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 カチ、と、軽い音がして、それからまた静かに時計の秒針は刻まれていく。
 その時を待っていましたとばかりにがたがたっ、という椅子が引かれる音がした。
 ぱんぱんぱん! クラッカーが軽快な音を立てる。
 大きなテーブルには全員が着いていて、船は一時間ほど前から自動航行をしている。


「お誕生日、おめでとう! ジョニー!!」


 メイが一番に言って、それから他のクルーも口々にお誕生日おめでとう! と満面の笑顔。
 クルーの顔が描かれたバースディケーキを見て、年甲斐もなく照れたようにジョニーが笑う。

「ありがとうな、お前たち」

 誰の誕生日にも卒のない男は、当然自分の誕生日も覚えている。
 酒場の娼婦達からも渡されるそれに、感謝こそすれ迷惑と思うことのない彼は、けれど必ず誕生日には船に戻る。
 家族でのパーティー、を知っているジョニーは、彼の肉親を失くしてからも『家族』で誕生日を迎えることに疑問はなかった。

「はっぴばぁ~すで~ぃとぅ~ゆ~~~~~~~」

 メイとエイプリルが肩を組んで歌い始めれば、ディズィーもそれに乗り、ハッピーバースディの合唱会。

「はっぴば~すで~~ぃ でぃ~あ じょ~~~~~に~~~」

 ちらりと視線を向けられれば、くすりと口の端に笑みが浮かぶ。
 ぱぁっと花開くように少女達が笑う。

「はっぴば~~すで~~~ぃ・・・・・・・・・・・・・・・」

「「「「「「とぅ~~~~~~~ゆぅ~~~~~~!!!!!」」」」」」



 紙吹雪が、舞い散った。



 ひらひらと舞い散るそれを、指先でつまんで落とす。  勿体無いことに、料理にまで落ちてしまっているそれを、やりすぎたーーーっ! と慌てて除けている姿があまりにも歳相応で可愛らしい。


「お前さんたち、これを片すのは俺なんだろう?」



 やれやれと言いながらも、ジョニーは嬉しそうだった
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