ふと、メイは考えていた。
ボクはジョニーに拾われてメイとして生きてきたけど、本当はボクは何者なんだろうか。
ジョニーやエイプリル以外の人間と共に生きていたことなど、今となっては考えようにもありえないことで、メイの思考はそこで停止した。
..............幸せの法則
ボクはどこから来たんだろう?
ジェリーフィッシュ快賊団として、ジョニーは迎え入れてはくれたけれども。
けれども。
「ジョニー」
メイは少しの勇気を奮い立たせて、自分を救ってくれた神様のような彼の名を呼ぶ。
「どうしたぃ、メイ」
ジョニーはカウボーイハットを大きな手で少し浮かせて、メイを見やる。
その目はとても温かくて、今まで考えていた自己犠牲のようなマイナス思考が、少し、いや、かなり馬鹿らしくなる。
「そんなに暗い顔してっと、足元の幸せも逃げちまうぜ? それに……」
快活だけどなんだか深みのある声がメイの心に刺さっていく。
ジョニーは振り返り、後ろ姿を見せながらこう続けた。
「メイには、笑っていてほしいねぇ」
ジョニーはそう言って、振り返りもせずにメイから離れていく。
笑っていて、ほしい。
口の中で繰り返してみた。
そしてその言葉の意味を解いてみる。
ボクが何者でも、どこから来たんでも、どうでもいいじゃないか。
今はジェリーフィッシュ快賊団の一員で、みんなと一緒に笑っていける。
「ありがとう」
絶対絶対聞こえないように、少し顔を赤らめて彼女はいろんなすべてに例を言う。
ここにいる。
ボクは幸せだ。
その真実だけで、メイには十分すぎるほどの幸せだった。
END
PR