ある日、衝撃のアルベルトは突然姿を消した。
一両日後には帰ってきたのだが・・・・・・その時彼は一人ではなかった。
「アルベルト!」
「お主いったい今までどこに・・・・・・」
前日から行方不明だったアルベルトの帰還の知らせをうけて飛んできたセルバンテスと樊瑞は、その理由を問いただそうとして・・・・・・絶句した。
アルベルトの腕に、ある意味彼に最も似つかわしくないものが抱かれていたからだ。
アルベルトは・・・・・・一人の赤ん坊をその腕に抱いていた。
アルベルトは無表情だったが、その赤ん坊は何が楽しいのか、きゃっきゃっと声をあげていた。
「ア、アルベルト・・・・・・その子はいったい・・・・・・、え?」
「やる」
一瞬出迎えた二人を見比べるとアルベルトは、つかつかと樊瑞の方に近づき、ぽん、とその赤ん坊を樊瑞に手渡して、そのまま歩き去ってしまった。
「え、あ、ちょっ、ちょっと、ちょっと待て!アルベルト!!わっ」
「おい、アルベルト!!」
セルバンテスも呆気にとられたように赤ん坊を眺めていたが、身軽な彼は我に返るとすぐにアルベルトの後を追った。
樊瑞も後を追いたかったが・・・・・・慣れない赤ん坊が腕の中にいるせいで、その場から身動きがとれなかった。
「・・・・・・そうだ」
アルベルトは少しいったところで立ち止まり、わずかに振り返って付け加えた。
「そいつを泣かすなよ。・・・・・・泣かれるとうるさいからな」
「泣かすなって・・・・・・おい、アルベルト!この子はいったい・・・・・・えっ」
「ふぇ・・・・・・」
樊瑞の大声に驚いたのか、早速泣き出しそうになった赤ん坊に樊瑞はあわてた。
「よ、よしよし」
見よう見まねであやしてみる。
その間にアルベルトの姿は見えなくなっていた。
・・・・・・結局そのまま樊瑞は、その赤ん坊サニーを育てる羽目になってしまったのである。
サニーがアルベルトの娘だとわかったのもだいぶ後なら、そのサニーとアルベルトが強力なテレパシーでつながれているとわかったのはもっと後だった。
アルベルトが「泣かれるとうるさい」と言った理由は、サニーが泣くと、どんなに遠くにいても、テレパシーでその波動がアルベルトに伝わってきてしまうんだそうな。
後日談
セル(かなり恨めしそうに)「なんで私に預けてくれなかったんだ?私ならサニーを立派なレディに育て上げるのに」
アル「・・・・・・最初にお前らを見たとき、サニーが樊瑞の方がいいと言った」
セル「~~~~」
サニーの人を見る目は確かなようで(笑)。
その後清楚可憐に成長したサニーに「おじさま♪」と呼ばれている樊瑞を、柱の陰で歯ぎしりしながら見ているセルバンテスが目撃されたとかされないとか。
そしてそのことと、樊瑞の胃に穴をあける陰湿な嫌がらせが増えたことに何か関係があるのかは・・・・・・
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