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 「 母 ~mere ~

― 主人公はこんな奴じゃ・・― 」




―――・・・あの時感じた暖かい気。

「待て、ソル!今日こそ勝負してもらうからなっ!!」

―――・・・間違いない。たしかにあの人だ。

「手前なぁ、坊や!?いい加減にしろ!つってるだろうが!!」

「黙れ!これ以上子ども扱いさせないためにも、今日こそ認めさせてやる!!」

―――・・・ずっと探していた。

「お、今日もやってるねー、御両人?」

「あ、闇慈さん!あれほど不法入国はダメだと・・・!」

「あ、やべ。」

―――・・・あの時から決して忘れたことはなかった。夢にまでみた暖かい存在。

「あそこだ、あそこにいる・・・!」

「え?何が?って、あ・・・!?」

―――・・・行かなければ。会いに行かなくては。

「キ・・・キャーッ・・メイ、たいへんだよーっ!!」

「どうしたの、エイプリル!?」

「デイジーがっ、デイジーが急に飛び下りて・・・!」

「えーっ!?」





―――・・・あの時感じた懐かしい気がすぐ手に届くところにある。・・・―――





 捜し求めていたあの感覚の持ち主。

 直感的に相手を呼びながらその胸元に飛び込んだ。





「お母さん・・・っ!!」




「え゛・・・?」





 我らが主人公、『ソル・バッドガイ』の胸(なぜか強調)に。



 突然のカタストロフに世界が凍結した。

『・・・・・・・』





 しばらくお待ちください。





「・・・おい・・・何の真似だ、コレは・・・?」

 流石主人公。復活が一番早かった。

「え?だって、貴方がわたしのお母さんなんでしょう?」

 デイジーが本気で不思議そうに首をかしげた。

 己の胸に美少女が顔を埋めるという全世界男性陣垂涎モノのシチュエーションのはずなのだが何かがちがう。

「・・・だから、誰がおかあさんだ・・・?」

「え、アンタその子のお母さんだったのかい!?」

 闇慈が思い切り本気にした。

「ちがうっ!!」

「ちがいませんっ!!」

 デイジーが思い切り本人を否定した。

 ガランと重い音がした。

「・・・?」

「・・・"おかあさん"・・・?」

良く見るとカイの手から封雷剣が落ちていた。

「・・・ソルが・・・?実は女性・・・?」

 呆然とカイも呟いている。

「・・・つまり、私は今まで女性に負け続けて・・・・」

「おい、手前も何ボケてやがんだ!!」

 「俺のハダカなら騎士団時代に風呂場で腐るほど見やがっただろうが!」という抗議は全然彼の耳に届いていない。

「カイ殿~?」

「・・・な、情けない・・・仮にも女性に負けるなんて自分が情けない・・・」

「逝っちゃってるね。」

「・・・・。」

 びったりと抱きついてくるデイジーは離れようとしない。

「あの時暴走しかけた私を止めてくれたあの暖かい気・・・たしかに貴方でした!」

「くだらねぇ、証拠でもあるのかよ?」

「私が間違えるわけありません!」

「あ、いた!デイジーっ!」

 友人である少女ふたりがこちらに走ってきた。

「突然飛び下りたから心配したんだよ!」

「どうしたの!?」

 と、口々に説明をもとめる友人にやや頬を染めながらデイジーがソルを紹介した。

「私のお母さんなんです!」



『!?』




 再びカタストロフが起きた。





 しばらくお待ちください。





「お母さん?」

「この人が?」


「はい。」

 少女二人早速たしかめ始める。

「・・・おい、手前らなにしてやがんだ・・・?」

 べたべたと体中をまさぐら・・・訂正、さわりまくられてソルが静かに怒り始めた。

「確かめてるに決まってるじゃない。」

 胸の辺りを重点的に。

「セクハラで訴えるぞ」

「男には適用されないのよ?」

 否、適用されますから。

「だって、あの時エイプリルが教えてくれたんです。わたしが暴走しかけたその時に止めてくれたひと・・・!あの時の懐かしい気を持った人・・それがきっと私の" お母さんだ"。って・・・!」

「あ、あはは・・・」

 エイプリル固まった。

「・・・手前か・・・」

「えーっ!?でもその後で"お父さんかもしれないね"!?って言ったんだよ!?」

「あ、でもそういうことはデイジーのお父さんかお母さんがソルさんってコト?」

 "お父さんかお母さん"というのも何だが、メイが口を挟む。

「絶対そうです!」

「あのな・・・」

 ソルが抗議を続けようとするところで復活したらしいカイが声をかけた。

「何だ、おまえ結婚してたのか?」

「してない。」

 きっぱりと言った。

「だから、例の女性とか?」

 なおもソルが抗議を続けようとするところで闇慈が声をかけた。

「ん?アンタ結婚してないの?」

「してない、つっとるだろうが。」

 すっぱりきっぱりと言った。

「ってことは独りで産んだのかい?」

「何でそうなる!?」

「いや~あんたのことだから口から卵でも出して、そこから彼女が産まれたのかなーっと思ってさ・・・」

「誰がナメ●ク星人だ!」

・・・ド●ゴン●ールって知ってる?

「・・・ってことは・・・?」

「あ、だったら離婚したとか?だから"今、結婚していない"んだな?それで離婚した相手の方がお独りで産んだとか・・・!」

と、顎に手をやる。「だってあのひとじゃないとすると相手の女性は誰なんだ?」

真面目神教徒なカイはあくまでも真面目路線に質問する。

「あの人って?」とメイに「昔の亡くなったとかいう恋人・・・?」と答えている。

「それって何年前?」

「あ、そうか。・・・そういえばデイジーって何歳でしたっけ・・・?」

「くどいぞ!知らねぇ、つってるだろうが!」

 闇慈がぽんっと手を打った。

「なんだ!つまりそのヘンでひっかけた女とゴムもつけずにヤって失敗した、ってわけか。うっわ、ダッセ・・・」

「墜ちろ!!」
 闇慈をぶちのめして少しすっきりしたのかソルは改めてデイジーに向き直った。

「とにかく、人違いだ。俺はお前の父親じゃねぇよ、悪かったな。」

 仮に真実の親子だとしても名乗るつもりはない。真偽は別として。

「・・・じゃぁお母さん・・・?」


「もっとちがう。」


 つっこみが素早かった。



「・・・そうですか・・・・・・私のお母さんでも、お父さんでもないのですか・・・」

 さびしそうに言われて少し心が痛んだ。





「・・・"ぱぱ"って言いたかったのにな・・・」



 それを聞いた瞬間。

「・・・ぱぱ・・・」

 ソルの身体を電撃が走り抜けた。

「・・・"パパ"・・・」

 しかも繰り返していた。

「・・・ど、どうしたんだ、いきなり・・・?」

「何かスイッチ入ってるよ・・・?」

 ふるふると感動している我らが主人公に怪訝な視線が集まった。

「・・おい、なってやってもいいぜ"父親"に。」

「え、本当ですか?」

「・・・"なってやる"・・・?」

 突然の宗旨変えに友人たちの怪訝な顔をものともせずにデイジーの顔がほころんだ。

「嬉しいです!」

「じゃぁまずは食事にでも行くか。」

 髪を掻き揚げて偉そうに言いながらソルが彼女の肩に手を回す。

「で、それから一緒に風呂に入って背中を流しあってだな・・・」



『テメーは援交のオヤジかっ!!』


 その場にいたほぼ全員のどつきつっこみが入った。











 その後しばらくソルがゼリーフィッシュ団に出入禁止になったのはまた別の話ということで。


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