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こころ



ふと魔が差して、女を抱く腕に力を込めた。
女は短く喘いだものの、それ以上は何も言わない。

ならば何か吐かせてやろうと、掴んだ胸に歯を立てた。
今度は少し、苦しそうな表情を見せただけで、しかし咎めることは無かった。

それならば。

次第に自棄になって、その日は乱暴に女を犯した。
完全に征服した後に女の顔を見ると、何か物言いたげな目線を寄越しただけで、そっと睫毛を伏せた。


何故、こんなことになってしまったのだろうか。
初めて会ったときは、単純に良い女だと思った。
次第に言葉を交わし、行動をともにする内に、欲しいと思った。
そして女を抱く度に自分に心が無いことは判っていたが、次を求めずにはいられなかった。

―――そもそもこの女が自分の誘いを断るはずがないのだ。

その答えはあまりにも明確だった。
もしも王になどならなかったら、この女は私に全てを呉れていただろうか。
それとも。


こみ上げる自嘲を抑えれきれない。
いつもより辛そうな顔をする女を胸に抱いて、目を閉じた。



夜が明けるまでは、まだ時間が掛かる。
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