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あの時からジョニーは僕の騎士様なんだよ。

『夕ご飯までには帰ります。メイ』
こっそりと台所の机にメモを置いて船を出る。
今日は買い物当番でもお手伝い当番でもないから一寸位いいか。
最近ジョニーは船を空けがちだ。
僕は一寸悲しい。
ジョニーの顔が見れなくて声が聞けないのが悲しい。
だから今日はジョニーを探しに行くんだ。
「あなた、ジャパニーズね…?」
突然目の前に赤い帽子のおねえさんが現れる。
…ジョニーの好みってこんな人なのかなぁ…?
色っぽいってこう言う事なのかな?
でもそれより気になった事がある。
「じゃぱ…?」
僕がきょとんとしていると女の人は苛立った様に嫌な感じになった。
よくわかんないけど、なんか闘うみたいだ。
「ふん…!!あんた自覚無いの?」
突然の衝撃に碇を前に持ってくる暇さえなかった。
「きゃっ!!」
思わず出た悲鳴に女の人が舌なめずりしている。
「ふふふ…まぁいいわ……。思わぬ収穫物ですもの…あの方もよろこぶわぁ…」
ウットリした目だ。
…えー…!!ちょ…まってよ…!!じゃ何とかって何!?
僕このままつれてかれちゃうの!?
攻撃は止まらない。
僕もイルカさんの力を借りたり色々攻撃したり抵抗してる。
してるんだけど…。
僕は此処で負けらん無いのに!!
「んっんー…そこでグレートに俺様が登場って訳だ」
聞きなれた声に僕は振り返った。
「駄目だぜぇメイー。…全くとんだじゃじゃ馬姫さんだなこりゃ」
サングラスと帽子を直してひょいと僕に近づくとジョニーは僕を軽く小突いた。
「お説教は後でだ。…とりあえず共同戦線、いっとくかい?」
偶然でもいいよ、ご都合主義でもいいよ。
僕はこうやってジョニーのそばに居られればいいんだもん!!
怒られたって、意味もなくじゃなくって愛があるからなんだから!!
僕は笑顔で頷いた。

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―――ここはメイシップの中、食堂内でジョニーを除いたみんなで作戦会議中―――


エイプリル「さて、今週の議題は…、」
進行役のエイプリルが話を始めると、すかさずメイが手を上げ、
メイ「ジョニーの誕生パーティについて~っ☆☆」

エイプリル「ふぅ…。はいはい、わかったから落ち着いて…。」
メイ「むぅぅ~~。だってその日はボクにとって、とーーっっても大事な日なんだよ!?」
ジュライ「゛みんな″にとっても、だろ?」
ジュライに指摘され、メイは少し照れて赤くなりながら。
メイ「……、そうだったね。ごめん。でもどうしよう…、
ジョニーどんなのが喜ぶかなぁ?」
――。
―――。
____。

しばらく続いた沈黙の後に、何かを閃いたかの用にメイが提案を出した…。
メイ「こんなのはどうかな♪ジョニーって賑やかなのが好きじゃない?ボクたちだけでやるのも楽しいけどさ、もっとおおぜい呼んだらも~っと楽しそうだと思うの♪」
机に突伏したままの体勢でエイプリルが、
エイプリル「…でも、誰を呼ぶの?」
と、興味なさげに答えると、メイは悪戯っぽく笑った。
エイプリル「そ・れ・は…、いつもボクやジョニーが戦ってる人達を呼ぶ……、なんてどうかな?♪」
エイプリル「確かに楽しそうだけど……、どうやって?絶対にこなそうな人とかどうするの?」
そこまでは考えていなかったのか、
メイ「う~~ん、どうやってって……。」
メイが固まってしまったのを見て、急にジュライが立上がり…。
ジュライ「その案、楽しそうだし、良いと思うぜ!!イヤだと言ったら力ずくでも連れて来るさ!!」
セフィー「そうですよぉ~♪必ず連れて来て見せますぅ~~。」
エイプリル「う~ん、そこまで言うんだったらやってみますか♪ただし!!ぜ~~~ったい!ジョニーには内緒だからね♪
じゃあ役割を決めるよ?
まず~。リープさんは当日の料理とマーチちゃんの面倒を担当して下さい♪」
リープ「私にゃそのくらいしか出来ないしねぇ。」
エイプリル「私は招待状を作ったり、会場をセッティングしたり……、まぁ、ひらたく言えば雑用ね♪
メイは……。」
メイ「あっ!ボクはちょっと用事があるんだぁ~。アハハ……。」エイプリル「なんか企んでるでしょ?
ふぅ…、まぁいいや、じゃあメイと新人のディズィーはフリーね?残りはみんな招待状持って呼び掛けて来て。」
メイ「ありがと♪なんだかわくわくしてきたね☆」
エイプリル「そうだね♪
じゃあ来週のパーティに向けて…、作戦開始っ!!」
みんな「おーっ!!」


ジュライ「エイプリル~~。持って行く招待状書けたぁ~~?」
船内に鳴り響くほどの大きな声を発しながら、ジュライがエイプリルの部屋に入り込んで来た…。
エイプリル「もぅ~、声が大きいよぉ~。ジョニーにばれたらどうするつもりなの?」
ジュライ「あっ!?忘れてた…。」
そういってすまなそうに頭を掻く仕種…。

エイプリル「ふぅ…、気をつけてよね~?
…もう少しで完成するから、待ってて♪」
ジュライ「そっか♪頼りにしてるぜ。でも本当にあいつら来るのかぁ~?」
エイプリル「ふふっ♪この『情報通のエイプリル』さんにまっかせなさい!!
相手の弱点・好物・趣味などすべて調べ上げてあるんだから!!」ジュライ「アハハ……、すごいな。気になるけど、どうやって調べたかは敢えて聞かないでおくよ……。」
――。
――――。
―――――――。

エイプリル「でっきたぁ~!じゃあこれをちゃんと頼んだとうりの団員に運んでもらってね?」
ジュライ「了解っ!じゃあ行って来るぜ!!会場の用意の方は頼んだからなぁ~?」
そう言って部屋を飛び出そうとした瞬間…。

――ドンッ!!――

運悪く、エイプリルと航海の打ち合わせに来たジョニーに激突してしまった。

ジョニー「おぅ、ジュライ。
どうしたぁ、そんなに急いで?」
ジュライ「エ……、あっ!あの‥、その」
エイプリル「ジっ、ジョニーが来たから、嬉しくて抱き付いちゃったんだよね?」
ジュライ「そっ!そうなんだよ~♪ごめんな?」
ジョニー「オイオイ、謝らないでくれよ。
レディーに抱き締められるなんてアクシデントはぁ、常時受け付け中だからな。
どうだい、このまま俺とデンジャラスな一夜を共にしようじゃないか?」
ジュライ「いや…っ!急いでるからさっ!!また今度な♪
じゃあ、エイプリル、例の物渡しとくからなぁ!!」
ジョニーの横を擦り抜け、猛然と走りさって行ってしまった……。ジョニー「例の物?」エイプリル「気にしない♪気にしない♪」
ジョニー「むぅ…。」


ジャニス「うにゃあ?」
先程完成した招待状をジャニスの首にスカーフで巻き付け、頭を一撫でした。
ジュライ「では、エイプリルの伝言を伝えます!
え~~っと…、『出来るだけ挑発するように逃げて♪ぎりぎりまで逃げてから捕まるんだよ☆☆』……、だそうです。」
そう言いながら、緊急脱出用のポッドにジャニスを押し込む……。
ジュライ「じゃ、ぐっどらっく!!」

―――バシュンッ!!

ジャニス「うにゃぁぁぁああ!!!!?」

―――。
――――。
――――――。


ここは、フランスの寂れた田舎町の中――。

ジャニス(痛たかったぁ~!ったく!!私をなんだと思ってるのかしら!?)
無事{?}不時着出来たポッドからやっとの思いで飛び出して、今は町中を歩いている……。
ジャニス(確かターゲットはここら辺に良く現れるって言ってたはず。え~と、金髪の細身で綺麗な方らしいわね。
でもなんで私が運ぶ役に選ばれたんだろう……?)
「あら…、可愛いねこちゃん…。」
ジャニス「うにゃっ!(きゃっ!)」

背後からいきなり声が聞こえ、思わず距離を取ってしまった。
ミリア「私の名前はミリア…、あなたは…、野良さん、かな…?」
ジャニス「…にゃ?(この人……、金髪で綺麗…。もしかしてターゲット!?この人から逃げれば任務完了かな?でも人間相手にこの私が捕まるわけ無いじゃない♪簡単な任務だわね。)」

ミリア「ほら…、こっちにおいで?」

ジャニス「にゃにゃにゃっ!(捕まえれるもんなら、捕まえてみなさ~い♪)」
――タッタッタッ…。
ミリア「あっ!待って、ねこちゃん。」

ジャニス(あら、いっちょまえに追いかけて来てるじゃない♪
まぁ、軽く走って途中で捕まれば良いわね。)



―――3分後。―――


シュタタタタタタタタタタタタタッッ!!。
ジャニス(はぁ、はぁ、はぁ…、もうとっくに本気モードなのに、なんであの人ついてこれるの!?まさか人間じゃない?)

ミリア「……あっ。」

ジャニス(ふぅ…、やっとまいたみたいね……。って!?捕まらないといけないこと、すっかり忘れてた!!)
――ストッ……――。
ジャニス(ふぅ、どうしようかなぁ……。)
―――ヒョイ。

急に中に浮く体。

ジャニス(に゛ゃっ!?)

ミリア「ねこちゃん…、捕まえた……♪」
振り返ると、いつのまにかにさっきの人が私を抱き上げていた。

ジャニス(全然気がつかなかった…。完璧に私の負けだわ…。
あっ!そういえば任務が!)
さりげなくスカーフをアピールする。
ミリア「あら…、何かしら…。」

しばらくこの人は招待状を読んでいた…。

ミリア「なるほど…、こうゆう雰囲気に慣れるには良い機会かもね…。」
どうやら読み終わったようだ……。

ジャニス「にゃあ?」ミリア「ううん、なんでも無い…。
行こっか、ねこちゃん…。」
ジャニス「うにゃあ♪」


梅喧「…ん?俺になんか用が有るのか?」
オクティ「え…、あの、その…。
これをご覧下さい…。」
梅喧「なんだい?こりゃあ?」
オクティ「えと…、ジョニーさんの誕生パーティーの招待状です。」
梅喧「ほぅ…。
でも…、俺こうゆうのは苦手なんだよなぁ。あいつを祝う義理もないし…またの機会にしてくれよ。」
オクティ「あの…、美味しいお刺身とお酒が振る舞われる予定なんですが…、その…残念です…。」
チップ「さしみ!?本当か?あのジャパニーズがことあるごとに食べるあれか!?
…おんなぁ!嘘だったらただじゃすまないぜ!?」
オクティ「そ、そんなぁ…、本当です…。」チップ「なぁ姐さん!行こうぜっ!!
ところで闇慈!さしみってどうやって食べるんだ?あぁ~今からワクワクするぜ!!」
闇慈「刺身はなぁ~、いろいろな食べ方があるんだが…、やっぱり『女体盛り』ってやつが一番だねぇ~♪」
チップ「ニョタイモリ!?なんだそりゃあ?」
闇慈「まぁ姐さんが教えてくれるさ!
ってことで一つ姐さん、よろしく頼む……ぐふっ!!!」
梅喧「小僧に変な事吹き込むな!!それに…姐さんって呼ぶなったろうが!!
しっかし…酒かぁ、良いねぇ。行くか…。
行くからにゃあ極上もん出さなかったら承知しないよ?」
オクティ「はい!…良かった。これで私も帰れます…」
闇慈「おっ!姐さんが行くならお供しますっ!!」
梅喧「だから…、姐さんって呼ぶなっっ!!」



















 嬉しい出来事があると自然と進む足取りも軽くなる。通りかかった公園で無邪気に遊ぶ子ども達の姿に微笑ましく目を細めたその時、
「あーっ! 見つけたカイさーん!!」
 通りの向こう側から聞き覚えのある甲高い声が響き渡った。街の往来で大声で名前を呼ばれたことに多少の気恥ずかしさを感じつつ、声の聞こえた方向へと振り返ってみると、
「メイさんに、ディズィーさん…?」
 駆け寄ってくる2人の少女の姿に瞠目した。いつも行く先知れず気儘に空の旅を楽しんでいる筈の彼女たちが何故ここに?
 …答えはすぐに出た。
「カイさん、お誕生日おめでとー!」
「おめでとうございます、カイさん」
 走ってきた2人は急ブレーキでカイの前に並んで立つと、揃って明るく祝いの言葉を告げた。
 思いがけない場所でであった少女らの、これまた思いがけない祝いの言葉にカイは驚きの表情を隠せない。
 カイが固まっていることに気付いているのかいないのか、メイは少女らしいテンションの高さで肩に提げていた大きなバッグの中からクッション大の包みを取り出し、カイへと差し出した。
「はいコレ、ボクとディズィーとジョニーと、それからジェリーフィッシュ快賊団の皆からのプレゼント!」
「えっ、あ、はい、有難うございます…、うわっ?」
 促されるままに受け取って、思いがけない重さに危うく一瞬包みを取り落としそうになってしまった。どうやら沢山の品々を一気に包装したものらしい。抱えてみた感じ、重量は悠に5kgはある。目の前の少女はそれこそクッションでも持ち上げるように軽々と取り扱って見せたが、よくよく考えてみれば彼女は総重 300kgある巨大な錨さえ片手で楽々振り回すほどの怪力の持ち主だ。たかだか5kg程度の包みなど、それこそ紙1枚にも等しい程度であるのだろう。…なんだか微妙に複雑ではある。
「こんなわざわざ…有難うございます」
 地上に降りた理由は何もカイにプレゼントを渡すためだけではないだろうが、それでも嬉しいことには変わりない。カイは満面の笑みを浮かべ、プレゼンターの少女たちに深々と頭を垂れた。
流れ星の記憶(前編)
Written by koyomi kasuga


       ――――忘れないで、こうして過ごしたコト

             忘れない……それだけで『繋がってく』から――――
              

 


『――キレイよねー……ねぇ?』

『――別に。あれは流星物質が地球の大気中に飛び込んできて、大気との摩擦で光って見えてるだけのことだろ。』

『もう、貴方ってどうしてそう夢の無い言い方するの?せっかくの休みなのに。』

『事実だろ。それに仕事柄、そんな考え方ができん。』

『分かったわよ……でも、一つだけ覚えておいて。』

『何をだ?』

『忘れないで、こうして過ごしたコト。こうして……ここで流れ星を見たこと。』

『他のことは忘れてもいいのか?』

『貴方が必要と感じてなければね。でも、今日こうして過ごしたことは忘れないで。
必要でも不要でも……忘れなければそれだけで、私は嬉しいから。』

           ――――それだけで『繋がってく』から――――

「……あ?」

それを境にソルは現実へと引き戻される。
どうやら夢を見ていたようである。
ソルは起き上がり面倒くさそうに朝食の支度をする。
それはいつもと変わらない、ただ一つ……今見た夢以外は。

「……くだらねぇ。」

ソルは誰にともなく、呟いた。
それが自分になのか、夢に出てきた相手になのかは分からないが。

「……何だって今頃戻ってきやがったんだ。」

記憶――そんなものは必要なものだけ残していけばいい。
不要なら切り離していけばいい。
でないと、混乱して真実を見失う。
だからソルはそうして今まで生き続けてきた。
『忘れないで』そう言われたけど、忘れていた……いや、忘れたのだ。
その自分が何故今になってそれを思い出すのか、ソルには全く理解出来なかった。
ソルはコーヒーを飲みほすと何事も無かったかのように食器を片付け始めた。
そうしていつものように街へと出かけた。


一方、MAYSHIP船内。

「――流星群?」

「うん、毎年この時期になると起きる現象なの。」

朝食の後片付けの当番であるディズィーに同じく当番のジュンが楽しそうに話す。
ディズィーは興味津々といった感じで聴いている。
そこへ側にいたマーチが間を割って喋る。

「でも、まーちはいっかいもみたことないからちゅまんないでし。」

「それはマーチが途中で寝ちゃうからでしょ?何度も起こしたのに起きないから。」

マーチがぷうっと顔を膨らませてご機嫌ナナメの顔をする。
苦笑するディズィーとジュン。

「ねぇジュン、流星群ってそんなに遅い時間から始まるの?」

「うん、きっちり時間が決まってるわけじゃないんだけど大体夜中から明け方にかけてなのよ。」

それでディズィーは納得がいった。
マーチはジェリーフィッシュ快賊団の中では最年少、どうしても襲ってくる眠気には勝てないのだ。
だから意気込んで待っていても途中で寝てしまうのだろう。

「そっかーそれじゃあマーチ、今年は頑張らなくっちゃね。」

「うん!ことしこしょぜったいみゆんだから!!」

舌ったらずながらも意志は強いマーチ。
そんなマーチをディズィーは微笑ましく思った。
それから程なくして食器を片付けたディズィーは甲板に出て空を眺めていた。

「……流れ星、か。」

ディズィーは静かに目を閉じ、育ててくれた老夫婦のことを思い出していた。
ほんの少しの時間しか一緒に居られなかったけど、楽しかった。
よく夜空を見ては流れ星が落ちてこないか、とねだって聞いたものだ。
“流れ星が消える前に願い事を三回言うと叶う”……誰もがよく知っているジンクスだ。
そのジンクスにいくつ願いを叶えて欲しいと思ったことか。

「……ソルさん……お願いしたら一緒に見てくれるかな?」

「「誰と一緒に見るって?」」

「はぇえ!?」

背後からの声に驚き、思わず変な声を出すディズィー。
振り向いてみるとにやにやしながらディズィーを見るメイとジョニー。

「ふっふっふー……見たぞ~ディズィーの乙女模様。」

「ふえ?」

「とぼけなさんなって、アイツのこと考えてたんだろ?」

「あいつって……?」

ほえ?と首を傾げるディズィーに二人は顔を見合わせる。
メイが腰に手を当ててびしっと人差し指をディズィーに突きつける。

「だぁから、ソルのことだって。」

「えー!?なんで二人とも分かるんですか?ソルさんのことって。すごい!テレパシーみたいです!」

素直に驚くディズィーに二人は呆然としていた。
どうやら二人が思っていたほどディズィーは勘が良いわけではないようだ。
ディズィーはそのままジョニーに話しかける。

「あの、ジョニーさん。流星群って今日見れるんですか?」

「ん?ああ、予想では今日って言われてるがな……誘いたいヤツでもいたかな?」

深い笑みを浮かべてジョニーは目線をディズィーの高さに合わせる。
ディズィーはその言葉に言い出しにくそうに両手をもじもじさせていた。
ジョニーはその仕草を微笑ましく思いながら、ディズィーの頭をぽんぽん、とたたく。

「どうしたいかはお前さんが決めな。そいつを連れてくるもよし、一緒に別の場所で見るもよしだ。
ただし、ちゃんと相手に了解を取ったらな。」

ジョニーがそう言うとディズィーはぱっと表情を明るくし、

「はい!ありがとうございます!」

と言って甲板の手すりを乗り越えて街へと降りる。
もちろん、両の翼を広げて。
それを見送るジョニーにメイが上目遣いで聞く。

「……ジョニー、ボクもジョニーと二人っきりで見たいなv」

「ダァメ!オマエさん一人をひいきするわけにはいかないの。」

「意地悪っ!」

「残念でした。」

ジョニーは笑いながら下の街を眺めていた。

――さぁて、アンタはどう対応するのかね?

ジョニーはサングラスを直しながら実に楽しそうに笑っていた。
まるで悪戯を仕掛けた子供のように。


所変わってパリ。

「ま、大体こんなもんか。」

ソルは仕事を終え、賞金首を差し出し換金をし終えたところだった。
後は食料の調達をして帰るだけだ。
そうして店に向かおうとしていた矢先に壁に貼ってあったポスターに目がいった。
そこには流星群のイメージイラストとそれを見るための道具の宣伝が書いてあった。

「……だからか。」

さっきから街の人達は望遠鏡やら防寒具を持った人達でにぎわっていた。
流星群を見るための準備だろう。
ひょっとしたら今日あんな夢を見たのもそのせいかもしれない。
そう思って踵を返すと少し先に見覚えのある少女、ディズィーの姿。

「あ、ソルさん!よかった、お会いできて。」

「――何か用か?」

あんまりいい予感しない、と思いつつソルは返事をする。

「あの!今日、流星群見るんですけど良かったら一緒に見ませんか?」

「……騒がしいのは嫌ぇだ。」

「えっと……あの、皆と一緒じゃなくても……あの、その///」

「――テメェと二人で、か?」

そのストレートな言葉にディズィーは顔を真っ赤にし、恥ずかしそうにしながらも頷く。
しかし、ソルは溜息一つ。

「――ガキのお守りは御免だ。第一、テメェんとこの保護者が許すわけねぇだろうが。」

「え、あ……それならジョニーさん、いいって言って下さいましたよ?」

――あのヤロウ……楽しんでやがるな。

ソルはジョニーの嫌味な笑みが思い出され、心の中で舌打ちをした。
どうせ、自分が対処に困るのを見越してのことだろう。

「やっぱり、私なんかと一緒じゃ……イヤですか?」

ディズィーはそう言って真っ直ぐにソルの目を見る。
どうもこの眼がソルは苦手である。
身長差がある、という所為もあるだろうが、この上目遣いがどうも今までの連中と違うので調子が狂う上に対処がしづらい。
喩えて言うなら遊んで欲しいとねだった子犬が答えを渋られて落ち込んでいるような感じ。
彼女の場合それを無意識に行うので、なお厄介。

「……テメェんとこの船、何処に停泊するんだ?」

「! 一緒に見てくださるんですか!?」

「――嫌なら止めておくが?」

その言葉にディズィーはぶんぶん、と首を振って否定する。
そんな姿も小動物のようで可愛らしい。

「ありがとうございます!///」

ディズィーは嬉しそうにし、ソルに時間になったら家に向かうと約束した。
ソルは最初それは止めた方がいい、と言って自分が迎えに行くことを提案した。
しかし、ディズィーは頼み事を自分でしておいてそこまでしてもらうのは悪いと言って断った。
それ以上は言っても無駄と思ったソルは仕方なくそれを承知した。

「それじゃ、ソルさん。また後で。」

「……ああ。」

そして、日は落ち……月と星々が目覚め始める。












アクセルは落下していた。
「だあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
タイムスリップは毎度の事だが、今回は極めて不幸なパターンだった。
よりにもよって、地上十数メートルといった場所にたどり着いてしまったのである。
視界に移るのは深い森。運が良ければ青々とした葉が、枝がクッションとなってくれるだろう。
運が悪かった時のことは考えたくない。
アクセルはとっさに法力を練り上げ、体に纏う。
ぎゅうっと目をつぶり、体を丸めた。
ガサガサガサガサガサッ!!
木の葉が舞い、枝の折れる音が耳に痛い。
体に痛みはないものの、衝撃だけは殺しきれずにアクセルは奥歯を噛みしめる。
がくん、と落下が止まる。どうやら、太い枝に救われたらしい。
地面に叩きつけられることだけは避けられた。
「あ~~~~~~~もうっ!心臓に悪い……」
思わず左胸に手を当てると、ばっくんばっくんと暴れる鼓動を感じることが出来た。
それは、紛れもなく生きている証。
は~っと、安堵のため息をつこうとしたその時、
「誰ですっ!!」
大声がして、アクセルはびくんと身を大きく震わせた。ぐらりと体勢が崩れ、
そのまままっ逆さま。
「わわわわわわっ!!!」
どてっ、と今度こそ地面にキスをするハメになる。
「痛てて……」
強打した鼻を押さえ、鼻血が出てないことを幸運に思う。
アクセルはうめきながら何とか立ち上がろうと頭を振った。
と、
「あ、アクセル!?」
先程アクセルを驚かせた声が、すぐ近くで響く。
しかも、落ち着いて聞いてみればよくよく聞き覚えのある声で……
「カイちゃんっ!?」
叫びながら振り返ると、そこにはカイ=キスクその人がいた。
その後ろには、これまた見知った規格外の大男──ポチョムキンがいる。
「あらら。な~んか珍しい組み合わせ」
あまりのインパクトにアクセルは痛みを忘れ、差しのべられたカイの手をとって立ち上がった。


「そうなんですか。それでアクセルさんも一緒に来られたんですね」
くすくす、と楽しそうにディズィーが笑う。
「ホント参ったよ。いきなり落ちるんだぜぇ~」
アクセルは身振り手振りを大袈裟に、なるべく面白おかしく聞こえるように話していた。
ここはメイシップ。
カイとポチョムキンはそれぞれ警察機構とツェップの代表として、
ここに預けられたディズィーの様子を見に来る途中でアクセルと遭遇したのだという。
ディズィーを初め、快賊団の面々と顔を合わせるのは久し振りだったので、
アクセルも二人に同行させてもらうことにしたのだ。
予想外のアクセルの来訪に、ディズィーは思いのほか喜んでくれた。
「ねえねえアクセルさん、ここに来る前はどの時代にいたの?」
メイが好奇心に瞳をきらきら輝かせてアクセルに問う。
「うん。20世紀のインド。流石の俺様もインド語はしゃべれないから言葉が通じなくてさ~。
おまけに一文無しだったもんだから大変大変」
「インド?」
ディズィーが興味津々に尋ねる。
「そうそう。頭にこうやってターバンを巻いてカレーを食べる国なんだ」
「ふ~ん」
少々アクセルの偏見が入った解説ではあるが、どうせ詳しいことは分かりはしない。
こんな風に雑談をしながら、アクセルはこっそりとディズィーの笑顔を盗み見た。
その屈託の無い笑顔は、この快賊団で幸せに過ごしている証に思えた。
人間を傷つけないために姿を隠し、孤独とともに生きてきた心優しき少女。
その彼女が今、たくさんの仲間に囲まれて堂々と陽の光のもとで笑顔を見せている。
「ここで引き取ってもらって正解だったかもしれませんね」
紅茶を飲みながらカイがポチョムキンに囁いている。
そして、その言葉にポチョムキンも頷いていた。
「当たり前だ。俺はクルーを何よりも大事にしているからな」
その言葉を聞きとめたのか、ジョニーがディズィーとメイの肩を抱く。
「きゃっ」
「こら、ジョニー!」
突然抱き寄せられてディズィーが小さく声を上げ、メイがジョニーの胸板を叩く。
「……」
その様子にカイとポチョムキンの顔がわずかに曇ったが、
アクセルは見ないフリをすることにした。
「私……メイシップに乗れて良かった。みんなすごく優しくしてくれるし、
私の本当の姿を見ても全然恐がったりしないんです」
穏やかな口調に、ディズィーの幸せがにじみ出ている。
「あったりまえだよ!だって、ディズィーはボク達の仲間なんだから」
メイが拳を握り締めて力説する。
そんな年若い彼女たちが微笑ましくもあり、そんな自分を
(……俺様もトシなのかなぁ……)
ちょっぴり切なく思ったり。
「勿論、カイさんやポチョムキンさんにも感謝しています。
私のことを心配してこうして会いに来て下さって……」
「いえ、あなたが幸せならそれでいいんです」
「そうだ。我々も仕事なのだから気にしなくていい」
ディズィーの言葉に、二人は口々に答える。
彼女は人間とギアのハーフで、独立型のギアである。
警察機構やツェップはその存在から決して目を離すことはないだろう。
カイにしてもポチョムキンにしても、
それぞれの組織の思惑があって派遣されているはずだ。
しかし、ディズィーを心配する気持ちも本物だから、どことなくバツが悪いのだろう。
(あ~あ。大変だなあ)
アクセルはそんなことを思う。
「あと……もし会うことが出来たら、ソルさんにもお礼を言いたいです」
少し遠い目をしてディズィーが言った。
「私を止めてくれたのはあの人でした。あの人が止めてくれなかったら私……
もっとたくさんの人を傷つけていたかもしれない。だから……とても感謝しているんです」
「ソル……<背徳の炎>か。あれから連絡はないのか?」
ポチョムキンの問いに、ディズィーは黙って首を振る。
その横顔は、少し淋しそうであった。
「ま、あの男の事だ。わざわざディズィーに連絡なんかしてこないだろう」
軽口をたたくようなジョニーの言葉も、ディズィーの心を慰める事はできず、
彼女はますます顔をうつむかせてしまう。
そんなディズィーを見て、アクセルは思わずこう口走っていた。
「ねえカイちゃん。ディズィーちゃんのその言葉、旦那に伝えてあげなよ」
「はい!?」
突然の爆弾発言に、カイの声が裏返る。
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