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最強のセルバンテス






その日、BF団本部内でのセルバンテスの活躍は凄まじかった。

なんせ十傑を片っ端から千切っては投げの獅子奮迅の働き。




最初の被害者は幽鬼とカワラザキだった。

中庭を臨める大回廊の休憩所のソファに2人腰掛けていたら、そこに真っ白いクフィーヤを翻したセルバンテスが笑いながら現れて、しかもいきなり攻撃を仕掛けてきたのだ。
2人とも最初は鼻で笑うような攻撃を面白げに眺めていたがセルバンテスは尚も食い下がり自分たちに挑みかかってくる。執ような攻撃の前に2人はお互いに敗北を感じ取って胸に手を当てテーブルの上にうずくまった。

「うう・・・さすがは眩惑の、我等の負けだ」

うめくカワラザキを見てセルバンテスは勝利の笑みを浮かべる。
そして次の獲物を捜し求めた。


ヒィッツカラルドが執務室から出てきたのを見て真っ先に攻撃の矛先を向けた。ヒィッツカラルドは白眼を広げ、セルバンテスからのいきなりの強襲に驚きを隠せないようだった。しかし彼はすぐに両手を上げ『最強の指』を放り投げて眩惑の前に降参を願い出る。速やかに降参した方が得策だと彼なりに考えたらしい。

「参ったよ、適わない」

セルバンテスは寛大な心を見せ、笑うヒィッツカラルドの降参を受け入れた。


セルバンテスは再び胸を張り、十常寺の執務室のドアをノックした。攻撃を仕掛けるのにドアを蹴破る事無くわざわざノックというところから眩惑のセルバンテスの余裕が覗える。十常寺もやはり入ってきたセルバンテスの有無も言わさぬ攻撃に目を見開いた。しかし彼は鐘を手に取るとそれを鳴らし執務室にあるたくさんの古文書に命を吹き込み躍らせ眩惑の強襲に対抗した。セルバンテスも嬉々としてその古文書に手をかざし応戦する。

「汝が十傑の中の十傑なり」

十傑一の頭脳を誇る彼をしても万策尽きたのかデスクに突っ伏した。死闘の末ついにセルバンテスは勝利し先ほどまでの敵に微笑み返す。


新たな戦いを求めて中庭へ行く途中、怒鬼と血風連の集団に出くわした。彼は逃さぬとばかりにクフィーヤを広げるとゴーグルを目にかけ腰に手を当てる。自信に満ち溢れたその姿に血風連はどよめきたち、全員が身を構えた。しかしセルバンテスに両手をかざされた途端、手から見えない力を感じ取って全員がドミノのように倒れていった。怒鬼もまたその攻撃を目の当たりにして適わぬと悟ったのか小さく笑うと膝を折って彼の軍門に下った。
ゴーグルを取り、セルバンテスは笑いそれに満足した。


レッドが中庭の木の上で寝そべっていると、連戦連勝のセルバンテスが意気揚揚と下を通り過ぎようとしている。彼がそれを逃すわけはない。完膚なきまでに叩き潰す、そんな不敵な笑みを浮かべてセルバンテスの前に立ちはだかった。かつて無い強敵、セルバンテスもそう察したのか思わずあとずさる。しかし今までの十傑たちを倒してきたように思い切ってレッドに手をかざした。

「ふん」

レッドは鼻を鳴らして撤退した。セルバンテスの勝利だった。
最強の敵を退け一息ついて安堵する。



次に彼は自分の盟友を探した。この向う所敵なしの勇姿を彼に褒め称えて欲しかったからだ。しかし、残念ながら任務中らしく本部内にはいなかった。寂しげに誰もいないアルベルトの執務室を眺めていたが、諦めてドアを閉めた。そして樊瑞の執務室も襲ったがやはり任務中のためいなかった。混世魔王は彼にとっては好敵手となる相手だったのに・・・。



とぼとぼと本部内の大回廊を歩いているセルバンテスを見つけたのは残月だった。
彼はその姿に驚いたようだが目が合ったのが運のつき、早速セルバンテスから有無を言わせぬ攻撃を受けた。残月は思わずたじろぐ、広げたセルバンテスの手から今までに無い強力な力を感じるからだ。そして周囲に誰もいないのを確認して彼は胸に手を当てうめくように初めての敗北宣言をした。

「この私が敗れるとは、無念」

そしてニッコリ微笑む。セルバンテスもまたニッコリ微笑んだ。

「さて、眩惑の、少々お疲れかとお見受けする。どうかな私の部屋でゆるりとお茶でも、お主が好きなチョコが付いたクッキーくらいなら出せると思うが」


残月の申し出に最強のセルバンテスは赤い瞳を輝かせて頷いた。
幾多の十傑をなぎ倒してきたがチョコが付いたクッキーに負けたのだ。


「そして、次は私の覆面を被ってはいかがかな?」


残月はひきずられて裾が黒くなったクフィーヤごと小さなセルバンテスを抱え上げる。

赤い瞳を覗き込み小さな「最強の残月」を想像して笑った。






END







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