手をつなごう。
口づけを交わそう。
互いに腕を伸ばし、飽きることなく抱き合おう。
僕がさらけ出すことも出来ずにいる傷を、君は知っている。
知っているのに、決して触れようとはしない。
けれど、僕には分かる。
これから先も君は無理に傷を癒そうとはしないだろう。
そうすることで更に傷が深くなることを知っているから。
だから君は、これ以上傷が広がらないように、優しく穏やかに僕を包むだけ。
消えない傷がある……と言うことを、言葉ではない直感で気付いている。
その無惨な傷を隠していることまでも含めて、僕の全てを愛してくれている。
僕だって分かっている。
いつまでもこの暖かさに酔うわけにはいかないことぐらい。
今までにしてきたこと。
これからやらなければいけないこと。
決して忘れる訳にはいかない。
でも。
この一時だけは。
君を僕の腕の中に感じていたい。
君の胸に額を預けさせて欲しい。
誰にと言うわけではないけれど、誰かにそう許しを乞うてしまう僕がいる。
黄砂の吹き荒れる窓の外に目をやれば、そこに古ぼけた黄金の月がかすかに光る。
そしてふと僕は我に返る。
今、あそこに見える月は紛い物だ。
あれは美しい黄金に輝く月などではない。
荒れ狂う黄色い砂の紗幕が、不吉な伝説の穿たれた赤い月の色を変えているだけだ。
許されるはずがない。永遠に。
でも祈らずにはいられない。たとえ聞き届けられなくとも。
どうか一瞬でも長く。
この穏やかな空気に包まれていられるように。
僕が二度と純粋を手に入れられなくても。
口づけを交わそう。
互いに腕を伸ばし、飽きることなく抱き合おう。
僕がさらけ出すことも出来ずにいる傷を、君は知っている。
知っているのに、決して触れようとはしない。
けれど、僕には分かる。
これから先も君は無理に傷を癒そうとはしないだろう。
そうすることで更に傷が深くなることを知っているから。
だから君は、これ以上傷が広がらないように、優しく穏やかに僕を包むだけ。
消えない傷がある……と言うことを、言葉ではない直感で気付いている。
その無惨な傷を隠していることまでも含めて、僕の全てを愛してくれている。
僕だって分かっている。
いつまでもこの暖かさに酔うわけにはいかないことぐらい。
今までにしてきたこと。
これからやらなければいけないこと。
決して忘れる訳にはいかない。
でも。
この一時だけは。
君を僕の腕の中に感じていたい。
君の胸に額を預けさせて欲しい。
誰にと言うわけではないけれど、誰かにそう許しを乞うてしまう僕がいる。
黄砂の吹き荒れる窓の外に目をやれば、そこに古ぼけた黄金の月がかすかに光る。
そしてふと僕は我に返る。
今、あそこに見える月は紛い物だ。
あれは美しい黄金に輝く月などではない。
荒れ狂う黄色い砂の紗幕が、不吉な伝説の穿たれた赤い月の色を変えているだけだ。
許されるはずがない。永遠に。
でも祈らずにはいられない。たとえ聞き届けられなくとも。
どうか一瞬でも長く。
この穏やかな空気に包まれていられるように。
僕が二度と純粋を手に入れられなくても。
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