メイ→ジョニーラヴー!!なのは変わらず(ファザコン)
ケンカばっかの2人ですが(どっちもガキだから)
なんだかんだでチップが一枚上手だといいです。
「だからガキなんだよ」とかメイに言って欲しい。
そしてX+のよーにしらがー!とか言われていつものケンカパターンとか・・・とか・・・
いつもジョニーがボクのコト子供あつかいする!とか
ジョニーの話ばっか聞かされて
「だからガキなんだ」とか(またかよ)言って
メイがムキー!ってなって
でも実はチップがやきもちやいてるからそういうこといってるのであって、
むきー!っと怒らせたメイの唇とかを唇で塞いでればいいよ。
でも多分イカリで脳天かちわられるよね。
---------------
昼間は普通の高校生、夜になると実は泥棒なの☆
・・・・なんて少女漫画のような・・・
そして謎のライバル?がチップ。
出会いはメイが泥棒してとんずらこいてる途中。
そして2人は同級生。
んなベタな。
---------------
同級生2人に「Bクラスの○○君たちがねー、お茶しようって~。メイも来てよー」
↓
メイはジョニーがいるので同級生に興味なし。でもつれてかれる
↓
チップがいたり。
彼もムリヤリつれてこられたので不機嫌。
「帰る」とかいいだす。「もーいいだろ」みたいな。
チップはモテるのかな・・・
「何あの愛想ないやつ!」「かっこいー」の二極化?
問題児ではあるような以外に?勉強家のような
シショーがいるからきっとテスト勉強とかはするけど
普通にサボったりもしてそうだ。
歴史とかはちゃんと出るの。日本の勉強があるから。
--------------
ストーリーモードでチップとメイのガキんちょコンビが洗脳されてたよね・・・。
「じぇりーふぃっしゅ団の・・・めいさんですね?」
「・・・・どしたの。だいじょぶ?」
襲い掛かられてメイはびっくり。
機械のよーに冷たい目にゾクりとしながらも、
「でも チップは時々もっと怖い目をする」
とか。
そして愛の力で目を覚まさせてあげてください。
逆(メイ洗脳)はチップがとまどいを隠せずメイにふっとばされてればいいよ。
------------------
メイとチップがコトの最中さー・・・・(コラコラコラ)
絶ッ対ジョニーの名前呼んじゃって
チップがすねるとかありそうではないですか?
----------------
ジョニー→王様
メイ→お姫様
チップ→素性わからず ちみっこの記憶はなし 拾われっ子
2人は幼馴染?みたいな
-----------
赤い眼~
てことでチップっぷ~がメイの血を吸っちゃうよー?
メイを突き放すんだけど メイは吸えばいいじゃん!っていうんだ!!
------------
チップとジョニィ~といえば
ストーリーモードの「借り」ですが
どうやって返すんですかハァハァとかは前に言いましたねハイ
やっぱおいしい酒を闇慈とかに教えてもらって買って行って
「こないだの借りを返しにきた」って訪れたら
メイの世話を頼まれるというか押し付けられるというか
メイはもージョニーがデートしてくれないで超不機嫌で
チップは何で俺がこんな奴とぶつぶつ みたいな
あれ?メイチ?
---------
・・だったらチップは用心棒?
ジョニーパパは王様?キングジョニー・・・
なんかチップは窓から入ってくるようなイメージがあります。
こう・・・ワンピのカヤとウソップのようなかんじで・・・
---------
チップって素でバレンタイン スルーな感じ
それどころじゃねーつうか
で、メイからチョコとかもらって
何でくれんの? みたいな
板チョコでポッキーゲームして欲しいねこの2人は(なぜ板チョコ・・・)
-----------
内臓破裂ゥゥ!!みたいな攻撃くらって
すっげー吐血してるよーな場面が浮かんだ
一時置いて ばしゃー!! みたいな
あーもー駄目じゃん俺
と諦めかけるが そこにメイの笑顔が浮かぶ
とか ありがちーな感じで
------------
メイ「チップは?」
悪い人「しんだよ」
メイは絶望を味わったら静かそうっつーか
泣きじゃくるとかじゃなくて
「・・・・嘘。 嘘 うそ」
とか絶望した顔で静かに壊れていくっつーイメージ
で
「嘘にきまってんだろ」
とかって背後にチップがー!!(ベタ)
でも実は悪役にいじめられて重症とかーー!!(ベタベタ)
------------
こないだの逆で・・・
悪者「メイころしたー」
チプ「あっそ」
すごい静かに激怒ーみたいな(日本語おかしい)
冷静に敵の後ろとったりするけど
顔が氷点下何十度みたいな赤い眼
「じゃー殺す。絶対殺す。」
手がもげても足がちぎれてもころす
みたいなーさー
-----------
目立つと都合が悪いので絡まれても大人しく殴られていたチップでありましたが、
メイが割り込んできて「お前女連れで生意気ー!」となり
お前生意気なんだよ的なセリフ吐く奴Aがメイの髪を掴んだりして
チプーがプチーで初めて素人(お前生(中略)吐く奴A~Cをのしてしまったりとか。
そしてメイに悪態をつくとか。お前のせいで云々・・・
メイはメイであんたがなぐられてるから云々言い返して・・・
まあつまり相手より強いのに大人しく殴られているチップと
痴話げんかな2人萌えという話。
ケンカばっかの2人ですが(どっちもガキだから)
なんだかんだでチップが一枚上手だといいです。
「だからガキなんだよ」とかメイに言って欲しい。
そしてX+のよーにしらがー!とか言われていつものケンカパターンとか・・・とか・・・
いつもジョニーがボクのコト子供あつかいする!とか
ジョニーの話ばっか聞かされて
「だからガキなんだ」とか(またかよ)言って
メイがムキー!ってなって
でも実はチップがやきもちやいてるからそういうこといってるのであって、
むきー!っと怒らせたメイの唇とかを唇で塞いでればいいよ。
でも多分イカリで脳天かちわられるよね。
---------------
昼間は普通の高校生、夜になると実は泥棒なの☆
・・・・なんて少女漫画のような・・・
そして謎のライバル?がチップ。
出会いはメイが泥棒してとんずらこいてる途中。
そして2人は同級生。
んなベタな。
---------------
同級生2人に「Bクラスの○○君たちがねー、お茶しようって~。メイも来てよー」
↓
メイはジョニーがいるので同級生に興味なし。でもつれてかれる
↓
チップがいたり。
彼もムリヤリつれてこられたので不機嫌。
「帰る」とかいいだす。「もーいいだろ」みたいな。
チップはモテるのかな・・・
「何あの愛想ないやつ!」「かっこいー」の二極化?
問題児ではあるような以外に?勉強家のような
シショーがいるからきっとテスト勉強とかはするけど
普通にサボったりもしてそうだ。
歴史とかはちゃんと出るの。日本の勉強があるから。
--------------
ストーリーモードでチップとメイのガキんちょコンビが洗脳されてたよね・・・。
「じぇりーふぃっしゅ団の・・・めいさんですね?」
「・・・・どしたの。だいじょぶ?」
襲い掛かられてメイはびっくり。
機械のよーに冷たい目にゾクりとしながらも、
「でも チップは時々もっと怖い目をする」
とか。
そして愛の力で目を覚まさせてあげてください。
逆(メイ洗脳)はチップがとまどいを隠せずメイにふっとばされてればいいよ。
------------------
メイとチップがコトの最中さー・・・・(コラコラコラ)
絶ッ対ジョニーの名前呼んじゃって
チップがすねるとかありそうではないですか?
----------------
ジョニー→王様
メイ→お姫様
チップ→素性わからず ちみっこの記憶はなし 拾われっ子
2人は幼馴染?みたいな
-----------
赤い眼~
てことでチップっぷ~がメイの血を吸っちゃうよー?
メイを突き放すんだけど メイは吸えばいいじゃん!っていうんだ!!
------------
チップとジョニィ~といえば
ストーリーモードの「借り」ですが
どうやって返すんですかハァハァとかは前に言いましたねハイ
やっぱおいしい酒を闇慈とかに教えてもらって買って行って
「こないだの借りを返しにきた」って訪れたら
メイの世話を頼まれるというか押し付けられるというか
メイはもージョニーがデートしてくれないで超不機嫌で
チップは何で俺がこんな奴とぶつぶつ みたいな
あれ?メイチ?
---------
・・だったらチップは用心棒?
ジョニーパパは王様?キングジョニー・・・
なんかチップは窓から入ってくるようなイメージがあります。
こう・・・ワンピのカヤとウソップのようなかんじで・・・
---------
チップって素でバレンタイン スルーな感じ
それどころじゃねーつうか
で、メイからチョコとかもらって
何でくれんの? みたいな
板チョコでポッキーゲームして欲しいねこの2人は(なぜ板チョコ・・・)
-----------
内臓破裂ゥゥ!!みたいな攻撃くらって
すっげー吐血してるよーな場面が浮かんだ
一時置いて ばしゃー!! みたいな
あーもー駄目じゃん俺
と諦めかけるが そこにメイの笑顔が浮かぶ
とか ありがちーな感じで
------------
メイ「チップは?」
悪い人「しんだよ」
メイは絶望を味わったら静かそうっつーか
泣きじゃくるとかじゃなくて
「・・・・嘘。 嘘 うそ」
とか絶望した顔で静かに壊れていくっつーイメージ
で
「嘘にきまってんだろ」
とかって背後にチップがー!!(ベタ)
でも実は悪役にいじめられて重症とかーー!!(ベタベタ)
------------
こないだの逆で・・・
悪者「メイころしたー」
チプ「あっそ」
すごい静かに激怒ーみたいな(日本語おかしい)
冷静に敵の後ろとったりするけど
顔が氷点下何十度みたいな赤い眼
「じゃー殺す。絶対殺す。」
手がもげても足がちぎれてもころす
みたいなーさー
-----------
目立つと都合が悪いので絡まれても大人しく殴られていたチップでありましたが、
メイが割り込んできて「お前女連れで生意気ー!」となり
お前生意気なんだよ的なセリフ吐く奴Aがメイの髪を掴んだりして
チプーがプチーで初めて素人(お前生(中略)吐く奴A~Cをのしてしまったりとか。
そしてメイに悪態をつくとか。お前のせいで云々・・・
メイはメイであんたがなぐられてるから云々言い返して・・・
まあつまり相手より強いのに大人しく殴られているチップと
痴話げんかな2人萌えという話。
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「洗脳ねェ・・・・・。お粗末なモンだけど」
イノの足元に倒れているのは大きな錨を持つ少女。
もっともその錨も支えてくれる人物が地に伏している今、力なく横たわっているだけだが。
「あのポンコツロボットじゃあここまでが限界ってやつなのかしらね。全然この子の力を引き出せてないし」
本気を出すまでもない。
自分を襲ってきたこの少女を軽くあしらったあと、こうして物足りなさを感じているわけだが。
「・・・・・・・イイこと思いついちゃった」
少し考えこんだあと、イノは笑みを浮かべた。
残酷で、妖艶な。
紙袋を被って白衣を着た人物、ファウストが歩いている。
「今日はなんだか怪我人が多いですねェ・・・・・」
ふいに、足を止める。
目の前に、錨を持った少女がファウストの進路を塞ぐように立っていた。
「おや、あなたは・・・・」
「こ、ろ、す」
言うなり、襲いかかってきた。
「!?」
愛用の長いメスで攻撃を受け止める。
「これも同件ですかね・・・?」
先ほど、ジャパニーズ2人に連れてこられた青年を手当てしたものだが。
なにやら洗脳を受けていて、2人がかりで正気に戻したらしい。
目の焦点が合っていない。表情が無い。言動が機械的。
あの終戦管理局のロボットと同じような感じらしい。というか、そいつの仕業だと。
そんな話を聞いた。
「せんせいをころす」
「!?」
「わたしをころしたせんせいを」
「ッ!」
思わず力を緩めてしまい、押し負ける。
が、すぐに間合いを離して、立て直す。
「いつもの彼女ではありませんね・・・・・・・」
しかし何かがひっかかる。これは本当にあのロボットの仕業なのだろうか?
メイを傷つけないように、攻撃を受け流す。
「たすけてくれるっていったのに」
ぼそり、とメイがつぶやいた。
「たすけてくれるっていったのに」
「しんじてたのに」
「せんせいなら」
「せんせいなら」
「わたしを」
「・・・・・・っ」
ファウストに動揺が走る。
メイはその隙を逃さない。
重い一撃がファウストをとらえ、長身の身体がまともにふっとんだ。
受身もとれず地面を転がる。
「くっ」
すぐに起き上がるが、すぐ傍にメイがいた。
「またころすの?」
無表情でメイがつぶやくと、メスを握り締めようとしたファウストの動きがぴたりと止まった。
上にかがげられた錨が思い切りファウストに向かって振り下ろされた。
ファウストは、動かない。
錨がファウストの肩をぐしゃりとえぐる。
だらりと腕が下がり、白衣が赤く染まっていく。
布に吸い取られきれなかった血が、地面に落ちて染みをつくっていく。
メイはそんなファウストを見下ろすと、またぶつぶつとしゃべりはじめた。
「せんせいのおてて、まっか」
「あのときもまっかだった」
「いまもまっか」
「わたしのちで、まっかっか」
「・・・・・・もう、いいんですか?このまま、あなたの手にかかることを・・・・拒まなくても」
無傷な方の手で肩を押さえる。すぐに手が赤く染まった。
手を肩から離し、べっとりと汚れた手をじっと見つめる。
「償えるものなど何もない 償える方法などない」
それでも
「貴方は許してくれましたね」
見つめていた手を握り締める。
「そしてなお、私を逃がしてくれる・・・というのですか?安息を、いただけると?」
メイとファウストの視線がぶつかった。
「・・・・こ、ろす・・・・!!」
メイの表情に変化があったのは、気のせいだったのかもしれない。
動く方の手で錨を握る手をそっと押さえる。
「貴方が許してくれたとしても・・・やはりまだ、私は・・・・・・」
メイの手から錨が離れ、地面に落ちる。
「・・・・ぅ・・・・あ」
頭を抱えるようにして、メイがよろめく。
「・・・ぁ、や、だ・・・・・・・死んじゃ、やだよぅ・・・」
「お嬢さん?」
「せんせいの、せいじゃないの・・・・・・せいじゃないのに・・・・・・っ」
ぼろぼろとメイの瞳から涙がこぼれた。
泣きながら、ぺたりとメイがその場にしゃがみこむ。
「・・・・・ありがとう、ございます・・・・・」
涙をぬぐってやろうとして、自身の手が血で汚れていることに気付き、手を止める。
ひっこめようとしたそのとき、メイの手がファウストのその手を握ってきた。
驚きを隠せずに、とまどう。
しばらくメイはぐずっていたが、急に糸が切れたように横に倒れる。
とっさに手をのばして地面に横倒しになる前にその身体を支えた。
二の腕あたりで彼女を支えながら、自分自身の顔を覆って俯いた。
紙袋がくしゃりと音をたてる。
泣きたかったのか謝りたかったのか、嬉しかったのか。
ファウストはしばらくその場を動けなかった。
「・・・・・・つまンないの。洗脳が甘かったのかしら」
イノはため息をつくと音もなくその場から去った。
「気がつきましたか?」
彼女の目にとびこんできたのは袋。ちょうど人の顔にたとえると、右目のある位置に穴があいている。
「!ッ・・・・・・・ぁ、・・・・お、お医者さま・・・?」
「怪我はたいしたことないようでよかったですが・・・。どうしました?背中のお二人も随分おとなしいようでしたが」
「・・・ほ、ホンモノ・・・・ですよね」
「? 先ほど貴方が気がつかれたときも思いましたが・・・・、私がどうかしましたか?」
ディズィーはまだ先ほど起きたことが信じられない、と沈痛な表情で口を開いた。
「私の・・・・・偽者?」
「容姿は見分けがつかないほどでした・・・・。でも、お医者様とは何か違って。雰囲気とか、感じとかが・・・・
でも、なにより違ったのは」
狂ったような狂気。
「何をされたかも覚えてないんです・・・・、気がついたら、あの・・・」
自分の身体をだきしめるようにして震えるディズィーの肩に、そっとファウストは手を置いた。
「ええ、もういいですよ。ありがとうございます」
背中からパラソルを出す。
「お送りいたしましょう。立てますか?」
メイシップにつくと、船員がすぐに気付いてかけよってきた。
「お帰りディズィー!あれ、メイは一緒じゃないの?探しに行くって・・・・」
「まさか・・・・!」
「お嬢さん、メイさんが何処へ行かれるか聞いていませんか?」
「あ、えっと・・・最寄の」
行き先を聞いた瞬間、ファウストの姿がかき消えた。
「きゃぁあああっ!!」
吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「ひゃあッはァ!」
笑いながら、長いメスを振りかぶりながら襲ってくるのは、顔見知りの人物だった。
「・・・っくぅっ」
起き上がり、錨を構える。
(見たことある、ディズィーがよく話してくれたあのおじさん・・・・ボクも会ったことある・・・・・でも)
ガキンと音をたてて、メスと錨がぶつかりあう。
(いつものおじさんじゃない・・・・気がする)「ッあ!?」
攻撃に耐えられず、またもふっとばされる。
「いたた・・・」
うめいて、起き上がろうとした目の前に。
「ひ・・・・ッ」
紙袋の奥からにじみでる狂気がメイを震え上がらせた。
メスが突き出される。
甲高い金属音が響いた。
反射的にきつくつぶっていた目をそっとあけると、目の前にはやはり紙袋。
紙袋の自分への攻撃を、紙袋が受け止めてくれている。
「え、あ・・・・おじさんが、2人?」
たったいま現れたファウストが、メイを抱え上げて大きく間合いをとる。
「大丈夫ですか?」
「う、うん・・・・」
今さっきまで同じ人物と対峙していたのに、今現れたファウストの傍にいることは怖くなかった。
「貴方ですか?私の偽者は」
「はァ?テメェが俺の偽者だろうよ」
よくみると、相手は着ている白衣は同じものの、色が黒に近い深緑。
かぶっている袋もこちらのものより灰色がかかっている。
「ジャマすんじゃねぇよ・・・・久しぶりの獲物なんだからよ・・・・・・」
「させませんよ。少しおとなしくしていなさい」
メスとメスがぶつかりあう。
「なァ、そのメスで何人殺した?」
音とともに、火花が散る。
「最初の獲物はそこの嬢ちゃんに良く似てたよなぁ」
「・・・・・っ」
「スキだらけだぜェ!?」
黒ファウストの一撃で、ファウストの手からメスが飛んだ。
「死になァ!」
渾身の一撃が突き刺さる。
「ッ・・・な!?」
だが、そこには布が一枚ひらりと舞っているだけだった。
「上ですよ」
ごきんと鈍い音がした。
「テ・・・・・メっ・・・・」
黒ファウストが地に倒れる。
「ふう、厄介な患者ですねえ・・・・・・」
メスを拾い上げ、メイに向き直る。
「・・患者・・・・・」
<そのメスで何人殺した?>
どくんと身体が脈打つ。
<最初の獲物はそこの嬢ちゃんに良く似てたよなぁ>
目の前にいる少女が、他のよく知っている少女の姿と重なる。
「おじさん、大丈夫?」
はっと我にかえる。
「・・ええ、大丈夫ですよ。すいません、少々・・・・・」
ずぎゅっ。
刃物が肉を貫く音がした。
「・・・がっ・・・・」
からん、とメスがファウストの手を離れ、地に落ちた。
ファウストの胸から、血で濡れたメスが突き出ている。
「よくもやってくれやがったなァ」
黒ファウストがメスをひねって引き戻した。
大量の血が傷口から溢れ、ファウストが膝をついた。
「そこで見てな・・・・・テメェが一番望んでいる光景をみせつけてやらァ!」
メイに向かってメスを突き刺す。
「・・・・・・・っ!」
ファウストは膝をつきながらも、必死に手をのばしメイの手を無理やりひっぱった。
「ひゃあ!」
バランスを崩し、前のめりになるメイ。
メスが空を切った。
「ちぃっ!」
舌打ちし、メスを垂直にし、振り下ろしてくる。
「ぐぅ・・・っ!」
その攻撃を避けようと身体を動かすと、傷口からさらに血があふれて白い白衣を赤く染めた。
メイを押し倒すような形になりながらも、なんとか彼女をかばう。
「ひゃははははははぁあ!!」
好機といわんばかりに無防備なファウストの背中を何度も切りつける。
深くえぐられ、血がしぶいた。
「・・・・ど、どいて!!死んじゃうよォ!!」
メイが目に涙をうかべて叫ぶが、ファウストは黙って耐えている。
叫びもせず、動きもせずに。
「うぜェんだよ!!」
ファウストの右肩を、黒ファウストのメスが深くえぐる。
「っぐ・・・・・!」
まっすぐに伸ばしていたひじががくんと曲がり、右ひじを地面につく。
「テメェごと貫いてやらァ!!」
大きくメスをふりかぶる。
その時、メイの視界にファウストのメスが入った。
手をのばしてそれをつかみ、なげつける。
「っぎゃあぁッ!!」
黒ファウストがのけぞって叫んだ。
「~~テメェエ!」
自らメスを引き抜いて投げ捨て、自分のメスでファウストの頭を突き刺した。
血がしぶく。
・・・・かと思いきや、2人の姿はそこになく、自分のメスが突き刺さったファウストの紙袋が残るのみ。
よくみると、紙袋から導線のようなものがあり、ジジジ・・・と小さな音をたてていた。
「んなぁ!?」
爆発がおきて、ふっとばされる。
「ちくしょうが・・ッ」
「動かないでくださいね」
後ろから、長いメスが黒ファウストの首にあてられている。
「まあ貴方ならお分かりでしょうが・・・・・動いたら、死にますよ」
「・・・・・・・・・・」
「先ほど貴方を私の偽者・・・・といいましたが、そうではないようですね」
「あァ?さっさと切れよ」
「貴方は、私です」
「ハッ。俺はお前なんか認めねえからな・・・・・・・」
ざら、と黒ファウストのメスが砂のように空に消えていく。
それと同時に、彼自身の身体もざらざらと崩れていく。
「そうさ。俺はお前でお前は俺だ。しょせん、人殺しは人殺しなんだよ。許されることもない」
「充分承知ですよ。許しを請う気などない。そして、貴方は消えない。・・・少し眠りなさい」
そして完全に崩れ去った。
それを確認すると、ファウストはどさりとその場に倒れこんだ。
じわじわと彼の血が地面にひろがっていく。
「おじさん・・・・ッ、大丈夫!?」
メイがあわてて駆け寄ってくる。
「はは、少しキツいですが・・・・・ああ、貴方にはご迷惑をおかけしましたね・・・・」
「そんなことないよ・・っ、助けてくれたじゃん!」
「たすけ・・・・られたのでしょうか、貴方を・・・・・・」
「何言ってんの、しっかりしてよ・・・・っ、手当て、手当てしないと・・・・」
背中は赤く染まり、まだ血もとまっていない。
「・・・汚れて、しまいますよ・・・・、お仲間さんが心配していらっしゃいます・・・・・、お送りすることはできませんが、は、やく・・」
「何言ってるの、置いていけないよ!」
「私は理由あって、公共の施設にはお世話になれないですし・・・・・・・、さあ、はやくお帰りに・・なってくだ・・・・・・さ」
メイがまだ何か言っていたが、ファウストの耳には入っていなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・ここは・・・・・?」
目を開けると、見慣れない天井があった。
窓から外を見ると、空の上だった。
「ああ、あの子らの・・・・・・お世話になってしまいましたね。御礼は後日させてもらうとしましょう」
窓を開け、傘をさし、とびたった。
彼女の目にとびこんできたのは袋。ちょうど人の顔にたとえると、右目のある位置に穴があいている。
「!ッ・・・・・・・ぁ、・・・・お、お医者さま・・・?」
「怪我はたいしたことないようでよかったですが・・・。どうしました?背中のお二人も随分おとなしいようでしたが」
「・・・ほ、ホンモノ・・・・ですよね」
「? 先ほど貴方が気がつかれたときも思いましたが・・・・、私がどうかしましたか?」
ディズィーはまだ先ほど起きたことが信じられない、と沈痛な表情で口を開いた。
「私の・・・・・偽者?」
「容姿は見分けがつかないほどでした・・・・。でも、お医者様とは何か違って。雰囲気とか、感じとかが・・・・
でも、なにより違ったのは」
狂ったような狂気。
「何をされたかも覚えてないんです・・・・、気がついたら、あの・・・」
自分の身体をだきしめるようにして震えるディズィーの肩に、そっとファウストは手を置いた。
「ええ、もういいですよ。ありがとうございます」
背中からパラソルを出す。
「お送りいたしましょう。立てますか?」
メイシップにつくと、船員がすぐに気付いてかけよってきた。
「お帰りディズィー!あれ、メイは一緒じゃないの?探しに行くって・・・・」
「まさか・・・・!」
「お嬢さん、メイさんが何処へ行かれるか聞いていませんか?」
「あ、えっと・・・最寄の」
行き先を聞いた瞬間、ファウストの姿がかき消えた。
「きゃぁあああっ!!」
吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「ひゃあッはァ!」
笑いながら、長いメスを振りかぶりながら襲ってくるのは、顔見知りの人物だった。
「・・・っくぅっ」
起き上がり、錨を構える。
(見たことある、ディズィーがよく話してくれたあのおじさん・・・・ボクも会ったことある・・・・・でも)
ガキンと音をたてて、メスと錨がぶつかりあう。
(いつものおじさんじゃない・・・・気がする)「ッあ!?」
攻撃に耐えられず、またもふっとばされる。
「いたた・・・」
うめいて、起き上がろうとした目の前に。
「ひ・・・・ッ」
紙袋の奥からにじみでる狂気がメイを震え上がらせた。
メスが突き出される。
甲高い金属音が響いた。
反射的にきつくつぶっていた目をそっとあけると、目の前にはやはり紙袋。
紙袋の自分への攻撃を、紙袋が受け止めてくれている。
「え、あ・・・・おじさんが、2人?」
たったいま現れたファウストが、メイを抱え上げて大きく間合いをとる。
「大丈夫ですか?」
「う、うん・・・・」
今さっきまで同じ人物と対峙していたのに、今現れたファウストの傍にいることは怖くなかった。
「貴方ですか?私の偽者は」
「はァ?テメェが俺の偽者だろうよ」
よくみると、相手は着ている白衣は同じものの、色が黒に近い深緑。
かぶっている袋もこちらのものより灰色がかかっている。
「ジャマすんじゃねぇよ・・・・久しぶりの獲物なんだからよ・・・・・・」
「させませんよ。少しおとなしくしていなさい」
メスとメスがぶつかりあう。
「なァ、そのメスで何人殺した?」
音とともに、火花が散る。
「最初の獲物はそこの嬢ちゃんに良く似てたよなぁ」
「・・・・・っ」
「スキだらけだぜェ!?」
黒ファウストの一撃で、ファウストの手からメスが飛んだ。
「死になァ!」
渾身の一撃が突き刺さる。
「ッ・・・な!?」
だが、そこには布が一枚ひらりと舞っているだけだった。
「上ですよ」
ごきんと鈍い音がした。
「テ・・・・・メっ・・・・」
黒ファウストが地に倒れる。
「ふう、厄介な患者ですねえ・・・・・・」
メスを拾い上げ、メイに向き直る。
「・・患者・・・・・」
<そのメスで何人殺した?>
どくんと身体が脈打つ。
<最初の獲物はそこの嬢ちゃんに良く似てたよなぁ>
目の前にいる少女が、他のよく知っている少女の姿と重なる。
「おじさん、大丈夫?」
はっと我にかえる。
「・・ええ、大丈夫ですよ。すいません、少々・・・・・」
ずぎゅっ。
刃物が肉を貫く音がした。
「・・・がっ・・・・」
からん、とメスがファウストの手を離れ、地に落ちた。
ファウストの胸から、血で濡れたメスが突き出ている。
「よくもやってくれやがったなァ」
黒ファウストがメスをひねって引き戻した。
大量の血が傷口から溢れ、ファウストが膝をついた。
「そこで見てな・・・・・テメェが一番望んでいる光景をみせつけてやらァ!」
メイに向かってメスを突き刺す。
「・・・・・・・っ!」
ファウストは膝をつきながらも、必死に手をのばしメイの手を無理やりひっぱった。
「ひゃあ!」
バランスを崩し、前のめりになるメイ。
メスが空を切った。
「ちぃっ!」
舌打ちし、メスを垂直にし、振り下ろしてくる。
「ぐぅ・・・っ!」
その攻撃を避けようと身体を動かすと、傷口からさらに血があふれて白い白衣を赤く染めた。
メイを押し倒すような形になりながらも、なんとか彼女をかばう。
「ひゃははははははぁあ!!」
好機といわんばかりに無防備なファウストの背中を何度も切りつける。
深くえぐられ、血がしぶいた。
「・・・・ど、どいて!!死んじゃうよォ!!」
メイが目に涙をうかべて叫ぶが、ファウストは黙って耐えている。
叫びもせず、動きもせずに。
「うぜェんだよ!!」
ファウストの右肩を、黒ファウストのメスが深くえぐる。
「っぐ・・・・・!」
まっすぐに伸ばしていたひじががくんと曲がり、右ひじを地面につく。
「テメェごと貫いてやらァ!!」
大きくメスをふりかぶる。
その時、メイの視界にファウストのメスが入った。
手をのばしてそれをつかみ、なげつける。
「っぎゃあぁッ!!」
黒ファウストがのけぞって叫んだ。
「~~テメェエ!」
自らメスを引き抜いて投げ捨て、自分のメスでファウストの頭を突き刺した。
血がしぶく。
・・・・かと思いきや、2人の姿はそこになく、自分のメスが突き刺さったファウストの紙袋が残るのみ。
よくみると、紙袋から導線のようなものがあり、ジジジ・・・と小さな音をたてていた。
「んなぁ!?」
爆発がおきて、ふっとばされる。
「ちくしょうが・・ッ」
「動かないでくださいね」
後ろから、長いメスが黒ファウストの首にあてられている。
「まあ貴方ならお分かりでしょうが・・・・・動いたら、死にますよ」
「・・・・・・・・・・」
「先ほど貴方を私の偽者・・・・といいましたが、そうではないようですね」
「あァ?さっさと切れよ」
「貴方は、私です」
「ハッ。俺はお前なんか認めねえからな・・・・・・・」
ざら、と黒ファウストのメスが砂のように空に消えていく。
それと同時に、彼自身の身体もざらざらと崩れていく。
「そうさ。俺はお前でお前は俺だ。しょせん、人殺しは人殺しなんだよ。許されることもない」
「充分承知ですよ。許しを請う気などない。そして、貴方は消えない。・・・少し眠りなさい」
そして完全に崩れ去った。
それを確認すると、ファウストはどさりとその場に倒れこんだ。
じわじわと彼の血が地面にひろがっていく。
「おじさん・・・・ッ、大丈夫!?」
メイがあわてて駆け寄ってくる。
「はは、少しキツいですが・・・・・ああ、貴方にはご迷惑をおかけしましたね・・・・」
「そんなことないよ・・っ、助けてくれたじゃん!」
「たすけ・・・・られたのでしょうか、貴方を・・・・・・」
「何言ってんの、しっかりしてよ・・・・っ、手当て、手当てしないと・・・・」
背中は赤く染まり、まだ血もとまっていない。
「・・・汚れて、しまいますよ・・・・、お仲間さんが心配していらっしゃいます・・・・・、お送りすることはできませんが、は、やく・・」
「何言ってるの、置いていけないよ!」
「私は理由あって、公共の施設にはお世話になれないですし・・・・・・・、さあ、はやくお帰りに・・なってくだ・・・・・・さ」
メイがまだ何か言っていたが、ファウストの耳には入っていなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・ここは・・・・・?」
目を開けると、見慣れない天井があった。
窓から外を見ると、空の上だった。
「ああ、あの子らの・・・・・・お世話になってしまいましたね。御礼は後日させてもらうとしましょう」
窓を開け、傘をさし、とびたった。
見られた。
呆然と立ち尽くす少女は、いつもよりさらに幼く見えた。
・・・誤魔化せない。
どうしてやればいい?
下手な嘘は逆効果になる。
少しでも、彼女の負担を減らし、安心させてやるにはどうしたらいい?
答えが、見つからない。
「め、イ・・・」
喉にまだまとわりつく血が声を掠れさせた。
無理矢理空気を通して声を出したため、再び咳き込む。
咳きの音に、メイの身体がびくっと震える。
「・・・・大丈夫だから」
目は合わせられなかった。
今言った言葉が正しいと信じさせてやれるだけの証拠はなかったが、
チップはそれだけ言うと黙り込んだ。
ふらふらとメイが近寄ってくる。
拒みもせず、肯定することもせず、座り込んだままチップはメイを見なかった。
ぺたん、とチップの横にメイが力なく座り込む。
「・・・・・やだ」
震える手でチップの服を掴む。
「やだ、やだ・・・・イヤ・・・・」
「・・・何が」
「しんじゃやだ」
「死なねぇって」
「だって、血、はいた・・・・・」
「大丈夫だって」
ぎゅう、と服を掴む手に力がこもった。
「・・・やだ、やだよぅ・・・死んじゃ、やだぁ!!」
「メ・・・」
「イヤだ!ヤダ!ボクを置いていかないで!」
泣き叫ぶメイを、宥めるように抱きしめた。
「・・もぅ、置いてかれるのは・・・・やだよぉ・・・・・」
泣きじゃくるメイをただ抱きしめることしか出来なかったが、抱きしめる腕に力を込めた。
一瞬でも血におびえた自分が、もういない。
死が怖くなくなったのはいつからだったか。
死が、怖くなったのはいつからだったか。
自分にすがりつく存在が、ここまでとは思わなかった。
なぐさめられているのはどっちだったのか。
チップには、分からなかった。
呆然と立ち尽くす少女は、いつもよりさらに幼く見えた。
・・・誤魔化せない。
どうしてやればいい?
下手な嘘は逆効果になる。
少しでも、彼女の負担を減らし、安心させてやるにはどうしたらいい?
答えが、見つからない。
「め、イ・・・」
喉にまだまとわりつく血が声を掠れさせた。
無理矢理空気を通して声を出したため、再び咳き込む。
咳きの音に、メイの身体がびくっと震える。
「・・・・大丈夫だから」
目は合わせられなかった。
今言った言葉が正しいと信じさせてやれるだけの証拠はなかったが、
チップはそれだけ言うと黙り込んだ。
ふらふらとメイが近寄ってくる。
拒みもせず、肯定することもせず、座り込んだままチップはメイを見なかった。
ぺたん、とチップの横にメイが力なく座り込む。
「・・・・・やだ」
震える手でチップの服を掴む。
「やだ、やだ・・・・イヤ・・・・」
「・・・何が」
「しんじゃやだ」
「死なねぇって」
「だって、血、はいた・・・・・」
「大丈夫だって」
ぎゅう、と服を掴む手に力がこもった。
「・・・やだ、やだよぅ・・・死んじゃ、やだぁ!!」
「メ・・・」
「イヤだ!ヤダ!ボクを置いていかないで!」
泣き叫ぶメイを、宥めるように抱きしめた。
「・・もぅ、置いてかれるのは・・・・やだよぉ・・・・・」
泣きじゃくるメイをただ抱きしめることしか出来なかったが、抱きしめる腕に力を込めた。
一瞬でも血におびえた自分が、もういない。
死が怖くなくなったのはいつからだったか。
死が、怖くなったのはいつからだったか。
自分にすがりつく存在が、ここまでとは思わなかった。
なぐさめられているのはどっちだったのか。
チップには、分からなかった。
01*「ポニーテール」
「そういやお前っていつもは髪おろしてんのな」
頬杖をつきながら、チップはメイに話しかける。
「ンー?何、急にー」
最近来る回数が増えたメイシップ。
メイはといえば、チップに背を向けたまま何かごそごそと探している。
「や、別になんでもねぇんだけどよ」
と言いつつ、いつもは見えない彼女のうなじをなんとなく見つめる。
メイの背中で揺れるポニーテールが、時々うなじを遮る。
「お前けっこう髪長いよなーと思って」
くん、と自分の髪が持ち上げられるのがわかった。
「うなじとか初めて見た」
「んなッ・・・離してよ、ヘンタイ!」
何故か顔を少し赤くして、メイが騒ぐ。
「あァ!?誰がヘンタイだ、誰が!」
「アンタのことに決まってんでしょ!離してってば!」
「・・・・・テメー」
髪をつかまれている手を振り解こうと、
メイが自分の手をふりあげる。
チップはメイの髪から手を離し、代わりに降りかかってきたメイの手首を掴んだ。
「うひゃ」
そのままうなじに唇を落とすと、メイが変な声をあげた。
「・・・お前もうちょっと色気のある声出ねぇの?」
「・・・・・!!」
うなじに手をあてて、メイが顔を真っ赤にする。
・・・・・怒りで。
メイの妙な奇声と、ばきぃっ!という派手な音がメイシップに響き渡った。
---------
「行くなよ」
懇願する訳でもなく、淡々と。
怒っても、笑ってもいない、無表情なチップの顔。
立ち上がり、その場を去ろうとしたときに、手首を掴まれた。
振りほどけないほど強く掴まれてはいなかった。
でも、振りほどくことができなかった。
「・・・ダメ、だよ。ジョニーが待ってる」
チップはそれ以上、何も言わなかった。
ただ、メイから顔を逸らすこともなく、先ほどの表情のままに、
メイを見ていた。
「行くなよ。」
さっきそう言われたとき、
メイの心臓がドキリとはねた。
-----------
「なァ、梅喧って『キツケ』出来るよな?」
「まぁな。なんだい、着物でも着たいのかい?」
煙管を口から放し、煙がくゆる。
「着物じゃなくてユカタ。あれ着せたい奴がいるんだけど」
俺も着たいけど。とチップは付け加えた。
「お前は闇慈のとこにでも行きな。そん前に、嬢ちゃんを連れてきな。俺からは動かねぇぞ」
ぱ、とチップの表情が明るくなるのを見て、なんとなく梅喧は笑みをこぼした。
「どこで手に入れてきたんだか」
梅喧はそうつぶやいた。
「ボク浴衣なんて初めて着るよ~」
メイはうれしそうにくるりと回ってみせた。
「披露してきな」
「うん!」
近くに止まっているメイシップから、隊員たちが降りてくる。
「わ、メイ可愛い~」
「エヘヘ~、ありがと」
「ジョニーってばどこいったのかな?」
「・・・ね、ちょっとボク探してくるよ。みんなはここで待ってて!」
「ここで待ってた方がいいんじゃない?」
そう声をかける隊員もいたが、エイプリルが口を出した。
「行ってきなよ。伝えとくから」
「??」
他の隊員は訳が分からず首をかしげた。
「闇慈さん、チップ来てる?」
「よぉ、嬢ちゃん。奥にいるぜ・・・って転ぶなよー」
闇慈が言い終わらないうちに、たかたかと小走りで奥の部屋に向かった。
「微笑ましいねぇ」
普段着よりずっとずっと走りにくかったが、それでもメイは小走りで続く廊下の角を曲がる。
「あ、チッ・・・うきゃ!」
部屋からチップがひょいと顔を出したところに遭遇する。
声をかけようとしたが、裾を踏んづけてしまい、前のめりになる。
「・・・っと!」
チップの腕がメイを支えた。
・・が、勢いが殺せずそのままチップを下敷きにして倒れこんだ。
「ご、ごめ・・・大丈夫?」
「・・・重い」
「!!!」
むきゃ、とメイが手を振り上げた。
が、言葉に反して笑顔だったチップを見ると、行き場のない手が空を仰いだ。
メイの顔にさわる。
「・・・ぜってぇ似合うと思った」
子どもみたいに嬉しそうに笑って、メイを抱き寄せた。
------------
一つの場所に留まるような人物ではない、
それは重々承知していたことだった。
それでも、かなりのあいだ会っていなかった。
自分を探そうと思えば、探せるはずだった。
「なんてったってお尋ねものなんだから!・・・ジョニーが、だけど」
チップはボクに会いたくないワケ?
・・・会わなくてもヘーキなワケ?
「・・・なんで?なんであんなのが気になるんだろ」
ジョニーより全然コドモっぽくて、
でもボクより年上で、
チップの、
ピアスの数とか、 目の色を近くで見るのが、好きだった。
「・・・別に会いたいワケじゃない」
けど、気になる。
外は雨だった。
「こーゆー気分のトキに雨だと・・・気分も晴れないなぁ」
ディズィーは雨だというのに出かけてしまった。
羽とか重くならないのかな。そんなことをふと思った。
「ボクも見習って散歩でも行こうかなぁ・・・」
ふらふらと外にでた。
大雨というわけでもないが、傘が必要でないこともない。
そんな中途半端な雨脚模様。
確信はなかった。
けれど、いつも自然と足が向く場所へ。
そこに、彼はいた。
「遅ェよ」
「・・・こっちのセリフだよ。どこ行ってたのさ」
「雨が悪ィんだよ」
「答えになってないよ」
「寒ィ。触らせろ」
「セクハラ」
「だから雨が悪ぃんだよ」
雨の日に出かけるもんじゃない
気分が 惑わされるから
---------
ふと 思い出す
怒った顔
物憂げな顔
眠そうな顔
笑った顔。
ガキくせぇ奴としか思ってなかったハズだったのに
ときたま、本当に時々、意外と大人びた顔をみせやがる。
家族連れの幸せそーなガキの顔を見て
お前のこと思い出したっつったら、
怒るだろうか。
笑うだろうか?
チップは少しだけ自嘲気味に、笑った。
「そういやお前っていつもは髪おろしてんのな」
頬杖をつきながら、チップはメイに話しかける。
「ンー?何、急にー」
最近来る回数が増えたメイシップ。
メイはといえば、チップに背を向けたまま何かごそごそと探している。
「や、別になんでもねぇんだけどよ」
と言いつつ、いつもは見えない彼女のうなじをなんとなく見つめる。
メイの背中で揺れるポニーテールが、時々うなじを遮る。
「お前けっこう髪長いよなーと思って」
くん、と自分の髪が持ち上げられるのがわかった。
「うなじとか初めて見た」
「んなッ・・・離してよ、ヘンタイ!」
何故か顔を少し赤くして、メイが騒ぐ。
「あァ!?誰がヘンタイだ、誰が!」
「アンタのことに決まってんでしょ!離してってば!」
「・・・・・テメー」
髪をつかまれている手を振り解こうと、
メイが自分の手をふりあげる。
チップはメイの髪から手を離し、代わりに降りかかってきたメイの手首を掴んだ。
「うひゃ」
そのままうなじに唇を落とすと、メイが変な声をあげた。
「・・・お前もうちょっと色気のある声出ねぇの?」
「・・・・・!!」
うなじに手をあてて、メイが顔を真っ赤にする。
・・・・・怒りで。
メイの妙な奇声と、ばきぃっ!という派手な音がメイシップに響き渡った。
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「行くなよ」
懇願する訳でもなく、淡々と。
怒っても、笑ってもいない、無表情なチップの顔。
立ち上がり、その場を去ろうとしたときに、手首を掴まれた。
振りほどけないほど強く掴まれてはいなかった。
でも、振りほどくことができなかった。
「・・・ダメ、だよ。ジョニーが待ってる」
チップはそれ以上、何も言わなかった。
ただ、メイから顔を逸らすこともなく、先ほどの表情のままに、
メイを見ていた。
「行くなよ。」
さっきそう言われたとき、
メイの心臓がドキリとはねた。
-----------
「なァ、梅喧って『キツケ』出来るよな?」
「まぁな。なんだい、着物でも着たいのかい?」
煙管を口から放し、煙がくゆる。
「着物じゃなくてユカタ。あれ着せたい奴がいるんだけど」
俺も着たいけど。とチップは付け加えた。
「お前は闇慈のとこにでも行きな。そん前に、嬢ちゃんを連れてきな。俺からは動かねぇぞ」
ぱ、とチップの表情が明るくなるのを見て、なんとなく梅喧は笑みをこぼした。
「どこで手に入れてきたんだか」
梅喧はそうつぶやいた。
「ボク浴衣なんて初めて着るよ~」
メイはうれしそうにくるりと回ってみせた。
「披露してきな」
「うん!」
近くに止まっているメイシップから、隊員たちが降りてくる。
「わ、メイ可愛い~」
「エヘヘ~、ありがと」
「ジョニーってばどこいったのかな?」
「・・・ね、ちょっとボク探してくるよ。みんなはここで待ってて!」
「ここで待ってた方がいいんじゃない?」
そう声をかける隊員もいたが、エイプリルが口を出した。
「行ってきなよ。伝えとくから」
「??」
他の隊員は訳が分からず首をかしげた。
「闇慈さん、チップ来てる?」
「よぉ、嬢ちゃん。奥にいるぜ・・・って転ぶなよー」
闇慈が言い終わらないうちに、たかたかと小走りで奥の部屋に向かった。
「微笑ましいねぇ」
普段着よりずっとずっと走りにくかったが、それでもメイは小走りで続く廊下の角を曲がる。
「あ、チッ・・・うきゃ!」
部屋からチップがひょいと顔を出したところに遭遇する。
声をかけようとしたが、裾を踏んづけてしまい、前のめりになる。
「・・・っと!」
チップの腕がメイを支えた。
・・が、勢いが殺せずそのままチップを下敷きにして倒れこんだ。
「ご、ごめ・・・大丈夫?」
「・・・重い」
「!!!」
むきゃ、とメイが手を振り上げた。
が、言葉に反して笑顔だったチップを見ると、行き場のない手が空を仰いだ。
メイの顔にさわる。
「・・・ぜってぇ似合うと思った」
子どもみたいに嬉しそうに笑って、メイを抱き寄せた。
------------
一つの場所に留まるような人物ではない、
それは重々承知していたことだった。
それでも、かなりのあいだ会っていなかった。
自分を探そうと思えば、探せるはずだった。
「なんてったってお尋ねものなんだから!・・・ジョニーが、だけど」
チップはボクに会いたくないワケ?
・・・会わなくてもヘーキなワケ?
「・・・なんで?なんであんなのが気になるんだろ」
ジョニーより全然コドモっぽくて、
でもボクより年上で、
チップの、
ピアスの数とか、 目の色を近くで見るのが、好きだった。
「・・・別に会いたいワケじゃない」
けど、気になる。
外は雨だった。
「こーゆー気分のトキに雨だと・・・気分も晴れないなぁ」
ディズィーは雨だというのに出かけてしまった。
羽とか重くならないのかな。そんなことをふと思った。
「ボクも見習って散歩でも行こうかなぁ・・・」
ふらふらと外にでた。
大雨というわけでもないが、傘が必要でないこともない。
そんな中途半端な雨脚模様。
確信はなかった。
けれど、いつも自然と足が向く場所へ。
そこに、彼はいた。
「遅ェよ」
「・・・こっちのセリフだよ。どこ行ってたのさ」
「雨が悪ィんだよ」
「答えになってないよ」
「寒ィ。触らせろ」
「セクハラ」
「だから雨が悪ぃんだよ」
雨の日に出かけるもんじゃない
気分が 惑わされるから
---------
ふと 思い出す
怒った顔
物憂げな顔
眠そうな顔
笑った顔。
ガキくせぇ奴としか思ってなかったハズだったのに
ときたま、本当に時々、意外と大人びた顔をみせやがる。
家族連れの幸せそーなガキの顔を見て
お前のこと思い出したっつったら、
怒るだろうか。
笑うだろうか?
チップは少しだけ自嘲気味に、笑った。