まったく揺るぎを感じない、固い大地
今までずっと、生き物のように揺らめく波の上の船で生活していた少年にとって、それは未知の感覚だった。
体内の臓器だけが、波間を漂うようにゆらゆらするような錯覚。
静止している足元、支えられている体にとってそれは耐えられない吐き気を呼ぶ。
「うっ…おぇえっ」
「ギャーきったねー!!」
「ばっちー!鬼蜘蛛丸が吐いたー!」
思わず砂浜に手をつき嘔吐しだした少年を、周囲にいた同じ年頃の子供たちはひやかしながら避けるようにして離れる。
本当に苦しいのに、なんで誰も助けてくれないんだろう。
少年は次から次へとせりあがってくる胃の中のものを出し続ける。
けれど、一向に楽にはならかった。
泣きそうになっていたその時、視界にフッと影がさし、あたたかい手が背中に触れた。
「おいお前、大丈夫か?」
鋭い目とぶっきらぼうな声から伝わってきた気遣わしげな色。
唯一救いを差し延べた彼に、少年は恋をしてしまった。
少年の名は鬼蜘蛛丸、そして恋をした相手の名は疾風。
鬼蜘蛛丸13歳、疾風18歳の時の初めての出会いであった。
****
疾風兄やんとの年齢差は嘘っぱちです
今までずっと、生き物のように揺らめく波の上の船で生活していた少年にとって、それは未知の感覚だった。
体内の臓器だけが、波間を漂うようにゆらゆらするような錯覚。
静止している足元、支えられている体にとってそれは耐えられない吐き気を呼ぶ。
「うっ…おぇえっ」
「ギャーきったねー!!」
「ばっちー!鬼蜘蛛丸が吐いたー!」
思わず砂浜に手をつき嘔吐しだした少年を、周囲にいた同じ年頃の子供たちはひやかしながら避けるようにして離れる。
本当に苦しいのに、なんで誰も助けてくれないんだろう。
少年は次から次へとせりあがってくる胃の中のものを出し続ける。
けれど、一向に楽にはならかった。
泣きそうになっていたその時、視界にフッと影がさし、あたたかい手が背中に触れた。
「おいお前、大丈夫か?」
鋭い目とぶっきらぼうな声から伝わってきた気遣わしげな色。
唯一救いを差し延べた彼に、少年は恋をしてしまった。
少年の名は鬼蜘蛛丸、そして恋をした相手の名は疾風。
鬼蜘蛛丸13歳、疾風18歳の時の初めての出会いであった。
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疾風兄やんとの年齢差は嘘っぱちです
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