テーブルの上にはオムライス。
そして目の前には真島吾朗。
一見何の変哲も無い組み合わせ・・・であるようにも見えるし、そうでないようにも見える。
だが問題は一緒に添えられたケチャップ。
「真島のおじさん、早く食べないと冷めちゃうよ」
「う~ん、もうちょい待ち。今精神統一しとるところや」
なにやら珍しく真剣な表情でオムライスを睨みつけている真島に遥が声を掛ける。
一応これを作ったのは遥なのだが、何故かケチャップは掛けないで欲しいと真島に言われたのだ。
「・・・おじさん遅いね」
そんな格闘する真島の前にはもう一つオムライスがあった。
だがこちらもケチャップは付いていない上にサランラップが掛けてある。
それは数時間前に急に東城会に呼び出されて出かけていった桐生の分だった。
「な~に、心配あらへん。もう直ぐ戻る言うてたんやから大丈夫や」
「うん、そうだね。ほら、早く掛けて」
「・・・よっしゃ!ほないくでぇ」
「うん!」
ガチャ
「ただいま、遥。・・・何やってるんだ、二人とも」
「あ、おじさんおかえりなさい」
「おう、桐生チャン遅かったな」
「ああ、済まなかった。・・・それより、それは?」
「今ね、ケチャップでおじさんの似顔絵描いてたの」
「結構似てるやろ?」
「うん、あ、でもこの辺もう少し」
「こうか?」
「そうそう!」
・・・何だか自分がいない間に随分楽しんでいたようだ。
まるで兄妹のような二人に微笑みながらも、オムライスにケチャップで描かれた自分の似顔絵らしきものを見て首を傾げた。
まあ確かに器用ではあるが。
「兄さん、それ大分冷めちゃったんじゃ・・・」
「やっぱり桐生チャンへの愛が成せる技やなぁ!」
「ッ!!?」
突然何を言い出すんだ、この男は。
不意打ちとも言える一言に桐生の顔は真っ赤になった。
「に、にいさ・・・」
「遥ちゃん、桐生チャンの分温めてやった方がええで」
「うん、おじさん今温めるから待っててね」
「・・・」
兄さんの発言もそうだが、それに適応化してきている遥もどうなのだろう。
ちょっぴり不安になりながらも、真っ赤になった顔を中々治められない桐生なのでした。
END
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