「ねぇジョニー?今日は・・その・・・・何の日か覚えてる?」
「今日?おぉ!今日は素敵なレィデェとの約束があったな。危うく忘れる所だったぜ。」
「・・ジョ・・・ジョニーの馬鹿ぁぁぁぁ!!!!」
メイは船から飛び出していった。
勢いに任せて船を飛び出したのはいいが、結局のところ当てもなく森の中を歩いていた。
足取りは重く、うなだれていて、平穏でややメルヘンちっくな森の中にも陰鬱な空気が溢れていた。
ある程度歩くと丁度良い切り株があったので、メイはそれに腰を下ろした。
物憂げな表情で天を仰いだ。
「はぁ・・・やっぱりジョニーは僕の事を何とも思ってないのかなぁ」
か細い声は風に流され、この静かな森にも響くことなく消えていった。
そんな時、メイの頭上を1羽の烏がよぎる。
烏は突然降下し、メイの目の前に現れ、何と話しかけてきたのだ。
「君はなんでそんなに落ち込んでるの?」
普通は驚いて逃げ出す程だが、GEARがはびこるこの時代、その程度のことで驚く人もいないだろう。
メイは怯むどころか、うっぷんをはらす為に愚痴をこぼし始めた。
「ジョニーったら酷いんだよ!自分の誕生日の日に”今日は何の日?”って聞き辛いけど、自分から踏み出せば気づいてくれると思って
後ろめいた気分を押し切って聞いてみたのに”今日は素敵なレィデェとの約束の日だったなぁ”なんて言うんだよ!!ほんとジョニーのタコ!!
他にもね、前から・・・」
~1時間後~
「でね?この間なんかは、”ちょっと体調が優れねぇから部屋で静かにさせてくれねェか?”とか言うから
僕としてもジョニーの体調を気遣ってあげたいからゆっくりさせてあげたんだよ!だけどね?お粥をジョニーの部屋に持っていったら
ジョニーがいなくてね、何処に行ったのかと思ったらまた別の女の人をたらしこんでたんだよ?信じられる!?
あとね?・・・って聞いてる!?聞き始めたのはそっちなんだからしっかり聞いてよね!!」
「・・・ハイ」
~2時間後~
「ほんっとにあったんだよ!まだあってね? 実は・・・」
~3時間後~
中略
~4時間後~
「あ~なんかいろいろ話したらスッキリした~。この調子でジョニーにもドンと言ってこないと。
今日はありがとね、烏さん。またなんかあったら話相手になってね~」
来た時とは違い、軽くスキップをしながら帰っていった。
メイが去っていくと同時に、テスタメントが現れた。
「サキュバス、今日はご苦労だったな。ゆっくりと休め。しかしディズィーの事で借りがあったとはいえ、随分と高くついたものだな」
メイが船に戻ってくると、船の前にはなんとジョニーがいた。
「なんでジョニーが此処に?」
「言ったろ?今日は素敵なレィデェとの約束があるってな。
HAPPY BIRTHDAY メイ 中でみんなも待ってるが、とりあえず一曲どうだ?」
さっきまでのことが頭から一瞬でなくなり、メイは小声で言った
「やっぱりジョニーはジョニーだね」
そしてメイは満面の笑みを浮かべ、ジョニーの誘いを受けた。
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