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10月31日。

キリスト教が出回ってる地域ではハロウィンの日。

しかし英国国教騎士団にそんな年中行事に浮かれる輩などおらず。

人間が扮する怪物が闊歩する夜、正真正銘の怪物はヘルシング邸でいつものように夜を過ごしていた。


こんこん。


「はい?」

自室の扉がノックされる音で、セラスは手入れしていたハルコンネンから顔を上げた。

「嬢ちゃん、オレでーす♪」

「隊長サン? どうしたんですかー?」

がちゃ。

「ハッピー・ハロウィーン!! Trick or Treat!?」

と、陽気な声とスマイルのベルナドット隊長の頭には、お馴染みのパンプキンヘッドがすっぽりと被
さっていた。

ぱたん。

前言撤回。
年中行事に浮かれる輩はどこにでも存在した。

「ああッ!! 嬢ちゃん冷たいっ!!!」

「何やってんですかアナタは!? イイ歳してっ!!」

「(イイ歳!?Σ( ̄□ ̄;))何って、今日はハロウィンだぜ♪
 オレ様のココロはいつでもヤングボーイ♪♪」

「‥‥‥‥‥‥‥‥(溜め息)」

「じょーちゃ~ん、Trick or Treat~~~~~(T-T)」

「お菓子なんてあるわけないでしょう!?」

思わず閉じた扉を開けば、待ってました的なベルナドットの笑み。

「お菓子じゃなくっても、嬢ちゃんは甘いもの持ってるでショ?」

「はい?」

つん、とベルナドットの指先がセラスの唇をつつく。

「蜂蜜よりあま~い、嬢ちゃんのスウィート・キッスをプリ~ズ~~‥‥ごァッ!!」

 ずびしぃっっ!!

対ベルナドット用標準武器・デコピン、炸裂☆(しかも指2本使用)

あえなくベルナドットは吹っ飛び、被っていたパンプキンヘッドはデコピンの衝撃で砕け散った。

しくしくしく。

「泣かないでくださいっ!!」

「だってよ~~~~、嬢ちゃんが楽しくなるようにと思って、せっかくよ~~~~~(涙)」

「あ‥‥‥‥」

石畳とお友達になりながら吐き出されたベルナドットの言葉に、セラスはしばし考える。

結局、なんだかんだいっても心配してくれているのだ、この人は。

悪気があってのことではないし、行為が多少(?)セクハラになってしまうのは‥‥‥まあ、今日
くらいは大目に見てあげてもいいかもしれない。

セラスの怒気が鎮まってゆくのを、突っ伏した背中で感じ取り(ここらへん腐っても傭兵である)、
ベルナドットはニヤリ☆と笑みを浮かべた。無論セラスには見えていない。

「なら、嬢ちゃん、妥協案~。」

「なんデスカ?」

「クチビルは諦めるから、代わりにこっちくれ~VV」

そう言うなり、ベルナドットはがばりと起き上がり、

 モふ♪

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥VVVVVV」

微妙なギ音の後、流れる沈黙。ただし片方はハートマークの乱舞付き。

「‥‥‥‥‥タイチョーサン?」

「んん?VVVV」

「コレが一体何だと??」

「何ってV 嬢ちゃんだけが持ってる最高級のマシュマロVVV
 いやー、このナイスな大きさとマーベラスな感触がぜっぴ‥‥‥ごべしっ!!!」

 ごばきゃっ。

セラスの拳がうなり、見事な左アッパーが決まった。

キラキラと血と何かをまき散らしつつ、ベルナドットは廊下の宙を舞った。

「ナ、ナイスアッパ‥‥‥ごフっ(吐血)」

親指を立てて、ベルナドットは石畳に沈む。

「隊長サンにちょっとでも気を許したワタシがバカでした‥‥‥‥!!!!」

顔を埋められた胸を押さえつつ、怒りでセラスはブルブルと震えている。

そのまま部屋に入り、後ろ手にがちゃん!と鍵をかけた。

(あううううう、何でこんな目に~~~~~~~~(T-T)

 隊長さんのバカバカバカセクハラエロ男~~~~~~~~!!!!!!!

 しばらく口きいてやんない~~~~~~!!!!!!!!)

もはやハルコンネンの手入れの続きをする気にもなれず、セラスは部屋に備え付けのベッドに倒れ
込んだ。

「いい夜だ」

「!?」

唐突に聞こえた声に、がばりとセラスは起き上がる。

月光が溢れるテラスに人影。鍵をかけたはずの大きな窓が、開いていた。

「マスター」

ベッドを降り、とてとて、と長身の影へと近づく。

「今夜の街は怪物(フリークス)で溢れ帰る。『本物』が混じっていても気づかれないだろう。
 行ってみるか?」

「『ドラキュラ』と『ドラキュリーナ』で、ですか?」

思わず、くすりと笑うと、ふっと目の前が陰った。

「?」

顔をあげると、満月を背に従えて、アーカードが覗き込んでいた。

「‥‥‥マスター?」

「Trick or Treat ?」

「はい?」

間の抜けた声を出して、セラスはまじまじと目の前の吸血鬼を見つめた。

ややあってから、彼女の表情が憮然としたものに変わる。

「も~、マスターまで‥‥‥‥。ふざけないでくださいよ~」

「冗談で言ったつもりはないが?」

「っ!?」

く、と腰と後頭部に力を感じたと思ったら、セラスの体が少し浮き、アーカードの顔が接近する。

「ええええ、あの、ちょっと、マスター~~~~~!?!?(//◎o◎//)」

「”お菓子をくれなきゃイタズラするぞ”だろう?」

「あ、えと、あの‥‥‥‥‥‥ぅ~~~‥‥‥」

頬が熱くなるのが自分でもわかる。

そんなセラスをアーカードは面白そうに見つめて、彼女の次の行動を待っている。

「ま、マスター‥‥‥‥‥」

「ン?」

「~~~~~~~‥‥‥‥(/////)」

顔中を真っ赤に染めて、瞳まで潤ませたセラスがアーカードの横髪をひっぱる。

浮かべた笑みを深くして、吸血鬼はされるがままに背をかがめ、重ねられる唇を受け止めた。

「‥‥‥‥‥‥ッ、ン? ん、んん~~~~~~っ!!」

触れるだけのキスをしてすぐに離れようと思っていたセラスの唇は、しかし、その通りにはできな
かった。

腰と後頭部に添えられた手に力が込もり、キスが深くなる。

「ん‥‥‥‥‥‥! っ、ふ‥‥‥‥‥‥」

するり、と滑らかにアーカードの舌がセラスの唇に忍び込んだ。

ざらりとした感触の舌に自分のそれをなぞられ、口内を蹂躙されて、ぞくぞくとしたものがセラスの
背を走り抜ける。

「は、ぁ‥‥‥‥‥」

たっぷりと貪られて、解放された時にはほとんど足に力が入らず、セラスはアーカードの服にしがみ
つき、半ばもたれかかるようにして体を支えていた。

「確かに‥‥コレはどんな砂糖菓子より甘い‥‥‥」

笑みを多分に含んだ声に、反論しようとすれば、月光に縁取られた相手の微笑があまりに魅力的で、
言葉は喉の奥で立ち消えた。

「さて‥‥ではもらった”お菓子”は残さず食べなければ、な」

「!! え、えぇえええ、あの、ちょっと、マス‥‥‥!!」

アーカードに見とれていた意識が復活したのもつかの間、セラスのあわてふためく声は、吸血鬼から
仕掛けられたキスと、ばさりと広がった深紅のコートに飲み込まれた。


手にしたこの世で最高の”お菓子”を、アーカードがどんな風においしく平らげたのか。



それは、二人だけの秘密。




(マスターのばかぁぁ~~~~~~~~~~~(赤面+涙))(by セラス)



ENDVV























‥‥‥‥‥‥‥‥‥余談だが、この日から3日間ほど、ベルナドットの姿はヘルシング邸の何処を探
しても見あたらなかった。

数日後戻って来た彼は、その間どうしていたのか、誰に聞かれても決して口を割らなかったという。

合掌。
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