室内に絶え間なく響き渡る、甲高い少女の声。
赤い液体の注がれたグラスを手に持て余しながら、カイはひっそりと、目の前に座る少女に気付かれないよう、溜め息を吐いた。
疲れと戸惑いとが色濃く現れた吐息であったが、熱弁を揮うのに忙しい少女は、それに気付いた風もない。頬を膨らませ、唇を尖らせて、彼女はまだ成長途中の小柄な体全体で目一杯の怒りを表していた。
メイは琥珀色の双眸を興奮に輝かせながら、また大きな声を張り上げてテーブルから身を乗り出し、カイに詰め寄った。
「ね、カイさんもひどいと思うでしょ?」
「・・・はあ」
「はあ、じゃないよ! ちゃんと話聞いてた?!」
「は、はい、聞いてました」
怒りに悔しさにと強い感情の篭められた声に、カイはただ圧倒されるばかりだった。
けれど文句一つを口にする事もなく、カイは身振り手振りをつけて語り続けるメイに、努めて柔和な笑顔を作り、時折頷き相槌を打って、話を聞いてやっていた。
両手一杯にワインやらブランデーやらたくさんの酒瓶を抱えたメイが、珍しく自分からカイの自宅を訪ねてきたのは、既に陽も暮れた時間、ちょうど食事を終えて、片付けもそこそこに一息ついていた所だった。
彼女とは前大会以来の顔見知り同士ではあるが、とはいえ快賊と警察の関係である。クルーの人間を伴わずに一人で訪ねてきたのも初めての事で、カイは少なからず驚いたが、尋ねるまでもなく彼女自身が語ってくれた事の顛末は、いたって簡単なものだった。彼女の保護者であり思い人である快賊の頭領が、どうやら女性と姿を消してしまったらしい。
メイはそれに腹を立てて家出してきた、という事のようであり、大量の酒を抱えてきた理由も単純明快で、『グレてやる』であった。グレようとしている少女の家出先が警察機構の人間の自宅、というのも、考えれば少しおかしなものではあるけれど。
だがカイにしてみれば、ジョニーが女性と消えてしまうというのは珍しい事とも思えなかった。警察に捕まっている時でさえ、看守の女性を口説きまわっていたような男だ。日常がどうであるかは、想像するのも容易い事だった。それは自分などよりも、付き合いの長い彼女の方が、ずっとよくわかっているはずである。
しかしそれを口にすればどうなるかも想像に難くないので、カイは沈黙を守る事にした。メイはまだ足りないとばかりにぶつぶつと呟き続けている。
「ボクだって、お酒飲めるのにぃ・・・」
恨めしそうにそう言うメイのグラスに注がれている飲み物は、コーラに香り付け程度にブランデーを数滴だけ落としたもので、アルコールと呼べるほどのものではない。要は『グレた』という気分が味わえればいいだけなのだろう、メイはジュースと変わりない飲み物を、それでも満足げに飲み干した。
大きく息を吐いてたメイは、しかしやはりまだ拗ねた表情で、じとりとカイを睨み付けた。酔っているように見えなくもない、とろんとした瞳。けれどそこに宿る光は真剣だった。
「カイさんも、ボクはまだ子供だから何もわかってない、って思ってるんでしょ」
「・・・・・・」
「わかってるもん」
反論しなかったカイに、メイは怒らず、小さくぼやいた。
「ジョニーがボクを大事にしてくれてるのは、ちゃんと、わかってるんだよ」
それが保護者という意味でも、とメイは大きな瞳に涙を溜めて俯いた。意外な言葉にカイは少し驚いたけれど、納得もした。年若いとはいえやはり少女だ。こういった感情の機微には、自分より余程聡い部分がある。
メイは膝の上に置いた手を握り締めた。
「でも、やっぱり、言葉で聞きたいよ・・・」
泣き出す寸前の声での呟きと、チャイムの音が重なった。
この時間に訪問してくる人間など、心当たりは今のところ一人しかいない。カイがメイを見やると、メイもまた訪問者の気配を敏く感じ取って、一旦顔を上げはしたものの、また無言のまま、脇にあったクッションを抱き締めて俯いてしまった。
カイは仕方なしに自分で立ち上がり、インターフォン越しに一言二言を交わして、予想通りの訪問者を邸内へと招き入れた。
いつもと同じ黒い帽子にコートにサングラスといった出で立ちの男は、部屋にメイの姿を認めると、大仰に肩を竦めながら大きな溜め息を吐いた。
「探したぞ、メイ」
ジョニーが部屋に入ってきても、メイは返事どころか、ドアの方を見もしなかった。クッションに縋るようにして、拗ねた背中だけをジョニーに向ける。すっかり機嫌を損ねてしまっているメイに、ジョニーは苦笑しながら懐から紙片を取り出し、それを広げてみせた。
綺麗に折りたたまれていた紙には、丸みのある大きな字で、家出する、といった主旨の事が乱雑に書き殴られていた。
「全く、警察に家出してどうするんだ」
男の声は普段と同じに軽妙で、呆れるというよりは少女のある意味矛盾した行動を面白がっている節があった。広げた紙片を再び元通りに綺麗にたたんで懐に戻し、腰に手を当ててメイを見下ろす。
「帰るぞ。長居すると、本当に逮捕されかねないからな」
冗談めかしてジョニーは言うが、メイはそれでも振り返らなかった。クッションを更に強く抱き締めて、大きく首を振る事だけで応じる。ジョニーはやはり困った顔もせず、メイの様子を窺うように軽く上体を折った。
「どうした、メイ? 帰らないのか?」
「ボクなんか、帰らなくてもいいくせに」
「は?」
「ジョニーは、ボクより大人の女の人の方がいいんでしょっ」
吐き捨てるように言ったきり、頬を膨らませてそっぽを向いてしまった少女に、ジョニーは小さく苦笑した。だが心底困っているという様子はなく、メイの背中を見やる眼差しは、暖かささえ感じられる。
ジョニーはサングラスの奥の目を細め、少し思案して、軽い溜め息を漏らした。メイの隣に静かに腰を下ろす。二人分の重みに、ソファが軋んだ。
「メイ」
低い声が、優しく、甘い響きをもって少女を呼んだ。
普段とはまるで違った、それは例えば女性に呼びかけるような、誰もを振り向かせる魅惑的な声だった。誘惑に、メイは音がするほど勢いよく振り返った。癖のない髪が柔らかに揺れる。メイの視線に合わせて腰を曲げたジョニーは、振り向いた少女を、そっと抱き寄せた。
唇がメイの頬を掠めた。栗色の瞳が大きく瞠られる。そして頬に押し当てられた唇が、何事かを呟いたようだった。呟きはメイの耳だけに届き、それにメイはかあっと頬を染めた。年頃の少女らしい、初々しい反応だった。傍で見ているカイまで、思わず顔を赤らめてしまう。
体を離したジョニーは、少女の髪を指先で梳いてやりながら、薄く笑った。
「ジョニー・・・」
「こういうのはな、年がら年中口にすればいいってもんじゃないんだぞ、メイ」
大きな瞳に、先程までとは違った意味の涙を溜めたメイに、ジョニーは指先を唇に当てながら囁く。口調はやはりどこかおどけたようなものだったけれど、その言葉が冗談などでない事は、メイ自身がよくわかっている事だろう。
ジョニーが確認するように顔を近付けて首を傾けると、メイは大きく頷いて、元気よくジョニーに飛びついた。胸に顔を埋め、再び顔をあげたメイは、先程までの曇った表情がまるで嘘のように明るく微笑んでみせた。
大輪の花が咲いたような笑顔だった。満面に笑みを浮かべて、メイは普段と同じの、元気の良い声でもって高らかに告げる。
「ジョニー、大好きっ!」
何のてらいもなく正直に気持ちを明かし、少女は男を押し倒すばかりの勢いで体を摺り寄せた。まるで小動物のような懐き方だ。カイが口を挟めずにいると、ジョニーはさすがに今度は困った顔をして、メイの背中を叩いて促した。
「話は帰ってからだ。ほら、行くぞ」
軽く腕を引いて立ち上がらせるが、メイはジョニーに抱きついたまま離れようともしない。幸せ一杯といった顔で微笑むメイにつられるようにして笑いながら、カイはジョニーを見た。
サングラスを指で押し上げながら、ジョニーはおどけたように片手を額に当て、敬礼してみせた。
「世話になったな」
「いいえ。お土産も貰いましたしね」
カイはグラスを傾けて笑った。メイが持ち込んできた酒は、さほど詳しくないカイでも、高価なものだとわかるようなものだった。おそらくはジョニーの、それも秘蔵のものを勝手に持ち出してきたのだろう。
テーブルに並べられ、無造作に栓を開けられたそれらを見やったジョニーは、少しだけ眉をしかめたが、肩を竦めるに留まった。
「いいさ。安いもんだ」
腰に腕を巻き付けて、ぴったりと体を寄り添わせて離さないメイの頭を優しく叩いてやりながら笑うジョニーに、カイは大きく息を吐いた。顔見知りとはいえ男は空賊なのである。本来であれば身柄を拘束する所であるのだが、それは無粋というものだろう。心底幸せそうなメイの笑顔を見れば、そんな事は瑣末な事に思えた。
「未成年に飲酒させるような事をしたら、今度は逮捕しますから」
「肝に銘じておくよ。・・・そっちも仲良くな」
メイの肩を抱き、くるりと背を向けたジョニーは、去り際に軽く手を上げてさらりとそんな事を言う。意趣返しとばかりに投げられた一言に、カイは正直に顔を赤くしてしまった。幸い、背を向けていた二人には見られずに済んだけれど。
赤い液体の注がれたグラスを手に持て余しながら、カイはひっそりと、目の前に座る少女に気付かれないよう、溜め息を吐いた。
疲れと戸惑いとが色濃く現れた吐息であったが、熱弁を揮うのに忙しい少女は、それに気付いた風もない。頬を膨らませ、唇を尖らせて、彼女はまだ成長途中の小柄な体全体で目一杯の怒りを表していた。
メイは琥珀色の双眸を興奮に輝かせながら、また大きな声を張り上げてテーブルから身を乗り出し、カイに詰め寄った。
「ね、カイさんもひどいと思うでしょ?」
「・・・はあ」
「はあ、じゃないよ! ちゃんと話聞いてた?!」
「は、はい、聞いてました」
怒りに悔しさにと強い感情の篭められた声に、カイはただ圧倒されるばかりだった。
けれど文句一つを口にする事もなく、カイは身振り手振りをつけて語り続けるメイに、努めて柔和な笑顔を作り、時折頷き相槌を打って、話を聞いてやっていた。
両手一杯にワインやらブランデーやらたくさんの酒瓶を抱えたメイが、珍しく自分からカイの自宅を訪ねてきたのは、既に陽も暮れた時間、ちょうど食事を終えて、片付けもそこそこに一息ついていた所だった。
彼女とは前大会以来の顔見知り同士ではあるが、とはいえ快賊と警察の関係である。クルーの人間を伴わずに一人で訪ねてきたのも初めての事で、カイは少なからず驚いたが、尋ねるまでもなく彼女自身が語ってくれた事の顛末は、いたって簡単なものだった。彼女の保護者であり思い人である快賊の頭領が、どうやら女性と姿を消してしまったらしい。
メイはそれに腹を立てて家出してきた、という事のようであり、大量の酒を抱えてきた理由も単純明快で、『グレてやる』であった。グレようとしている少女の家出先が警察機構の人間の自宅、というのも、考えれば少しおかしなものではあるけれど。
だがカイにしてみれば、ジョニーが女性と消えてしまうというのは珍しい事とも思えなかった。警察に捕まっている時でさえ、看守の女性を口説きまわっていたような男だ。日常がどうであるかは、想像するのも容易い事だった。それは自分などよりも、付き合いの長い彼女の方が、ずっとよくわかっているはずである。
しかしそれを口にすればどうなるかも想像に難くないので、カイは沈黙を守る事にした。メイはまだ足りないとばかりにぶつぶつと呟き続けている。
「ボクだって、お酒飲めるのにぃ・・・」
恨めしそうにそう言うメイのグラスに注がれている飲み物は、コーラに香り付け程度にブランデーを数滴だけ落としたもので、アルコールと呼べるほどのものではない。要は『グレた』という気分が味わえればいいだけなのだろう、メイはジュースと変わりない飲み物を、それでも満足げに飲み干した。
大きく息を吐いてたメイは、しかしやはりまだ拗ねた表情で、じとりとカイを睨み付けた。酔っているように見えなくもない、とろんとした瞳。けれどそこに宿る光は真剣だった。
「カイさんも、ボクはまだ子供だから何もわかってない、って思ってるんでしょ」
「・・・・・・」
「わかってるもん」
反論しなかったカイに、メイは怒らず、小さくぼやいた。
「ジョニーがボクを大事にしてくれてるのは、ちゃんと、わかってるんだよ」
それが保護者という意味でも、とメイは大きな瞳に涙を溜めて俯いた。意外な言葉にカイは少し驚いたけれど、納得もした。年若いとはいえやはり少女だ。こういった感情の機微には、自分より余程聡い部分がある。
メイは膝の上に置いた手を握り締めた。
「でも、やっぱり、言葉で聞きたいよ・・・」
泣き出す寸前の声での呟きと、チャイムの音が重なった。
この時間に訪問してくる人間など、心当たりは今のところ一人しかいない。カイがメイを見やると、メイもまた訪問者の気配を敏く感じ取って、一旦顔を上げはしたものの、また無言のまま、脇にあったクッションを抱き締めて俯いてしまった。
カイは仕方なしに自分で立ち上がり、インターフォン越しに一言二言を交わして、予想通りの訪問者を邸内へと招き入れた。
いつもと同じ黒い帽子にコートにサングラスといった出で立ちの男は、部屋にメイの姿を認めると、大仰に肩を竦めながら大きな溜め息を吐いた。
「探したぞ、メイ」
ジョニーが部屋に入ってきても、メイは返事どころか、ドアの方を見もしなかった。クッションに縋るようにして、拗ねた背中だけをジョニーに向ける。すっかり機嫌を損ねてしまっているメイに、ジョニーは苦笑しながら懐から紙片を取り出し、それを広げてみせた。
綺麗に折りたたまれていた紙には、丸みのある大きな字で、家出する、といった主旨の事が乱雑に書き殴られていた。
「全く、警察に家出してどうするんだ」
男の声は普段と同じに軽妙で、呆れるというよりは少女のある意味矛盾した行動を面白がっている節があった。広げた紙片を再び元通りに綺麗にたたんで懐に戻し、腰に手を当ててメイを見下ろす。
「帰るぞ。長居すると、本当に逮捕されかねないからな」
冗談めかしてジョニーは言うが、メイはそれでも振り返らなかった。クッションを更に強く抱き締めて、大きく首を振る事だけで応じる。ジョニーはやはり困った顔もせず、メイの様子を窺うように軽く上体を折った。
「どうした、メイ? 帰らないのか?」
「ボクなんか、帰らなくてもいいくせに」
「は?」
「ジョニーは、ボクより大人の女の人の方がいいんでしょっ」
吐き捨てるように言ったきり、頬を膨らませてそっぽを向いてしまった少女に、ジョニーは小さく苦笑した。だが心底困っているという様子はなく、メイの背中を見やる眼差しは、暖かささえ感じられる。
ジョニーはサングラスの奥の目を細め、少し思案して、軽い溜め息を漏らした。メイの隣に静かに腰を下ろす。二人分の重みに、ソファが軋んだ。
「メイ」
低い声が、優しく、甘い響きをもって少女を呼んだ。
普段とはまるで違った、それは例えば女性に呼びかけるような、誰もを振り向かせる魅惑的な声だった。誘惑に、メイは音がするほど勢いよく振り返った。癖のない髪が柔らかに揺れる。メイの視線に合わせて腰を曲げたジョニーは、振り向いた少女を、そっと抱き寄せた。
唇がメイの頬を掠めた。栗色の瞳が大きく瞠られる。そして頬に押し当てられた唇が、何事かを呟いたようだった。呟きはメイの耳だけに届き、それにメイはかあっと頬を染めた。年頃の少女らしい、初々しい反応だった。傍で見ているカイまで、思わず顔を赤らめてしまう。
体を離したジョニーは、少女の髪を指先で梳いてやりながら、薄く笑った。
「ジョニー・・・」
「こういうのはな、年がら年中口にすればいいってもんじゃないんだぞ、メイ」
大きな瞳に、先程までとは違った意味の涙を溜めたメイに、ジョニーは指先を唇に当てながら囁く。口調はやはりどこかおどけたようなものだったけれど、その言葉が冗談などでない事は、メイ自身がよくわかっている事だろう。
ジョニーが確認するように顔を近付けて首を傾けると、メイは大きく頷いて、元気よくジョニーに飛びついた。胸に顔を埋め、再び顔をあげたメイは、先程までの曇った表情がまるで嘘のように明るく微笑んでみせた。
大輪の花が咲いたような笑顔だった。満面に笑みを浮かべて、メイは普段と同じの、元気の良い声でもって高らかに告げる。
「ジョニー、大好きっ!」
何のてらいもなく正直に気持ちを明かし、少女は男を押し倒すばかりの勢いで体を摺り寄せた。まるで小動物のような懐き方だ。カイが口を挟めずにいると、ジョニーはさすがに今度は困った顔をして、メイの背中を叩いて促した。
「話は帰ってからだ。ほら、行くぞ」
軽く腕を引いて立ち上がらせるが、メイはジョニーに抱きついたまま離れようともしない。幸せ一杯といった顔で微笑むメイにつられるようにして笑いながら、カイはジョニーを見た。
サングラスを指で押し上げながら、ジョニーはおどけたように片手を額に当て、敬礼してみせた。
「世話になったな」
「いいえ。お土産も貰いましたしね」
カイはグラスを傾けて笑った。メイが持ち込んできた酒は、さほど詳しくないカイでも、高価なものだとわかるようなものだった。おそらくはジョニーの、それも秘蔵のものを勝手に持ち出してきたのだろう。
テーブルに並べられ、無造作に栓を開けられたそれらを見やったジョニーは、少しだけ眉をしかめたが、肩を竦めるに留まった。
「いいさ。安いもんだ」
腰に腕を巻き付けて、ぴったりと体を寄り添わせて離さないメイの頭を優しく叩いてやりながら笑うジョニーに、カイは大きく息を吐いた。顔見知りとはいえ男は空賊なのである。本来であれば身柄を拘束する所であるのだが、それは無粋というものだろう。心底幸せそうなメイの笑顔を見れば、そんな事は瑣末な事に思えた。
「未成年に飲酒させるような事をしたら、今度は逮捕しますから」
「肝に銘じておくよ。・・・そっちも仲良くな」
メイの肩を抱き、くるりと背を向けたジョニーは、去り際に軽く手を上げてさらりとそんな事を言う。意趣返しとばかりに投げられた一言に、カイは正直に顔を赤くしてしまった。幸い、背を向けていた二人には見られずに済んだけれど。
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