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BF団本部内の大回廊を、十常侍は時折後ろを気にしながら歩いていた。
さっきから視線を感じる…振り向けば隠れてしまうその影に、聞き覚えはあった。
愛らしい巻き毛の少女…確か衝撃のアルベルトの娘…。

ほかの十傑集がどうかは知らないが、十常侍自身は子供が大好きだった。
生と死を自在に操る彼にとって、子供とは生命力にあふれたすばらしい存在だ。
少女は十常侍に気づかれていないと思っているのだろう。
それが可愛らしく思え、彼は角を曲がったところで少女を待ち伏せた。
「ばあ」
とおどけた顔をした先には…
「十常侍殿、なにをやっておられるのです…」
いつの間にすりかわったのか、少女ではなく困惑した表情で羽扇をはためかせる孔明の姿があった。
実際のところ、サニーは十常侍が好きで追いかけていたのではなかった。
まだ5歳のこの少女は、見慣れない服装の十常侍を子供心に訝しんでいたのだ。
父親も後見人の樊瑞も、あのレッドでさえスーツ姿だというのに、この小父さんはサニーが見たこともない異国の服装でいる。それにあの大きく膨らんだ袖の部分には、なにかがたくさん入っていそうだし…だからこそりと追いかけていたのだ。
思い切って声をかけるには十常侍の顔はおっかなそうで、さらに十常侍のしゃべる言葉はサニーには難しかった。
この埒の明かない展開を先に破ったのは、十常侍のほうだった。
「小姐、小姐」
大きな衣の袂にいっぱい入れたお菓子を見せてサニーを誘う。
だがサニーはその呼びかけが自分に向けられたとは思わず、駆けていってしまった。
十常侍は少しがっかりしてお菓子をしまい、いつもの執務に戻った。

「どうしたサニー、息など切らせて」
執務室の樊瑞は書類から目を上げ、不安そうなサニーを見た。
サニーは息を整えると先ほどのことを話す。
樊瑞は笑ってサニーの頭を撫でてやった。
「ああ、それは“お嬢ちゃん”くらいの意味だ。別に十常侍はお前になにかしようとしたわけではない」
そこでようやくサニーは自分にマジナイをかけられたのでないとわかり安心したようだった。
しかしそうなると、十常侍に対しての自分の態度が気まずく思えてくる…サニーは樊瑞の執務室を出、意を決して、だがおずおずと十常侍の執務室を目指して歩いていった。

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