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サニーはいつだってお人形を持っている。
それも普通のお人形ではない。
十常侍が命を吹き込んでやった、ちゃんとおしゃべりもできる。
十傑集全員が忙しくなってしまうと、誰もサニーと遊んでくれる者がいなくなる…それをかわいそうに思った十常侍が、樊瑞がプレゼントした中で一番気に入っているお人形に命を吹き込んでくれたのだ。
もっとも、十常侍に時間ができてサニーと一緒に遊んでいるとき、お人形は命を奪われてただの人形になるのだが。

今日は樊瑞も十常侍もいない。
サニーはお人形と敷物を持って広い中庭で遊んでいた。
お菓子を持ってこようとちょっと席を外した際、中庭にやってきたのはレッドだった。
意味ありげに座っているお人形に近づく。
「フン、木偶人形か」
何気に手に取ろうとした瞬間、持ち方がおかしかったのかお人形の腕が取れてしまった。
いや、もしかしたら十常侍に命を吹き込まれたものだから、レッドに触れられるのをいやがったのかもしれない。
次には足が外れた。
いったいどんな仕掛けになっているのかと、レッドはお人形のスカートをまくってみる。
そこへ…タイミング悪くサニーが戻ってきた。
「いやああ! サニーのお人形さん!」
サニーはレッドの手からお人形をひったくり話しかける。
だがお人形はなぜか応えてくれなかった。
実のところ、レッドはサニーがあまり好きではなかった。
この十傑集のわずかな良心が凝固して生まれたのではないかと思える少女を、皆と同じようにちやほやできるほど、レッドは大人ではなかったのだ。
突然のことにレッドは驚いたが、相手がサニーということもあってついぶっきらぼうな言葉を発する。
「なんだ、そんなボロ人形。捨ててしまえ」
これにはサニーも我慢できなかった。
涙に濡れた目でキッとレッドを見上げる。
「…レッドさまなんか…だいきらい…!」
そうしてお人形を十常侍に見せるべく走っていってしまった。
さすがに言い過ぎたかとレッドの心の隅に少しだけ残っていた良心が痛む。だが追いかけていって詫びるほど素直ではなかった。
「フ、フン、なんだあんなガキ。あ、あんな小娘に嫌われても、い、痛くも痒くもないわ」
腕を組んで強がって見せた。
その目を覆うマスクの下を少しだけ涙が伝っている。


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