JOY TO MY LIFE
ジョニーは打ちのめされていた。今まで生きてきた、決して長くもないが
短くもない人生の中でもベスト3にランクインするほどに。
「……俺と、したことが……」
苦々しくうめいて宙を仰ぐ。
と、ジョニーを打ちのめした元凶が、どこか緊張感の欠けた可愛らしい声で
「あのぉ……どうかしたんですかぁ?」
と尋ねてくる。しかし、ジョニーは敢えて無視を決めこんでいた。
何より、返す言葉がない。
「このジョニー……一生の不覚だ……」
それでも、のほほんとした声は降ってくる。
「途中で剣筋が鈍ったから、ウチはラッキーだったけど……
どこか具合でも悪いんですか?」
悪意がなく、あくまでもジョニーのことを案じているその言葉に観念し、ジョニーは
深く深く嘆息して、ゆっくりと顔を上げた。
視界に飛び込んできたのは、誰もが認める極上の美少女だった。蜂蜜色の髪は
太陽の光を浴びて眩しいほどに輝いており、
水色の瞳は澄んだ湖のようなきらめきを放っている。
彼女は心配そうにこちらをうかがっていた。座り込んでしまっているこちらに合わせて
屈んでいる様は、可憐の一言に尽きた。
それでも、その美貌はジョニーの心を動かすことはできなかった。
何故なら──
「お前……男だろ」
「はい。そーですよ」
やっとの思いで口にした衝撃の事実をあっさりと肯定され、がっくりと肩を落とす。
「男を……口説いちまうとは……あまりにも不覚だ」
「ああ、この格好にはちょっとワケがありまして」
自らの衣装を見下ろした美少女……もとい、少年はぴっと人差し指を立てた。
しかし、そんな彼の言葉も、ジョニーの耳にはロクに入っていない。
「も、いい。わかったから……消えてくれ」
ジョニーにしては切実な懇願も、少年にとっては機嫌を損ねるものだったらしい。
「……先に剣を向けてきたのはそちらですよ?」
あどけなさの残る愛らしい顔で睨まれてもまるで迫力はないが、彼がどうやら怒っている
らしいことはわかった。確かに、抜き身の刃物を突きつけられて、いい顔をできる人間はいないだろう。
「判った……俺が悪かった。悪かったから、勘弁してくれ」
とにかく目の前の小悪魔──脳裏にひらめいた言葉があまりにもぴったりすぎることに、
改めてげんなりするがそれは置いておいて──に立ち去ってほしい一心で詫びる。
修道女(シスター)のような格好をした少年は、今ひとつ納得できずに首を傾げていたが、
幸運なことにジョニーの心意気は伝わったようだ。
「別に、もう気にしてないからいいですけど……。じゃあウチ、もう行きますよ?」
「ああ。……おっと、このことはくれぐれも他言無用にな」
胸をなでおろしつつもしっかり釘を刺すのは忘れない。
ジョニーにいつもの調子が戻ってきた証拠である。
「あのぉ……」
「ん?何だ、坊主」
「だから……さっきのクルーにならないかって話、お断りしますね」
少年が真顔で言ったのを聞き、ジョニーはかくんと顎を外した。
「そんなの当たり前だ。ウチは女子のクルーしか認めてねぇからな」
ふと、この少年があのセーラー服を着たら可愛いかもしれない、などと考えてしまったことは、
後々墓まで持っていこうと誓う一時の気の迷いである。
しかし、少年は次の瞬間、ジョニーにとって最も衝撃的な一言を言い放った。
「じゃあ、あなたは女の人しか救わないんですね」
その言葉に──冗談でなく全身の血の気が引いていった。
少年に他意はないのだろう。純真無垢に見えるその笑顔からは皮肉の色は見て取れない
──これが悪意に満ち満ちた言葉であるのなら、一体この世の中の何を信じたらいいのか。
否。だからこそ、なおのことジョニーの胸を鋭くえぐった。
「なん……だって?」
「だって、あなたは救いたいって思う人をクルーに誘うんでしょう?
女の人しかクルーとして認めないって言ったじゃないですか」
それって、そういうことですよね?
直球ストレートで尋ねられ、ジョニーの頬を冷や汗が流れる。
「あ~それは、だなあ……」
「ああ、別にいいと思いますよ。人それぞれ、考えてることとか信念とか違いますし。
ウチだって、よく不幸だって言われますけど、ホントにホントに、そんな風に
思ったことなんて一度もないんです」
あっけらかんと、そんな風に言い切ってしまえるこの少年は、強い。少年が望み、
手に入れた強さとは、強靭な鋼のような、堅さ──そういうものだった。
しかし。
すべてを失ったあの日、差しのべられたたくましい腕にジョニーが見たものは、
それとは異なる強さだった。
包み込むような慈愛と、しなやかさを兼ね備えた、強さ。
それこそジョニーが憧れ、目指し続けた先にあるものだ。
だというのに──
『ディズィーを、頼む……』
そう告げた、断腸の思いでそう言わねばならなかった男の顔を思い出す度、
ジョニーはいたたまれなくなる。
本当に、あれで良かったのかという後悔が、未だ胸を苛むのだ。
ディズィーがあの森で、静かに暮らし続けることを望まず、暖かな家族と共に
生きていくことを選んだのは紛れもない事実だ。
しかし
彼女を守り続けることを贖罪として生きることを誓った男から、その生きがいを──
生きる活力を奪ってしまったこともまた、事実だ。
しかし、ジョニーは彼、テスタメントをクルーの一員として迎えようとはしなかった。
理由は、ある。
いくらジョニーのメイシップでも、一度に二体──二人のギアを抱え込むことなど
不可能だったし、もしそのようなことになったら、ツェップや警察機構も、
彼らを見逃してはくれぬだろう。
こうするより他に、なかったのだ。そのことに、偽りはない。
しかし
救いを求めていたのは、ディズィーだけではなかったはずだ。
テスタメントもまた、己の望まぬ力に振り回され、傷ついてきた。その彼がようやく
たどり着いたひとすじの光明──希望。
奪ったのは、俺だ。
胸中でうめいた言葉はあまりにも苦く。
それでも、後悔を覚えることは許されず。
答えは未だ、出ない。
不意に、口の中に広がる錆びた鉄の味。
「……おっと」
いつの間にか、強く噛みしめすぎた唇から血が流れ出している。
「どうか、したんですか?」
少年は、まだ辛抱強くこちらを見上げてきている。あるいは、ジョニーが物思いに
ふけっていたのは、存外短い時間だったのかもしれない。
「いいや」
大きく頭を振って、黒髪の男の顔を意識して頭の中から追い出す。「そういえば、お前さん、
そのカッコには何やら事情があるって言ってたな」
「ええ」
少年はこくん、と頷いて話し始めた。
彼の名はブリジットといい、双子の兄がいるのだという。彼が生まれた村には、男児の
双子には災いがあるといわれ、苦渋の末、彼の両親はブリジットを女の子として
育てたのだという。
「ごめんねっていうのが両親の口癖だったんです」
ブリジットはちょっと笑う。その笑みは、すこしだけさびしそうだ。「ウチは不幸だなんて
思ったこと、一度もないのに。父様と母様と、兄様と暮らせるだけで十分幸せだったのに。
でも、ウチがいくらそう言っても、父様も母様も信じてくれなかったんです」
「だから賞金を稼いで、両親を安心させようとしてたのか」
「ハイ」
「だがな、残念ながら、うちのクルーにはもう賞金はかかってないんだ。あきらめてくれ」
「そのようですね。ご迷惑をおかけしました」
ぺこりっと頭を下げるブリジットに、少しだけ罪悪感を覚えるが、まあ、知らぬが仏と
いう言葉もあることだし、ここは、自分が賞金首であることは伏せておく。
「だから、ウチはこれから第二の人生を歩むにふさわしい道を探そうと思うんです」
「そうだな」
「だから、ジョニーさんも落ち込んじゃだめです。何があったか知らないけれど、ジョニーさんが
決めたことなら、きっと間違ってないんです。少なくとも、ジョニーさんにとっては。
だから、もっと胸を張らないと」
ジョニーはまじまじとブリジットを見つめた。わずか14歳の少年に説教をされてしまった。
しかし、今日はそんなことすら痛快だ。
「そう、だな。ありがとうよ、ブリジット」
「いえいえ。どういたしまして」
ジョニーが手を差し出すと、ブリジットは握手に応じる。その手は小さくてやわらかかったが、
たしかに少年の、そして戦う戦士のものだった。
「じゃあ、今度こそウチ、行きます」
言って、ブリジットはとんとん、とつま先で地面を叩いた。
「ああ」
「また、会えるといいですね」
「……そうだな」
返答に微妙な間があいてしまったのは、何というか、複雑な男心というヤツである。
「さよなら。ジョニーさん!」
言うが早いか、ブリジットは、くるりとジョニーに背を向けて走り去っていった。
その後姿を見送りながら、ジョニーはため息をひとつ。
しかし、それは決して苦いものではなかった。
「やれやれ。何ていうか……暴走(スタンピード)ってカンジの坊やだったな」
つぶやいて空を見上げると、愛しのメイシップが大空を美しく泳いでいた。
「ジョニー、手紙が来てるよ」
メイシップの自室でくつろいでいたジョニーの元に、そう言って手紙を持ってきたメイは、
明らかに不機嫌だった。
「おお、サンキュ。んん~どうしたハニー?可愛い顔が台無しだぜ」
「だってそれ、絶対女の子からだもん!!」
叫んで、ジョニーに手渡したばかりの手紙を指差す。
確かに、可愛らしいカンジの封書だったし、書かれている文字は丸文字。
メイが誤解するのも無理はない。
しかし
ジョニーは笑って手を振った。
「あ~あ~違う違う。こいつぁな、そうだな……ダチってところか」
「え~!!絶対女の子からだよ。誤魔化そうとしたって、ボクにはわかるんだからねっ」
しつこく詮索してくるメイに、ジョニーは苦笑するしかない。その手紙には、
差出人のところにブリジットと書かれてあった。
おそらく、あの、ブリジットだろう。
中身を覗き込もうとするメイを上手くあしらい、ジョニーは封を開けた。
中には、便箋と、写真が一枚ずつ。
『新しい居場所を見つけました』
几帳面な丸文字でそれだけを綴った手紙に苦笑し、写真を見て口笛を吹く。
そこには、カメラに向かって大きくVサインを出しているブリジットと、彼に腕をとられて
バランスを崩している金髪の青年が映っていた。
こうして並んで映っていると、まるで本物の兄弟のようだ。
「なぁるほど……そうきたか」
思わず笑って口にすると
「ジョニー!やましいところがないなら、メイにも見せてよ~!!」
「だめだ」
「そーゆーこと言うなら、今晩はジョニーだけ晩御飯ヌキだからね!!」
焦れたメイが、最終手段を持ち出す。
「おいおい、そりゃ卑怯だろ」
「ふん、ジョニーなんて、知らないんだから!」
頬をふくらませて怒るメイの頭を優しくなでて、ジョニーは目を細めた。
これが、俺の幸せってヤツだ。
じんわりと胸が暖まるのを感じながらジョニーは、とりあえずどうやって
メイのご機嫌をとろうか考え始めた。
ジョニーは打ちのめされていた。今まで生きてきた、決して長くもないが
短くもない人生の中でもベスト3にランクインするほどに。
「……俺と、したことが……」
苦々しくうめいて宙を仰ぐ。
と、ジョニーを打ちのめした元凶が、どこか緊張感の欠けた可愛らしい声で
「あのぉ……どうかしたんですかぁ?」
と尋ねてくる。しかし、ジョニーは敢えて無視を決めこんでいた。
何より、返す言葉がない。
「このジョニー……一生の不覚だ……」
それでも、のほほんとした声は降ってくる。
「途中で剣筋が鈍ったから、ウチはラッキーだったけど……
どこか具合でも悪いんですか?」
悪意がなく、あくまでもジョニーのことを案じているその言葉に観念し、ジョニーは
深く深く嘆息して、ゆっくりと顔を上げた。
視界に飛び込んできたのは、誰もが認める極上の美少女だった。蜂蜜色の髪は
太陽の光を浴びて眩しいほどに輝いており、
水色の瞳は澄んだ湖のようなきらめきを放っている。
彼女は心配そうにこちらをうかがっていた。座り込んでしまっているこちらに合わせて
屈んでいる様は、可憐の一言に尽きた。
それでも、その美貌はジョニーの心を動かすことはできなかった。
何故なら──
「お前……男だろ」
「はい。そーですよ」
やっとの思いで口にした衝撃の事実をあっさりと肯定され、がっくりと肩を落とす。
「男を……口説いちまうとは……あまりにも不覚だ」
「ああ、この格好にはちょっとワケがありまして」
自らの衣装を見下ろした美少女……もとい、少年はぴっと人差し指を立てた。
しかし、そんな彼の言葉も、ジョニーの耳にはロクに入っていない。
「も、いい。わかったから……消えてくれ」
ジョニーにしては切実な懇願も、少年にとっては機嫌を損ねるものだったらしい。
「……先に剣を向けてきたのはそちらですよ?」
あどけなさの残る愛らしい顔で睨まれてもまるで迫力はないが、彼がどうやら怒っている
らしいことはわかった。確かに、抜き身の刃物を突きつけられて、いい顔をできる人間はいないだろう。
「判った……俺が悪かった。悪かったから、勘弁してくれ」
とにかく目の前の小悪魔──脳裏にひらめいた言葉があまりにもぴったりすぎることに、
改めてげんなりするがそれは置いておいて──に立ち去ってほしい一心で詫びる。
修道女(シスター)のような格好をした少年は、今ひとつ納得できずに首を傾げていたが、
幸運なことにジョニーの心意気は伝わったようだ。
「別に、もう気にしてないからいいですけど……。じゃあウチ、もう行きますよ?」
「ああ。……おっと、このことはくれぐれも他言無用にな」
胸をなでおろしつつもしっかり釘を刺すのは忘れない。
ジョニーにいつもの調子が戻ってきた証拠である。
「あのぉ……」
「ん?何だ、坊主」
「だから……さっきのクルーにならないかって話、お断りしますね」
少年が真顔で言ったのを聞き、ジョニーはかくんと顎を外した。
「そんなの当たり前だ。ウチは女子のクルーしか認めてねぇからな」
ふと、この少年があのセーラー服を着たら可愛いかもしれない、などと考えてしまったことは、
後々墓まで持っていこうと誓う一時の気の迷いである。
しかし、少年は次の瞬間、ジョニーにとって最も衝撃的な一言を言い放った。
「じゃあ、あなたは女の人しか救わないんですね」
その言葉に──冗談でなく全身の血の気が引いていった。
少年に他意はないのだろう。純真無垢に見えるその笑顔からは皮肉の色は見て取れない
──これが悪意に満ち満ちた言葉であるのなら、一体この世の中の何を信じたらいいのか。
否。だからこそ、なおのことジョニーの胸を鋭くえぐった。
「なん……だって?」
「だって、あなたは救いたいって思う人をクルーに誘うんでしょう?
女の人しかクルーとして認めないって言ったじゃないですか」
それって、そういうことですよね?
直球ストレートで尋ねられ、ジョニーの頬を冷や汗が流れる。
「あ~それは、だなあ……」
「ああ、別にいいと思いますよ。人それぞれ、考えてることとか信念とか違いますし。
ウチだって、よく不幸だって言われますけど、ホントにホントに、そんな風に
思ったことなんて一度もないんです」
あっけらかんと、そんな風に言い切ってしまえるこの少年は、強い。少年が望み、
手に入れた強さとは、強靭な鋼のような、堅さ──そういうものだった。
しかし。
すべてを失ったあの日、差しのべられたたくましい腕にジョニーが見たものは、
それとは異なる強さだった。
包み込むような慈愛と、しなやかさを兼ね備えた、強さ。
それこそジョニーが憧れ、目指し続けた先にあるものだ。
だというのに──
『ディズィーを、頼む……』
そう告げた、断腸の思いでそう言わねばならなかった男の顔を思い出す度、
ジョニーはいたたまれなくなる。
本当に、あれで良かったのかという後悔が、未だ胸を苛むのだ。
ディズィーがあの森で、静かに暮らし続けることを望まず、暖かな家族と共に
生きていくことを選んだのは紛れもない事実だ。
しかし
彼女を守り続けることを贖罪として生きることを誓った男から、その生きがいを──
生きる活力を奪ってしまったこともまた、事実だ。
しかし、ジョニーは彼、テスタメントをクルーの一員として迎えようとはしなかった。
理由は、ある。
いくらジョニーのメイシップでも、一度に二体──二人のギアを抱え込むことなど
不可能だったし、もしそのようなことになったら、ツェップや警察機構も、
彼らを見逃してはくれぬだろう。
こうするより他に、なかったのだ。そのことに、偽りはない。
しかし
救いを求めていたのは、ディズィーだけではなかったはずだ。
テスタメントもまた、己の望まぬ力に振り回され、傷ついてきた。その彼がようやく
たどり着いたひとすじの光明──希望。
奪ったのは、俺だ。
胸中でうめいた言葉はあまりにも苦く。
それでも、後悔を覚えることは許されず。
答えは未だ、出ない。
不意に、口の中に広がる錆びた鉄の味。
「……おっと」
いつの間にか、強く噛みしめすぎた唇から血が流れ出している。
「どうか、したんですか?」
少年は、まだ辛抱強くこちらを見上げてきている。あるいは、ジョニーが物思いに
ふけっていたのは、存外短い時間だったのかもしれない。
「いいや」
大きく頭を振って、黒髪の男の顔を意識して頭の中から追い出す。「そういえば、お前さん、
そのカッコには何やら事情があるって言ってたな」
「ええ」
少年はこくん、と頷いて話し始めた。
彼の名はブリジットといい、双子の兄がいるのだという。彼が生まれた村には、男児の
双子には災いがあるといわれ、苦渋の末、彼の両親はブリジットを女の子として
育てたのだという。
「ごめんねっていうのが両親の口癖だったんです」
ブリジットはちょっと笑う。その笑みは、すこしだけさびしそうだ。「ウチは不幸だなんて
思ったこと、一度もないのに。父様と母様と、兄様と暮らせるだけで十分幸せだったのに。
でも、ウチがいくらそう言っても、父様も母様も信じてくれなかったんです」
「だから賞金を稼いで、両親を安心させようとしてたのか」
「ハイ」
「だがな、残念ながら、うちのクルーにはもう賞金はかかってないんだ。あきらめてくれ」
「そのようですね。ご迷惑をおかけしました」
ぺこりっと頭を下げるブリジットに、少しだけ罪悪感を覚えるが、まあ、知らぬが仏と
いう言葉もあることだし、ここは、自分が賞金首であることは伏せておく。
「だから、ウチはこれから第二の人生を歩むにふさわしい道を探そうと思うんです」
「そうだな」
「だから、ジョニーさんも落ち込んじゃだめです。何があったか知らないけれど、ジョニーさんが
決めたことなら、きっと間違ってないんです。少なくとも、ジョニーさんにとっては。
だから、もっと胸を張らないと」
ジョニーはまじまじとブリジットを見つめた。わずか14歳の少年に説教をされてしまった。
しかし、今日はそんなことすら痛快だ。
「そう、だな。ありがとうよ、ブリジット」
「いえいえ。どういたしまして」
ジョニーが手を差し出すと、ブリジットは握手に応じる。その手は小さくてやわらかかったが、
たしかに少年の、そして戦う戦士のものだった。
「じゃあ、今度こそウチ、行きます」
言って、ブリジットはとんとん、とつま先で地面を叩いた。
「ああ」
「また、会えるといいですね」
「……そうだな」
返答に微妙な間があいてしまったのは、何というか、複雑な男心というヤツである。
「さよなら。ジョニーさん!」
言うが早いか、ブリジットは、くるりとジョニーに背を向けて走り去っていった。
その後姿を見送りながら、ジョニーはため息をひとつ。
しかし、それは決して苦いものではなかった。
「やれやれ。何ていうか……暴走(スタンピード)ってカンジの坊やだったな」
つぶやいて空を見上げると、愛しのメイシップが大空を美しく泳いでいた。
「ジョニー、手紙が来てるよ」
メイシップの自室でくつろいでいたジョニーの元に、そう言って手紙を持ってきたメイは、
明らかに不機嫌だった。
「おお、サンキュ。んん~どうしたハニー?可愛い顔が台無しだぜ」
「だってそれ、絶対女の子からだもん!!」
叫んで、ジョニーに手渡したばかりの手紙を指差す。
確かに、可愛らしいカンジの封書だったし、書かれている文字は丸文字。
メイが誤解するのも無理はない。
しかし
ジョニーは笑って手を振った。
「あ~あ~違う違う。こいつぁな、そうだな……ダチってところか」
「え~!!絶対女の子からだよ。誤魔化そうとしたって、ボクにはわかるんだからねっ」
しつこく詮索してくるメイに、ジョニーは苦笑するしかない。その手紙には、
差出人のところにブリジットと書かれてあった。
おそらく、あの、ブリジットだろう。
中身を覗き込もうとするメイを上手くあしらい、ジョニーは封を開けた。
中には、便箋と、写真が一枚ずつ。
『新しい居場所を見つけました』
几帳面な丸文字でそれだけを綴った手紙に苦笑し、写真を見て口笛を吹く。
そこには、カメラに向かって大きくVサインを出しているブリジットと、彼に腕をとられて
バランスを崩している金髪の青年が映っていた。
こうして並んで映っていると、まるで本物の兄弟のようだ。
「なぁるほど……そうきたか」
思わず笑って口にすると
「ジョニー!やましいところがないなら、メイにも見せてよ~!!」
「だめだ」
「そーゆーこと言うなら、今晩はジョニーだけ晩御飯ヌキだからね!!」
焦れたメイが、最終手段を持ち出す。
「おいおい、そりゃ卑怯だろ」
「ふん、ジョニーなんて、知らないんだから!」
頬をふくらませて怒るメイの頭を優しくなでて、ジョニーは目を細めた。
これが、俺の幸せってヤツだ。
じんわりと胸が暖まるのを感じながらジョニーは、とりあえずどうやって
メイのご機嫌をとろうか考え始めた。
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メイは、船内の私室で考えていた。
(どうしよう、ボク、病気になっちゃったかも)
そう考えながら、ズキズキといたむ腹部をなでた。ベッドの上で、こっそりと下着を確認してみる。
(やっぱり……。)
そこには、血痕があった。昨日の○○○で気付いたときよりも、シミが広がっている。
そう、メイは生理になっていたのだ。
しかしその存在を知らないメイは、股間から血が出たり下腹部が傷むのを、病気だと思い込んでしまっていたのだ。
ジョニーにはそのことを言えずにいた。こんな四方を海に囲まれた不□○な場所で、薬や手当てが欲しいとわがままを言うわけにはいかないし、何よりも症状を伝えるのが恥ずかしかった。アソコから血が出るなんて……。
「んっ…」
一段と強く、下腹部がいたむ。
汎用の薬は飲んだものの、今だに痛みはおさまらない。やがて、血のシミも隠せないくらいに広まるだろう。
(仕方ないな、お腹痛いことだけでもジョニーに言おう)
メイはよろよろと立ちあがり、ジョニーの船室に向かった。
そこへフォレストが登場した。
「どうしたのですか?病気のことなら私にお任せなさい。」
というとメイを自分の病院へ連れ去った。メイ「きゃああああ!はなしてよう」
フォレスト「おとなしくしなさい。びょうきをなおしてほしいんでしょう?」
そういうと、メイを治療台にくくりつけた。
「さーて。どこが悪いのか調べてみましょう…」がばっ「きゃああ!エッチぃ!スケベ!変態ぃぃぃぃ!見ないでよう」
「ほほう、こんなところから血が…これは重病ですぞ。」
「えっ、悪い病気なの?」
「早速治療を開始します」
スイッチを押すとメイの両手両足は大の字にベッドにくくりつけられた。
「わっ!な、なんで!?」
「さて…」おもむろにメイの乳首をつまんだ。
「フフフ、どんな感じですか?」
「そ、そんなところ関係ないでしょ!?」
「まだわからないのですか?」
「あなたは別に病気でもなんでもありません。それは、人間の女性はみんな経験することなのですよ」
「じゃあなんで…」
「まだわからないようですね。私はただあなたにエッチなことをしたいだけの単なる変質者なんですよおおおほほほ!この間戦った時からあなたの発達途上の体をまんべんなく舐めまわしたいとかかんがえてたんですよ。ほほほ」
「そ、そんなあ!やだあ、やだよう助けてよジョニー」
「むだですよ、彼は私が殺しましたから。」
「ジョ、ジョ二ーが!?そんな!だ、だれかあ」
「無駄ですよ叫んでも。さて、はじめましょうか。」
フォレストは自分の長い舌をのばして、メイの顔をなめまわした。
「うっ、やん!いやあ!やめてぇ」
「ほほほ、顔が唾液だらけですよ。」
そういうと今度は首を伝って服の隙間から胸のほうへ舌を伸ばしていった。
「ほう、生意気にもブラジャーをしているようですね。」
そういうと舌を器用に使ってブラをはずした.「ほほう、これはいいものを手に入れた。」そういうとフォレストはメイのブラジャーを自分の股間にしまいこんだ。
「ほーほほお、ううーんあなたのブラジャーが私のものと接触していると思うだけで勃起してしまいますよ」
「な、なんなのこいつ、この変態!(ボクこのままじゃなにされるかわからないよ)」
「変態ですかー、最高の誉め言葉だ。じゃあそれ相応の行動をしなければいけませんね」そういうと再び舌を服の中に滑り込ませると乳首を刺激し、もう一方の胸を服の上から揉みまくった。
「きゃああ、いやああ、やだあああ、やめてえええ」
「ほほほ、いやがる女性を無理やり犯すというのはいつしてみてもいいものだ。とくに今回はこんなロリロリ娘ですからね。いや、まったくもっておいしい胸だ。」
「い、いやぁぁ、もう許してよう!こわいよぉ。
(ぶるぶる)ひっく、うぐっ、ぐすっ…」
「それではそろそろ、下の方も拝見しますか。その間これに胸の相手をしてもらうとよいでしょう。」ぴっ!ウィーン。天井からやけにリアルな手やら触手が無数に下りてきた。
それらは想像を絶する激しさで胸をもみしだいた。
「う、うわああああ、い、痛いよおおお、やだああ」
「ふふふ、もっと嫌がりなさい。私はあなたが嫌がるほど感じてしまうんですよ.」
びりびりぃ!フォレストはメイのタイツのあそこの部分だけ見えるように切り裂いた。
なき叫ぶメイにはかまわず、フぁウストは被っていた袋から細長い 舌を伸ばす。
「おや、嫌がっていたわりには…」破れたタイツの間からは目に見える程の愛液が流れ出ている。フぁウストはメイの濡れたマ○コを指で押し広げ ると、その長い舌をゆっくりと押し込んだ。
「やっ!やめて!痛い、痛い」
「口では嫌がってもオマ○コは正直ですね」
「な、何を言って…」フぁウストはメイの愛液をすくうとメイの顔に塗りつける「ほら、これがあなたが感じているという証ですよ」
「か、感じてなんか、ひぐっ」フぁウストの指がメイのオマ○コを激しく出入りする「そんな嘘つきには…」
「はぁ、やっ、やめっ、あっ」空に向かって何かを投げたフぁウストの手に巨大なメスが落ちてくる。
「手術が必要ですね」フぁウストは小さな薬瓶をとりだすとメイの体にかけだす「何するの」
「なに、ほんの少し神経が過敏になるだけですよ」小瓶が空になころには小さいながらもメイの乳首は大きく反り立ち、クリトリスは一回りも大きさを増し。
「素敵ですよ、これがあの空賊のメイだとは誰も思わないでしょう」
(空賊?…そうだ、まだ生きている仲間がいるかもしれない)メイはジョニーや自分が敵わない相手にでも、仲間達と協力すれば逃げることならできるだろうと考えた。
「さてと、そろそろ手術を始めますか」フぁウストは大きなメスを振り上げるとメイの股間めがけて振り下ろした。
「きゃっ!……あれ?」おもわず目を閉じるメイ、だが痛みはいつまでたってもやってこない。
「安心していいデスヨ。ただ陰核の皮を剥いただけですカラ、ホラ」フぁウストに触られた瞬間、ビリッ!という激しい痛みがメイのクリトリスに走る。
「何…コレ?」
「感謝してほしいものデス、皮被りをタダで直してやったんですカラ」
見ると、股間で大きくなっていたクリトリスが皮を破ってそそり立っていた。
「なっ!?」
「まだまだこれからデスよ」そう言うとフぁウストは針を数本取り出し、メイの剥き出しになったクリトリスに突き刺した。
「ぎゃあぁぁっ」悲鳴と共にメイの股間からは勢いよく赤い色のおしっこが飛び出し、フぁウストの顔にかかる。
「う~んビューティフル!でもメイさん、もっとイイ声で鳴いてくださいよ」
「あふ、あっ、ああっ、っ……ぃゃ」フぁウストが針を巨大メスで器用に叩くたびメイの口から声が、股間から愛液が漏れてくる。
そして狂宴はいつ果てるともなく続くのだった。
(どうしよう、ボク、病気になっちゃったかも)
そう考えながら、ズキズキといたむ腹部をなでた。ベッドの上で、こっそりと下着を確認してみる。
(やっぱり……。)
そこには、血痕があった。昨日の○○○で気付いたときよりも、シミが広がっている。
そう、メイは生理になっていたのだ。
しかしその存在を知らないメイは、股間から血が出たり下腹部が傷むのを、病気だと思い込んでしまっていたのだ。
ジョニーにはそのことを言えずにいた。こんな四方を海に囲まれた不□○な場所で、薬や手当てが欲しいとわがままを言うわけにはいかないし、何よりも症状を伝えるのが恥ずかしかった。アソコから血が出るなんて……。
「んっ…」
一段と強く、下腹部がいたむ。
汎用の薬は飲んだものの、今だに痛みはおさまらない。やがて、血のシミも隠せないくらいに広まるだろう。
(仕方ないな、お腹痛いことだけでもジョニーに言おう)
メイはよろよろと立ちあがり、ジョニーの船室に向かった。
そこへフォレストが登場した。
「どうしたのですか?病気のことなら私にお任せなさい。」
というとメイを自分の病院へ連れ去った。メイ「きゃああああ!はなしてよう」
フォレスト「おとなしくしなさい。びょうきをなおしてほしいんでしょう?」
そういうと、メイを治療台にくくりつけた。
「さーて。どこが悪いのか調べてみましょう…」がばっ「きゃああ!エッチぃ!スケベ!変態ぃぃぃぃ!見ないでよう」
「ほほう、こんなところから血が…これは重病ですぞ。」
「えっ、悪い病気なの?」
「早速治療を開始します」
スイッチを押すとメイの両手両足は大の字にベッドにくくりつけられた。
「わっ!な、なんで!?」
「さて…」おもむろにメイの乳首をつまんだ。
「フフフ、どんな感じですか?」
「そ、そんなところ関係ないでしょ!?」
「まだわからないのですか?」
「あなたは別に病気でもなんでもありません。それは、人間の女性はみんな経験することなのですよ」
「じゃあなんで…」
「まだわからないようですね。私はただあなたにエッチなことをしたいだけの単なる変質者なんですよおおおほほほ!この間戦った時からあなたの発達途上の体をまんべんなく舐めまわしたいとかかんがえてたんですよ。ほほほ」
「そ、そんなあ!やだあ、やだよう助けてよジョニー」
「むだですよ、彼は私が殺しましたから。」
「ジョ、ジョ二ーが!?そんな!だ、だれかあ」
「無駄ですよ叫んでも。さて、はじめましょうか。」
フォレストは自分の長い舌をのばして、メイの顔をなめまわした。
「うっ、やん!いやあ!やめてぇ」
「ほほほ、顔が唾液だらけですよ。」
そういうと今度は首を伝って服の隙間から胸のほうへ舌を伸ばしていった。
「ほう、生意気にもブラジャーをしているようですね。」
そういうと舌を器用に使ってブラをはずした.「ほほう、これはいいものを手に入れた。」そういうとフォレストはメイのブラジャーを自分の股間にしまいこんだ。
「ほーほほお、ううーんあなたのブラジャーが私のものと接触していると思うだけで勃起してしまいますよ」
「な、なんなのこいつ、この変態!(ボクこのままじゃなにされるかわからないよ)」
「変態ですかー、最高の誉め言葉だ。じゃあそれ相応の行動をしなければいけませんね」そういうと再び舌を服の中に滑り込ませると乳首を刺激し、もう一方の胸を服の上から揉みまくった。
「きゃああ、いやああ、やだあああ、やめてえええ」
「ほほほ、いやがる女性を無理やり犯すというのはいつしてみてもいいものだ。とくに今回はこんなロリロリ娘ですからね。いや、まったくもっておいしい胸だ。」
「い、いやぁぁ、もう許してよう!こわいよぉ。
(ぶるぶる)ひっく、うぐっ、ぐすっ…」
「それではそろそろ、下の方も拝見しますか。その間これに胸の相手をしてもらうとよいでしょう。」ぴっ!ウィーン。天井からやけにリアルな手やら触手が無数に下りてきた。
それらは想像を絶する激しさで胸をもみしだいた。
「う、うわああああ、い、痛いよおおお、やだああ」
「ふふふ、もっと嫌がりなさい。私はあなたが嫌がるほど感じてしまうんですよ.」
びりびりぃ!フォレストはメイのタイツのあそこの部分だけ見えるように切り裂いた。
なき叫ぶメイにはかまわず、フぁウストは被っていた袋から細長い 舌を伸ばす。
「おや、嫌がっていたわりには…」破れたタイツの間からは目に見える程の愛液が流れ出ている。フぁウストはメイの濡れたマ○コを指で押し広げ ると、その長い舌をゆっくりと押し込んだ。
「やっ!やめて!痛い、痛い」
「口では嫌がってもオマ○コは正直ですね」
「な、何を言って…」フぁウストはメイの愛液をすくうとメイの顔に塗りつける「ほら、これがあなたが感じているという証ですよ」
「か、感じてなんか、ひぐっ」フぁウストの指がメイのオマ○コを激しく出入りする「そんな嘘つきには…」
「はぁ、やっ、やめっ、あっ」空に向かって何かを投げたフぁウストの手に巨大なメスが落ちてくる。
「手術が必要ですね」フぁウストは小さな薬瓶をとりだすとメイの体にかけだす「何するの」
「なに、ほんの少し神経が過敏になるだけですよ」小瓶が空になころには小さいながらもメイの乳首は大きく反り立ち、クリトリスは一回りも大きさを増し。
「素敵ですよ、これがあの空賊のメイだとは誰も思わないでしょう」
(空賊?…そうだ、まだ生きている仲間がいるかもしれない)メイはジョニーや自分が敵わない相手にでも、仲間達と協力すれば逃げることならできるだろうと考えた。
「さてと、そろそろ手術を始めますか」フぁウストは大きなメスを振り上げるとメイの股間めがけて振り下ろした。
「きゃっ!……あれ?」おもわず目を閉じるメイ、だが痛みはいつまでたってもやってこない。
「安心していいデスヨ。ただ陰核の皮を剥いただけですカラ、ホラ」フぁウストに触られた瞬間、ビリッ!という激しい痛みがメイのクリトリスに走る。
「何…コレ?」
「感謝してほしいものデス、皮被りをタダで直してやったんですカラ」
見ると、股間で大きくなっていたクリトリスが皮を破ってそそり立っていた。
「なっ!?」
「まだまだこれからデスよ」そう言うとフぁウストは針を数本取り出し、メイの剥き出しになったクリトリスに突き刺した。
「ぎゃあぁぁっ」悲鳴と共にメイの股間からは勢いよく赤い色のおしっこが飛び出し、フぁウストの顔にかかる。
「う~んビューティフル!でもメイさん、もっとイイ声で鳴いてくださいよ」
「あふ、あっ、ああっ、っ……ぃゃ」フぁウストが針を巨大メスで器用に叩くたびメイの口から声が、股間から愛液が漏れてくる。
そして狂宴はいつ果てるともなく続くのだった。
メイシップの機上で、二人は対峙していた。
雲海から覗く満月に照らされる機上。
イノとメイ。今まさに終わらない夜に、猛り狂う衝動のままに舞い踊ろうとする二人。
「ジョニー・・・頑張るからね!」
「もう我慢できないの」
二人が視線を合わせた瞬間、動く!
メイが自慢の怪力でイカリを振り回してイノの体にそれを叩きつけようとする。
当たった!そう思った瞬間には、イノの体はそこには無い。僅かに早くバックステップでそれを避けている。
「ふふ、動かないでね」
宙に浮いたその姿勢から、イノがメイに鋭い突撃をする。
「効かないよ!」
とっさにそれをイカリで防ぐメイ。だが、着地と同時に放たれた足払いによって姿勢が崩されてしまう。
「きゃっ!」
すかさずそこにイノの猛攻が始まる。
どこからともなく現れたアンプが、メイの体にとてつもない衝撃を叩き込み、今度はメイの体が宙に舞う。
パンチ、キック、ギターでの殴打。そして、
「もう、たまらない!」
ひときわかき鳴らされたギターの衝撃がメイを地に落とす。
「わわわわわ!」
急いで起き上がり、体勢を立て直そうとする。
「イルカさん!」
イルカでイノを牽制しようとするが、
「プレゼント」
イノがキターをかき鳴らすとイルカが消えてしまう。
「嘘っ!」
がら空きになったメイの体にイノが走りながら下段から上段へとさするようにする。
「コッチがお留守よ」
たださすっただけのように見えたそれが、赤いオーラを纏ってメイを襲い、ついにメイの意識が途切れる。
「ごめんね、ジョニー・・・」
溢れるような赤いオーラが、まるで戦いの終わりだとでもいうようにメイのイカリを砕く。
・
・
・
と、メイが目を覚ますと、変な浮遊感がり、目の前にはイノがいた。
「・・・・な、何?」
まだ朦朧とする意識で状況を確認してみる。どうやら、何かで体を壁に止められているようだった。
それは、見覚えのある色をした杭。いや、砕けたメイのイカリの欠片。
それでメイは、まるで昆虫採集の虫のように、壁に止められていた。
「ふふふ、好きな人のために戦うなんて、おませさんね」
イノが満面の、それでいて不吉な笑みを零す。
「何をするの・・・」
メイが怯えながら尋ねる。
さっきの戦いの傷のせいで、まだ体は動きそうにない。
「ちょっと、手ほどきをしてあげようと思って」
イノが、一本の欠片を手に取ってメイの頬にペタペタと当てる。
それは偶然か、丸みをおびた棒の形になっていた。
「男の人とのお勉強、よ」
メイの唇にそれを当てるイノ。
「んっ!んん~~~!!」
口を塞いで必死にそれを拒むメイ。
「ダメじゃない、ちゃんとお勉強しましょ」
メイの鼻をつまむイノ。呼吸のできなくなったメイが口を開けると、そこにすかさず棒を入れるイノ。
「それを好きな人だと思って、ご奉仕するの。んふふ・・・」
「ふぁんなふぉとふぇきな・・・うんっ!」
(そんな事できない・・・)
メイが何もしないでいると、イノは自分から棒を動かしてメイの口の中を蹂躙する。
「い~いい?こうやって奥まで入れられたら、根元から舌で舐めてあげるの、それでね・・・」
執拗に口の中を棒でかき回すイノ。メイは吐き気を模様して、体をぴくりぴくりとさせるけれど、その度にイノが壁にメイの体を押し付ける。
「ぷっはあ・・ああ」
ようやく棒を口から抜かれてみると、メイはすっかり憔悴しきっていた。嘔吐感が襲っても、何もできないで押さえつけられたせいで、逆流する胃液で気分が最悪に。口を蹂躙されるという初めての行為による精神的な疲労。メイはぐったりと壁に磔られたままの姿勢で抵抗をやめてしまう。
「もう・・・嫌だよぉ・・・」
「まだまだ、お勉強はこれからなのよ」
イノは楽しげに笑って、メイの股間に手を入れる。
まだ毛も生えていない、誰にも触れさせていないそこに手を触れられたという事で、メイは顔を赤面させつつかすかな抵抗をする。
「やめて・・・やめてよぉ・・・」
メイが太ももに力を入れて、閉じようとする。でも、大きく開かれた状態で磔られた足は閉じる事もできない。
イノに秘所をいじられるメイ。メイのクリトリスをつまんだり、線のような秘所をなぞる。
「うふふ・・・そろそろいいかしら」
イノが、棒をメイの秘所に添える。
そこは、苦痛と屈辱からか快感の並は表れず、まるで濡れていなかった。
そして、メイの耳元で囁く。
「天国見せてあげる」
イノが、棒を一気に秘所に挿入する。
ずぶっ!ずぶう!
「いやああっ!ああっ!ああああっ!」
メイが、それまでのかすれた声からは考えられないほど叫んで目をいっぱいに見開く。
口が、何かを言おうとパクパクと開いたり閉まったりする。しかし、そこから出るのは言葉ではなく息だけ。
どうにもできない陵辱に、メイは苦痛を叫ぶ事すらできない。
濡れていないメイの秘所からは、皮膜と棒がこすれる事で擦り切れる傷から溢れた血が滴る。
壁の下には、真っ赤な点が生まれる。
「気持ちいい?」
イノが、メイの苦痛など知った事でもないという風に棒を動かす。
円を描くような横運動。押し込むようなピストン運動。
動けないメイを相手に、メイを壊すかというくらいに激しく棒を動かすイノ。
「好きな男に抱かれる練習ができてよかったな!色餓鬼が!たっぷり勉強して、すぐに使ってもらえるくらいになるといいぜ」
イノが耳元で囁く。
「ジョニーに・・・ジョニーにこんな酷い事・・・されたくなんて・・・きゃうっ!」
「好きな男に抱かれるために戦ってたクセに、何をいってんだ?」
イノがさらに激しく棒を動かす。
メイの子宮の奥深くまで、叩きつけるように棒を突っ込む。
「ち・・・違う・・・そんな・・・あうっ!くあっ!」
「ま、そんなのどうでもいいんだけどな。とりあえず、楽しめればよ」
「そんな・・ひっ!・・・ひああっ!・・・酷い・・・」
と、メイがガクリと首をうなだれてしまう。
あまりにも激しい打ち付けるような陵辱に、失神してしまったようだった。
イノは、そのまま棒をメイの膣内に突っ込むと、つまらなそうに鼻を鳴らす。
「つまんねぇな・・・」
イノは、仕方が無いという風にあたりを見回して、シップの内部に入って行く。
そして、戦いの邪魔しないように、としていた他のクルー達で遊んでいった。
雲海から覗く満月に照らされる機上。
イノとメイ。今まさに終わらない夜に、猛り狂う衝動のままに舞い踊ろうとする二人。
「ジョニー・・・頑張るからね!」
「もう我慢できないの」
二人が視線を合わせた瞬間、動く!
メイが自慢の怪力でイカリを振り回してイノの体にそれを叩きつけようとする。
当たった!そう思った瞬間には、イノの体はそこには無い。僅かに早くバックステップでそれを避けている。
「ふふ、動かないでね」
宙に浮いたその姿勢から、イノがメイに鋭い突撃をする。
「効かないよ!」
とっさにそれをイカリで防ぐメイ。だが、着地と同時に放たれた足払いによって姿勢が崩されてしまう。
「きゃっ!」
すかさずそこにイノの猛攻が始まる。
どこからともなく現れたアンプが、メイの体にとてつもない衝撃を叩き込み、今度はメイの体が宙に舞う。
パンチ、キック、ギターでの殴打。そして、
「もう、たまらない!」
ひときわかき鳴らされたギターの衝撃がメイを地に落とす。
「わわわわわ!」
急いで起き上がり、体勢を立て直そうとする。
「イルカさん!」
イルカでイノを牽制しようとするが、
「プレゼント」
イノがキターをかき鳴らすとイルカが消えてしまう。
「嘘っ!」
がら空きになったメイの体にイノが走りながら下段から上段へとさするようにする。
「コッチがお留守よ」
たださすっただけのように見えたそれが、赤いオーラを纏ってメイを襲い、ついにメイの意識が途切れる。
「ごめんね、ジョニー・・・」
溢れるような赤いオーラが、まるで戦いの終わりだとでもいうようにメイのイカリを砕く。
・
・
・
と、メイが目を覚ますと、変な浮遊感がり、目の前にはイノがいた。
「・・・・な、何?」
まだ朦朧とする意識で状況を確認してみる。どうやら、何かで体を壁に止められているようだった。
それは、見覚えのある色をした杭。いや、砕けたメイのイカリの欠片。
それでメイは、まるで昆虫採集の虫のように、壁に止められていた。
「ふふふ、好きな人のために戦うなんて、おませさんね」
イノが満面の、それでいて不吉な笑みを零す。
「何をするの・・・」
メイが怯えながら尋ねる。
さっきの戦いの傷のせいで、まだ体は動きそうにない。
「ちょっと、手ほどきをしてあげようと思って」
イノが、一本の欠片を手に取ってメイの頬にペタペタと当てる。
それは偶然か、丸みをおびた棒の形になっていた。
「男の人とのお勉強、よ」
メイの唇にそれを当てるイノ。
「んっ!んん~~~!!」
口を塞いで必死にそれを拒むメイ。
「ダメじゃない、ちゃんとお勉強しましょ」
メイの鼻をつまむイノ。呼吸のできなくなったメイが口を開けると、そこにすかさず棒を入れるイノ。
「それを好きな人だと思って、ご奉仕するの。んふふ・・・」
「ふぁんなふぉとふぇきな・・・うんっ!」
(そんな事できない・・・)
メイが何もしないでいると、イノは自分から棒を動かしてメイの口の中を蹂躙する。
「い~いい?こうやって奥まで入れられたら、根元から舌で舐めてあげるの、それでね・・・」
執拗に口の中を棒でかき回すイノ。メイは吐き気を模様して、体をぴくりぴくりとさせるけれど、その度にイノが壁にメイの体を押し付ける。
「ぷっはあ・・ああ」
ようやく棒を口から抜かれてみると、メイはすっかり憔悴しきっていた。嘔吐感が襲っても、何もできないで押さえつけられたせいで、逆流する胃液で気分が最悪に。口を蹂躙されるという初めての行為による精神的な疲労。メイはぐったりと壁に磔られたままの姿勢で抵抗をやめてしまう。
「もう・・・嫌だよぉ・・・」
「まだまだ、お勉強はこれからなのよ」
イノは楽しげに笑って、メイの股間に手を入れる。
まだ毛も生えていない、誰にも触れさせていないそこに手を触れられたという事で、メイは顔を赤面させつつかすかな抵抗をする。
「やめて・・・やめてよぉ・・・」
メイが太ももに力を入れて、閉じようとする。でも、大きく開かれた状態で磔られた足は閉じる事もできない。
イノに秘所をいじられるメイ。メイのクリトリスをつまんだり、線のような秘所をなぞる。
「うふふ・・・そろそろいいかしら」
イノが、棒をメイの秘所に添える。
そこは、苦痛と屈辱からか快感の並は表れず、まるで濡れていなかった。
そして、メイの耳元で囁く。
「天国見せてあげる」
イノが、棒を一気に秘所に挿入する。
ずぶっ!ずぶう!
「いやああっ!ああっ!ああああっ!」
メイが、それまでのかすれた声からは考えられないほど叫んで目をいっぱいに見開く。
口が、何かを言おうとパクパクと開いたり閉まったりする。しかし、そこから出るのは言葉ではなく息だけ。
どうにもできない陵辱に、メイは苦痛を叫ぶ事すらできない。
濡れていないメイの秘所からは、皮膜と棒がこすれる事で擦り切れる傷から溢れた血が滴る。
壁の下には、真っ赤な点が生まれる。
「気持ちいい?」
イノが、メイの苦痛など知った事でもないという風に棒を動かす。
円を描くような横運動。押し込むようなピストン運動。
動けないメイを相手に、メイを壊すかというくらいに激しく棒を動かすイノ。
「好きな男に抱かれる練習ができてよかったな!色餓鬼が!たっぷり勉強して、すぐに使ってもらえるくらいになるといいぜ」
イノが耳元で囁く。
「ジョニーに・・・ジョニーにこんな酷い事・・・されたくなんて・・・きゃうっ!」
「好きな男に抱かれるために戦ってたクセに、何をいってんだ?」
イノがさらに激しく棒を動かす。
メイの子宮の奥深くまで、叩きつけるように棒を突っ込む。
「ち・・・違う・・・そんな・・・あうっ!くあっ!」
「ま、そんなのどうでもいいんだけどな。とりあえず、楽しめればよ」
「そんな・・ひっ!・・・ひああっ!・・・酷い・・・」
と、メイがガクリと首をうなだれてしまう。
あまりにも激しい打ち付けるような陵辱に、失神してしまったようだった。
イノは、そのまま棒をメイの膣内に突っ込むと、つまらなそうに鼻を鳴らす。
「つまんねぇな・・・」
イノは、仕方が無いという風にあたりを見回して、シップの内部に入って行く。
そして、戦いの邪魔しないように、としていた他のクルー達で遊んでいった。
「各自出航まで自由にしてよーし!」
頭領であるジョニーの宣言に、操舵室に集まったジェリーフィッシュ快賊団のクルーである少女たちから、わっと歓声があがる。
とある港、停泊2日目のことだった。
飛行艇での生活に不自由はないとは言ってもやはり制限があり、燃料や食料などの資材補給で地上に降りる時を利用しての束の間の散策を皆楽しみにしていた。が、何所に行っても他より"少しばかり"有名で、他より"いくらか"目立っているジェリーフィッシュ快賊団のメンバーは、義賊とはいえ立派な犯罪者でありお尋ね者である。だから但し、とジョニーも念を押すことを忘れない。
「あー、うちのレディ達に限って心配ないとは思うが、念のため言っておく。必要のない揉め事はノー・サンキューだ。一般の皆さんに迷惑をかけるなんてえ野暮もなし。それから、出航時間にゃ遅れるんじゃあないぜ。オーケイ?」
了解、はーい、と口々に応えるクルーたち。頷くジョニーの耳に、でもー、という声が届いた。
「でも、どした?」
「んー…あたしたちは大丈夫だけど、団長がねー」
「なんだあ?俺か?」
「そうそう」
「団長は前科があるもんね~」
ねー、という合唱。ええっとね、と情報通を自認するエイプリルが指を折っていく。
「今年に入っても、確実に判ってるだけでまず警察に3回、しつこい賞金稼ぎに追いかけられて2回、」
おいおい、そいつは不可抗力ってヤツだろうと苦笑いするジョニーに構わず、エイプリルは続ける。
「女の人口説いてて遅刻、5回」
「………」
「…エイプリル、ナンパで遅刻は7回だよ」
すかさず訂正し、メイは上目遣いに恨めしそうな視線をジョニーに向けると、確実に、判ってるだけで、と強調した。
「そうだよね、ジョニー?」
「………」
「ジョーニーーィー?」
「………」
無言のままジョニーはクルーに背を向け、そのままゴホンとわざとらしい咳払いを一つする。まったく、こいつらの情報収集能力も侮れねえなぁと胸中で呟きつつ、
「えー、以上で解散。我がジェリーフィッシュ快賊団のレディ達、気をつけて、行ってらっしゃい」
背中越しにひらひら手を振ってみせると、
「もうっ、すぐそうやって誤魔化そうとする!」
案の定メイが食いついて来た。
「んー?どうしたよ。もう解散だぜ、ベイビィ?」
「ジョニーーーーーっ」
「ねえメイ、自由時間なくなっちゃうよ」
「エイプリル、待って!まだボクはジョニーに言いたいことがあるんだから!」
「もー、団長のアレは病気みたいなものでしょ。ほら、早く行こうよ」
「病っ…ちょっと、それはヒドイんじゃない、エイプリル!!そりゃホントの事だけど…って、わあん、もうっ、ジョニーのバカーっ!」
エイプリルに引きずられるようにして大騒ぎのメイ退出。見慣れた光景を笑いをかみ殺しながら見守っていた他の団員たちも、彼女たちに続いて操舵室を出て行った。
病気だバカだと好き勝手言われたジョニーは、やれやれと首を振る。
「いつもの事だがまるでハリケーンだな、ありゃあ」
呟いてブリッジに向かう廊下に自らも出た。自分を呼ぶ小型だがイキのいいハリケーンの、賑やかな声が通路の奥から届く。そういえばハリケーンには女の名前が付けられるんだったなと思い出し、サングラスに隠れたのブルーの瞳が微笑んだ。
■ gimme some lovin'
タラップを降りていくクルーを見守っていたジョニーは、ふと足元に視線を落とした。
「ヘイ、待った!」
そうひょいっと抱き上げたのは、皆について行こうとしていたメンバーの中で一番幼いマーチだった。
「おチビさんよ、今日は俺と留守番だ、っと…」
クルーの誰かに連れて行かせても良かったが、一応お尋ね者の身ゆえにどんなハプニングが起こらないとも限らない。夫々自己防衛の手段を持っていてもそれは最低限―メイはちょいとばかり特殊な例だが―で、何かあった場合マーチの存在がネックにならないとは言い切れない。だからもうちっと大きくなるまでの辛抱だベイビーと小脇に抱え直す。マーチはきゃあきゃあ言いながら、手足をばたつかせて喜んだ。
「ねえ、ジョニーは行かないの?」
「うん?」
「行かないのって聞いてんの」
留守番と言う単語に反応したメイが振り向き、適当にマーチをあやしているジョニーにねえと繰り返す。
「まあな」
クルーにはあまり関らせたくないような物騒な連中とのコンタクトは既に昨日の内に行い、必要と思われる情報は仕入れてきていた。そこいらの同じ年頃の娘たちに比べれば随分と荒っぽくしたたかな生活を送っている彼女たちだが、快賊団のメンバーを必要以上に社会の裏の部分と関わらせるようなことは、ジョニーはしない。
うちの大事なレディ達に見せたくねえもんが、裏の世界にゃ多いんでな…。
笑顔で下船するクルー達に視線を転じながらジョニーは思う。あいつらが関わるのは、メイがよく言うところの゛ちょっぴり裏街道゛くらいでいい。避けられない後ろ暗い部分があるなら、それは俺が引き受けりゃ済む事だ。
但しそんな想いは濃い色のサングラスの奥に隠したままで、ただ今日はシップとおチビさんの子守りだと軽く肩を竦めて見せるに留める。半分しか見えない表情と、いつもと変わらない余裕の笑みを貼り付かせたジョニーに納得したのかしないのか、メイはふうんと頷いた。それから少し考えて、何かをねだるような目をジョニーに向ける。
「あのさ、ジョニーが行かないんだったらボク、」
「はい、ストップ!」
最後まで言わせず、マーチを肩車しながらフムと器用に片眉だけ吊り上げたジョニーに、なにようとメイはたじろぐ。
「そいつはダーメ」
「な、なんでっ!…っていうかまだボク何も言ってないんだけど!」
むっとするメイだが、こういう状況で彼女が言いそうなことは決まっているので、ジョニーも先回りな答えを返す。
「留守番はこのパ~フェクトなジョニー様に任せときな」
「ジョニーが、」
やんわりとだが拒絶されたことに少し傷つきながら、それでもメイはめげずに食い下がる。
「ジョニーがパーフェクトなのはよーーっくわかってるよ。けど、ほら、何かあったときに一人じゃ大変、でしょ?だからボクも一緒に…」
「ん~、そいつはちょっといただけねえ話だなァ」
メイの言葉を遮り、おまえさんエイプリルと約束してんだろうがと、彼女の顔を覗き込むようにしてげんこつでコツンと額を小突く。
「うっ…そ、それはそう、だけど…でも、」
「でもはナシ」
だって。
「守れねえなら約束した意味がねえよなぁ」
わかってるけど。
「ヘーイ、ハニー?」
ジョニーと一緒にいたいんだもの。
「メーイ?聞こえてるかい?」
「…聞こえてる」
ジョニーの言っていることは正しい。自分勝手なことを言っているのも解っている。でももう少しボクの気持ちも汲んで欲しいと思うのは、タダのわがまま?
黙り込んだメイに返事を促すように、ジョニーはうん?と首を傾げてみせた。上目遣いにジョニーの表情を伺いながらメイは、結局小さな声で「わかった」と呟く。結局いつもこのパターンだ。
「エクセレント!」
いい子だというようにジョニーはふてくされた顔のメイの頭をぽんぽんと撫でる。
大きな優しい手に撫でられて、嬉しいようなくすぐったいような…照れ隠しもあってメイは言う。
「ジョニー!子ども扱いしないでって言ってるでしょっ」
「はいはいっと」
「もうっ!」
言ってる側からこれだもん!ジョニーの態度にメイはプイとそっぽを向いた。
「ほれ、急がねえとエイプリルが待ちくたびれてるぜ?」
さっさと行った行った、とメイの体の向きを変えて背中を押す。
「うう…じゃ、行ってくるね」
「おう、気ィつけてな。…なんだがマーチよ。おまえ、ちっとはじっとしてらんねえのかい」
マーチはジョニーのトレードマークの一つである帽子をばふばふ叩きまわった挙句毟り取り、結えた髪を掴んで引っ張ったり振り回したりと先ほどからずっと忙しい。最初の内こそ肩車にご機嫌だったのだが、相手にして貰えないので手近にあるオモチャ―この場合ジョニーの頭―で遊び始めていた。ぐしゃぐしゃにされてちょっと様にならない状態に、いい男が台無しじゃねえかとジョニーはぼやいて見せた。
「あー…そうだ。メイ」
「なにっ?」
呼ばれて顔を輝かせて振り返るメイだったが、
「そいつは」
「へ?」
それだ、それとジョニーが指し示すのは、メイ愛用の巨大な錨。
「邪魔にならねえ所に置いといてくれよ」
「~~っ!いい、マーチ!ジョニーが浮気しないように、しーっかり見張ってるんだよっ!」
捨て台詞を残して、メイはどかどかとタラップを駆け下りる。
ジョニーが不機嫌な背中に転ぶんじゃねえぞーと声をかけると、「べーっ!」と盛大なあかんべえが返ってきた。