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朝自宅にて遙と


「おじさん、おはよう♪」
妙に機嫌が良い。
「??元気だな、おはよう」
「あのねあのね」
「…あっ、ああ」
「お夕飯、弥生のおばさん家で食べよう」
「…………なに??」
驚き。
「もう。だから今日のお夕飯は弥生の」
「いや、それは分かったが…あね、会長の自宅でって事か?」
それはつまり、関東最大極道組織『東城会本部』。
「うん、そう。おばさんがご飯作ってくれるんだって♪」
「はっ!?会長が??」
「おばさんのご飯美味しいんだよ~」
「…………なんだって??」
ちょっと待て。
「あのね、おばさんのケーキとか混ぜご飯とか卵焼きとか」
メニューばらばら。
「……遙」
「なに??」
小首かしげ。
「今までも会長のトコでメシ食べた事あるのか?」
「うん」
「………」
絶句。
「たまにねおばさんが電話くれて、今日はウチで昼どうだい?って。夜の時もあるけど」
凄く嬉しそう。
「………でんわ??」
「おばさん、メール可愛いんだよ♪♪」
「……えっ?!」
「最近はねぇ、デコメールって使うんだけどね」
携帯を取り出しぽちぽち。
「…でこめーる…」
でこっぱち??
はげ??
「ほら、可愛いでしょ」
画面を大公開。
なにやらちらちら動く可愛い動画と文面。
「………最近のメールはカラフルだな…」
理解が出来ません。
「おじさんだけだよ~。文字だけのメールくれるの」
ちょっとだけ不満げ。
「…すまん…」
しゅん。
「真島のおじさんも、大吾おにいちゃんも、龍司おにいちゃんもあと」
「まだ居るのか???」
どびっくり!
ちらりと顔見て、うふふ。
「後は、内緒」
女の子ですから。
「おい、遙…」
ぱぱはショックです。
「学校終わったらメールするね。今晩は夜のお仕事入れちゃ駄目だよ」
約束。
「あ、ああ。…分かった」
「やった。じゃ、私学校行ってるね」
「気をつけてな」
「はぁ~い。おじさんも気をつけてね」
行ってきます。
がちゃり、ぱたん。
「……会長の料理?」
どうにも微妙。
「にしても、遙のメール相手…」
もやもや。









午前中、東城会本部にて


とことこ。
「会長に礼でも…」
「桐生さんっ」
ばたばた。
「…ん?ああ、大吾」
驚き。
「悪い、今晩のたんっ…」
慌てて口を押さえ。
「??今晩の??」
どうしたんだ?
「…い、や…なんでもねぇよ」
あからさまに知らんぷりぷり。
「…大吾…」
眉寄せてむっ。
「人を呼び止めておいて、言いかけるのまで止めるったぁどういう事だ?」
「……んな、怒るなよぉ」
困りました。
「なんだってんだ?」
「ごめんっ。ホント何でもねぇんだよ」
平謝り。
「なんて言うか、言葉のあや??」
「…今晩のって、言いかけただろう?」
許しません。
「っぁ…。…だからホントに何でもねぇんだって」
勘弁してくれよぉ。
「俺と遙が夕飯を会長のトコで食わせてもらう事か?」
「…夕飯?…っ、え、あ。…そうそう」
盛大にうんうん。
「俺も一緒に食うはずだったんだけど、外せねぇ打ち合わせが入っちまってさ」
「お前も忙しいからな」
「そうなんだよ。絶対に今晩は何も入れるなって言ってあったはずなんだけどさ」
「…?。まぁ、仕事だから仕方ねぇだろう」
「そうなんだけどさ!でも、ほらやっぱり今日だからっ」
「は?今日??」
「そう今日って……いっ、いや…別に…」
思わず後ずさり。
「…変だぞ、大吾…」
「んな事ねぇよ?至って俺は普通」
うんうん。
「そうか??」
「そうそう。まぁ、とにかくそういう訳でさ」
「ああ、遅れるって事だな」
「そう。で、今からちょい買い物して打ち合わせの準備して、で、打ち合わせして…」
「買い物まで組長のお前がやるのか?…代わりに俺がしておくぞ?」
何を買うんだ?
「はぁっ?駄目駄目!」
「どうしてだ?」
「だって、き…………とにかく、これは俺が買うんだ」
きっっぱり。
「一体なんなんだ?」
何時にもまして変だぞ。
「…そんなに俺、何時も変か?」
しょんぼり。
「…い、や…んなことねぇが…」
拙い。
「……」
物凄く不信な眼差し。
「……とにかく、夕飯に遅れる事は会長に俺から伝えておく」
「…ん、頼んだぜ桐生さん。ほらおふくろ、そういうトコうるせぇからさ」
ま、いいやと溜息。
「ガキの頃なんて夕飯に遅れただけで食わせて貰えなかったんだぜ」
「まぁ、メシの時間なんてそういうモンだろう。ひまわりでもそんな感じだったからな」
「俺もそうだし、親父もさ。…ま、っても親父は女のトコしけこんでて遅れるってぇのが多かったから…」
自虐ネタ?
妙に気まずい空気。
「……とっ、とにかく。俺遅れるけどさ、絶対行くからな!」
力こもってます。
「あっ、ああ。分かった…」
何をそんなに??
「楽しみにしてるぜ、桐生さん」
にこにこ、嬉しそう。
「??分かった。俺も楽しみにしてる」
「んじゃ、また夜にな」
手をぱたぱた振って走り去る。
「………夕飯だろ?」
なんだか変な気合。
「そんなに会長は、遙のためにメシに気合を入れてくれてるのか?」









昼前、東城会本部正面玄関


「この時間まで待ったが会長は帰らない、か…」
煙草ぷかぷか。
「今晩の礼を、言いたかったんだが、仕方ないな」
灰皿で煙草消す。
だだだだと足音。
「んっ?」
「桐生ちゃんっ!発見や!!」
腕がしっ。
「はっ!?兄さんっっ??」
ええええ??
「捕獲完了やぁ~~~」
楽しそう。
ずるずる引きずり。
「ちょっ、何するんですか?兄さんっっ」
状況判断が出来ません。
「ええからええから。今日は夜まで、いや明日の朝までわしに付き合ってやぁ~」
「はいっ!?」
「車待たせとるから、ほな行こか」
にかり。
「駄目ですっっ。今晩は遙と約束が」
無理矢理立ち止まり。
「ほなら、嬢ちゃんも一緒でええわ」
うんうん。
「そういう問題じゃないんですよ」
「………あれやろ?」
かなりいやいや口調。
「会長とぼんとめし」
「…良く知ってますね?」
驚き。
「嬢ちゃんからメール来たからなぁ…」
頭ぼりぼり、微妙な顔。
「遙から?」
「今晩の…」
「今晩の??」
顔をじぃっと。
「……なっ、なんですか?」
動揺。
「今日で、今晩、や」
「??今日の今晩は…夜、ですよね?」
確かにその通り。
大きな溜息。
「ちゃうわ。今日で今晩、が大事なんや。ま、今日なら何時でもええけどな」
「今日で今晩で、今日なら何時でも??」
どういう事??
「今日ゆう日が、大事なんや」
「………どうしてですか?」
「どうしてやと思う?」
ぐいと顔を覗いてにやり。
「……わ、かりません、が…」
「なんで?」
「なんで、と言われまして、も…」
しどろもどろ。
二度目の盛大な溜息。
「あんなぁ…わし、桐生ちゃん大好きやで」
いきなり告白。
「…はっ?なんですか突然??」
驚き。
「したら今日は独り占めしたいやん?」
「…はぁ?…」
だから今日って何?
「せやけどなぁ、わし桐生ちゃんが大事にしとる嬢ちゃんに嫌われたないねん」
これも本音なんです。
「ありがとう、ございます…」
「ちゅう事は、あれやあれ」
仕方ないなぁ。
「あれ?ですか…」
なにがあれ?
「今晩はわしが折れるわ…」
「…はぁ…」
もう何がなんだか根本から分かりません。
「ほんま珍しいんやで、わしが折れるいうんわ」
確かに珍しい。
「ほなら、また夜な?」
「…え??兄さんも会長と夕飯を?」
本当に??
「楽しみにしとるで?」
にやにや。
「は、い…。俺も、楽しみにしてます」
「ま、期待しとってやぁ」
「何をですか?」
「今晩わしが用意するもんに、や」
「兄さん、料理でも作るんですか?」
それは相当意外。
「わし、料理するなら桐生ちゃんがええなぁ」
「……俺を料理してどうするつもりなんですか?」
眉寄せてむっ。
くすくす。
「そら、料理したらする事一つやろ?」
「……」
「美味しくいただくだけ、や」
耳元で囁き。
「…っ!兄さん、そういう冗談やめてくださいっ」
「何時でもわし、本気なんやけどなぁ」
にやにや。
「兄さんっっ!」
「はいはい。ほな本気で怒られんウチに退散するわ~」
手を振って歩いていく。
見送り。
「全く。…しかし楽しみに?俺が??」
なんで??








午後、堂島組事務所にて


ぴんぽーん。
どかどか。
人の話し声。
ばたばたと階段を上がる音。
「……なんだ?」
ドアこんこん。
「どうした?」
がちゃり。
「すみません、叔父貴。あの、これ宅急便です」
はいどうぞ。
10センチ四方程度の箱。
「は?俺に??」
受け取り。
「じゃ、失礼します」
がちゃ。とんとん。
「……俺に?」
あて先は桐生一馬様。
「誰からだ…」
差出人は無記名。
不審…。
「爆弾とかじゃ、ねぇだろうな…」
耳をつけて確認。
無音。
「……」
ぶんぶん振ってみる。
特に変化なし。←危険行為。
「…ったく、なんだってんだ」
がさがさ。
かぱ。
「??」
クッション材が一杯。
「????」
ごそごそ。
細長いネックレスの箱と薄い箱。
「はぁ??」
とりあえず開けてみましょう。
「…金の、ネックレス??」
なんだか妙に見覚えがあるような。
「で、こっちは……大阪行きの新幹線チケット??」
もう1人しか居ません。
携帯取り出し、ぽちぽち。つつつつつつつ、かち。
「てめぇ」
『ああ、桐生はん。届いたんか?』
くすくす。
「お前なぁ、なんだアレは」
『気に入ってもらえませんでしたか?』
指で摘んでネックレスぶらぶら。
「これか、それともチケットか?」
『勿論、両方ですわ』
「誰が気に入るか」
『アレですか?もっと太いほうが良かったですか?』
「…龍司…。冗談は」
『見覚え、ありますやろ?』
くすり。
「……てめぇと同じ、型、だろ?」
『ああ良かったわ。忘れられてたら泣こうか思いましたわ』
「…忘れてれば良かったな…」
『つれないわぁ、桐生はん』
あはははは。
「で、これは送り返しても良いんだな?」
盛大な溜息。
『そない事言わんと貰ってや』
「貰ういわれがねぇ」
『………ぷっ』
吹き出し。
「なんだ?何笑ってる??」
眉寄せて不機嫌。
『ほんま嬢ちゃんの言うとおりやなぁ、と思いまして』
「遙の?」
なんだって?
『今晩、東条で夕飯やる言う事らしいですが』
「なに?どうしてお前が??」
『一応、嬢ちゃんからお誘いきましてん』
「お前に?」
それはびっくり。
『せぇっかくのお誘いやったけど、流石にこっちからは行けん言う事で断ったんやけど』
「そりゃ当然だ」
『代わりにプレゼントだけ送らせてもらいましたわ』
にこにこ。
「…だから、どうして断るが俺へのプレゼントになるんだ?」
げんなり。朝から訳が分からない…。
『…内緒、ですわ』
「お前も内緒か…」
『ちゅうわけで、お願いがあるんやけど』
ふふふふと妙に不審な笑い声。
「…なんだ?」
『嬢ちゃんにしっかり桐生はんへプレゼント贈った言う証拠に、今晩だけでええからネックレス着けて行ってもらえませんか?』
「なにぃ?」
冗談じゃない。
『せやけど、そうやないとわし嬢ちゃんとの約束破った事になってまうわ』
「俺が知るか」
『頼むわ桐生はん。嬢ちゃん、悲しませたくないやろ?』
伝家の宝刀。
「…………分かった、今晩だけだぞ」
しぶしぶ。
『ほなら良かった。じゃ、また』
「あっ、おい。このチケット」
ぷち。つーつーつー。
「あの野郎…」
溜息。
「仕方ねぇなぁ…」
遙の為ですから。








夜、東条会本部○○会場。

テーブルにはいかにも手作りなパーティ料理。
「おじさん、お誕生日おめでとう~」
うわぁい。
「遙ちゃんから聞いてね、内緒で用意したんだよ」
にこにこ。
「…遙、会長…」
びっくり。
「ごめんね、おじさん驚かせたかったの」
天使の笑顔で小首かしげて。
「いや、そんな事ないぞ。ありがとう、遙」
嬉しいよ。
「良かった。でも大吾おにいちゃん遅くなるんだよね」
「ああ、仕事でって事だ」
「真島のおじさんはもうすぐ来るって」
「兄さんもか」
「プレゼント持ってくるって♪大吾おにいちゃんも」
「プレゼント…」
昼間の2人の不審な言葉の意味。
「ああ、それで…」
くすり。なんだか嬉しい。
「龍司おにいちゃんは送るって言ってたけど」
「ああ、龍司からはこれを貰ったぞ」
首の金の鎖、ちゃり。
「あ、ホントだ。綺麗だね。似合うよ、おじさん」
「……そうか、…ありがとう…」
微妙。
「来たでぇ~~~」
闘技場並みに派手な登場。
ぱんぱかぱぁ~ん。
「あ、おじさん~~」
「嬢ちゃん、お待たせやぁ~。桐生ちゃんも、………」
どかどか、ぴたり。
「…なんです?兄さん???」
顔が怖いです。
「……兄さん??」
「…なんや、それ?」
「はい?」
指差し。
「そないモン、しとったか?」
金の鎖のネックレス。
「あ、ああ。もらい物ですよ」
郷田龍司からの。
「……………外した」
「綺麗だよね、ネックレス」
にこにこ光線発射。
「…うっ。……そ、そや、な…」
これ以上の言葉は言えない。
「おじさんに似合うよね?そう思わない、真島のおじさん♪」
「…………似合うとる…かも、しれん、な…」
遙は恐らく最強です。
「桐生さんっ!」
どかりとドア開け。
「あ、大吾おにいちゃん」
「ああ、遙。速攻で仕事終わらせて来たぜ」
「すごいすごい」
きゃぁ。
「おい大吾。ホントに大丈夫なのか…」
「ああ、大丈夫。しっかり終わらせて来たぜ…って、真島の叔父貴、顔怖いけどどうしたんだ?」
ちらり。
「…いや、俺にも良く…」
「顔が般若に見えるけど…。まぁ、イイか。それより、俺か…………って」
視線がぴたり。
「どうした??」
「……桐生さん、これ…なんだよ?」
「ん?ああ、貰いモンだ」
郷田龍司からの。
「…………んなモンはずしっ」
「大吾おにいちゃんも、これおじさんに似合うと思うでしょ?」
二発目にこにこ光線発射。
「………………うっ。……た、たぶん……」
もう一度言いますが、遙は最強です。
そうして般若の隣に不動明王。
双方共に、顔が怖いです。
「…なんだ?どうしたんだ??」
「えへへへへ」
「遙?」
「ま、そういう事だね」
「会長??」
なにがどうしてそう言う事?
「だってねぇ、おばさん」
「そうだよ。あの2人を揃えたら五月蝿いに決まってるからね」
「…はい?」
「みんなで楽しくおじさんの誕生日を祝いたかったの」
「でもあれが揃ったら難しいからねぇ」
「??」
「だから大人しくさせるなら、っておばさんが教えてくれたの」
「近江のぼんにはちょっと協力してもらったのさ」
亀の甲より年の功。
「でもちょっと可哀相…」
ちらり。
「そうだねぇ。灸を据えすぎたかねぇ」
溜息。
「ええと…」
「おじさん、2人からプレゼント貰ってきなよ」
ほらほら。
「そうすりゃ少しは治るだろうよ」
行きなよ。
「あ、っ。…はい、それじゃ…」
いまいち意味が分からないけれど。
見送って、2人でくすくす。
「真島のおじさんも、大吾おにいちゃんも、可愛いよね」
「まぁ、男なんてぇのは単純な生き物だからね」
「桐生のおじさんもかなぁ?」
「あれは…鈍感って言うんだよ」
「あはは、そうかも。でも…大好き…」
誰よりも。
一番。
きっとずっと。
こっそりと隠したプレゼントを手に持って。
「後で私も渡すんだ♪」
「きっと一番喜ぶよ」
「ホント?そう思う?」
「当たり前だろ。大事な遙からのプレゼントだ」
「うん」





大好きな大好きな、貴方の大切な日に心を込めてプレゼントを



終わり



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