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うろほろぞ
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mmp
大好きな映画の筈なのに、いつものようにその世界に入って行けない。
カタカタと続く映写機の音がやけに耳につく。
チラりと隣を盗み見る。隣の男はと言うと、売店で買ったスナックを(器用なことに音も立てず片手で)放り込んでは黙々と咀嚼している。だが興味が無いのかと言えばそれも少し違うようで、彼の目は銀幕を駆け回る子供たちを追うことをやめない。
自分が見ているのはその目だ。セピア調の映像に合わせて光と影が映りこむ。
その瞬きすら夕陽の映る水面にも似ていて目が離せなくなるのだ。
気付けば、映画よりその青い目を見ている時間の方が多いのではないだろうか。
あぁやっぱり、この人の青い目は映りこむ光が綺麗だ。
今更気付くべくも無く、普段何気なく見知っていたはずなのに。
改めた認識は意識に変わり妙な焦燥に囚われる。
もっとずっと見続けていられたら良いのに。

土と炎と硝煙の匂いが漂いそうな琥珀色の世界。駆け回る子供の姿。
いかにも彼女の好きそうな、とは少し違うような気もするが、オカルトと柔らかなメロドラマとが同居する。
なあ君は、俺がこの哀れな老教師のように孤児院を作り、それでも戦火の中に居続けることを選んだら。
いや、それよりももっと愚かしいことをするかもしれない。それでも君はついて来てくれるだろうか?
連れて行っても良いのか?なあ、パラメディック。
胸の内で問いかけた所で、この手が伸ばせないのだから答えは自分で出しているも同然なのに。
未練がましいこの手は、その肩に触れる5センチ手前で進めずにいる。
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