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うろほろぞ
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 窓の外を流れる景色はすっかり暗くなり、時計の針はあと半周もしないで明日へとなってしまう。
 先ほどまで盛り上がっていたパーティー会場は、今は今にも泣き出しそうなメイを中心にして静まりかえっていた。
「……ジョニーの………、ジョニーの……………っ」
 感情を押し殺した低い呟き。これは嵐の前兆に他ならない。次の瞬間、メイは盛大に泣き出すか、もしくは手のつけられないほどに暴れ出すだろう。
 どちらに転んでも歓迎できない事態を目前にクルー全員が覚悟を決めた時、思いがけないタイミングで件の人物から通信が入った。
『ザッ……、ようみんな、楽しんでるかい?』
「ジョニー!?」
 ダダダッと音を立てそうな勢いで、メイが通信機に囓りつく。
「ちょっと、ジョニー! 一体どこで何してるのよ? ボクがどんな思いでねぇ…」
『いやー、絶好のロケーションを探すのに手間取っちまってな』
「どこにいるのよー!!」
『すぅーぐ下だぜ? 見てみな、ベィベェ』
 後半のジョニーの台詞が終わる前に、メイは近くの窓へとへばりついた。
「うわぁ……」
 眼下に広がるのは大きく丸い月が映った蒼い海。そこで無数のイルカが思い思いに踊っている。
「すごい…キレイ……」
『だろ? これをメイに見せたくて探しに出てたんだが、ちと情報に齟齬があってな』
 それでこんなに遅くなってしまったのだという。
 とりあえずジョニーを回収するために飛空廷が降下し、メイが甲板まで向かえに出る。
「俺からのバースディプレゼント、気に入って貰えたか?」
「うん! 最高だったよ」
 さっきまでの不機嫌はどこへ行ったのか、メイは満面の笑みである。
「そいつはよかった。それともうひとつ…。
 HappyBirthday、メイ。これでお前さんも立派なレディの仲間入りだ」
 手渡されたのは真っ赤なバラの花束。バラの数はメイの歳と同じ数---二十本。
「レディには赤いバラを送るのが俺の主義だからな」
 そう、今日でメイは二十歳になる。これでやっと、愛しい人と同じラインに立てるのだ。
「ジョニー、ありがとう!」
 ここからが新しいスタートライン。
 待っててね、ジョニー。あなたに釣り合ういい女に、きっと絶対なって見せるから!
 思いっきりメイがジョニーに抱きついて、蒼い夜に赤い花びらが舞い散った。

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―ディズィーが、メイとはぐれたらしい。
相変わらず真っ黒なコートを翻し、ジョニーは雑踏の中をくぐっていく。
もう子供と呼べる年頃でもなかったが、やはり目の届く外に置いておくには
まだ彼女は幼い。
―少なくともジョニーの中では、そうだった。
きっと、何処かで綺麗なアクセサリーでも見つけて立ち止まったのだろう。
ディズィーが辿ったという道を戻りながら、苦笑を浮かべる。
「一人前のレディになるまでどのくらいかかるのかねぇ…。」
いつも、ジョニーの脳裏に浮かぶのは太陽のような笑顔を浮かべたメイの姿。
大人への階段を駆け足で上っていくような年頃になっても、その笑顔だけは変わることがない。
着実に年を重ねていく自分に比べ、彼女はいつまで経ってもそのままのような気さえする。
―なのに、時折見せる仕草はどきりとするほど大人っぽくもなった。
「…海、か。」
雑踏の向こうに、微かな波の音が聞こえる。
慣れ親しんだ空と同じ紺碧に輝く海が、メイは大好きだ。
何となく思い立って―ジョニーは、波の音に誘われるまま歩いていった。

こんな良く晴れた日は、海辺を歩くのもいいだろう。
翻る帆布がばさばさと音を立て、飛び交う海猫の声が耳に心地いい。
老若男女、様々な人々がそんな風景にうっとりと目を細め、すれ違っていく。
この景色にこのコートは少々無粋だったか―そんなことを考えながら、メイの姿を探す。
あのオレンジ色の服ならば、すぐ目に留まるはずなのだが。
「…ん?」
足が、自然と止まった。
海辺の公園―手すりにもたれるようにして海を眺める、少女の姿。
傾きがちにかぶった麦わら帽子の下で黒髪が涼しげに風に揺れている。
白いワンピースからすんなりと伸びた手足、少し日に灼けた健康的な肌。
―つい、見とれてしまうほどの美少女。
「…こりゃ、また…地上に降りた天使か女神か…」
美女と見れば声をかけずに居られないのは悲しいかなジョニーに染みついた習性だ。
丁度いい。メイの姿を見なかったか聞いてみよう。
―適当な理由をつけて、少女に歩み寄る。
「あー…そこの、お美しいレディ…ちょっとお聞きしたいことが」
「…レディって、ボクのこと?」
その華奢な外見からは想像もつかない勢いで、少女が振り返った。
麦わら帽子の下で、見慣れた顔がきらきらと表情を輝かせている。
「ねぇ、ジョニー、今、ボクのことレディって言ってくれた!?」
「め…メイ…!?」
間違いなく、それはメイだった。
笑っていたかと思うと一転、絶句するジョニーの顔を覗き込むようにして、むくれてみせる。
「んもォ、ずっと待ってたんだぞ!まぁた浮気しようとしてるし…。」
「い、いや、これはだな、お前さんを見なかったか聞こうかと…いやいや、
そんなことはどうでもいい。こりゃ一体…」
白いワンピースを翻してメイはまたも上機嫌に笑うと、少しだけ麦わら帽子を傾ける。
「えへへ、ディズィーに手伝ってもらったんだ。ジョニー、こうでもしなきゃデートしてくれないし。」
…つまりは、二人がかりでペテンにかけられたらしい。
メイとはぐれた、とディズィーが戻ってきたとき、妙に落ち着いていたのを思い出す。
「…お前さんなぁ…。」
「あ、怒ってる?やだ、怒らないでよジョニー。」
「俺ぁマジで心配したんだぞ?そりゃあ、セクシーなマダムに声もかけないでだなぁ…」
「…ボクに声かけたくせに。」
「いや、だからな、それは…。」
半分ナンパ目的だったのだから、そこをつつかれると弁解のしようがない。
慌てるジョニーを前にメイはさも面白そうに吹き出す。
「まあいいや。ボクのこと、やっとレディって認めてくれたし♪」
「あれは、勢いで…」
「でも、声かけたくなったでしょ?やった、一歩前進★」
「…。」
無邪気に喜んでいるメイの姿を見ていると、何となくどうでもよくなってくる。
愛用の帽子を目深にかぶり直し、ジョニーはひょいと肩をすくめてみせた。
「まーったく…お前さんがたにゃ、敵わんよ。」
「えへへ…。ね、ジョニー。ボクさっき綺麗なアクセサリー売ってるお店見つけたんだ。一緒に行こう?」
ぎゅっ、とジョニーの腕に―いつものとおり―しがみついて、幾分か遠慮がちにメイが見上げてきた。
今までにない可憐な笑顔に、図らずも少しだけ…本当に、少しだけ鼓動がリズムを乱す。
それを悟られないようにもう一度帽子をいじって、ジョニーはゆっくり歩きはじめた。
「…OK。今日一日よろしく頼むぜ、レディ。」
「…うんっ!」
黒いコートに白いワンピース。
何ともちぐはぐなカップルに、すれ違う人は振り返り―その幸せな様子に口元を綻ばせる。
蒼穹には白い雲。
波の音も鳥の声も何だかとても耳に優しくて。
海辺をいつもよりずっとゆっくり歩きながら、ジョニーは少女のお喋りに耳を傾ける。
「ねぇ、ジョニー?」
「ん?」
「ボクの帽子とジョニーの帽子、なんか形、似てるよね。おそろいだぁ★」
「…そだな。」
他愛のないことに喜び、笑うメイの声。
―それが、何よりも優しく甘く―彼の耳を打つ。
「(こりゃ…一本とられたかな。)」
メイのしがみついた腕―そこに、初めて自分から力を込めて。
少女の温もりに、少しだけ近づいた二人の距離を彼は感じていた―…。



少女は、五月のその日を今でもはっきりと憶えている。
 彼女の中でそのシーンは幾度繰り返されただろう。
何度繰り返してもその光景は色褪せることも擦り切れることもなく、雨の匂いまでがリアルに甦ってくる。

ジョニーは傘も差さずに現れた。

 少女が育ったところは聖戦の戦災孤児を収容する施設だった。
運営は戦災孤児に対する補助金で行われていたから、そうではなかった少女に対する、職員たちの扱いはあまり好意的ではなかった。
子供はそういった気配に敏感だ。施設の中で、少女に対するいじめは半ば公然と行われていた。
いつしか少女は笑わなくなった。
笑顔もない、友達もいない抜け殻のような日々だったのだと思う。思い出せないし、思い出したくもない。
 しかし、そこから抜け出せるとも思っていなかった。いつか救いの手がさしのべられる、そんなことは考えたこともなかった。
考えることさえ、感じることさえ、やめていたのだと思う。
 だから、自分に「身請け」の話が来たときも何も感じなかった。
 その人に会うまでは。
少女の身元引き受けは、小雨の降る中、戸外で行われた。

 五月の雨はまだ冷たい。彼がかぶっている鍔広の帽子も身につけている黒のコートも、雨を充分に凌いでいるとは言いがたい。
現に帽子からこぼれ出ている金髪が、幾筋か濡れて額にはりついている。
 男が持つ白木の杖からは死の匂いがした。しかし、不思議と恐怖は感じなかった。彼から伝わってくるのは、とぼけたような余裕だった。
少女は突如理解した。この人は、夜が明けるまで死神とダンスを踊れる人なのだと。とても、強い人なのだと。

彼は言った。
お初にお目にかかる、レディー。
お前さん、「孤独な魂」だな?
だから
今日からお前さんは、俺の家族だ

思いがけず
少女の口をついて、言葉が出た。
じゃあ、
じゃあ私の、父様になってくれますか

ああ、勿論。
低音の、ちょっととぼけた声はそう断言した。

 少女はうつむいたまま半歩進み出て、男がさしだした手をとった。男は全身でにっこりと笑うと少女を軽々と肩に担ぎ上げた。
なぜか涙がこみ上げてきて、肩の上で少女は空を見上げた。
 雨はもうあがっていた。

 そして彼女は、この回想を常に後悔で終わるのだ。なぜ、あの時、自分はジョニーにありがとうをいえなかったんだろう。
ジョニーがボクのことを好きになってくれないのは、きっとあの時、ボクがちゃんとありがとうっていえなかったからなんだ。
 彼女は、その一言が言えなかった理由も理解している。だから二度と後悔しないように、思ったことは必ず言うことにしている。
自分の気持ちを隠さないことにしている。これ以上、ジョニーに嫌われたくないから。






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あとがき/ (この小説の作者は麻宮ではなく、もう一人の管理人・犬です。以下作者からのコメント)
ジョニーとメイの赤い糸は素直なようでもつれています。なんで?というところを、まあ、考えてみました。
一応、GG(初代)の攻略本に載っている「皐月」をベースにして。(ジョニーは帽子かぶってないけどね)
幸せになれるといなぁ、この2人。
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 「さよならだよ、ジョニー」

明瞭に発音されたそれを、俺は理解できない。
いつもと同じ顔、いつもと同じ声。なのにおまえは別人だ。

 「僕はね」
やめろ。
 「本当は」
そんな顔で笑うな。
 「強くなんか」
おまえにそんな日は来ない。


 「僕はね、本当は、強くなんか、」









……こんなに寝汗をかいちまって、格好悪いねえ、全く。









珍しく重い足取りで船長室から出てくるその姿を、少女はすぐに見とがめた。
全速力で駆け寄り、大きく踏み切って全体重をかけて背中に飛びつく。それを横目で見ながらエイプリルは溜息をつく。
メイ、それじゃまるで獲物に襲いかかる猫だよ。

「ジョニーってばジョニーってばジョニー!どうしたの?どこか気分でも悪いの?!」
「……本当にそう思うなら、遠慮ってヤツをしてくれちゃどうだ」
背中に少女を乗せて甲板に突っ伏した男は、顔を上げてようやくそう言った。

「なに、ちょっと夢見が悪かっただけさ」
「悪い夢?」
ジョニーが身を起こすのを手伝いながら、小首を傾げてメイが聞く。
「どんな夢?」
「別にいいだろ、そんな事」
「やだ、教えて」
「悪い夢の話なんざ、つまんないぜ?」
「教えて教えて教えて!ジョニーのことはなんでも知りたいの!」
「じゃあ当ててみな?」
逆に問いかけられて、メイは考えこむ。
だがそれはほんの数秒で、少女はきっ、と顔を上げて長身の男を睨んだ。
「どうせ、女の人に振られる夢でしょ」
恨めしげに、いじけたように言う。
「ジョニーが言う、悪い夢っていうのは、絶対そういうことだ」

「……当たり」
風にでも言い聞かせるように、少女と視線を合わせず、男は言った。
「極上の、いい女に、振られっちまう夢だ」

メイは抗議の声を上げようとしたが、相手のどこか重苦しい笑顔に、戸惑って口ごもる。
つい、とりなすような言葉が代わりに出る。
「……でも、ジョニーのほうが振られちゃうなんてありえないよね。逆はあってもさ。
あ、だからって誰かのこと口説いたりしちゃ駄目。それは駄目。
とにかくどっちにしてもね、」
小さい身体で胸を張る。何者かに宣戦布告するように。
「絶対に、そんな日は来ないよ」

サングラスを外し、空を仰ぐ。
鮮烈な白さを誇る雲が、視界でぼやける。心地良い痛みにただ身を任せる。
まったくいい天気だ。今日もいい天気だ。


……彼方はこの眼に映らずとも空はなお美しい。
運命も、また。






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あとがき/
『青空』でメイじゃなかったら嘘だろう、と思ったんですがむしろジョニーの話に。
ジョニーもまあちょっと勝手です。気持ちに応えてあげないくせに居なくならないで欲しいなんてね。
実は私は、メイはあんがい船を降りるかもとか思ってますが、たとえ降りても最終的には帰ってきて幸せになってほしい。
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起床一番で少し妄想の世界に入りかけるメイ………それを現実へと戻す一言

「おはよう」

メイは驚いた、感覚が現実へ戻る………目の前のイノから掛けられた一言だった。
「あっ!……おはようございます……じゃなくて……なんでイノさんが
ボクのベットで寝て…………っん!?」
メイの口から質問が全て発せられる前に、イノはその唇を塞いだ……自身の
唇で。今までしたイノとのどのキスよりも優しい気がした。

どの位唇を重ねていたのだろう…………二人の唇がゆっくりと離れる……
先に言葉を発したのはイノだった。
「…………ごめんなさい」
「えっ?」
分からないことだらけだった。何故イノが自分のベットにいるのか?何故キス
をしてくれたのか?何故自分に対し謝るのか……浮気をしたのは自分なのに

「……全部聞いたから、あの子から……………」

メイは悟った、ディズィーなのだと。



「ディズィー…………なの?」
イノはメイからの質問にうなずいた………。
「………ホントにごめんなさい……あたしのせいで…………………」
居たたまれなくなり涙を浮かべる。
「………そんな!浮気したのはボクですよ!?……イノさんは……イノさんは
悪くなんか無いです!」

互いが互いを想いあう……互いが悪いのは自分だと言い、責任を全て被ろうと
する。…………沈黙が続く。先に口を開いたのはイノだったか

「………あたしは……あたしはメイのことがまだ好き!…………だから……」
最後の方は言葉にならなかった。
結果は分かっていた、相手が好きなのはイノだけではない……

「………嬉しい」

そう言うとメイはイノに思い切り抱きついた………………



「あたし、メイとエッチがしたい」
「え?」
メイはイノの突然の発言に驚く………そんな彼女を気にせず

「………だって…だって……ズルイよ!あの子だけ…………
あたしだって………ずっとしたかったんだよ………エッチ」

当然の意見かもしれない。イノ本人からすれば、恋人を『寝取られた』わけで
ある。寝取った相手として、恋人の自分とは出来ない。という法はない
…………だが

「えっ!?…………ま・待って……今から?」

いきなり告白されたメイ本人にとっては『はい、やりましょう』という問題では
済まない。それなりに心の準備、というものがある…………
「ちょ・ちょっと待って………そんな……いきなり言われても」
急に求められて狼狽する。

「…………やっぱりあの子の方がいいんだ………あたしみたいな年増じゃ
嫌なんだ………」



そう言い放つと、イノは泣き出してしまった。当然メイだってイノが好きだ、
エッチだってしたい、だがいつ誰かが起こしに来るか分からない状況に加え、
準備も何も出来ていない……それがメイの決心を鈍らせた。

「イ・イノさん、泣かないで…………だってそんな急に言われても……」

必死に弁解するメイだがイノが泣き止む気配は無い。
「………どうせ、あたしの事なんて嫌いなんだ…………グス」
メイも流石に動揺した。今まで見てきたイノの中に、このように『弱々しく
泣きじゃくるイノ』はいなかったから……
だが動揺と同時に『自分のことをここまで想ってくれていたんだ』という
気持ちも生まれた。

そして、その想いが上まった時、メイは意を決した。

「!?……………ん!?………んぅ………う……ん」
メイは泣きじゃくるイノをベットに押し倒すと、その唇を奪った。
あまりに急な事態にイノが驚く…………二人の唇が離れたのは、イノの目から
溢れた涙が渇ききってからだった。 



「ボク……イノさんの事好きですよ……だから、泣かないで」
唇同士が離れてから、第一声を放ったのはメイだった。
イノの目が潤む、嬉しさとこれから始まることへの期待から………イノは
メイにねだった
「メイ、もう一回………して?」

そのセリフを合図に、メイはイノの唇に今一度キスをし、それと同時にイノの
服を脱がし始めた。………本人の協力もあり、イノは一糸まとわぬ姿にされた。
「綺麗…………」
メイがポツリと洩らす……純粋な想いだった。透き通るほどの白い肌、均整の
とれたプロポーション、全てが愛しく思えた。
「ボクだけ服着てたらズルイね………」

イノの妖艶さに、あてられたのかメイも服を脱ぎ始める…………自分とはまるで
正反対の体型の相手に、イノは激しく欲情を揺さぶられた。
『今すぐにでも押し倒したい』という感情が湧き上がり、行動に移そうとする……が
イノは自分の体が動かせなくなっている事に気が付いた。

そしてイノは恋人から発せられた次の言葉に耳を疑った………
「イノさんは動いちゃダメ………ぜーんぶ、ボクがしてア・ゲ・ル」



自分が主導権を握ろうと考えていたイノは焦った。まさかこの様な形になって
しまうとは思いもよらなかったから。
「ちょ・ちょっとまって!メイ……これじゃ、あたし動けないわ!」
「ふふ………だって動けないようにしてるんだもん」
メイは無邪気な笑顔でイノへ応えた……それは『決して体の戒めを解かない』
という事の表れでもあった。

「イノさんの肌って気持ちいい………」
イノが動けない事を良いことに、メイはイノの肌の感触を愉しむ……二の腕・
二の足・首筋………と次第に性感帯へと手を伸ばす。
「ひぁ!………お願い、動かさせて……」
愛撫……というには程遠いものだが、メイの手は確実にイノの性欲を高めていく。
またイノ自身もこのままでは、そう長くは持たないと思ったのか、必死に体を
動かし快感を散らそうとする………がそれもままならない。

「気持ちいい?イノさん?」
イノの息遣いは荒く、目も潤み始めている。この顔を見れば聞かずとも分かりそうな
モノだが、メイは意地悪半分で尋ねる
「…………………………………」
だが自分より遥かに年下の女の子に押し倒されている、イノにとってこれ以上
恥辱の上塗りをすることは、プライドが許さなかった………沈黙でメイの質問
に応える。



「…………気持ちよく無いのかなぁ?……じゃ、これは?」
「んん!……メイ……そんなことしちゃ……駄目ぇ…」
沈黙という反応がつまらなかったのか、メイはイノの胸を揉み始めた。
「柔らかぁい………それにいいなぁ、こんなに胸あって…………ねぇ
イノさん……気持ちいいの?それとも良くないの?……ちゃんと教・え・て」
「う……ん…そんな無理やり、されても………気持ち良いわけないわ……ひゃぁ!」

イノの返事を待たず、メイは胸を揉む力を強め、さらに乳首に舌を這わせ始めた。
「嘘ばっかり……じゃあどうしてイノさんの乳首、こんなになっちゃってるの?」
メイはイノの嗜虐心を煽るため、わざと意地悪な質問を投げかける。
そしてイノはそのメイの期待に応える様に、喘ぎ声を洩らす…………

『自分より年上の同姓を陵辱する』
背徳の感情にほだされるメイもイノ同様、性欲が刺激される………が
メイはイノの愛撫へは細心の注意を払った。乳首への愛撫を続けながらも
決して歯は立てなかった。………メイにとって陵辱は、愛情の一手段でしか
ありえなかった。またイノもそれを理解していたのか本気で抵抗することは
無かった。
「………メイ……意地悪しちゃ嫌……分かっているくせに…………」
イノは欲情を顔に表し、自分よりも遥かに年下のメイに懇願した。



「ふふ……わがままなんだからぁ……」
恋人の痴態に満足したのか、メイは愛撫の手を胸から下の方へと移す。
割目に沿って指を上下させる。
「イノさんの、もうくちゅくちゅだね?」
「はぁ……んぅ!………そ…んなこと………ないよぉ……」
そうは言うものの、イノの割目からは一層の愛液が溢れ出す。念願の『メイとの
性交』はイノの快楽を倍増させ、その快楽が愛液をより一層紡ぎ出す。

「………ね…ぇ…メイ、もう少しゆっくりしてぇ……じゃないと……あたし」
割目への愛撫は始まったばかりだというのに、イノは切羽詰った声でメイに
懇願する。
「え?………なーに?……どーなっちゃうのかなぁ?」
「ぁ……ん……意地悪しないでぇ……ゆっくり……んぅ!」
イノの意図を知りながらもメイは指の動きを緩めることはせず、一層早くイノの
割目を擦りたてる。
「ねぇ………どこがどうなっちゃうの?……ちゃあんとボクに教えて?」
「そんなの………言え……ない……よぉ……」

イノは完全にメイのおもちゃ状態だった、絶頂を年下の少女に弄ばれながらも
イノの割目からはそれを喜ぶように、一層の愛液が溢れ出した。



メイはこの時ばかりはディズィーに感謝した。彼女との関係は確実にメイの
テクニックを上昇させていた………イノを虜にするほどに。
「ふふふ……イノさんの下のお口ひくひくしてる…………ねぇこのままだと
どうなっちゃうの?………教えてくれないとボク分からないよ」

このままだと、どうにかなってしまいそうだった。恋人から与えられる快楽
はより強さを増す。…………イノは懇願した、年下の恋人に
「ぅ……ん!……メイにエッチなお口を……弄られて……んん!……もう…
イっちゃいそう……で……す……だから……お願……い……」

メイはイノの切羽詰った声と、割目の触感で、イノの限界が近いと察した。
「止めて………欲しい?」
「……お…願い……もう…駄目ぇ……」
「じゃあ、止めてあげるね」
イノがそう言うと、メイはイノの割目から指を離した。メイはイノの愛液で
ベトベトになった指に舌を伸ばす。

「ん……美味し………」
恋人の愛液を堪能するメイとは対照的に、イノは快感に身を震わせメイから
与えられる次の快楽に、胸を高鳴らせていた。



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