「ジョニー・・・・。」
メイは今はもう動かないその人を見つめつづけた。
昨日まで一緒だったのに。
これからのずっと一緒にいられると思ったのに。
血の通っていない彼の手を握る。
嘘みたいに冷たかった。
「ねえ、ジョニー?ジョニーは馬鹿だよ。ボクを庇って死んじゃうなんてさ・・・・。」
嬉しくなんてないよ。
庇われて嬉しいわけないよ・・・・。
目を瞑れば今でも鮮明に思い出せる最期のシーン。
確実にメイを捕らえた刃物。
その銀の煌き。
自分自身の死の覚悟。
目の前に広がる黒い布。
刃物を伝う紅。
敵の断末魔の叫び声。
同時に崩れ落ちる黒い物体。
「めい・・・?怪我・・・ないかあ・・・・?」
息も絶え絶えにメイを気遣う声。
そして、最期の彼の言葉。
「良いか・・・メイ?お前さんは・・・自由に・・・・『生きろ』。」
その言葉に縛られて、後を追うことも出来ないから・・・・・。
彼が護ってくれたこの命を無駄にするわけにはいかないから・・・。
「幸せになれる日なんて、来るのかなあ?」
彼のいないこの世界で。
それでも瞳を逸らす事は許されない。
自由に生きろといった彼。
「その約束、守るよ。ボクは『自由に』生きる。・・・・・おこんないでね?ジョニー。これがボクの選んだ道だから・・・。」
メイはおもむろに着ていた服を脱ぎ、そこに丁寧に畳まれているものに着替え始める。
黒いズボンは裾が長すぎたが幾重にも折って誤魔化す。
ウエストはベルトで無理矢理調節。
胸には丁寧にさらしを巻いていく。
黒のロングコートは長い、ナンテものじゃなくなっていたが、この際無視する。
さすがに靴は自前を用意した。
仕上げに黒の帽子をかぶった。
彼女が身につけていったのは、ジョニーの遺品だった。
身長差のため、かなりの違和感のある着こなしだが、彼女自身は気にしていない。
「ボクが今日からジェリーフィッシュ快賊団団長の『ジョニー』だよ・・・。ジョニーの代わりに、皆を救うから・・・・・。ジョニーの遺志を、ボクが継ぐから・・・・。」
そして、冷たい唇にキスを送った。
「ボクも何時かそっちに行くから、待っててね・・・・。山田さん、食らわしたげるから。何でボクを庇ったんだ、ってね・・・。」
メイは微笑し、その場を立ち上がった。
「ジョニー、また、ね?」
何時かそちらに行った時まで。
「気長に待ってるさ・・・。」
そんなジョニーの返事が聞こえた気がして、メイは一粒涙を流し、微笑んだ。
バイバイ、ジョニー。
So Long・・・・
THE死にネタ(笑)。ジョニーがいなくなるヴァージョンです。少し軽め(そうか?)なにげにメイヴァージョンも考えてあったり。女の子至上主義の僕としてはあんまりメイに苦しんで欲しくなかったからこうなったのだけれど、逆だったら・・・・・、イタイの書きたいねえ(にやり)。
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