~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
『あなたの今週の運勢』
総合★★★★☆
健康★★★☆☆
仕事★★★★☆
金運★★★★★
恋愛★☆☆☆☆
ラッキーアイテム:赤い花の髪飾り、身に着ければ恋愛運UP!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
サニーはティーン向けの雑誌の最終ページを見て固まった。
コンビニ、書店とどこにでも売っていて、購買層の年代の小遣いで買えるような本だが生憎ここはBF団。犯罪組織の本拠地ではまず手に入れることはできはしない。実は樊瑞には内緒でセルバンテスが彼女のために毎週買ってきてプレゼントしているものだ。
それは世間一般の女の子と一般ではない彼女とを繋ぐささやかな情報源。多感な年頃のサニーも雑誌の最新号を毎週楽しみにしている。さて、その雑誌の最終ページには同世代の女の子たちに当たると評判の占いコーナーが。サニーはいつもチェックしており、占いごとが気になるのは女の性(サガ)で、彼女と言えども一緒だった。
ところが・・・今まではせいぜい総合運をサラリと流す程度だったのに、今や「恋愛運」のチェックは欠かさない。いや、寧ろ「恋愛運」以外眼中に無い。残月の顔を思い浮かべては恋愛運の結果に一喜一憂し、幸せな気持ちになったりちょっと落ち込んでみたり・・・しかし、彼女自身ざわつく気持ちは自覚できてもどうして残月なのかそれがわからない、これが所謂(いわゆる)恋なのかどうなのか、自分の中でハッキリしないでいた。
すぐに寝そべっていたベッドから起き上がり
「赤い花・・・・」
机の上にあるジュエリーボックスをひっくり返して見ても赤い花がついたピンや髪飾りは見当たらない。今までに無い最悪の恋愛運を向上させてくれるアイテムを、サニーは持ち合わせてはいなかった。
クッキーを焼いても、読書をしても。
何をしても身に入らない。
恋愛運の結果が気になってしょうがない。
どうしてだろう、こんなに最悪の運勢なのに
今週の運勢だとわかっていても、まるで一生の運勢のように感じてしまう。
------どうして?
「はー・・・・・・」
せっかく今日は残月に数学を教えてもらう日なのに、気持ちが重い。最悪の運勢のまま会ったら良くないことがおきるのではと悪い方向にばかり考えてしまう。鏡を見ながら白い小さな花がついたピンで前髪を留めてみるが、これが赤かったらどんなに・・・と気が晴れない。
来客用のテーブルを挟んで残月から数学の指導を受けている最中も、彼の顔をまともに見ることが出来ない。そわそわとしてほとんど上の空なサニーに彼も気づいたのか
「わからないところはわからないと言ってくれれば助かるのだが、私の教え方が悪ければ改める努力をしよう」
「あ・・・!いえ!そんなっ」
「サニーにこの定理はまだ難しいかもしれん、ふむ・・・どれから教えるべきか・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
真剣に教本をめくり自分の為に思案してくれている残月を見て、サニーは猛烈に申し訳ない気持ちになる。そもそも残月の教え方は非常に丁寧で細やか、サニーが本当に理解するまで何度でも根気強く教えてくれ文句のつけようが無い。
「残月様、ごめんなさい・・・悪いのは私です。ちょっと、その・・・今日はなんだか・・・」
言葉をしどろもどろにサニーは身を小さくして残月に謝った。
「今日はなんだか?・・・体調が悪いのか?ならば今日はもう止めるが」
残月が自分を心配してくれるでサニーはついに本当の事を話してしまった。
「占いの・・・『運勢』・・・・・・その悪い結果が気になって、というのか」
「はい・・・・・」
馬鹿馬鹿しい理由にきっと残月は呆れかえるだろうと覚悟していた。
やはり今週の運勢は最悪だ、サニーは肩を落とす。
しかし残月はその理由に少々驚きはしたが、指を組んで思案のそぶりを見せ
「その占いが載っている雑誌をここに持って来れるか?」
サニーが屋敷からもってきた女の子向け雑誌を残月は興味深げにめくっている。内容は年頃の女の子の興味を引く「美容・ファッション」「恋愛・異性」そしてちょっとだけ踏み込んだ「性の話題」などがほとんど。残月の目から見れば女の子が本当に求めるちょっと先行く情報と、雑誌を出版する大人達が売り上げを期待して必要以上に煽り立てる情報が複雑に絡んでいた。
しかし自分の中身を残月に見られているようでサニーは少し恥ずかしい。
雑誌に書かれていること全部が全部自分が興味を持っていると思われたくないのでそそくさと手を出して、残月の前で雑誌の最終ページを強引に開いてしまう。
そこは問題の占いのコーナーのページ。
「サニーの運勢はどれだ?」
「えっと、これです・・・あっ」
サニーはそこで気づいた、『運勢』が悪いから悩んでいるとは言ってみたが『恋愛』以外は悪いどころかかなり良い。つまり・・・
「なるほど」
慌てるサニーの顔をちらりと見て、残月は彼女の学習の指導に使っている赤ペンを取り出すと雑誌に何やら書き込み始めた。
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『あなたの今週の運勢』
総合★★★★★
健康★★★★★
仕事★★★★★
金運★★★★★
恋愛★★★★★
ラッキーアイテム:赤い花の髪飾り、身に着ければ恋愛運UP!
白い
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「これで問題は無くなったな、なんと羨むべき最高の運勢か」
赤ペンにキャップをしながら満足する。
「・・・・・・・・・・・・・」
「今後悩むような運勢が載せられることがあるなら私のところへ持って来るがいい。いくらでもサニーが望むような運勢に変えてやろう、ふははは」
「・・・・・・・・・・・・・」
彼は愉快なのか楽しそうに笑った。
しかしサニーは目の前であっさりと好転した自分の運勢を、まるで不思議なものの様に見ていた。心あらずなのか理解するまでに時間がかかっているのか、とにかくボーっと眺めていたら
「私はその髪留め、サニーに良く似合うと思う」
言い聞かせるように残月はサニーの頭を撫でてやった。特別、というわけでもない。彼は時たまこういうことをする。それは樊瑞やセルバンテスらがサニーにそうするように同じ事。
しかしその瞬間だった、スイッチが入ったように彼女の心臓が痛いほど大きく波打つ。
それは身も心も揺さぶるような衝撃で、弾かれたように顔を上げ残月を見た。
「どうした?」
「あ・・・ありがとうございます」
サニーはやっと・・・自分が彼に『恋』をしているのだと知った。
その日の夜、パジャマ姿のサニーはベッドの上で寝そべってあの雑誌を広げた。
彼によってあっさりと変えられた最高の運勢をサニーは飽きもせずずっと眺めていた。
足が浮き立つ心に合わせて動き、顔は幸せに溶けている。
恋している事への戸惑いよりも先に、今こうして恋していることの喜び
彼女の中はそれでいっぱいだ。
どうしてだろう、こんなに最悪の運勢なのに
今週の運勢だとわかっていても、まるで一生の運勢のように感じてしまう。
どうしてだろう、彼によって修正されたこの最高の運勢
今週の運勢だとわかっていても、まるで一生の運勢のように感じてしまう。
-------どうして?
それは私が彼に『恋』をしているから。
END
『あなたの今週の運勢』
総合★★★★☆
健康★★★☆☆
仕事★★★★☆
金運★★★★★
恋愛★☆☆☆☆
ラッキーアイテム:赤い花の髪飾り、身に着ければ恋愛運UP!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
サニーはティーン向けの雑誌の最終ページを見て固まった。
コンビニ、書店とどこにでも売っていて、購買層の年代の小遣いで買えるような本だが生憎ここはBF団。犯罪組織の本拠地ではまず手に入れることはできはしない。実は樊瑞には内緒でセルバンテスが彼女のために毎週買ってきてプレゼントしているものだ。
それは世間一般の女の子と一般ではない彼女とを繋ぐささやかな情報源。多感な年頃のサニーも雑誌の最新号を毎週楽しみにしている。さて、その雑誌の最終ページには同世代の女の子たちに当たると評判の占いコーナーが。サニーはいつもチェックしており、占いごとが気になるのは女の性(サガ)で、彼女と言えども一緒だった。
ところが・・・今まではせいぜい総合運をサラリと流す程度だったのに、今や「恋愛運」のチェックは欠かさない。いや、寧ろ「恋愛運」以外眼中に無い。残月の顔を思い浮かべては恋愛運の結果に一喜一憂し、幸せな気持ちになったりちょっと落ち込んでみたり・・・しかし、彼女自身ざわつく気持ちは自覚できてもどうして残月なのかそれがわからない、これが所謂(いわゆる)恋なのかどうなのか、自分の中でハッキリしないでいた。
すぐに寝そべっていたベッドから起き上がり
「赤い花・・・・」
机の上にあるジュエリーボックスをひっくり返して見ても赤い花がついたピンや髪飾りは見当たらない。今までに無い最悪の恋愛運を向上させてくれるアイテムを、サニーは持ち合わせてはいなかった。
クッキーを焼いても、読書をしても。
何をしても身に入らない。
恋愛運の結果が気になってしょうがない。
どうしてだろう、こんなに最悪の運勢なのに
今週の運勢だとわかっていても、まるで一生の運勢のように感じてしまう。
------どうして?
「はー・・・・・・」
せっかく今日は残月に数学を教えてもらう日なのに、気持ちが重い。最悪の運勢のまま会ったら良くないことがおきるのではと悪い方向にばかり考えてしまう。鏡を見ながら白い小さな花がついたピンで前髪を留めてみるが、これが赤かったらどんなに・・・と気が晴れない。
来客用のテーブルを挟んで残月から数学の指導を受けている最中も、彼の顔をまともに見ることが出来ない。そわそわとしてほとんど上の空なサニーに彼も気づいたのか
「わからないところはわからないと言ってくれれば助かるのだが、私の教え方が悪ければ改める努力をしよう」
「あ・・・!いえ!そんなっ」
「サニーにこの定理はまだ難しいかもしれん、ふむ・・・どれから教えるべきか・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
真剣に教本をめくり自分の為に思案してくれている残月を見て、サニーは猛烈に申し訳ない気持ちになる。そもそも残月の教え方は非常に丁寧で細やか、サニーが本当に理解するまで何度でも根気強く教えてくれ文句のつけようが無い。
「残月様、ごめんなさい・・・悪いのは私です。ちょっと、その・・・今日はなんだか・・・」
言葉をしどろもどろにサニーは身を小さくして残月に謝った。
「今日はなんだか?・・・体調が悪いのか?ならば今日はもう止めるが」
残月が自分を心配してくれるでサニーはついに本当の事を話してしまった。
「占いの・・・『運勢』・・・・・・その悪い結果が気になって、というのか」
「はい・・・・・」
馬鹿馬鹿しい理由にきっと残月は呆れかえるだろうと覚悟していた。
やはり今週の運勢は最悪だ、サニーは肩を落とす。
しかし残月はその理由に少々驚きはしたが、指を組んで思案のそぶりを見せ
「その占いが載っている雑誌をここに持って来れるか?」
サニーが屋敷からもってきた女の子向け雑誌を残月は興味深げにめくっている。内容は年頃の女の子の興味を引く「美容・ファッション」「恋愛・異性」そしてちょっとだけ踏み込んだ「性の話題」などがほとんど。残月の目から見れば女の子が本当に求めるちょっと先行く情報と、雑誌を出版する大人達が売り上げを期待して必要以上に煽り立てる情報が複雑に絡んでいた。
しかし自分の中身を残月に見られているようでサニーは少し恥ずかしい。
雑誌に書かれていること全部が全部自分が興味を持っていると思われたくないのでそそくさと手を出して、残月の前で雑誌の最終ページを強引に開いてしまう。
そこは問題の占いのコーナーのページ。
「サニーの運勢はどれだ?」
「えっと、これです・・・あっ」
サニーはそこで気づいた、『運勢』が悪いから悩んでいるとは言ってみたが『恋愛』以外は悪いどころかかなり良い。つまり・・・
「なるほど」
慌てるサニーの顔をちらりと見て、残月は彼女の学習の指導に使っている赤ペンを取り出すと雑誌に何やら書き込み始めた。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
『あなたの今週の運勢』
総合★★★★★
健康★★★★★
仕事★★★★★
金運★★★★★
恋愛★★★★★
ラッキーアイテム:赤い花の髪飾り、身に着ければ恋愛運UP!
白い
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「これで問題は無くなったな、なんと羨むべき最高の運勢か」
赤ペンにキャップをしながら満足する。
「・・・・・・・・・・・・・」
「今後悩むような運勢が載せられることがあるなら私のところへ持って来るがいい。いくらでもサニーが望むような運勢に変えてやろう、ふははは」
「・・・・・・・・・・・・・」
彼は愉快なのか楽しそうに笑った。
しかしサニーは目の前であっさりと好転した自分の運勢を、まるで不思議なものの様に見ていた。心あらずなのか理解するまでに時間がかかっているのか、とにかくボーっと眺めていたら
「私はその髪留め、サニーに良く似合うと思う」
言い聞かせるように残月はサニーの頭を撫でてやった。特別、というわけでもない。彼は時たまこういうことをする。それは樊瑞やセルバンテスらがサニーにそうするように同じ事。
しかしその瞬間だった、スイッチが入ったように彼女の心臓が痛いほど大きく波打つ。
それは身も心も揺さぶるような衝撃で、弾かれたように顔を上げ残月を見た。
「どうした?」
「あ・・・ありがとうございます」
サニーはやっと・・・自分が彼に『恋』をしているのだと知った。
その日の夜、パジャマ姿のサニーはベッドの上で寝そべってあの雑誌を広げた。
彼によってあっさりと変えられた最高の運勢をサニーは飽きもせずずっと眺めていた。
足が浮き立つ心に合わせて動き、顔は幸せに溶けている。
恋している事への戸惑いよりも先に、今こうして恋していることの喜び
彼女の中はそれでいっぱいだ。
どうしてだろう、こんなに最悪の運勢なのに
今週の運勢だとわかっていても、まるで一生の運勢のように感じてしまう。
どうしてだろう、彼によって修正されたこの最高の運勢
今週の運勢だとわかっていても、まるで一生の運勢のように感じてしまう。
-------どうして?
それは私が彼に『恋』をしているから。
END
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