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今週末、おじさんが退院するからお祝いをしなきゃと思った。その日は薫さんが丁度迎えにこれるからって決めた日なんだ。
お正月も結局お祝いしなかったから、何かお祝いしたいけど、どうしたらいいかが私には分からなかった。
誰かに相談しようと思ったの。でも薫さんは大阪に帰っちゃったし…
そうだ、弥生さんがいる。
こういうお祝い事は女の人に聞くのがいいと思ったから弥生さんに電話で相談した。
弥生さんはおじさんが入院中に何度もお見舞いに来てくれて、私もいろいろお話できて仲良くなったの。
「弥生さん、こんにちは」
「あら、遥ちゃん。久しぶりじゃないか… 今日はどうしたんだい? うちの大吾がまた何かしでかしたのかい?」
弥生さんがこう言うのには訳がある。
この間、大吾お兄ちゃんがお見舞いに来た時にちょっと面白い事があったの。
大吾お兄ちゃんがお見舞いに来る事自体珍しくて、この間初めて来たんだけど、でもお昼間で私も学校だったし、誰もおじさんの部屋にはいなかった。
おじさんは元気になってたんだけど、丁度お昼ご飯の後で眠たくなって寝てたんだって。
そんな時に大吾お兄ちゃんが一人でこっそり来たものだから、誰も気がつかなかったんだ。
で、お兄ちゃんもおじさんを起こせばいいのに、あとから聞いた話なんだけど、
「だって、桐生さんを起こすなんて俺には出来なかった」
なんて思って、結局話もせずにそっと帰っちゃったんだって。
それだけならよかったんだけど、そのあと病室はちょっとした騒ぎになっちゃったの。
なぜかっていうと、おじさんのお部屋に見慣れない箱がそのあとあったから。
一応包装はされてたんだけど、リボンもなくって何にも書いてない。
おじさんは寝てたから誰も来た覚えがないし誰が置いたか分からないって言うし、看護師さんも知らないって言うし、いくら一段落したからっておじさんはまだまだ狙われてる身だから、「…もしかしたら爆弾かもしれない」って騒ぎになったの。中からカチカチ音がしてたんだもん。
でも結局それは大吾お兄ちゃんのお見舞いの箱だって分かったんだけど、あとでいろいろ大変だったみたい。
お兄ちゃんは、「大吾、お前紛らわしい事するんじゃねえ!」っておじさんから言われたし、私がその話をうっかり弥生さんにもしたもんだから、弥生さんからも、「大吾、お前ってやつは本当に馬鹿だねぇ… なんで桐生に直接渡さないんだい!」って怒られたみたい。
中身は時計だったんだけど、それもみんなにさんざん言われてて、「趣味が悪い」「紛らわしすぎる」「見舞いに時計とか聞いた事ない」とか色々。
なんで時計なの?って私があとで聞いたんだけど、「だってな、丁度カッコいい時計見つけたからな… シルバーの細工んとこが凝ってんだよ。桐生さんに似合うと思ってな…」だって。
今となっては笑い話なんだけど…
その事を弥生さんは言ってるんだ。
「ううん、違うの。今日は弥生さんにお願いがあるんですけど…」
「おや、何だい私に頼み事なんて…」
結局、お祝いは弥生さんと相談して、お料理を持ってきてもらう事になったんだ。
「私にまかせときな。いつも頼んでるところにお重でも作るように言っておくからね」
私はそんなに豪華にしなくてもいいって言ったんだけど、
「あぁ、お金の事なら気にしなくていいよ。桐生は今回も東城会の為に命張ってくれたんだからね、それくらい私がしてやらないと。それだけしてもまだまだ足りないくらいだよ」
って、話をドンドン進めていっちゃった。

退院お祝い当日。
薫さんも家に来てくれた。
お料理は弥生さんが誰かに届けさせるよって言ってくれたから家で待ってたんだけど…
しばらく待ってたらピンポーンってチャイムがなった。
「ハーイ」
って玄関に出たら大吾お兄ちゃんが立ってたからびっくりした。
「ほら、持ってきたぞ」
お重の入った風呂敷をぐいと差し出されたんだけど、なんかちょっと不機嫌そう。
私が玄関からなかなか帰らないもんだから、おじさんが心配して玄関に覗きに来た。
「遥、どうしたんだ? …っておい、大吾…お前どうしてこんなところに…」
おじさんも大吾お兄ちゃんを見てすごく驚いてた。
「おふくろが、お前が直接行って来いってうるせえんだよ。俺、結構忙しいのに」
「そりゃあすまなかったなぁ。まあでも折角来たんだし、お前も上がって一杯飲んでけ」
おじさんはくすっと笑いながら大吾お兄ちゃんを誘った。
私も大吾お兄ちゃんは今までちょっとしか話した事がないけど一緒に話してて楽しいし、好きだからそうして欲しいなぁと思った。
大吾お兄ちゃんは忙しいって言ってなかなか上がろうとはしなかったけど、最後には諦めたのか家に上がってくれたの。
「ホント俺、すぐに本部に帰らなきゃならねえんだからな… それにオイッ! 四課の刑事さんもいるのかよ!」
ってぶつぶつ言ってたけど、おじさんに、
「まあ一杯だけならいいだろ?」
って言われてた。
薫さんと、大吾お兄ちゃん、おじさんと私の四人で囲む食卓はなんだか変な感じだったけどとっても楽しかったよ。
みんなでおいしいお料理を食べて、いろいろお話しして…
話はみんなが私の学校の様子を聞いたりして、どっちかっていったら私が話してばっかりだった。
でもやっぱりみんな大勢で楽しくお話するのって好き。いつまでもこうしてみんなでいたいなぁと思った。

しばらくして、大吾お兄ちゃんが、
「おい遥、今何時だ?」
って急に慌てたように私に聞いてきた。
「俺、そろそろ帰んなきゃヤバイかも…」
するとおじさんが自分の腕時計を見てお兄ちゃんに、
「9時前だ」
って教えてあげてたの。
そしたら大吾お兄ちゃんがおじさんの方を見て、
「それ…俺があげたやつ…」
って驚いた顔で腕時計を指さした。
「あぁ、この爆弾もどきか…」
おじさんが冗談半分で言ったら、お兄ちゃんはちょっと恥ずかしそうに下を向いてた。
「大吾… 大体見舞いに来てくれたんなら俺の事を起こしてくれてれば、あんな騒ぎにならなかったんだよ。なんで遠慮なんてしたんだ? お前らしくもない…」
すると大吾お兄ちゃんはこう言ったの。
「…俺が…俺がもっとしっかりしてたら桐生さんが怪我する事もなかっただろ… だから俺のせいでこんな風になっちまったんだと思ったら休んでるアンタを起こそうなんて気になれなかったんだよ」
「…そうか…」
おじさんがそう言うと大吾お兄ちゃんの肩をポンと叩いた。
「大吾、お前俺に遠慮なんてするな。俺とお前の仲だろう?」
「…わかったよ、桐生さん」
最後は二人で笑ってた。

大吾お兄ちゃんがやっぱり帰らなきゃって事で玄関までお見送りすることにしたの。
靴を履いてるお兄ちゃんに向かって、おじさんがまた来いよとか言うのかなと思ったら、
「しかし、お前も六代目らしく時計の一つくらい身につけとけよな」
ってなんかまたお兄ちゃんをからかってた。
「違う、今日はたまたま着けてないだけだって!」
からかわれたお兄ちゃんはちょっと必死になって言い返してた。
不思議。
大吾お兄ちゃんっておじさんの前だと子どもみたい。
でもお兄ちゃんもそうやっておじさんに色々言われても心からは怒ってなくて、逆に笑ったりしてなんだか嬉しそうにしてる気がする。
二人がとっても仲良しって事だよね。
「大吾、本当に遠慮するなよ。ここにもまた遊びにこればいい…」
「あぁ…」
色々二人は最後まで言い合ったりしながらだったんだけど、大吾お兄ちゃんはありがとなって言って帰っていった。
おじさんも楽しそうにしてたし、大吾お兄ちゃんがまたここに遊びに来てくれたら私も楽しいだろうなと思った。






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