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「おはよーございますっ、先輩!」
「ふぁ・・・おはようございますですわ、ミリィ。朝から元気がいいですわね」
メリルはあくびをかみ殺しながら彼女に朝の挨拶を返した。昨晩、遅くまで書類の整理をしていたせいである
ミリィはにっこりと笑って答えてきた。
「だって、今日はみんなでデートの日じゃないですか。わたし、楽しみで楽しみで、つい早く起きちゃったんですよー」
「ミリィ・・・デートではありませんわよ。あくまで、お仕事ですからね」
苦笑しながらも一応、釘はさしておく。同時に、さらりと『デート』という言葉を使える彼女を少しうらやましく思いながら。
今日は本部からの辞令で、たまたま立ち寄った街の老朽化した美術館の視察に行くことになっていたのだが――ミリィが突然、ヴァッシュとウルフウッドも連れていこうと言い出したのだ。
(だって、デートみたいじゃないですか)
理由を尋ねると、ミリィはあっさりとそう答えてきた。とりあえず二人にも聞いてみると、ヴァッシュもウルフウッドもすぐにOKしたのである。
「センパイッ、わたし、牧師さん起こしてきますね」
「あ、お願いしますわ」
一応館主との待ち合わせの時刻を決めてあるため、遅刻するわけにはいかない。メリルはすぐにヴァッシュの部屋へと向かった。メリルたちは相部屋だが、ヴァッシュとウルフウッドはいつも別の部屋を使っている。今回はたまたま部屋が空いていなかったため、ヴァッシュの部屋だけが少し離れたところにあった。
「ヴァッシュさん?  入りますわよ?」
ノックをしても返事は無く、少し待ってからメリルは扉を開けた。昔なら、こうも簡単に彼の部屋に入ることなど出来なかったはずだが。
案の定――というか経験上予想はしていたが――部屋に残っている酒の匂いにメリルは顔をしかめた。ベッドの脇にはいくつかの酒瓶も転がっており、当の本人――ヴァッシュ・ザ・スタンピードは私服のままで高いびきをかいている。
(また、ウルフウッドさんと飲んでいたのですわね)
あきれてメリルはため息をついた。いつも思っていることだが――酔いつぶれるまで飲む必要は無いだろうに。
だが、いつまでもあきれている訳にもいかない。メリルはヴァッシュに近寄り、体を揺さぶりながら声をかけた。
「ヴァッシュさん、起きてくださいな。ヴァッシュさん!」
「ん・・・あと5分~」
情けないうめき声をあげてヴァッシュが逃げるように寝返りをうつ。なんとなくほほえましく思いながらも、メリルは追撃をかけた。
「ヴァッシュさん!  早く起きないと遅刻してしまうんですのよ!」
「頼むよ~・・・レム~」
寝言のようにつぶやかれたヴァッシュの台詞に、メリルはぴたりと動きを止めた。『レム』――前にヴァッシュ自身が話してくれた、彼の姉であり母であり、憧れの人(?)でもあった女性の名前。
知らず知らずのうちにほほが引きつるのを感じながら、メリルはヴァッシュの肩に乗せていた手を離し、ゆっくりと握り締め――そのまま、こめかみにねじ込んだ。
「起・き・て・く・だ・さ・い・な、ヴァッシュさん♪」
「あだだだだだだだだ!」
たまらず悲鳴を上げて、ヴァッシュが跳び起きる。
「何すんだよ、イタイじゃない・・・か・・・」
と、こちらの表情を見て、ぎくりと動きを止める。メリルはにっこりと微笑んで(ただしこめかみのあたりが痙攣しているのは自覚していた)ヴァッシュに告げた。
「おはようございますですわ、ヴァッシュさん」
「や、やあメリル・・・おはよう」
「レムさんじゃなくて悪かったですわね」
「ぐあ・・・」
と、ヴァッシュがよろめく。メリルはそのままくるりと振りむいて、扉へと向かった。
「食堂で待ってますから、着替えたら降りてきてくださいね。では」
「・・・待ってくれ」
「きゃあっ?」
そっけなく用件だけを告げて部屋を出ようとしたところで背後から抱きすくめられ、メリルは思わず悲鳴を上げた。いつの間にか、ヴァッシュがメリルのすぐ後ろに来ていたのだ。
「ななな、何をするんですの!  離して!」
「・・・ごめん、メリル。また君を傷つけてしまって」
つぶやく声。それだけで、メリルは自分の中の苛立ちが急速にしぼんでいくのを感じていた。同時に、レムに嫉妬していた自分への自己嫌悪の念すら浮かんでくる。
「・・・とにかく、離してくださいな。もう怒っていませんから」
「いや、言っておきたいことがあるんだ」
ヴァッシュは一旦言葉を切り――ささやくような声で続けてきた。
「僕は今まで長い時間を生きてきて、いろんな娘に出会ったけど・・・本気で好きになったのは、メリルだけだから」
「なっ・・・」
冷めかけた頭に先ほどとは違う意味で血が昇る。きっと自分の顔がどうしようもなく赤くなってしまっているのだろうと思いながらも、照れくささを隠すためにメリルはわざと強い口調で言い返した。
「ず、ずるいですわよ! そんな、口先だけで、甘い言葉で・・・そんなこと言われてしまったら、わたし・・・」
「じゃ」
と、振り向かされる。間近にせまった、ヴァッシュのいたずらっぽく、そして優しい微笑み。
「態度で示すよ」
「ちょっ・・・」
何か言い返す暇も無く、メリルの唇はヴァッシュのそれでふさがれていた。

「・・・どうしたのウルフウッド。鼻血?」
「やかましい。トンガリのその顔も嬢ちゃんにやられたんやろが」
まだ痛みの残る自分のほほを押さえながら苦笑したヴァッシュに、ウルフウッドは憮然とした面持ちで言い返してきた。
「牧師さん、大丈夫ですかー?」
「・・・調子に乗るからですわ」
と、メリルが照れたような怒っているような、複雑な表情でつぶやいている。そんな彼女もかわいらしくて、ヴァッシュは知らず微笑んでいた。
「なぁ、ウルフフッド。女の子ってさ・・・」
「難解なやっちゃで」
ウルフウッドがヴァッシュの後に続けてつぶやき――そして男たちは苦笑したのだった。



あとがきのようなもの
う~ん、ヴァッシュ動かすのって意外に難しいですね。
状況としては既にヴァ×メリ、ウル×ミリ共にカップルとして成立している状態の日常です。メリルがヴァッシュをさん付けで呼んでいるのは、まだ慣れてないから(笑) メリルとウルフは恋愛に関しては苦手な気がしています。で、ヴァッシュとミリィが相手を強引にリードする、と・・・あくまで個人的なイメージですけどね(^^)
レムに嫉妬するメリルが書きたかったんですけど、あんまりかわいくならなかったので、反省。さらにタイトルは「ある朝の恋人たち」を英語にしただけ。格好付けめ←自己ツッコミ
こんな思い付きの文章を掲載してくださったまのさんとぴゅーさんには大感謝。またなにか機会があれば、よろしくお願いしますね。

ま:……一体これは何事なのでしょう! サプライズもサプライズ、仕事で疲れて腹ぺこで帰ってきたならば(そしてまた出陣せねばならないのである……)、いきなり意識すらも吹っ飛ばしてくれた驚きが!(すでに日本語使用不能。)
ぴ:博キリ様ありがとうございます!! なんでウチなんかにこんな素晴らしいもの送って下さるのですかああああああああああ(爆)。私ら何もして差し上げてないのに!!?
ま:ああああああああああ本当だ! 前回も御礼のひとつもしてないよ! 遊びに行って素敵な小説に惚れ込んでも掲示板にカキコもしてないのに!(本当に博キリさんのファンか私!?)
ぴ:ありがたすぎて涙が出るお話ですね……(ほろほろ)。全国の博キリさんファンを敵に回すぞわたしら……(むしろ確定!?)
ま:……でもこれは私のだもん! 拗ねてるメリルのかわいさと来たらどうでしょう!? これは私のです今決めました!
ぴ:いいよもらっていきなよ止めないよ……そうすれば私は博キリさんファンの白眼に晒されずに済むというもの(をい)。
ま:たとえ闇討ちされよーとも離すもんですかああああああ!! 本当にありがとうございました!

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