ベルギーへ寄ったついで、いや、わざわざ寄って買い求めたチョコレートを樊瑞は少女へ渡す。
「嬉しい!おじ様、ありがとうございますっ」
ぱっと花が咲くようにサニーが笑う。
ぎゅっと腕に抱きつかれ、樊瑞は頬を緩めた。
かわいいものはかわいい。
むにっ、と腕に触れる柔らかい感触に首をかしげる間もなく、首に抱きつかれ頬へキスされる。
「こらこら、サニー」
苦笑して少女を見ると、ぺろりと小さく舌を出して「すみません」と笑う。
その背へ触れ、樊瑞はようやく首をかしげた。
何かが足りない。
何だ?としばし自問し、凍りつく。
後日、電撃のローザが緊急召集され、とある極秘作戦を任されたという。
-------------
「おい怒鬼、どうした?」
小皿に3個、盛られたチョコレートのひとつを口にした怒鬼が固まった。
そのまま冷や汗をかきはじめたのを目にし、レッドはサニーを振り返る。
「おいサニー・ザ・マジシャン!おまえ毒でも塗ったのか?」
「ひどいわ!取り分けたのはお兄様ですのよ?」
「―――わしは怒鬼が甘いものを食べているのを見た事がないが…」
食えるのか?と紅茶をすすりながらのんきに問う樊瑞に向かって、怒鬼はぶるぶると首を横に振った。
「なんだ怒鬼、チョコレートが甘いとは知らなかったのか?羊羹だって茶色いだろうが」
案外まぬけだなあ、とレッドがからから笑う。
「怒鬼のお兄様、ご無理なさることはありませんわ」
心配げな顔でサニーは紙ナプキンを差し出す。
それを一瞥し、怒鬼はすっくと立ち上がった。
「お?」
隣に座るレッドが思わず見上げると、その顔を両手でがしりとつかまえる。
殺気がないので思わず逃げそびれ、レッドは顔をしかめた。
「何だ?」
冷や汗をかいたまま無言で怒鬼はくわっと隻眼を見開いた。
サニーは思わず両手で口をおおった。
ぽろり、と樊瑞の手から小さなチョコレートが落ちた。
怒鬼の唇がレッドのそれに重ねられ、おおっている。
くちゅ、とひそやかに水音がした。
ようやく樊瑞は我に返り、サニーを振り返る。
「さ、サニー!見てはいかん!!」
「…え?あの、どうしてですの?」
かすかに頬を染めたサニーが不思議そうに見たが、樊瑞はかまわず少女を抱き寄せ目をふさいだ。
「どうしてでもだっ!!」
やけくそ気味に言う樊瑞の目の前では、離れようとした怒鬼を今度はレッドがつかまえ、くちづけている。
先にくちづけたはずの怒鬼はといえばどことなく焦っているようだ。
不満げなレッドを何とか引き剥がしようやくソファへ座りなおすと、怒鬼は紅茶をぐいっと飲み干した。
「…貴様ら、サニーの前でどういうつもりだ!」
精神的ダメージをこうむった樊瑞が不機嫌に言い放つと、レッドがけろりとした顔で口を開けてみせた。
そこには小さく丸くなったチョコレートのかけら。
「ま、まさか…」
「そのまさかだ!」
「あら、レッドのお兄様に差し上げたんですのね」
樊瑞は呆れ顔で絶句し、得意げにふんぞり返るレッドにサニーはころころと笑った。
「こいつは妙に貧乏性だからな!」
「…」
チョコレートが2つ残った小皿を無言のままレッドへ押しやり、怒鬼は真剣な顔で空になったティーカップをサニーへ差し出した。
「嬉しい!おじ様、ありがとうございますっ」
ぱっと花が咲くようにサニーが笑う。
ぎゅっと腕に抱きつかれ、樊瑞は頬を緩めた。
かわいいものはかわいい。
むにっ、と腕に触れる柔らかい感触に首をかしげる間もなく、首に抱きつかれ頬へキスされる。
「こらこら、サニー」
苦笑して少女を見ると、ぺろりと小さく舌を出して「すみません」と笑う。
その背へ触れ、樊瑞はようやく首をかしげた。
何かが足りない。
何だ?としばし自問し、凍りつく。
後日、電撃のローザが緊急召集され、とある極秘作戦を任されたという。
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「おい怒鬼、どうした?」
小皿に3個、盛られたチョコレートのひとつを口にした怒鬼が固まった。
そのまま冷や汗をかきはじめたのを目にし、レッドはサニーを振り返る。
「おいサニー・ザ・マジシャン!おまえ毒でも塗ったのか?」
「ひどいわ!取り分けたのはお兄様ですのよ?」
「―――わしは怒鬼が甘いものを食べているのを見た事がないが…」
食えるのか?と紅茶をすすりながらのんきに問う樊瑞に向かって、怒鬼はぶるぶると首を横に振った。
「なんだ怒鬼、チョコレートが甘いとは知らなかったのか?羊羹だって茶色いだろうが」
案外まぬけだなあ、とレッドがからから笑う。
「怒鬼のお兄様、ご無理なさることはありませんわ」
心配げな顔でサニーは紙ナプキンを差し出す。
それを一瞥し、怒鬼はすっくと立ち上がった。
「お?」
隣に座るレッドが思わず見上げると、その顔を両手でがしりとつかまえる。
殺気がないので思わず逃げそびれ、レッドは顔をしかめた。
「何だ?」
冷や汗をかいたまま無言で怒鬼はくわっと隻眼を見開いた。
サニーは思わず両手で口をおおった。
ぽろり、と樊瑞の手から小さなチョコレートが落ちた。
怒鬼の唇がレッドのそれに重ねられ、おおっている。
くちゅ、とひそやかに水音がした。
ようやく樊瑞は我に返り、サニーを振り返る。
「さ、サニー!見てはいかん!!」
「…え?あの、どうしてですの?」
かすかに頬を染めたサニーが不思議そうに見たが、樊瑞はかまわず少女を抱き寄せ目をふさいだ。
「どうしてでもだっ!!」
やけくそ気味に言う樊瑞の目の前では、離れようとした怒鬼を今度はレッドがつかまえ、くちづけている。
先にくちづけたはずの怒鬼はといえばどことなく焦っているようだ。
不満げなレッドを何とか引き剥がしようやくソファへ座りなおすと、怒鬼は紅茶をぐいっと飲み干した。
「…貴様ら、サニーの前でどういうつもりだ!」
精神的ダメージをこうむった樊瑞が不機嫌に言い放つと、レッドがけろりとした顔で口を開けてみせた。
そこには小さく丸くなったチョコレートのかけら。
「ま、まさか…」
「そのまさかだ!」
「あら、レッドのお兄様に差し上げたんですのね」
樊瑞は呆れ顔で絶句し、得意げにふんぞり返るレッドにサニーはころころと笑った。
「こいつは妙に貧乏性だからな!」
「…」
チョコレートが2つ残った小皿を無言のままレッドへ押しやり、怒鬼は真剣な顔で空になったティーカップをサニーへ差し出した。
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