「ふ・・・ん、む・・・」
懸命に口吸いをしながら政宗の服を脱がしてゆくガラシャ。
小屋に到着したときに甲冑を脱いでおいたのは良かったのか悪かったのかと
政宗は柔らかい唇を感じながらそんなことを考えていた。
やがて口内に舌が入り、歯筋をちろちろと舐められるとぴくりと体が震える。
「政宗、接吻は初めてか?」
されるがままの彼を見てガラシャはふとそんな事を聞いてくる。
「ば、馬鹿め当たり前のことを聞くな・・・!」
顔を赤くして言う政宗を見て、ガラシャは嬉しそうに笑う。
「政宗の初めて、わらわがもらえるのは嬉しい事なのじゃ」
そう言ってもう一度ちゅ、と唇を吸う。そんな彼女のしぐさを政宗は心底可愛らしいと思った。
が、態度に出すと負けてしまったように思われ、どうにも素直になれない。
ふんとそっぽを向いて濡れた唇を拭うだけだった。それを見て、ガラシャが寂しそうに見つめてくる。
「・・・わらわとの接吻は、嫌じゃったか?」
「そんなことは言っておらぬ!・・・別に嫌では、ない・・・」
「それなら、今度は政宗からするのじゃ」
正座をして手を膝に置き、唇を突き出して眼を閉じる彼女のそんなしぐさをいじらしく思うも、
どうにも本能のままに彼女を貪る自分が情けないように思えてしまって、政宗はなかなか踏ん切りがつかない。
だから政宗は、彼女の桜色の唇に自分のそれを押し付けるだけが精一杯だった。
それでも、ガラシャは嬉しそうに笑う。
(孫市・・・。こういう時は一体どうすれば良いのじゃ・・・)
自分のプライドとガラシャを愛でたいという気持ちの葛藤に政宗は苦しみながら親友を想う。
そんな政宗の胸中など露知らず、ガラシャは半裸になった政宗の胸に身を埋め、その首筋をつうと舌先でなぞった。
「う・・・ぁ」
ぞわりとするような快感が波立って、思わず声をあげてしまう。
「政宗、そちの気持ちの良い所、わらわに教えてたもれ・・・」
火照った顔で言いながら、ガラシャは政宗の少し日に焼けた体を丁寧に舐め上げる。
「ちょっと、しょっぱい、な」
「あ、汗をかいたから、・・・済まぬ」
何故か素直に謝る政宗に一瞬目をぱちくりさせ、それから優しくガラシャは笑った。
「謝ることはない。わらわも汗をかいておるのだし、それに、どんな政宗でも全部、わらわは欲しいのじゃ」
その台詞に堪え切れなくなって、思わず彼女をぎゅうっと抱きしめてしまう。
「貴様は・・・馬鹿だ・・・」
えへへ、と胸の中でガラシャの困ったような笑い声が聞こえた。
「政宗、政宗、ここは?」
「わ、悪くはない・・・」
積極的に政宗の体を指や舌で探ってくるガラシャにどうも反撃の機会を見つけられぬまま、
政宗はされるがままに快楽を感じるだけであった。
大体可愛らしい少女がその白い肢体を曝け出して、自分の体に触れているのだ、
どこを触られても気持ち良くない訳がなかった。
それでもぶっきらぼうに言い続ける政宗にガラシャは不満を感じてしまう。
「それじゃあ、・・・ここは?」
細い手でとうとう衣服の上からとは言え、下半身に触れられ、政宗は思わず大きく後ずさった。
「ここは・・・駄目だ」
「どうしてなのじゃ??」
「ど、どうしても駄目なものは駄目じゃ!」
必死に抵抗する政宗に、ガラシャは再び口づけをする。
「!ふ、んむ・・・、ん・・・!」
そうして力の抜けた彼の手をどけて、ガラシャは下半身の衣類に手を突っ込んでそれに触れた。
「こ、こら・・・!」
「これは・・・、硬くて、あったかいのう」
初めて感じる感触にガラシャは興味津々といった様子でそれを弄る。
どくどくと脈打つそれは、表面を上下に擦ると薄い皮が前後するようになっており、
ガラシャはそれが不思議で手で握り締めてゆっくりと動かした。
「うあ・・・、や、やめぬか・・・!」
今までとは明らかに反応が違う彼の様子に驚きながら、ガラシャは衣類と下穿きを脱がせ、改めてそれを見る。
「うわあ・・・」
初めて見るそれは薄桃色で、血管を浮き立たせながらそそり立っていた。
触るとぴくりと動くのが興味深い。不思議と、気持ち悪いとは思わなかった。
見られている本人は悔しそうに俯きながら、黙ってその羞恥に耐え忍ぶばかりである。
「こうすると、良いと聞いたことがあるぞ・・・」
そう言ってガラシャは、政宗の一物をぱくりと自分の口に咥え込む。
「なっ、何を・・・!ん、ああっ・・・!」
そのままじゅるじゅると唾液を絡ませながら自分の一物を舌でぬるりと絡めこまれ、政宗は堪らず声を上げる。
「ふ、んむ、む、ふぅ・・・」
少しでも気持ちよくなってもらおうと、ガラシャは拙い技量ながら懸命に一物を咥える。
裏にぴんと張る筋を舐めながら吸い付くようにして口を前後に動かすと、先からしょっぱい液が出るのが分かった。
一方顔を赤くし、涙を滲ませながら自分に奉仕するガラシャの姿と、
初めての口内の感覚に興奮して、政宗はあっという間に達してしまいそうになる。
必死に我慢するものの、彼女が喉の奥で締め付けるように亀頭を包み込むと堪えることができなくなってしまった。
「く、口を離せ・・・!う、あ、いかん・・・!」
言うことを聞かないガラシャの口の中で、結局政宗は果ててしまった。
「ひあっ!?けほけほっ・・・!」
いきなり勢い良く飛び出してくる白い液に、ガラシャは驚いてやっと口を離す。
ぴぴっとその液が、ガラシャの顔に飛んだ。
「だ、だから離せと言っただろうが馬鹿め・・・!」
内心済まなく思いながらも憎まれ口を叩いて、慌てて政宗は彼女の顔に飛んだ自分の白濁液を手拭で拭った。
「・・・苦いのじゃ」
口に入ったそれを、顔を顰めて飲み込むガラシャ。
「飲まんでいい飲まんで・・・」
顔を赤くして政宗がそれに突っ込む。
ほうとため息をついてガラシャが顔を赤くして身をくねらせた。
「ま、政宗、あの・・・」
困ったように眉を寄せながら、彼に抱きついて耳元で囁く。
「わらわにも、・・・触ってくれぬかの」
甘く耳にかかる吐息に、政宗は再び自分が高ぶるのを感じた。
ガラシャのそこは、既にしとどに濡れそぼっていた。
薄い下毛を掻き分け割れた秘部を指でなぞると、ガラシャが嬉しそうに声を上げた。
「ふぁ・・・!」
座っている政宗に抱きつき頬を摺り寄せてくるので、
彼は気持ちよいのだろうと確信しながら、繊細に入り組んでいるそこを恐る恐る指で撫で回す。
「ん、やっ、あ・・・!ふぅ、こ、こんなの、初めて・・・!」
「・・・気持ち良いのか?」
「は、んぅ・・・う、うん、お腹が・・・溶けそうなのじゃ・・・」
頬を朱に染め、切なそうに訴えるガラシャが可愛らしくて、ついつい政宗も我を忘れて抱き寄せてしまう。
ぐちゅぐちゅと音を立てながら指を潜らせてゆくと、やがてこりこりと硬い小さなものに当たった。
そこを押さえつけると腕の中でガラシャの体がびくりと跳ねた。
「ぃああっ・・・!は、な、なに、・・・ん・・・!」
「ここ、・・・か?」
「や・・・だ、だめ、・・・っ、は、こ、こわい・・・!」
爪で弾き、指で擦ると彼女は涙を滲ませて一層体を震えさせる。
にちにちとその肉芽に蜜を絡ませながら虐めると、ガラシャは喉をひくつかせて鳴いた。
「あぁ・・・っ・・・!まさむ、ね・・・!や・・・、怖いのじゃ・・・!」
「怖くなぞない、儂がおる。・・・遠慮せずに飛ぶが良い」
今にもいきそうな彼女に興奮しながらも、冷静を保ったまま彼は指をぐりぐりと押し付けた。
「ふぁ・・・!ん・・・、ぁ、ああっ・・・!」
潤んだ瞳を大きく見開いて、ガラシャの体がびくりびくりと跳ね上がる。
「は、ぁ、・・・こ、こんな・・・、ん・・・」
皆まで言う気力もなく、がくりと頭を政宗の胸に埋めて、ガラシャが力なく彼を抱きしめる。
子供のようにへばりつく彼女の頭を撫でて、政宗は苦笑した。
「下らん意地など、・・・返って情けなかったのかもしれぬな」
乱れた息を整えようとしながら、ガラシャはその言葉に頭をもたげて彼を見つめる。
汗で額に張り付いた彼女の髪の毛を優しく除けながら、政宗は笑った。
「儂もおぬしを好いておる。・・・おぬしくらいのじゃじゃ馬、儂でないと乗りこなせんわ。
だから、ずっと儂の元に居ろ。・・・ガラシャ」
それを聞いてガラシャは、心底嬉しそうに、安堵したように微笑んだ。
「政宗、政宗!いっぱい、いっぱい大好きなのじゃ!」
子犬のように頭を摺り寄せて甘えてくる彼女に、再び苦笑して宥める様に抱きしめる。
「ふん・・・、おぬしはそうやって、儂のところに居れば良いわ」
その言葉にガラシャは何度も頷いて、満面の笑みを浮かべた。
そして改めて彼に告げる。
「わらわは、政宗をいっぱい好いておる。だから、
・・・政宗。今宵はわらわの中で、天に昇ってくれはせぬか?」
つまりは一つになろうということを先に言われてしまったので、
政宗はなんだか男として情けない様な気がして思わず声を荒げてしまった。
「あ、当たり前じゃ!大体女子がその様な事を恥ずかしげもなく言うでない馬鹿め!」
「す、済まぬ・・・。・・・なんで怒るのじゃ???」
「怒ってなどおらぬわ馬鹿め・・・!」
ますます立つ瀬がなくなったような気がして、彼は拗ねた様にそっぽを向くしかなかった。
彼女の髪色と同じ色の下毛は、彼女自身の蜜によってじっとりと濡れていた。
まだ成長しきっていない秘部は政宗のそれを受け入れるには少々小さいように見えるが、
中を指で開いてみると桜色の花弁は物欲しそうにひくひくと蠢いている。
初めて見る女性の秘部の淫靡な光景に胸を高鳴らせながら、政宗は自身をそこにあてがった。
しかし表面が余りにもぬめっていて、蜜壷に入れようにもにちにちと滑らせてしまうだけである。
それを焦らしと取ったのか、ガラシャは細い腰を困ったようにくねらせて喘いだ。
「や・・・、政宗、意地悪なのじゃ・・・」
「いや、そんなつもりでは・・・」
慌てて指で花弁をまさぐりながら一物を蜜壷に収めようとするが、慌てれば慌てるほど、
そこは逃げるかのようにぬるりとした粘膜でかわされてしまう。
「んやっ、も、もぅ・・・、な、はぁ・・・ん!」
早く、と言いたいのを堪え、顔を真っ赤にして呻くガラシャ。
それでも表面を擦るたびに柔らかな花弁と硬くなった肉芽の感触が一物にぞわぞわと快感を与えるので、
政宗はこれはこれでと思いながらしばらくそうやって己自身を割れ目に這わせることに夢中になってしまう。
赤くなった裂け目が熱と粘膜を帯び、にちゃにちゃと音を立てて彼自身を包み込む。
堪らなくなったガラシャはがばりと起きて行為に夢中になっていた政宗を押し倒した。
「もう!・・・わらわにこのような所業、許さぬぞ、政宗!」
ぷうと頬を膨らませて政宗に馬乗りになり、そそり立つ一物の根元を握って自分の蜜壷へと亀頭を向けた。
「そ、そういうことは儂から先に・・・!」
まるで自分が襲われているような体勢になって男としての面目が立たないと思った政宗は、
慌てて起き上がろうとする。しかしその前にガラシャが彼を自分の中に収める方が早かった。
「ひ、ああぁあっ!?」
「うぁ・・・!!」
既にたっぷりと体液に溢れかえっていたガラシャの中は、
少し先を収めただけであっという間に政宗の肉棒をその中へと押しやってしまった。
少しずつ挿れていこうと思っていたガラシャも、
突然一気に押し寄せてきた衝撃に顔を朱に染めて口をぱくぱくとさせるしかなかった。
対する政宗もまた、急に己を包み込む肉壁の蠢きにただただ戦慄くしかない。
温かくとろりとした柔らかい粘膜が自分をひくりひくりと擦り付けるので、
とにかく達さないようにと意識を保つことに必死だった。
「ふにゃ・・・、な、なんなのじゃ、これ・・・、すごい・・・!」
既に充血して物欲しさで一杯だったそこに、貫くように一気に入ってきた肉棒は、
ガラシャにかつてない快楽を存分に与えていた。
それがもっともっと欲しくなって、彼女は嬌声を上げて腰を振る。
「ちょ、ちょっと待て、う・・・はぁ・・・!」
ざわざわと波のように蠢く蜜壷の中で堪えるだけでも精一杯なのに、
もっと奥へと誘われるように動かれてしまっては我慢が出来そうにもない。
必死で待てとガラシャに訴えるが、既に快楽を貪るガラシャに彼の声など聞こえる由もなかった。
「ぁ、あっ、ふ・・・、んっ、きもち、いぃ・・・!」
快感の僕と化したガラシャは政宗の上で嬉しそうに頬を染めて腰を打ちつけている。
白い肢体のあちこちが上気して赤く熟れ、交わっている秘部からは溢れるように蜜が滴る。
「こんの・・・っ、じゃじゃ馬め・・・っ!」
一方的に快楽を与え続けられ、自分から動くと直ぐに達してしまいそうな政宗は、
結局何もできぬまま必死に己の意識を堪えることしかできない。
予想外のガラシャの中の気持ちよさと、彼女の性への貪欲さに舌を巻きながら、
彼は自分の上で踊るように跳ねる幼い体をただただ見つめていた。
憎らしげに言葉を吐く政宗を見てガラシャは彼に顔を近づけて囁いた。無論腰は動かしたままだ。
「政宗、ん・・・、そちは気持ちようないのか・・・?」
汗ばんだ頬を撫でながら切なく聞いてくる彼女に、政宗は胸を熱くする。
「き、気持ち良過ぎるから困っておるのだ!」
「そんなの・・・、困ることなどなかろうに」
ふふ、と妖しげに笑うガラシャ。
普段のあの子供っぽい彼女のどこにこんな妖艶さが潜んでいたのかと思い、
政宗はくらくらしながら快楽に飲まれてゆく。
汗ばんだ白い肌は彼の少し褐色目の肌にしっとりと吸い付いてくる。
ぎゅうと体を離さぬように押し付けてくる彼女の上半身にある幼い乳房は、先端を硬くして政宗の胸に摺り寄せられた。
それが偶然にも政宗のやはり幾分固くなったそれに当たると、ガラシャはひんと声を上げた。
それを見た政宗はせめてもの反撃にと両手で多少乱暴にぐにぐにと彼女の乳房を揉みしだく。
「ああっ・・・!だ、だめ・・・!」
先端を摘む度に蜜壷をきゅうんと締め付けながら、ガラシャは困ったように身を捩った。
何らかの刺激を与えるたびに素直な反応を見せる彼女が、どうしようもなく可愛らしい。
「ま、政宗、これは・・・?」
言いながらまだ肉の薄い臀部を精一杯ぐるりと回し、そのまま先端だけにちにちと咥え込む。
初めてとは思えぬその技量に、政宗は堪らず呻いた。
「政宗・・・!可愛いのう・・・!」
「う、煩いっ!」
奥州王としてプライドの高い政宗がそんな事を言われて嬉しいはずもなく。
ただただ顔を真っ赤にして視線を外す事しか出来ない。
そんな仕草さえもガラシャには可愛いとしか思えなく、
またそんな彼を見ることが出来るのが自分だけだと思うと嬉しくなって精一杯の力で抱きしめる。
互いの心音と熱が交わるのが感じられた。
「政宗、わらわは、もう・・・」
必死に腰を揺らしながら、ガラシャが切なく声を上げて鳴く。
正直早々に達してしまいそうだった政宗にとって、それはなんだか嫌味に聞こえて仕方がなかった。
「全く・・・、おぬしには振り回されてばかりじゃ」
それでもやっぱり、今の政宗にとって彼女は愛らしいとしか思えなかった。
漸く上り詰めたガラシャに、政宗はやっと自ら律動を与える事が出来た。
それまで自分で動いていたよりも激しく、強い動きにガラシャは涙を滲ませて震える。
「ん、あぁっ、んっ、あっ・・・!政宗、気持ち良いのじゃ・・・!」
その内にぞくぞくとした快感が背筋から駆け上がり、
ガラシャはやはり怖くなって必死に政宗を抱きしめた。
どうやら達することにはまだ慣れていないようである。
そんな彼女を抱き寄せながら、彼は今まで堪えていた分とでも言うように必死に下から腰を突き上げる。
すっかり熱で火照った肉壁を壊すくらいに貫き、もっと欲しくなって乱暴に腰を振る。
細い腰を押さえつけるようにして両手で押さえ込み、ぐちゅぐちゅと激しく攻め立てた。
結合部分から溢れ出る体液は、しとどに二人の股を濡らしもはやどちらのものかも分からない。
「政宗、政宗・・・!怖いから・・・、離れるのは嫌じゃ・・・!」
快楽に白む頭に怯えながら、ガラシャはぎゅうと政宗の背に腕を回す。
「怯えるな、儂がついておる・・・!ずっと、ついておる・・・!」
もはや声が届いていないかもしれないガラシャを前にして思わず想いの丈をぶつけながら、
政宗は桃色に上気した幼くも女の肢体を腕に抱いて、政宗は高みへと一層腰を強く突き動かした。
歳若いためにまだ細めではあるが、日頃の鍛錬で鍛えられた彼の下半身は、
一気にガラシャを快感の海へと放り出してしまう。
「あ、あっ!はぁ・・・っ!ひ・・・、ああああっ───!!!!」
涙を零しながら大きく目を見開いて、ガラシャは政宗の腕の中でがくがくと体を震わせた。
達した反動で彼女の膣内もきゅうと締まり、それで政宗も己の精を吐き出してしまう。
「ぅ・・・ん、・・・っ!」
ふるりと身を震わせると、白く濁った温かい液がどろりとガラシャの胎内に零れていく。
「ふ・・・、熱いのじゃ・・・」
どくどくと自分の中に注がれる子種の熱を感じながら、ガラシャは子猫のように政宗に擦り寄った。
自分の胸に顔を埋める彼女を見ながら、政宗は放心したようにぼんやりと湿った赤毛を指で玩ぶ。
そんな彼の仕草に何故か堪らなくなって、ガラシャは無邪気にぐりぐりと頭を擦り付けた。
「痛っ、な、なんじゃいきなり・・・!」
半ば惚けていた政宗は我に返ってガラシャの頭を引き剥がすように片手で掴む。
「政宗、政宗っ!」
胸いっぱいに幸せを感じながら、政宗のそんな無愛想な態度にも気を悪くせず、
ガラシャは勢い良く政宗の胸に飛び込んでいく。
その反動で、体を弛緩させていた政宗の頭ががつんと壁に打ち付けられた。
「あだっ!」
一瞬怒鳴ろうとして、──気が削がれる。
腕の中の少女は、それはもう本当に幸せそうに笑いながら、自分をしっかり抱きしめていたからだ。
今度ばかりは優しく笑うことが出来て、政宗はそんな彼女に応えるように頭をそっと撫でるのだった。
「な、なにい!?孫市、話が違うではないか!!」
後日再び城を訪れて来た友人の発言に、政宗は声を荒げた。
雑賀衆の無償での貸し出しの取引を取り止めにすると言って来たからである。
が、孫市はどこ吹く風とでも言うように肩を竦めながらそれに反論する。
「んなこと言ったってよぉ、俺は嬢ちゃんに手ぇだして良いとは言ってないんだけどねぇ」
そこでぴたりと政宗の動きが止まる。さっと青ざめる彼の耳元で、孫市は面白そうに囁いた。
「拾った責任は自分で取れ・・・、だったっけ?おまえやっちゃった責任はどーすんのさ」
勿論、そのつもりはあった。大体一夜限りの睦み事では終わらず、
結局孫市が来るまでの数日の間に幾度も体を重ねてしまったのである。
更に、これは責任以前の問題で、政宗はとうの昔にガラシャを手放す事が惜しくなっていた。
しかしやはり彼のプライドが邪魔して、今日まで彼女に孫市と発つのかどうか、聞くことができないでいたのだ。
「で、どーすんの?」
わしわしと政宗の髪を乱しながら、孫市。
「ど、どうするもなにも・・・」
もうどうにでもなれと言った風に、政宗が声を上げた。
「責任どうこう以前に儂はとっくの昔にあやつに惚れておる!
・・・わかった孫市。雑賀衆の件はなしにしてやるから、あの娘は大人しく儂に渡すがよい!」
なにがなんだかわからないがとにかく変わらず偉そうに言いきる彼に、孫市は腹を抱えて笑い転げた。
「わ、笑うな!馬鹿め!」
顔を真っ赤にして政宗が怒鳴る。
「と、とにかく、おまえの気持ちは良く分かった・・・。あーおかし・・・。
ま、こんだけ言ってくれりゃ良いんじゃないの嬢ちゃん」
どこともなしに視線を向けながら孫市が言うと、城の物陰からガラシャがぴょこんと飛び出してきた。
「満足じゃ!政宗・・・、そちはわらわをちゃんと慕ってくれておったのだな!」
頬を染めて言う彼女とは裏腹に、政宗はふるふると拳を握って呻く。
「き、貴様ら・・・!謀ったな・・・!!」
「まぁーまーま。女心ってのは複雑なもんさ。おまえきちんと言ってやんないと伝わらないもんだぜ?」
ぽんぽん、と政宗の頭を叩いて孫市が笑った。
「こんだけ仲取り持ってやったんだから、貸し出し帳消しくらい安いもんだろ。
・・・嬢ちゃん。こいつは意地っ張りだが悪い奴じゃない。仲良くしてやんな」
「うむ!孫市も、何かあったらすぐわらわを呼ぶのじゃぞ!ダチの約束、忘れはせぬからな!」
そして互いに拳をぽんと合わせた後に、孫市が片手を挙げて去っていく。
ただただそれを呆然としながら見送る政宗の手を、ガラシャはくっと引いた。
どうかしたの?とでも言いたげなその瞳に、それまで罵詈雑言を胸中で唱えていた政宗の気は削がれ、
大きくため息をつくことしか出来なかった。
「・・・もういい」
そう言って踵を返し城に戻ろうとして、──立ち止まって、ガラシャを見やる。
「さっさとついて来ぬか、・・・馬鹿め」
ガラシャは嬉しそうに大きく頷いて、彼に走りよりその手を握り締めた。
ガラシャの出身が明智家だと聞いて政宗が悲鳴をあげるのは、また別のお話。
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