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うろほろぞ
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@3
 ろくに眠る事も出来ないまま、遥が朝起きた時には大吾はすでにこの家にはいなかった。がらんとした彼の部屋を眺め、遥は悲哀に
満ちた表情を浮かべる。
「大吾がね、もう遥ちゃんは本部に顔を出さなくていいって。組員にもそのことはちゃんと言っておくからって」
弥生が苦笑を浮かべ、彼女に声をかける。遥は小さく頷いた。
「……わかりました」
「ねえ、あんたたち、なにかあったの?あの子のあんな顔、初めて見たよ」
昨日のことは、弥生には言えるはずもない。遥はぎこちなく笑みを浮かべて首を振った。
「何も……あの後、ちょっと喧嘩しちゃったんです」
「まったく、最後の最後に困った子だねえ」
弥生は困ったように笑う。遥は荷物をまとめて堂島家を出た。門まで見送りに出た弥生は、優しく彼女に声をかけた。
「ね、遥ちゃん。あなたは何も気にしないで、自分の生きたいように生きなさい。昨日の話は私の胸に留めておくから」
遥は大きく頷き、深々と頭を下げた。
「弥生さん……今までありがとうございました」


 それからすぐに、遥は受験勉強を始めた。その熱心さは、傍にいる桐生たちも驚くほどで、元々頭のいい彼女は更に成績を上げて
いった。猛勉強の甲斐があってか、遥は危なげなく志望校への合格を果たすことになる。
 しかし、その喜びの中でも遥の表情は浮かないものだった。祝ってもらっていても、彼女はどこか上の空で、周囲の人々を不安にさせた。
合格から少し経って、彼女はふと沙耶のもとに遊びに行った。彼女は専門学校を出て、今は都内の美容室で働いている。遥の突然の
来訪に、彼女は驚いたようだったが、わざわざ仕事を早退して時間を取ってくれた。
「遥ちゃん、久しぶりじゃない。そういえば、大学合格したんだってね。おめでとう!」
近くの静かなカフェで、沙耶は笑顔を浮かべる。合格の話は伊達から聞いたのだろう。遥はぎこちなく微笑んだ。
「ありがとう」
「あんなに小さかった遥ちゃんも、もう大学生か~なんか早いね。あっという間」
懐かしそうに沙耶は目を細める。遥も小さく頷いた。それを見ていた沙耶は、そっと苦笑を浮かべた。
「どうしたの?」
「え……」
「合格の報告ってわけじゃないんでしょ。なんか相談?」
すっかりばれている。胸のうちを見透かされ、彼女は顔を赤らめた。
「うん、ちょっと」
「なになに?私で良いなら聞くよ。ああ、でも女同士の相談なら、薫さんだっけ?あの人がいいんじゃないの?」
「あ、だ、駄目!薫さんに言ったら、おじさんにもすぐばれちゃう!」
慌てたように声を上げる遥を眺め、沙耶は含みのある顔で笑った。
「……ってことは、桐生さんには絶対知られたくないことなんだ」
「う、うん」
沙耶はテーブルに頬杖をつき、遥を指差した。
「ずばり、恋の悩みだ!」
思わず言葉を失う遥を見て、沙耶は驚いたように身を乗り出した。
「やだ、カンだったんだけど……マジで?」
「や、あの……」
何か言い訳しようとする遥を、沙耶は遮るように声を上げた。
「ああ、そうなんだあ。あの遥ちゃんがねえ……会うたびに男っ気なくて心配してたんだけど、ついに!なんかお姉さん感動しちゃう!
 これは事件!事件だ!お父さんにメールしよ!」
携帯を取り出して開く沙耶を、遥は慌てて止めた。
「もう、沙耶お姉ちゃんやめてよ~!伊達のおじさんなんてもっと駄目!」
「冗談、冗談。で、相手はだあれ?クラスの子?」
遥は大きく首を振り、苦笑を浮かべた。
「年上の人」
「なに、いきなり年上?まさか、ホストじゃないでしょうね」
沙耶は窺うように遥を覗き込む。彼女は驚いたように何度も手を振った。
「違うよ~お姉ちゃんじゃないんだから」
「あんたも結構言うよね。それで?好きなんだ。その人のこと」
遥は運ばれてきたティーカップを眺め、静かに口を開いた。
「そう思ってた。でも、もう会えなくなっちゃった。それで、どうしていいかわからないの……」
「ど、どうして?もう会えないって、まさか死……」
不吉な言葉を口に出そうとする沙耶に、遥は首を振った。
「あ、そ、そういうことじゃないよ。そうじゃなくて……」
遥はそう言って、以前大吾との間に起きたことをかいつまんで話した。些細な行き違いからの口論や、それから引き止められた事
そして、彼が急に『男』としての顔を見せた事も。思いつめたように視線を落とす遥に、沙耶は溜息をついた。
「で、拒絶しちゃったってわけかあ……それはしょうがないんじゃないかなあ。だってずっと兄弟みたいにやってきたわけでしょ?」
「でも私、絶対その人のこと好きだったのに、そういうことだって当然あるって思ってたのに……急に怖くなって」
沙耶は、優しく微笑み遥の頭をそっと撫でる。まるで幼い頃に戻ったようで、遥は少し泣きそうになった。
「遥ちゃんに免疫なかったら、そういうこともあるって。ちゃんとその人に理由話してみな。それで理解してもらえないようだったら
 そいつはそれまでの男ってことよ」
「沙耶お姉ちゃん……」
悲しげに見上げる遥に、沙耶は大きく頷いた。
「大丈夫だって、私遥ちゃんの男を見る目、信じてる。わかってくれるよ」
「駄目だよ……」
首を振った遥は、わずかに唇を震わせる。その瞳には、いつしか涙でいっぱいになっていた。
「私、嫌って言っちゃった。それを聞いて、その人すごく傷ついた顔してた……その言葉は、何があっても絶対言ったらいけなかったの。
 あの人、絶対に自分を責めてる。お母さんのことは、その人とは全く関係ないのに……」
「遥ちゃん……」
「もう、絶対に傍にいさせてくれないよ……」
沙耶には、彼女の言っている事が何も分からない。でも、どれだけ彼女が胸を痛めているかはわかる。少しでも遥の心が休まるように
彼女はもう一度、遥の頭をそっと撫でた。


「ちょっといいかい?」
引退以来珍しく本部へと赴いた弥生は、そう言って会長室に入ってきた。大吾は驚いたように彼女を見る。
「なんだよ、こんなとこまで来て」
「ご挨拶だね、私は会長代行までやった女だよ。いつ来ようが構わないじゃないか」
大吾は肩を竦めて煙草に火をつける。灰皿に山になった吸殻を見て、彼女は眉をひそめた。
「ちょっと多いんじゃないかい?前にも遥ちゃんが吸いすぎはよくないって言ってた……」
「黙れよ」
大吾は鋭く弥生を見据える。彼女が本部から姿を消して何ヶ月にもなるが、彼はあれから一切遥の話をしたがらなかった。
目の前で誰かが彼女の話をするだけで、叱りつけたということも聞いた。それがあの日の行き違いから来ているのならば、二人の為にも
誤解は解かなければならない。弥生は苦笑を浮かべた。
「どうしちゃったんだい?大吾、あんたおかしいじゃないの」
「何がだよ」
「遥ちゃんと、何かあったんじゃないのかい?」
黙りこくる彼を眺め、弥生は肩を竦めた。
「あの子、大学に合格したんだってさ」
大吾は沈黙を続けたまま、そっぽを向いて煙草をふかしている。彼女は大吾に歩み寄ると煙草を奪い取って灰皿に押し付けた。
「なにすんだよ」
「いい年して、なに拗ねてんだかしらないけどね。ちょっとはあの子の気持ちも考えておやりよ」
気持ち?彼は冷たく笑った。
「もう顔も合わせることもない奴の気持ちなんて、考えてられねえよ」
「あんたは誤解してる。本当はあの子に言わないようにって頼まれてるんだけど、このしょうがない馬鹿息子のために言ってあげようじゃない」
睨むように見上げた大吾に、弥生は溜息をついた。
「あの子が何を学びに大学に行ったか知ってるかい?」
「知るわけねえだろ」
大吾はぞんざいに答える。彼女は腕を組み、静かに告げた。
「医学だよ。あの子、看護士になるんだって」
それが自分と何の関係があるのだろう。彼は不可解な顔で弥生を見上げる。彼女は淡々と告げた。
「どうしてあの子が看護士なんて選んだのかわかっちゃいないだろうね。それもこれも、もし何かあったときに、あんたや、うちの組員達の
 命を救ってやれる術を得るためじゃないか」
大吾は驚きを隠せない様子で視線を落とす。まさか、遥がそんな大それた事を考えているとは思わなかった。弥生は目を細めて宙を
睨む。
「それなら、なんでもう会わないって言ったのかって考えてるだろうけど、あの子はね、人の命を預かるからには一人立ちできるまで
 しっかり勉強したいって。それで、自分でも一人前の看護士になれたと思えたら、その時は胸を張って改めてお前に会いに
 行こうと決めてたそうだよ。ただ、それはいつになるかわからないから、もう会えないって言うことにしたんだって。そりゃあびっくり
 したさ。医療に従事するものが極道に肩入れする事が、どういうことなのかも言って聞かせたよ。でも、あの子はそれでもいいって
 言ったんだ。あの子、笑って言ってたよ。『私、お兄ちゃんを守るって約束したから』ってね……」
彼は両手で顔を覆った。彼女が幼い頃に交わした、些細な約束。すっかり忘れていると思っていた。あの時も自分は遥を突き放した。
でも彼女は、自分の意志でまたここに戻ってきた。これからだって、そのつもりだったのだ。なのに自分は、情けなく引き止めて
結果的に彼女を傷つけたのだ。どんなに後悔しても遅い。もうあの笑顔は、戻らない。
「もういい」
「え?」
眉をひそめる弥生に、大吾は顔を上げた。
「そんなことは、もう関係ない。あいつはあいつの世界で生きていくんだろう。俺がどうこう言える立場じゃねえ」
「大吾。あんたは遥ちゃんの気持ちを聞いてもそんなこと……!」
「お袋、あんた忘れちまったんじゃねえのか!?親父が遥の母親に何をしたか!」
弥生は言葉を詰まらせる。彼女にとってもそれは遥に対する負い目の一つで、常に罪の呵責に悩まされてきた。大吾自身もそれは
変わらない。今まで口に出せなかった事が、それをきっかけにとめどなく溢れた。
「何が大幹部だ、過去の栄光にしがみついてただけの、色ボケしたジジイじゃねえか!あの事件さえなければ、遥は違った形で
 幸せに生まれてきたかもしれねえんだぞ!どれだけあいつが許しても、俺は親父を許さねえ。その血が流れてる俺自身もだ!」
弥生は俯いたまま彼の叫びを聞いている。まるで自分が責められているように、悲痛な表情を浮かべて。その顔が見たくないからこそ
大吾は今まで口に出さなかったのだ。彼は大きく溜息をつき、消え入るような声で呟いた。
「そんな俺が、あいつの思いを受け入れられるはずがねえ……どんなに望んでもな」
「お前……もしかして遥ちゃんのこと……」
驚いたように弥生は彼を見つめるが、大吾は押し黙ったまま会長室を出て行った。
 いつからだろう、妹として接していた彼女に、それ以上の感情を抱くようになったのは。20も離れた年の差を、苦痛に思うようになったのも。
遥はいつだって自分を兄と呼び慕ってくれた。それがごっこ遊びのような稚拙なものだとしても、兄弟のいない二人にとっては
このうえなく安らぐ関係だった。それを決して壊してはならないと、自分はふいに生まれた別の感情を押し込めるようになった。
正直、彼女が成長するにつれ、これでいい、これでいいのだと自分に言い聞かせるのにも限界を感じ始めていた。この一件は
丁度いい機会だったのだ。彼女は表の世界で、自分の知らない誰かと幸せになる。それが一番自然な形だろう。
表に出た大吾は、いつしか降り始めた雨をその身に受けた。春先にしては、やけに冷たい雨。心を凍らせるには、丁度いい。

 桜が舞う。遥はそれを目を細めて見上げていた。今日は彼女の卒業式。彼女は胸に卒業生の証である花を挿し、証書の入った
筒を右手に友人の中にいた。
「はーるか!写真撮ろ!」
「あ、うん……」
友人のカメラが遥を含め大勢の少女達を映像に焼き付ける。今の自分は自然に笑えているだろうか、彼女は少し不安になった。
しかし、今日は卒業式。どんなに悲しい顔をしていても、決して不自然には思われないだろう。手を振って去っていく友人を眺め
遥は苦笑を浮かべた。
 あれから、何度も東城会へ続く道を半分まで歩き、引き返す事を繰り返した。沙耶の言ったとおり、素直に話してみようと電話も
かけようとしたし、メールも打とうとした。でも、それもできなかった。毎日のように思い悩む遥を、桐生も薫も心配して声をかけてくれたが
話す気にもなれなかった。もし話したなら、面倒なことになるのはわかっていたからだ。特に桐生の反応はありありと目に浮かぶ。
小さく笑うと、いつもより少し畏まった姿の桐生たちがやってきた。
「遥ちゃん、卒業おめでとう」
「ありがとうございます。薫さん」
遥は微笑んでみせる。大丈夫、ちゃんと笑える。少し安心した。
「よかったな」
桐生はそう言って、昔のように遥の頭を撫でた。彼女は小さく頷いて彼を見上げた。
「おじさんも、ありがとう」
彼は数ヶ月前から沈み込んでいる遥を心配していた。沙耶とも会っていたようだったが、伊達に聞いても沙耶は彼女と何を話したのか
教えてももらえなかったようでわからないという。それだけ深刻な悩みを抱えているのだろうかとも思う。しかし、悩んだ時はいつでも
自分に話してくれる彼女が、自分に対してもひた隠しにする理由が桐生にはわからなかった。
「……なあ、遥」
「ん?」
見上げる彼女の顔が、出会った頃より近くなった。幼い頃と違って、桐生は遥との距離を、どうとっていいものかわからない。彼女の
内なる感情には触れてはならない気がして、彼は今追及するのをやめた。
「いや……なんでもない」
「変なおじさん」
遥は声を上げて笑う。遠くから友人が遥の名を呼ぶ、彼女は思い出したように二人に告げた。
「あ、これから部活の子と送別会なんだ。夕食までには帰るから!」
「ご馳走作って、待ってるわね」
薫は微笑んで手を振る。かけていく遥を見送り、桐生は寂しそうに笑みを浮かべた。
「やっぱり、友達が大事か」
驚いたように彼女は桐生を見上げ、ふいに笑い出した。
「あたりまえやないの、まだ小さい頃のつもり?お、じ、さ、ん!」
「うるせえな、ちょっと思っただけだ」
きまりが悪そうに宙を睨む彼に対し、薫は肩を竦めた。
「はいはい。それじゃあ、帰ろ?」
先に立って歩いていく彼女に、桐生は申し訳なさそうに声をかけた。
「いや、俺は寄る所があるから……薫は先に帰っててくれ」


 その頃、遥たちは部室で後輩達と共に歓談していた。持ち寄ったお菓子にジュースは、今日だけ顧問から許してもらったものだ。
送別の言葉と共に乾杯した後、後輩から花束を渡されて遥は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、こんなにしてくれて。今までありがとうね」
彼女を見ていたら感極まったのか、泣きそうな顔で後輩達は遥にしがみついた。
「澤村先輩がいなくなると寂しいです~」
「ずっといてほしいよう」
遥は困ったように笑う。近くで聞いていた卒業生はたしなめるように声をかけた。
「ずっといたら留年じゃないの、わがまま言わない!」
「でも~」
少女達は不満そうに声を上げていたが、やがて諦めたように遥を見上げた。
「また遊びにきてくださいね、絶対ですよ!」
「うん、約束」
後輩達は嬉しそうに頷き、そのまま思い出話を始めた。思えば、この部活に入ったのも、少しでも自分の身を守る術を身に付けたかった
からだ。昔の自分は攫われて誰かに迷惑をかけることしかできなかった。その度に桐生や大吾に助けられて、申し訳なく思っていたのだ。
実戦には向かないが、いい経験になったと思う。彼女が懐かしそうに目を細めた時、後ろから肩を叩かれた。
「すみません、先輩。いいですか?」
そこにいたのは、後輩の男子部員だった。彼は部室の外に遥を促す。彼女は少し遅れるように彼について行った。
「あの、先輩もう卒業だし、言うなら今しかないと思って……」
事前に言う言葉を考えてきたのだろう。二人になってすぐ話を切り出した後輩を、遥は困ったように見上げた。今はそういう話をしたくない。
「俺、先輩のことが好きなんです」
飾りっ気のない真直ぐな言葉、素直な子だと思う。こういう男の子と付き合ったなら、きっと楽なのだろう。年も近いし、いつだって
近くにいる。死と隣り合わせの不安など、想像も出来ないような生活が送ることが出来るのだろう。でも、駄目。遥は首を振った。
「ごめん、応えてあげられないんだ」
つれない返事に落ち込むと思いきや、少年は笑顔を浮かべて頭をかいた。
「や、先輩が誰とも付き合わないってのは知ってたんで。ただ、気持ちを伝えたかっただけなんです」
「気持ち……」
遥は思わず彼を見上げる。
「ねえ、なんで言えるの?駄目だってわかってるのに、受け入れてもらえないって知ってるのに」
思わぬ問いかけに、彼は目を丸くする。しかし、真剣な面持ちの彼女に、少年は静かに答えた。
「だって、逃げたくないじゃないですか。自分の気持ちから」
「逃げたっていいんだよ。だって誰も知らないんだもん。時間が経てば、解決するじゃない」
いいえ、と彼は首を振った。その固い意志を滲ませる顔は、どこか大吾に似ている。
「逃げたって、いつかそういう自分と向き合わなきゃいけなくなるんです。その時、自分に胸を張って、やるだけやったんだって言いたい
 じゃないですか」
遥は驚いたように彼を見つめる。そういえば、大吾もそんなことを言っていた。そう、始めて会った時に、あの会長室で。
逃げたくない。もう、桐生の時のように、自分を騙していたくない。彼女は両手を握り締めた。
「まあ、そんな大きなこと言ってても、結局駄目でしたけどね」
照れるように笑った彼に、遥は急に頭を下げた。
「ごめん!でもありがとう!そうだよね、逃げちゃいけないんだ!」
「せ、先輩?」
言うが早いか、遥は部室に向かって駆け出した。勢い良く帰ってきた彼女を部員達は驚いたように迎える。
「どうしたんですか?」
「これから行くところがあるから、失礼するね。ごめん!また遊びに来るから!」
悲鳴のような後輩達の声を背に受けながら、遥は荷物を持って走り出す。
ただひたすら真直ぐ、彼のもとへ。

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