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女の子が好きになるのは父親に似たひとらしいと聞いたのは幼い頃。母上の寝物語だった。

「ガラシャの好きになる人はどんな人かしら」

幼い、けれど自由に結婚できる身ではないと理解しているくらいには成長した少女に、それでも恋愛はしてほしいと思っていたのだろうか。尋ねられた問いの答えは決まっていた。

「父上みたいなひとなのじゃ」
「あなたの父上はどんな人?」
「やさしくて、たまにきびしいけど頭を撫でてくれて、母上一人を大事にするひと」
「まあ…言ったらあの人は泣くかしら」
「どうしてじゃ?」
「嬉しくて」
「じゃあ明日手紙に書いてみようかのう」
「待ちなさいガラシャ、やっぱり悲しくてお泣きになるかも」
「…どうしてじゃ?」
「あなたがお嫁に行く日を想像して」


女の子が好きになるのは父親に似たひとらしいと聞いたのは、そんな幼い頃。事実、その頃からガラシャの理想は大好きな父上だった。
なのにおかしいのう、と前を行く男を眺める。町娘に声をかけていた男は視線を感じたのか振り返った。

「どうしたお嬢ちゃん」
「…孫は、結婚しても浮気しそうじゃな」

孫市は大袈裟なまでに笑みを浮かべて首を振る。

「そんなことないぜ、確かに世の女性は俺のもんだが、奥さんは大事にするさ」

それがまことなら、その大事にされる人がわらわならいいのにと、ガラシャは思った。
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