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Crying baby






樊瑞の目の前で幼いサニーは火が点いたように泣き叫んでいる。

泣き出して10分、一向に泣き止む気配が無い。
それどころかますます大きな声を上げて、顔を真っ赤に染めて泣き上げる。


こうなったらもうどうしていいのやら・・・わからない。

しかし原因は自分にある、サニーがやってはいけないことをやったから、おもわず手が出てしまったのだ。そう、ペシリと叩いてしまった。何ら後ろめたさの無い純粋なしつけではあるが彼はいまそれを猛烈に後悔していた。

「あああ・・・頼むから泣き止んでくれサニー」

困惑に頭が痛いのに高い泣き声でさらに頭が痛い。
樊瑞はこめかみに汗が流れキリキリとした痛みを感じる。

いっそ術で口を塞いでしまおうか、そんな思いが頭を過ぎり黄色い札を懐から取り出す。

いや、それだけはダメだ。

こういったことで術は使わない、サニーを預かった時に自分自身で決めたはずだ。
自分に言い聞かせて黄色い札を懐にしまい込む。

しかしそんな気持ちとは関係なくサニーはキンキンとした泣き声を上げる。

どうしたらいい、こういうときは、どうすればいいんだ。
おもちゃか?お菓子か?ぬいぐるみか?

くそ、アルベルトめとんでもないことを押し付けおった!!

預かった自分も自分だがいざこういう事体に直面すると預かったことを後悔してしまう。
頭を抱え、床に座り込んで泣き叫ぶサニーを前に困り果てる。


「ええい!!やかましい!!!」


切れたような怒鳴り声とともに樊瑞の執務室の扉が乱暴に開けられた。
預けた本人、実の親であるアルベルト。

「うるさいぞ樊瑞!さっさと黙らせろ!」

養育を放棄した親が逆切れしている、樊瑞はそう思う。

「アルベルト!よくもぬけぬけと・・・第一お主が一番悪いのではないか!無責任!我が子を放棄したこの人でなしめ!」

「なにいぃ!」

しかし大人たちの剣幕に煽られてかサニーの泣き声はさらに酷くなる。
窓ガラスがビリビリと震えるほどに。
そして2人のこめかみをキリキリと痛めつける。

「ううう・・・待てサニー、本当にわかったから泣き止んでくれ・・・」

「樊瑞、サニーを早く泣き止ませろ!何をやっとるんだ!」

「そう言われてもな!私にはどうしていいやらわからんのだ!」

「馬鹿か!こういう時は抱き上げてやればよかろうが!」


その言葉に我に返って樊瑞は足元のサニーを見る。
泣き叫ぶ声に耐えて抱き上げてやる。
しばらく泣き叫んでいたがそのうち静かになって自分の広い胸に顔をうずめ、泣き疲れたのかスヤスヤと眠ってしまった。

勝手な大人はさっきまでの預かったことに対する後悔はすでに忘れてしまった。
自分に身を預けて眠るサニーを見て幸せな気持ちになる。


?まてよ?
なぜアルベルトはこんなことを知っているのだ?


頭に疑問が浮かんだ時には既にアルベルトはいなくなっていた。






END





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