濃厚な味と、
秘密というスパイスが絡まって、
より一層サニーのザッハトルテ好きが強まっている。
そんなことをつらつらと思いながら、
それでもまだ、
自分の「好きな食べ物」が、
思い浮かばない。
「わしは・・・うぅん、そうだな・・・」
視線が泳ぐ。
幼い子は、
言い渋っている樊瑞を見て、
少しばかり怪訝な顔。
さっきまで目をきらきらと輝かせて、
とても楽しそうにしていた顔から一変、
樊瑞が困った顔をしているのが悲しいのか、
サニーはほんの少し俯いている。
「あの、おじさま・・・?」
聞き取れるか取れぬかの小さな声でそう尋ねられると、
さすがに樊瑞は居た堪れなくなってきた。
「うむ、わしはサニーと一緒に食べるものなら何でも好きだが・・・」
その場しのぎに言う。
我ながら上手く言ったものよ、
とその時は思った。
だが。
サニーは暫く思案して、
そして先ほどまでの気鬱な顔もどこへやら、
ぱああっ、と顔を明るくすると、
「じゃあ、ザッハトルテにします!」
笑顔でそう言った。
――何が?
と聞き返そうかと思ったが、
時すでに遅し。
目の前には空席が。
なんにせよ、
好きなものを聞いてきたということは、
それを作ってくれるに違いない。
そして「サニーと一緒にたべるものならなんでもいい」とまで言った。
そこまで言っておきながら、
樊瑞は、
後悔した。
ザッハトルテ。
ウィーンの菓子職人フランツ・ザッハが作り出した、
世界で最も有名なチョコレートケーキ。
簡単に言うと、甘い。
そしてデコレーションに、生クリームが付く。
どちらかと言うと、苦手な部類。
美食家ではない樊瑞は、
食べ物に好き嫌いがあるわけではないし、
甘いものが食べれないわけではないのだが、
さすがに、
――限度が、ある。
・・・サニーが作ってくれるのだろうな、あれは。
きっとイワンにでも聞いて。
いつも何事にも真剣に取り組むサニーの事だ。
一生懸命作ってくれるだろう。
・・・全部食べなければ、悲しむだろうな・・・。
甘い甘い、
秘密の味を。
樊瑞はめずらしく、
額を手で覆い、
天を仰いだ。
陽光が注ぐ、
爽やかな冬空だった。
『我らのビッグファイアのために!』
「…ん?」
いつもの忠誠のポーズをとりながら、樊瑞は違和感を感じ首をかしげた。
「どうした」
アルベルトが訝しげに樊瑞を見る。
「いや、今…」
なにか聞こえなかったか、と続けようとした樊瑞の言葉をさえぎるように、
舌足らずなかわいらしい声が男たちの耳に響いた。
「われらのびっぐふぁいあのためにー」
ちょこんとソファに座ったサニーが、小さな手をまっすぐに上げて、
ビッグファイアへの忠誠のポーズをとっていた。
「サ、サニー!?」
そこにいた男たち、サニーの父である衝撃のアルベルト、後見人の混世魔王樊瑞、
アルベルトの盟友である眩惑のセルバンテスは固まった。
「おい樊瑞、もうこんなことまで教えてるのか」
アルベルトが複雑な顔をして娘を見る。
サニーは父には似ても似つかぬかわいらしい顔で微笑んだ。
「いや、儂もまだそこまでは…」
確かに、サニーはいずれ能力を磨いてBF団の一員となる運命である。
しかし、こんな分別もつかない年から強制的に教え込もうとは思っていない。
父の、そして我々の背中を見てサニーが自分からBFへの忠誠を誓うようになればいい。
樊瑞はそんな風に思っていた。そしてそうなるのが自然だと。
だが、まだ意味も分からぬとはいえ我らの首領に忠誠を誓うのは喜ばしいことだ。
樊瑞がサニーを誇らしい気持ちで見つめていると、横から白い塊がサニーに飛びついた。
「サニーちゃん!!君はなーんて素晴らしいんだー!!きっとビッグファイア様もお喜びだよ!」
セルバンテスが大げさな身振りでサニーの前に跪く。
サニーは大好きなおじ様から褒められたことに気をよくして、ソファの上をはねながら
「ビッグファイアのために」を繰り返している。
アルベルトは呆れたように言った。
「我等が言っているのを真似しているだけだろう、あまり本気にするな」
「そうかも知れないけど、この年ですごいじゃないか!君ね、親なんだから自分の娘の成長を喜びたまえよ」
セルバンテスはそういってアルベルトをたしなめる。
樊瑞もそれには同意見だった。
「そうだぞアルベルト。貴様、サニーがひとりでボタンを留められるようになったのも
フォークを使えるようになったのも知らんだろう。サニーは日々成長している。
いくら儂に預けたとはいえもう少し気にかけてやったらどうだ」
樊瑞は普段どおり威厳を持って意見したつもりだったが、内容が内容なだけに逆に滑稽だった。
アルベルトがうんざりした顔になり、セルバンテスは必死で笑いをこらえている。
樊瑞は気づかないのか、「真面目に聞け!」と一喝した。
「あ、そうだ魔王よ、カメラはないのかね?」
笑いの発作がおさまったセルバンテスが樊瑞に尋ねる。
「カメラ?そんなものどうするのだ」
「だって、サニーちゃんがはじめて我らのビッグファイアに忠誠を誓ったんだよ。そんな貴重な瞬間を残しておかない手はないじゃないか」
それを聞いた樊瑞はまるで雷に打たれたような顔になった。
「むう…そういわれればその通り…くそう…3日前サニーが初めてひとりで顔を洗えたところも撮っておくべきであった…!!なんという不覚!!」
本気で悔しがる樊瑞。その姿はすでに後見人ではなく、完全にサニーのパパである。
一方サニーの実のパパであるアルベルトはわれ関せず、と葉巻をくゆらせている。
そんな二人を尻目に、セルバンテスはカメラを持ってくるように指示を出していた。
「さあ、皆さんお撮りしますよ」
オロシャのイワンがカメラを構えると小さな小さなサニーを囲んで3人の屈強な男たちがカメラを睨み付ける。
「…あの…皆さん、もう少し表情を和らげていただけると…」
これでは記念写真というにはあまりにも恐ろしいものが撮れてしまう…とイワンがおそるおそる進言する。
「うるさい、貴様我々に意見する気か。さっさとシャッターを押せ!」
「ちょっと待て!やはりサニーを抱き上げた方がいいのではないのか」
「うーん、でも子供を抱いて忠誠誓ってもねー」
「そ、そうか。よしサニー頑張るのだぞ!この樊瑞がついておる!」
「いいから早くしろ!何で儂がこんなことに付き合っておるのだ」
「サニーちゃんのはじめての記念写真だからねー、うまく撮らないと君、わかってるよね」
脅しともとれるようなセルバンテスの言葉に背筋を凍らせながらイワンは何とかピントをあわせた。
「で、では皆さん、一斉にお願い致します!」
『我らのビッグファイアのために!』
その写真は今でもサニーの宝物のひとつである。
アーンでわたわたしている魔王ですがこれがほっぺにチューだとどうだろう。
眩惑はサニーちゃんのほっぺやおでこにチューくらいする男だと思う。当然挨拶代わりであるし親愛の念を込めてだ。サニーもそうかーこういう挨拶の仕方もあるんだーってある日突然魔王のほっぺに不意打ちチューするんだよ。「ささささささにーぃいいい???」椅子から転げ落ちるという期待に沿ったリアクションをしてくれた魔王は顔を真っ赤にさせて口をあんぐり。「な、なにを?」「セルバンテスのおじ様が親しい人にする挨拶だよって」いや挨拶ってサニー魔王のおじさんちょっとビックリドキドキだよ。ほっぺに残る柔らかい感触が四十路独身オヤジには刺激が強すぎるよ今夜寝れないよ「さ、サニーいいかこの挨拶は・・・その・・・私には良いが決して他の連中には・・・」ってもうサニーいねぇし(笑)魔王が血相を変えて探しているその頃サニーちゃんは幽鬼のおにーさんにチューだよ「お嬢ちゃんこりゃまたどこでこんなことを知ったんだ?」聞けば眩惑が発端らしく納得する幽鬼「魔王の胃に穴が開くな」と去り行くサニーの背を見ながらため息。チューの洗礼はカワラザキに十常寺に・・・そしてレッドに。レッドは「何してんだお前は」と言いつつ微妙に照れてるんだよ。ヒィッツのおにーさんは「これは光栄だな」と言ってお返しに手の甲にチュー。怒鬼のおにーさんはいきなりのチューにびっくりだけど真顔だ、魔王が見れば「将来自分の嫁にしようと確信した顔だ」と思うかもしれないが(笑)。どんどんサニーのチューが広まっている状態に半泣きの魔王。そしてサニーは残月のおにーさんにチュー。残月ちょっとびっくり。「セルバンテスのおじ様に教わった挨拶です」「ふむ、なるほどでは・・・」ってお返しにサニーにおでこチュー。運悪く居合わせた魔王が真っ白。うわああああ私の可愛いサニーが覆面男の餌食にいいいいいい!!!9割妄想捏造の魔王ビジョンでは愛しい娘を強引に抱き寄せてチューする変態覆面男になってんだと思う。首根っこをガクガクさせられるし先日のアーンの一件から目の敵にされて迷惑な残月「だから子ども相手にどうするというのだこの私が!貴様と一緒にするな!」って子ども相手にどうこうし兼ねない魔王を蹴りだすよ(笑)痛恨の一撃をくらった魔王が気づけばサニーの姿が無い。大慌てで探せばついにお父さんのほっぺにチュー。ちなみにアルベルトはきっと無表情で娘の好きにさせると思う。「あああ私だけのチューのはずが・・・」膝をつく魔王、そしてアルベルトはため息をついて無邪気な娘に一言「いいかサニーこの挨拶は他の連中にしてもよいが・・・樊瑞にだけはしてはいかん」なんだかんだ言って一番娘想いの衝撃の人でした。
うん、ごめん。魔王がどんどんおかしい人になっていってるね。わかってる、わかってるけどこっちの方が面白くって(笑)
それでは18歳サニーとついにゴールイン(結婚)する魔王の話だとどうだろう。パパと眩惑、素晴らしい人が死亡したというのを無視して三人が健在ということで話を妄想。
思えばあまりにもたくさんの出来事があった、そしてそれのほとんどが自分にとって幸せに感じることばかり。その幸せをくれたこの少女と今日この日誓いを立てて生涯の伴侶とする。樊瑞はまるで夢のようなこの現実に心は浮かれ、身の置き所がなく控え室でずっとそわそわしてんの。「おじ様・・・いいえ樊瑞様どうですか?」ようやく現れた真っ白な花嫁姿のサニーに言葉が出るはずもなく、育て上げた父としてそして愛する一人の男としての眼差しで見つめるんだよ「サニー本当に私でよいのか?」「はい」魔王超幸せ。今から掻っ攫って愛の巣にお持ち帰りしたいくらいだ。でも花嫁の背後に控える義父さんが「サニーを泣かせるようなことがあれば・・・わかっているだろうな」とてつもなく目がマジだ。泣かせるつもりは毛頭ないが泣かせなくとも2、3回は殺されそうな気がする。「は・・・はいわかっています・・・」「そうだよ?私もいるからね、サニーちゃんを泣かせちゃ・・・駄目だよ?」眩惑笑ってるけどやっぱり目が怖い。「はは・・・」魔王ちょっと先行き不安。そこへ他の連中もやってくるよ。「サニーや良かったなぁ、樊瑞に大切にされるのだぞ」「はいお爺様」カワラザキの後ろには怒鬼に引き連れられた血風連は全員号泣、女神様が魔王のものになるなんて!いまだ納得できないサニー親衛隊。「お嬢ちゃんおめでとう、魔王と喧嘩したら私の所に逃げ込めばいい」「うふふありがとうございます幽鬼様」さすが幽鬼、きっと何回かお世話になると思うよ(笑)。ヒィッツカラルドは「魔王のものになるのはもったいない、お嬢ちゃん今からでも遅くは無い私を選ばないかね?」とかいって笑いながら抱き寄せるねこの男「くぉら!貴様っ人の花嫁に気安く触るなっ」危ない男から慌ててひっぺがす魔王。さあ、もう少しで式が始まる、そして2人は晴れて夫婦になるんだ・・・そして幸せな家庭を築き、子どもをたくさん作って・・・絵に描いた妄想にうっとりしていたら「サニー!迎えに来たぞっ」ご登場したのは真っ白いタキシード着た白昼の人。覆面?今日は濃い色のメガネだけで思いっきり素顔だよ髪だってばっちりキメてオールバックだよ「残月様!」って抱き寄せられていた魔王の胸から離れて残月に飛び込むサニー「え?サニー??」「遅れてすまなかった、さあ私とともに行こう」「はい」思いっきり見つめあう2人ヤベェ!様になってる(笑)「ちょ・・・え??」目が点の魔王を他所に「いやぁ良かった良かった」「残月なら納得だ」「娘をたのむ」「サニー殿おめでとうございます」祝福ムードの皆さん「え??サニー!待て待て!今から私と」「ごめんなさいおじ様、私残月様と一緒になります」「そういうことだ、安心しろ樊瑞。サニーは私が責任持って幸せにしてやる」といってお姫様抱っこしてサニーを掻っ攫う白昼の人。独り残された魔王の救いといえばこれが夢オチだっていうことだけでした。
あちゃー。
さて、いじられ役がすっかり板についた魔王ですがもうちょっと話を。
「うわああサニー!!」ってガバァと起き上がればベッドの上。良かったあれは夢だったんだ、可愛いサニーがあの覆面男のものになるなんて悪夢以外の何者でもない(勝手に悪夢にだされて残月いい迷惑)、魔王は嫌な汗をかきながらちょっと安堵。サニーは私の・・・いやよそう、そういう想いはサニーのためにならない、あくまでもサニーが自分の意志でもって幸せを掴めばそれで良いではないか。私は父代わりとしてその姿を見届けられれば・・・それが私の幸せなのだ・・・。変態からまともな方向に修正して魔王は朝食をとるべく食卓の場へ「あ、おはようございます!おじ様」「サニー・・・」サニーちゃん白いエプロンつけて朝食の準備、その姿は朝日をあびて眩しいよ「今日は私が作ったんですよ、どうぞ召し上がれ、うふふ」テーブルの上には湯気が昇る野菜スープにベーコンエッグ、手作りクロワッサンにシーザーサラダ「これを全部サニーが作ったのか?」「はい」そうか・・・確実にサニーは成長しているのだな、そしていずれは一緒になった男のためにこうして朝食を作ってやるのか・・・「・・・・・」「おじ様?どうなさいました?」嬉しいけど少し寂しい気持ちになって湯気を見つめちゃう魔王、18歳の花嫁姿の夢を思い浮かべて隣に立つのはきっと自分以外の男だろうと心の隅で確信してみたり「ふふふ・・・サニーもいつか花嫁となり私のもとから離れるのだなと思ってな、寂しいものだ」「そんなおじ様、まだずっと先のことですよ。それに・・・私がお嫁さんになれるかどうかも・・・」「何を言う、きっとなれる。私は・・・なって欲しいと思っている・・・」サニーをまっすぐに見つめて素直な気持ちを告白する後見人。サニーを幸せにできる男なら誰でもいいのだ、初めて腕に抱いた時のあの笑顔を失わせることのない男であるならば・・・「あの・・・スープが冷めてしまいますわ」「うむ、そうだな、それでは頂くとしよう」穏やかな空気が流れる二人きりの朝食。魔王はあと何回この朝食をとることができるのだろうかと考えてみたけどそんな考えもすぐに奥に追いやってごちそうさま「うむ、美味しかった、ふふふまたサニーの朝食をごちそうになりたいものだ」笑って退室する魔王「私は・・・おじさまのためなら朝食をこれからもずっと・・・」でもサニーがやっとつぶやいた言葉は聞こえないのでした。
救いの手を差し伸べてみた話。
眩惑はサニーちゃんのほっぺやおでこにチューくらいする男だと思う。当然挨拶代わりであるし親愛の念を込めてだ。サニーもそうかーこういう挨拶の仕方もあるんだーってある日突然魔王のほっぺに不意打ちチューするんだよ。「ささささささにーぃいいい???」椅子から転げ落ちるという期待に沿ったリアクションをしてくれた魔王は顔を真っ赤にさせて口をあんぐり。「な、なにを?」「セルバンテスのおじ様が親しい人にする挨拶だよって」いや挨拶ってサニー魔王のおじさんちょっとビックリドキドキだよ。ほっぺに残る柔らかい感触が四十路独身オヤジには刺激が強すぎるよ今夜寝れないよ「さ、サニーいいかこの挨拶は・・・その・・・私には良いが決して他の連中には・・・」ってもうサニーいねぇし(笑)魔王が血相を変えて探しているその頃サニーちゃんは幽鬼のおにーさんにチューだよ「お嬢ちゃんこりゃまたどこでこんなことを知ったんだ?」聞けば眩惑が発端らしく納得する幽鬼「魔王の胃に穴が開くな」と去り行くサニーの背を見ながらため息。チューの洗礼はカワラザキに十常寺に・・・そしてレッドに。レッドは「何してんだお前は」と言いつつ微妙に照れてるんだよ。ヒィッツのおにーさんは「これは光栄だな」と言ってお返しに手の甲にチュー。怒鬼のおにーさんはいきなりのチューにびっくりだけど真顔だ、魔王が見れば「将来自分の嫁にしようと確信した顔だ」と思うかもしれないが(笑)。どんどんサニーのチューが広まっている状態に半泣きの魔王。そしてサニーは残月のおにーさんにチュー。残月ちょっとびっくり。「セルバンテスのおじ様に教わった挨拶です」「ふむ、なるほどでは・・・」ってお返しにサニーにおでこチュー。運悪く居合わせた魔王が真っ白。うわああああ私の可愛いサニーが覆面男の餌食にいいいいいい!!!9割妄想捏造の魔王ビジョンでは愛しい娘を強引に抱き寄せてチューする変態覆面男になってんだと思う。首根っこをガクガクさせられるし先日のアーンの一件から目の敵にされて迷惑な残月「だから子ども相手にどうするというのだこの私が!貴様と一緒にするな!」って子ども相手にどうこうし兼ねない魔王を蹴りだすよ(笑)痛恨の一撃をくらった魔王が気づけばサニーの姿が無い。大慌てで探せばついにお父さんのほっぺにチュー。ちなみにアルベルトはきっと無表情で娘の好きにさせると思う。「あああ私だけのチューのはずが・・・」膝をつく魔王、そしてアルベルトはため息をついて無邪気な娘に一言「いいかサニーこの挨拶は他の連中にしてもよいが・・・樊瑞にだけはしてはいかん」なんだかんだ言って一番娘想いの衝撃の人でした。
うん、ごめん。魔王がどんどんおかしい人になっていってるね。わかってる、わかってるけどこっちの方が面白くって(笑)
それでは18歳サニーとついにゴールイン(結婚)する魔王の話だとどうだろう。パパと眩惑、素晴らしい人が死亡したというのを無視して三人が健在ということで話を妄想。
思えばあまりにもたくさんの出来事があった、そしてそれのほとんどが自分にとって幸せに感じることばかり。その幸せをくれたこの少女と今日この日誓いを立てて生涯の伴侶とする。樊瑞はまるで夢のようなこの現実に心は浮かれ、身の置き所がなく控え室でずっとそわそわしてんの。「おじ様・・・いいえ樊瑞様どうですか?」ようやく現れた真っ白な花嫁姿のサニーに言葉が出るはずもなく、育て上げた父としてそして愛する一人の男としての眼差しで見つめるんだよ「サニー本当に私でよいのか?」「はい」魔王超幸せ。今から掻っ攫って愛の巣にお持ち帰りしたいくらいだ。でも花嫁の背後に控える義父さんが「サニーを泣かせるようなことがあれば・・・わかっているだろうな」とてつもなく目がマジだ。泣かせるつもりは毛頭ないが泣かせなくとも2、3回は殺されそうな気がする。「は・・・はいわかっています・・・」「そうだよ?私もいるからね、サニーちゃんを泣かせちゃ・・・駄目だよ?」眩惑笑ってるけどやっぱり目が怖い。「はは・・・」魔王ちょっと先行き不安。そこへ他の連中もやってくるよ。「サニーや良かったなぁ、樊瑞に大切にされるのだぞ」「はいお爺様」カワラザキの後ろには怒鬼に引き連れられた血風連は全員号泣、女神様が魔王のものになるなんて!いまだ納得できないサニー親衛隊。「お嬢ちゃんおめでとう、魔王と喧嘩したら私の所に逃げ込めばいい」「うふふありがとうございます幽鬼様」さすが幽鬼、きっと何回かお世話になると思うよ(笑)。ヒィッツカラルドは「魔王のものになるのはもったいない、お嬢ちゃん今からでも遅くは無い私を選ばないかね?」とかいって笑いながら抱き寄せるねこの男「くぉら!貴様っ人の花嫁に気安く触るなっ」危ない男から慌ててひっぺがす魔王。さあ、もう少しで式が始まる、そして2人は晴れて夫婦になるんだ・・・そして幸せな家庭を築き、子どもをたくさん作って・・・絵に描いた妄想にうっとりしていたら「サニー!迎えに来たぞっ」ご登場したのは真っ白いタキシード着た白昼の人。覆面?今日は濃い色のメガネだけで思いっきり素顔だよ髪だってばっちりキメてオールバックだよ「残月様!」って抱き寄せられていた魔王の胸から離れて残月に飛び込むサニー「え?サニー??」「遅れてすまなかった、さあ私とともに行こう」「はい」思いっきり見つめあう2人ヤベェ!様になってる(笑)「ちょ・・・え??」目が点の魔王を他所に「いやぁ良かった良かった」「残月なら納得だ」「娘をたのむ」「サニー殿おめでとうございます」祝福ムードの皆さん「え??サニー!待て待て!今から私と」「ごめんなさいおじ様、私残月様と一緒になります」「そういうことだ、安心しろ樊瑞。サニーは私が責任持って幸せにしてやる」といってお姫様抱っこしてサニーを掻っ攫う白昼の人。独り残された魔王の救いといえばこれが夢オチだっていうことだけでした。
あちゃー。
さて、いじられ役がすっかり板についた魔王ですがもうちょっと話を。
「うわああサニー!!」ってガバァと起き上がればベッドの上。良かったあれは夢だったんだ、可愛いサニーがあの覆面男のものになるなんて悪夢以外の何者でもない(勝手に悪夢にだされて残月いい迷惑)、魔王は嫌な汗をかきながらちょっと安堵。サニーは私の・・・いやよそう、そういう想いはサニーのためにならない、あくまでもサニーが自分の意志でもって幸せを掴めばそれで良いではないか。私は父代わりとしてその姿を見届けられれば・・・それが私の幸せなのだ・・・。変態からまともな方向に修正して魔王は朝食をとるべく食卓の場へ「あ、おはようございます!おじ様」「サニー・・・」サニーちゃん白いエプロンつけて朝食の準備、その姿は朝日をあびて眩しいよ「今日は私が作ったんですよ、どうぞ召し上がれ、うふふ」テーブルの上には湯気が昇る野菜スープにベーコンエッグ、手作りクロワッサンにシーザーサラダ「これを全部サニーが作ったのか?」「はい」そうか・・・確実にサニーは成長しているのだな、そしていずれは一緒になった男のためにこうして朝食を作ってやるのか・・・「・・・・・」「おじ様?どうなさいました?」嬉しいけど少し寂しい気持ちになって湯気を見つめちゃう魔王、18歳の花嫁姿の夢を思い浮かべて隣に立つのはきっと自分以外の男だろうと心の隅で確信してみたり「ふふふ・・・サニーもいつか花嫁となり私のもとから離れるのだなと思ってな、寂しいものだ」「そんなおじ様、まだずっと先のことですよ。それに・・・私がお嫁さんになれるかどうかも・・・」「何を言う、きっとなれる。私は・・・なって欲しいと思っている・・・」サニーをまっすぐに見つめて素直な気持ちを告白する後見人。サニーを幸せにできる男なら誰でもいいのだ、初めて腕に抱いた時のあの笑顔を失わせることのない男であるならば・・・「あの・・・スープが冷めてしまいますわ」「うむ、そうだな、それでは頂くとしよう」穏やかな空気が流れる二人きりの朝食。魔王はあと何回この朝食をとることができるのだろうかと考えてみたけどそんな考えもすぐに奥に追いやってごちそうさま「うむ、美味しかった、ふふふまたサニーの朝食をごちそうになりたいものだ」笑って退室する魔王「私は・・・おじさまのためなら朝食をこれからもずっと・・・」でもサニーがやっとつぶやいた言葉は聞こえないのでした。
救いの手を差し伸べてみた話。
秋の柔らかな陽光が大きな窓から差し込んでいる。
この部屋の主である樊瑞は会議中で今はいない。
退屈なサニーは陽光の匂いに惹かれて部屋へと入り込んだ。
本日は正装で出かけているのか、樊瑞のトレードマークでもあるピンク色のマントが掛けられている。
「おじさまのマント」
サニーは誰に言うでもなくつぶやき、その大きなマントを手にした。
樊瑞の真似をしてマントを羽織ってみる。
秋の陽光とともによみがえる過去のこと…。
この窓から見える庭で、大作と一緒に遊んだ。
「大作君…今、なにしてるのかしら…」
そう言って目を閉じた瞬間、マントはテレポーターと化した。
包まれていたサニーを消し、マントはその場にふわりと舞い落ちる。
あとには何事もなかったかのように秋の陽光が満ち溢れていた。
サニーが現われたのはどこかのドックのような場所。
「ここは…どこかしら…」
心細さを必死にこらえ周囲を見回すが、あいにく誰も見当たらない。
BF団の本部とも思えないし…ではここはいったいどこなのだろう。
樊瑞に助けを求めたいが術はない。
アルベルトならテレパシーに気づいてくれるかもしれないが、おそらく無視されるのがオチだろう。
半分ベソをかき始めたとき、不意に声をかけられた。
「おや、お嬢ちゃん、いったいどこから入ってきたのかな」
振り向けば呉学人が立っている。
「ここは子供の遊び場ではないよ。さ、向こうへ…」
優しい声音に安心したのか、サニーは上手に答えることもできず泣き始めてしまった。
これにあわてたのは呉学人のほうである。
「お、お嬢ちゃん、いい子だから泣かないで…よ、弱りましたね」
なんとかなだめようとしているところへ、中条に戴宗、鉄牛までもがやってきた。
三人三様に驚くが、その中身は違う。
「…呉くん…いつの間に私の知らないところで隠し子など…」
「ちょ、長官、違います! このお嬢ちゃんは私の子では…」
衣の袂で顔を覆ってヨヨと泣く。
「俺ァ、知ってるぜ。このお嬢ちゃん、衝撃のおっさんの娘だ…そうだろ、お嬢ちゃん」
戴宗のにやけた顔を近づけられ、サニーは反射的にうなずいていた。
そしてここが国際警察機構の中だと気づく。
(さ、サニーどうなってしまうのかしら…樊瑞のおじさま、助けて…)
この部屋の主である樊瑞は会議中で今はいない。
退屈なサニーは陽光の匂いに惹かれて部屋へと入り込んだ。
本日は正装で出かけているのか、樊瑞のトレードマークでもあるピンク色のマントが掛けられている。
「おじさまのマント」
サニーは誰に言うでもなくつぶやき、その大きなマントを手にした。
樊瑞の真似をしてマントを羽織ってみる。
秋の陽光とともによみがえる過去のこと…。
この窓から見える庭で、大作と一緒に遊んだ。
「大作君…今、なにしてるのかしら…」
そう言って目を閉じた瞬間、マントはテレポーターと化した。
包まれていたサニーを消し、マントはその場にふわりと舞い落ちる。
あとには何事もなかったかのように秋の陽光が満ち溢れていた。
サニーが現われたのはどこかのドックのような場所。
「ここは…どこかしら…」
心細さを必死にこらえ周囲を見回すが、あいにく誰も見当たらない。
BF団の本部とも思えないし…ではここはいったいどこなのだろう。
樊瑞に助けを求めたいが術はない。
アルベルトならテレパシーに気づいてくれるかもしれないが、おそらく無視されるのがオチだろう。
半分ベソをかき始めたとき、不意に声をかけられた。
「おや、お嬢ちゃん、いったいどこから入ってきたのかな」
振り向けば呉学人が立っている。
「ここは子供の遊び場ではないよ。さ、向こうへ…」
優しい声音に安心したのか、サニーは上手に答えることもできず泣き始めてしまった。
これにあわてたのは呉学人のほうである。
「お、お嬢ちゃん、いい子だから泣かないで…よ、弱りましたね」
なんとかなだめようとしているところへ、中条に戴宗、鉄牛までもがやってきた。
三人三様に驚くが、その中身は違う。
「…呉くん…いつの間に私の知らないところで隠し子など…」
「ちょ、長官、違います! このお嬢ちゃんは私の子では…」
衣の袂で顔を覆ってヨヨと泣く。
「俺ァ、知ってるぜ。このお嬢ちゃん、衝撃のおっさんの娘だ…そうだろ、お嬢ちゃん」
戴宗のにやけた顔を近づけられ、サニーは反射的にうなずいていた。
そしてここが国際警察機構の中だと気づく。
(さ、サニーどうなってしまうのかしら…樊瑞のおじさま、助けて…)