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ccm
見られた。




呆然と立ち尽くす少女は、いつもよりさらに幼く見えた。
・・・誤魔化せない。
どうしてやればいい?
下手な嘘は逆効果になる。
少しでも、彼女の負担を減らし、安心させてやるにはどうしたらいい?


答えが、見つからない。

「め、イ・・・」
喉にまだまとわりつく血が声を掠れさせた。
無理矢理空気を通して声を出したため、再び咳き込む。

咳きの音に、メイの身体がびくっと震える。

「・・・・大丈夫だから」
目は合わせられなかった。
今言った言葉が正しいと信じさせてやれるだけの証拠はなかったが、
チップはそれだけ言うと黙り込んだ。

ふらふらとメイが近寄ってくる。
拒みもせず、肯定することもせず、座り込んだままチップはメイを見なかった。
ぺたん、とチップの横にメイが力なく座り込む。

「・・・・・やだ」
震える手でチップの服を掴む。
「やだ、やだ・・・・イヤ・・・・」
「・・・何が」
「しんじゃやだ」
「死なねぇって」
「だって、血、はいた・・・・・」
「大丈夫だって」

ぎゅう、と服を掴む手に力がこもった。

「・・・やだ、やだよぅ・・・死んじゃ、やだぁ!!」
「メ・・・」
「イヤだ!ヤダ!ボクを置いていかないで!」
泣き叫ぶメイを、宥めるように抱きしめた。
「・・もぅ、置いてかれるのは・・・・やだよぉ・・・・・」

泣きじゃくるメイをただ抱きしめることしか出来なかったが、抱きしめる腕に力を込めた。

一瞬でも血におびえた自分が、もういない。
死が怖くなくなったのはいつからだったか。
死が、怖くなったのはいつからだったか。


自分にすがりつく存在が、ここまでとは思わなかった。
なぐさめられているのはどっちだったのか。

チップには、分からなかった。
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