○セルバンテスについてついて考えてみた。
アラブ系、黒髪、目がギロッとしている。鼻も大きいし口も大きい、濃ゆい顔のつくり。
向こう特有の一夫多妻制の何番目かの奥さんの子供、小さい頃は母親に構ってもらえない目立たない子供、他の女の子供に負けるな継承権を盗みとれと言われ続け嫌気がさし家を飛び出す、母親は自分の唯一の男の子だったセルバンテスが飛び出し、継承権を失った事を呪ってセルバンテスに呪いの言葉を吐きながら死ぬ。セルバンテスは血のつながりを、自分の中の血を憎む。
アルベルトとはBF団に入った以降知り合う、印象はお互いあまりよくない。アルベルトはセルバンテスの軽さに吐き気を覚え、セルバンテスはアルベルトの厳格さにうんざりうんざしている。
この二人が友達になった切っ掛けはなんだろうって、ずっと考えているんですが、始めは命を救った、かなって思っていたんですが仲が悪いのにセルバンテスがアルベルトを助けるような事をするだろうか?と思い却下。
なので切っ掛けは些細な事で、セルバンテスがある時インドに出掛け、サリーを着て出てきた、ターバンを巻いてきた、インドの写真を眺めていた、なんでもいいんですがインド関係のものを眺め、もしくは身に付けていた時、アルベルトが何気なく「インドか、それは」と声をかけてくる。
セルバンテスがはビックリするんだけど「ああ、そうだよ、この間言ってきたんだ。中々興味深い土地だったよ。…君はインドに興味があるのかい」ときくと、どうやら何度かいった事があるらしい事が分かる。
アルベルトの母親の実家はインドで時折帰郷の際に一緒にいっていたという設定があるので、アルベルトは昔を思い出し、写真を見ながら思わず「懐かしいな」と微笑む。普段のシニカルな笑みでもなく、皮肉に溢るる笑顔でもない素の笑顔を。
あ、こいつ、笑えるんじゃん、って思ったら、セルバンテスの中にあった今までのこわばりが溶ける。そんでそれから会話の機会が増えて、徐々に二人は親友になっていった。
いわゆる二人の間に共通認識が生まれた事により、先入観がなくなり、親しくなる事が出来た、って感じかな。
そんでセルバンテスの能力についてなんですが、彼は能力を使う時に色々な彼のポリシーに乗っ取って発動する。仲間には絶対に使わない、自分の力で出来る部分では能力を使わない。能力を使うのはそれを使わないと展開しないときのみ。まあたとえ十傑集に使ったとしても十傑集相手じゃ通用しないだろうけどね。
そしてセルバンテスは子供が大好き。子供には無限の可能性を感じるから。だから大作の事も本当に好きだったろうと思う。セルバンテスは「好き嫌い」についての嘘はつかない。サニーの事も無論大好き。自分にはもうないものをみてしまうのかもしれないね。でも大作やサニーの事を可愛がるんだけど、二人の事を可哀想な境遇だなあとも思っている。
大きくなって、自分の意志でここを選ぶのなら仕方がない。それが彼の選んだ人生なのだから。でもね、小さいうちから選択肢が他になくてここに来る者が可哀想でならないんだ、僕は。
だって彼らには無数の未来がある筈なんだ。それこそ無限の可能性が広がっているんだよ。子供のうちからここに入って、破壊活動なんて見るもんじゃないよ。どんな大人になるか知れないよ。私は子供には出来る限り幸せになってほしいんだ。色々な事を経験して大きくなってほしいんだ。
だからせめて私は、自分の身近にいる大作君とサニーをとっても大切にしたいんだ。今後世界がどの道を辿るとしても、子供達に未来がある限りは何とでもなるさ!
そして大作を肩車して、サニーと三人で島を散策しながら話しだすセルバンテス。
「ちょっと難しい話になるけど聞いてくれるかい? 人類の長い歴史から見れば私たちBF団と国際警察機構の争いなんて些細な事さ。倒れた方はその時の歴史に選ばれなかっただけなんだ。でもたとえ勝った方が統治するにしてもそれが間違っているならやっぱりすぐに倒されてしまうだろう。それが人の歴史なんだからね。だから、自分の運命を疑わないでくれ。辛いときがあってもそれはすぐに終わるから。いつだって君たちの前には黄金のような、心ときめかす未来が待っているよ。前を見て歩きなさい」
「……セルバンテスさん? よくわからないよ、ボク」
「うん、それでいいよ。ただ大きくなってもこの言葉を覚えていてくれたら、おじさんは嬉しいな。二人とも素敵な友達を作るんだよ、おじさんも協力するからね。おじさんもサニーちゃんと大作君のお友達にしてくれるかい?」
「うん!」サニー+大作
子供は嘘をつかない、付いたとしても他愛無いものなので無条件に好きなんだよね。大人の嘘は可愛くないよ!って言いそう。アルベルトはお前そうだろう、っていうから、だから大人の嘘が嫌いなんだよ!って言い返すな。
セルバンテスは自分の子供は残す気はない。母親に言われた言葉が残ってしまってる。だから余計に人の子供が可愛いんだよね。自分の子供が生まれて自分に似ている所があったら可愛がれるかどうかの自信がない。性欲を持て余したときはプロのお姉さん相手かな。
セルバンテスは砂漠に咲く花なので、白い小さな楚々として咲く花なんだっよね。彼の内面を示しているかのような。乾いた大地でも地中に何メートルもの根を張り、水を得る。そして一年一度花を咲かせる。
その花はいつ花開くのかセルバンテス自身にも分からないけれど、心から感動した時にそっと開く。それを見れた人はセルバンテスの親友になる事が出来る。アルベルト然り、サニーや大作然り。子供は物事の本質を見抜くからね。
セルバンテスは戴宗によって殺されてしまうけど、戴宗の事は恨んでいない。戴宗については「お互い、辛い任務だねえ」とか、そんな感じ。死んだ時に頭に浮かぶものは大事な親友とその子供。
「私の死が、彼らに優しく届きますように…」
倒れゆく意識の中で、セルバンテスはそう祈らずにはいられなかった。
神に砂掛ける真似ばかりしていたから、きっと祈りは届かないだろう事は分かっていたけれど。
アラブ系、黒髪、目がギロッとしている。鼻も大きいし口も大きい、濃ゆい顔のつくり。
向こう特有の一夫多妻制の何番目かの奥さんの子供、小さい頃は母親に構ってもらえない目立たない子供、他の女の子供に負けるな継承権を盗みとれと言われ続け嫌気がさし家を飛び出す、母親は自分の唯一の男の子だったセルバンテスが飛び出し、継承権を失った事を呪ってセルバンテスに呪いの言葉を吐きながら死ぬ。セルバンテスは血のつながりを、自分の中の血を憎む。
アルベルトとはBF団に入った以降知り合う、印象はお互いあまりよくない。アルベルトはセルバンテスの軽さに吐き気を覚え、セルバンテスはアルベルトの厳格さにうんざりうんざしている。
この二人が友達になった切っ掛けはなんだろうって、ずっと考えているんですが、始めは命を救った、かなって思っていたんですが仲が悪いのにセルバンテスがアルベルトを助けるような事をするだろうか?と思い却下。
なので切っ掛けは些細な事で、セルバンテスがある時インドに出掛け、サリーを着て出てきた、ターバンを巻いてきた、インドの写真を眺めていた、なんでもいいんですがインド関係のものを眺め、もしくは身に付けていた時、アルベルトが何気なく「インドか、それは」と声をかけてくる。
セルバンテスがはビックリするんだけど「ああ、そうだよ、この間言ってきたんだ。中々興味深い土地だったよ。…君はインドに興味があるのかい」ときくと、どうやら何度かいった事があるらしい事が分かる。
アルベルトの母親の実家はインドで時折帰郷の際に一緒にいっていたという設定があるので、アルベルトは昔を思い出し、写真を見ながら思わず「懐かしいな」と微笑む。普段のシニカルな笑みでもなく、皮肉に溢るる笑顔でもない素の笑顔を。
あ、こいつ、笑えるんじゃん、って思ったら、セルバンテスの中にあった今までのこわばりが溶ける。そんでそれから会話の機会が増えて、徐々に二人は親友になっていった。
いわゆる二人の間に共通認識が生まれた事により、先入観がなくなり、親しくなる事が出来た、って感じかな。
そんでセルバンテスの能力についてなんですが、彼は能力を使う時に色々な彼のポリシーに乗っ取って発動する。仲間には絶対に使わない、自分の力で出来る部分では能力を使わない。能力を使うのはそれを使わないと展開しないときのみ。まあたとえ十傑集に使ったとしても十傑集相手じゃ通用しないだろうけどね。
そしてセルバンテスは子供が大好き。子供には無限の可能性を感じるから。だから大作の事も本当に好きだったろうと思う。セルバンテスは「好き嫌い」についての嘘はつかない。サニーの事も無論大好き。自分にはもうないものをみてしまうのかもしれないね。でも大作やサニーの事を可愛がるんだけど、二人の事を可哀想な境遇だなあとも思っている。
大きくなって、自分の意志でここを選ぶのなら仕方がない。それが彼の選んだ人生なのだから。でもね、小さいうちから選択肢が他になくてここに来る者が可哀想でならないんだ、僕は。
だって彼らには無数の未来がある筈なんだ。それこそ無限の可能性が広がっているんだよ。子供のうちからここに入って、破壊活動なんて見るもんじゃないよ。どんな大人になるか知れないよ。私は子供には出来る限り幸せになってほしいんだ。色々な事を経験して大きくなってほしいんだ。
だからせめて私は、自分の身近にいる大作君とサニーをとっても大切にしたいんだ。今後世界がどの道を辿るとしても、子供達に未来がある限りは何とでもなるさ!
そして大作を肩車して、サニーと三人で島を散策しながら話しだすセルバンテス。
「ちょっと難しい話になるけど聞いてくれるかい? 人類の長い歴史から見れば私たちBF団と国際警察機構の争いなんて些細な事さ。倒れた方はその時の歴史に選ばれなかっただけなんだ。でもたとえ勝った方が統治するにしてもそれが間違っているならやっぱりすぐに倒されてしまうだろう。それが人の歴史なんだからね。だから、自分の運命を疑わないでくれ。辛いときがあってもそれはすぐに終わるから。いつだって君たちの前には黄金のような、心ときめかす未来が待っているよ。前を見て歩きなさい」
「……セルバンテスさん? よくわからないよ、ボク」
「うん、それでいいよ。ただ大きくなってもこの言葉を覚えていてくれたら、おじさんは嬉しいな。二人とも素敵な友達を作るんだよ、おじさんも協力するからね。おじさんもサニーちゃんと大作君のお友達にしてくれるかい?」
「うん!」サニー+大作
子供は嘘をつかない、付いたとしても他愛無いものなので無条件に好きなんだよね。大人の嘘は可愛くないよ!って言いそう。アルベルトはお前そうだろう、っていうから、だから大人の嘘が嫌いなんだよ!って言い返すな。
セルバンテスは自分の子供は残す気はない。母親に言われた言葉が残ってしまってる。だから余計に人の子供が可愛いんだよね。自分の子供が生まれて自分に似ている所があったら可愛がれるかどうかの自信がない。性欲を持て余したときはプロのお姉さん相手かな。
セルバンテスは砂漠に咲く花なので、白い小さな楚々として咲く花なんだっよね。彼の内面を示しているかのような。乾いた大地でも地中に何メートルもの根を張り、水を得る。そして一年一度花を咲かせる。
その花はいつ花開くのかセルバンテス自身にも分からないけれど、心から感動した時にそっと開く。それを見れた人はセルバンテスの親友になる事が出来る。アルベルト然り、サニーや大作然り。子供は物事の本質を見抜くからね。
セルバンテスは戴宗によって殺されてしまうけど、戴宗の事は恨んでいない。戴宗については「お互い、辛い任務だねえ」とか、そんな感じ。死んだ時に頭に浮かぶものは大事な親友とその子供。
「私の死が、彼らに優しく届きますように…」
倒れゆく意識の中で、セルバンテスはそう祈らずにはいられなかった。
神に砂掛ける真似ばかりしていたから、きっと祈りは届かないだろう事は分かっていたけれど。
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アルベルト
一週間で世界征服出来る。が、しかし戴宋の体的には大変だ~しかも戴宋を巡って、ほしいものを譲らない、譲れない精神のアルベルト。好き!
でも10人いたら、二人くらいはサニーに付きっ切りパパもいるだろう。サニー大喜び。なんせパパが二人いたら川の字で寝れるしリトルグレイごっこもできる。一人が仕事でも、もう一人はいつも一緒だ。
幸せ~と思うのは10歳あたりまでで思春期に入るころには「部屋に入って欲しくないの!」と言われてしまうようになってアルベルト超ショック。セルバンテスに相談。屋台で安酒飲みつつ管を捲く。でもセルバンテスはニヤニヤ笑って
「愛娘のことで頭を悩ませられるなんて幸せじゃないか、そういうことは自分で考えて解決しなきゃねえ」
確かにそうなんだけど頭にくるのでポカッと一発殴っとく。アルベルト帰る。その後姿を見ながら
「第一サニーは今まで君のことをどれくらい考えていたと思っているんだい。少しは悩めよ、サニーのことで」
第一セルバンテスにとっちゃノロケみたいなものだよね。実はその屋台は国際警察機構のこっそり出している情報収集用の屋台だったのであっというまに話が世界中のエキスパートに広まってしまう。セルバンテス爆笑。
サニーはもっとアルベルトに我侭言ってほしい。我侭の盛りじゃん甘えたいでしょ父親にさ。だからアルベルトをうんと困らせてやるといい、そしてそれをアルベルトが怒ったり諭したりかなえてやったり、なんでもいから親子の交流をして欲しい。それがサニーの心を一番成長させるんじゃないのかな。親がいなくても子は育つけど、出来たら交流して欲しい個人的希望。
そしてサニーのだんな様には大作を推したい。将来一番の優良株だよ!小さいときからの面識もあるし、年も近いし、なによりサニーに誠実だし言う事なしじゃないか。サニーはOVA後の展開次第では大作を憎むことになるかもしれないのに、そんなサニーの感情も丸ごと受け止めて愛することの出来る大作はすごい。大きくなれよ!サニーもその大作の真摯な心に打たれて幸せになるときが来ると思う。そのときにはBF団も国際警察機構も必要ないような平和な世界になっていると良いね。
結婚式には(全員生きてることとして)仲人は誰だろう。セルバンテス?セルバンテスなら口が達者だから名仲人になれるだろう。セルバンテスはちょっと寂しい。二人とも自分の子供の気持ちでいたからね。私の娘と息子の二人がいっぺんに旅立ってしまったよ、って思ってる。
婿側の親代理として戴宋、嫁側は無論アルベルト。燕尾服のアルベルトと腕を組んで出てくるサニー。なんて幸せな光景だ。その綺麗なサニーをみた魔王が滂沱の涙。父親は草間大作ならば我が娘の能力や性格を承知おろう、ならば儂が口を出すことではないって思ってるので泣いたりしないけど、魔王はぼろぼろ泣いちゃう。つうか反対したい!盛大に反対したい!でも父親が反対しないので反対しづらい。
ううっううっサニー…と泣いていると幽鬼がそっとハンカチを。ありがたく使わせてもらいながら理不尽な怒りに震えていると見かねた残月がトドメの一言。
「少女の幸せを祝福できんとは哀れな男よ」
「言ってやるな残月。子離れできん人間もいる」
幽鬼も結構キッツイ。途中から10人ネタから離れてますがまあ気にせずに。
サニー
むしろ欲しい。大作、両手に花束だな!アルベルトは急に家族が増えて幸せだね!しかも娘10人、これは華やかだ。一人か二人セルバンテスおじさまの養女になると良いよ。
一週間で世界征服出来る。が、しかし戴宋の体的には大変だ~しかも戴宋を巡って、ほしいものを譲らない、譲れない精神のアルベルト。好き!
でも10人いたら、二人くらいはサニーに付きっ切りパパもいるだろう。サニー大喜び。なんせパパが二人いたら川の字で寝れるしリトルグレイごっこもできる。一人が仕事でも、もう一人はいつも一緒だ。
幸せ~と思うのは10歳あたりまでで思春期に入るころには「部屋に入って欲しくないの!」と言われてしまうようになってアルベルト超ショック。セルバンテスに相談。屋台で安酒飲みつつ管を捲く。でもセルバンテスはニヤニヤ笑って
「愛娘のことで頭を悩ませられるなんて幸せじゃないか、そういうことは自分で考えて解決しなきゃねえ」
確かにそうなんだけど頭にくるのでポカッと一発殴っとく。アルベルト帰る。その後姿を見ながら
「第一サニーは今まで君のことをどれくらい考えていたと思っているんだい。少しは悩めよ、サニーのことで」
第一セルバンテスにとっちゃノロケみたいなものだよね。実はその屋台は国際警察機構のこっそり出している情報収集用の屋台だったのであっというまに話が世界中のエキスパートに広まってしまう。セルバンテス爆笑。
サニーはもっとアルベルトに我侭言ってほしい。我侭の盛りじゃん甘えたいでしょ父親にさ。だからアルベルトをうんと困らせてやるといい、そしてそれをアルベルトが怒ったり諭したりかなえてやったり、なんでもいから親子の交流をして欲しい。それがサニーの心を一番成長させるんじゃないのかな。親がいなくても子は育つけど、出来たら交流して欲しい個人的希望。
そしてサニーのだんな様には大作を推したい。将来一番の優良株だよ!小さいときからの面識もあるし、年も近いし、なによりサニーに誠実だし言う事なしじゃないか。サニーはOVA後の展開次第では大作を憎むことになるかもしれないのに、そんなサニーの感情も丸ごと受け止めて愛することの出来る大作はすごい。大きくなれよ!サニーもその大作の真摯な心に打たれて幸せになるときが来ると思う。そのときにはBF団も国際警察機構も必要ないような平和な世界になっていると良いね。
結婚式には(全員生きてることとして)仲人は誰だろう。セルバンテス?セルバンテスなら口が達者だから名仲人になれるだろう。セルバンテスはちょっと寂しい。二人とも自分の子供の気持ちでいたからね。私の娘と息子の二人がいっぺんに旅立ってしまったよ、って思ってる。
婿側の親代理として戴宋、嫁側は無論アルベルト。燕尾服のアルベルトと腕を組んで出てくるサニー。なんて幸せな光景だ。その綺麗なサニーをみた魔王が滂沱の涙。父親は草間大作ならば我が娘の能力や性格を承知おろう、ならば儂が口を出すことではないって思ってるので泣いたりしないけど、魔王はぼろぼろ泣いちゃう。つうか反対したい!盛大に反対したい!でも父親が反対しないので反対しづらい。
ううっううっサニー…と泣いていると幽鬼がそっとハンカチを。ありがたく使わせてもらいながら理不尽な怒りに震えていると見かねた残月がトドメの一言。
「少女の幸せを祝福できんとは哀れな男よ」
「言ってやるな残月。子離れできん人間もいる」
幽鬼も結構キッツイ。途中から10人ネタから離れてますがまあ気にせずに。
サニー
むしろ欲しい。大作、両手に花束だな!アルベルトは急に家族が増えて幸せだね!しかも娘10人、これは華やかだ。一人か二人セルバンテスおじさまの養女になると良いよ。
次の被写体を探していたセルバンテスは大切な事を思い出しました。
「私とした事が、アルベルトTシャツだというのに!」
と、言う事で早速サニーの元へと訪ねます。
サニーの部屋は少女らしい柔らかな色使いで溢れていました。微笑ましいと思わず口元が綻ぶ。この少女性はいかんとも侵しがたく煌めいている。サニーはセルバンテスを部屋に誘い、喉が乾いておられますよねといって紅茶を注ぐ。
ふわふわの茶色の髪の毛がせわしなく動いているのをみて相変わらずアルベルトの血を濃く受け継いだ髪型だなあ(特に頭のてっぺん)と思いつつ、セルバンテスは今しているアルベルトTシャツ企画の話を切り出した。
「全世界のBF団のイメージアップ戦略の一環としてね、衝撃Tシャツを頒布する事にしたんだ、そのために色々とモデルを探しているんだよ。そこで、イメージキャラクターのアルベルトの愛娘であるサニーちゃんにひとつ協力して欲しいんだけど、…いいかな?」
我ながらよくあま口からでまかせを言えるなあと感心しつつ捲し立てる。
無論サニーに異論などない。大好きな父がメインキャラに選ばれたとあって一層ニコニコして喜びで身体をみたしているのが良く分かる。
「私、精一杯やります!」
「そうかい、とっても助かるよ!ありがとうサニー、じゃあこれに着替えてくれるかな?おじさんは部屋の外で待っているから、着替え終わったら呼んでおくれな」
「はーい!」
普段のスーツとは違い、ラフなTシャツはサニーをより年相応にさせる。色々なサニーをカメラに収めながら、サニーには黒はまだ早かったかな、でもまあ可愛いからそれもいいよねぇと、なんでも似合ってしまうサニーをみて頬を緩ませつつ撮影は順調に進んだ。
「おじさま、こういう事って大変ですけどとってもたのしいですね」
「そうかいそれはよかった!私もサニーの色々な顔を見れて楽しいよ」
二人とスタッフのQちゃんズは和気あいあいの雰囲気の中撮影を無事に終了させた。
数日後、出来上がったポスターを見てサニーは喜び、各地BF団員は癒され、セルバンテスは太腿を写したという理由でアルベルトにボコ殴りにされたのだった。
「全く私のこの端正な顔を変形するまで殴るなんてひどいよねアルベルトは!」
サニーの太腿は健康的だと思ったからあえて載せたけど、やっぱり実の父親としては嬉しくないに決まってるか、と納得はするもののやはり面白くない。顔の変形は収まったものの、まだ頬が熱い。サニーが無邪気に喜んでくれたのが幸いだ。
しかし今日もセルバンテスのTシャツ撮影の旅は続く。サニーの次の被写体を探すのだ。
「次、次はー、あ、あそこに丁度いい奴がいるじゃないか!おーいそこの」
セルバンテスの毒牙にまた一人の犠牲者が…!
「私とした事が、アルベルトTシャツだというのに!」
と、言う事で早速サニーの元へと訪ねます。
サニーの部屋は少女らしい柔らかな色使いで溢れていました。微笑ましいと思わず口元が綻ぶ。この少女性はいかんとも侵しがたく煌めいている。サニーはセルバンテスを部屋に誘い、喉が乾いておられますよねといって紅茶を注ぐ。
ふわふわの茶色の髪の毛がせわしなく動いているのをみて相変わらずアルベルトの血を濃く受け継いだ髪型だなあ(特に頭のてっぺん)と思いつつ、セルバンテスは今しているアルベルトTシャツ企画の話を切り出した。
「全世界のBF団のイメージアップ戦略の一環としてね、衝撃Tシャツを頒布する事にしたんだ、そのために色々とモデルを探しているんだよ。そこで、イメージキャラクターのアルベルトの愛娘であるサニーちゃんにひとつ協力して欲しいんだけど、…いいかな?」
我ながらよくあま口からでまかせを言えるなあと感心しつつ捲し立てる。
無論サニーに異論などない。大好きな父がメインキャラに選ばれたとあって一層ニコニコして喜びで身体をみたしているのが良く分かる。
「私、精一杯やります!」
「そうかい、とっても助かるよ!ありがとうサニー、じゃあこれに着替えてくれるかな?おじさんは部屋の外で待っているから、着替え終わったら呼んでおくれな」
「はーい!」
普段のスーツとは違い、ラフなTシャツはサニーをより年相応にさせる。色々なサニーをカメラに収めながら、サニーには黒はまだ早かったかな、でもまあ可愛いからそれもいいよねぇと、なんでも似合ってしまうサニーをみて頬を緩ませつつ撮影は順調に進んだ。
「おじさま、こういう事って大変ですけどとってもたのしいですね」
「そうかいそれはよかった!私もサニーの色々な顔を見れて楽しいよ」
二人とスタッフのQちゃんズは和気あいあいの雰囲気の中撮影を無事に終了させた。
数日後、出来上がったポスターを見てサニーは喜び、各地BF団員は癒され、セルバンテスは太腿を写したという理由でアルベルトにボコ殴りにされたのだった。
「全く私のこの端正な顔を変形するまで殴るなんてひどいよねアルベルトは!」
サニーの太腿は健康的だと思ったからあえて載せたけど、やっぱり実の父親としては嬉しくないに決まってるか、と納得はするもののやはり面白くない。顔の変形は収まったものの、まだ頬が熱い。サニーが無邪気に喜んでくれたのが幸いだ。
しかし今日もセルバンテスのTシャツ撮影の旅は続く。サニーの次の被写体を探すのだ。
「次、次はー、あ、あそこに丁度いい奴がいるじゃないか!おーいそこの」
セルバンテスの毒牙にまた一人の犠牲者が…!
○レッド編
風邪なんてガキの頃以来だなと、思わず子供の頃の回想が始まってしまい影丸との青春の日々を思い出し、ついでに影丸が自分裏切って国際警察機構に入った事を思い出し、腹が立ってきて怒りくるって布団を破いたらダウンが飛び散って部屋羽だらけ。
○ヒィッツカラルド編
せきをしてもひとり
おかゆを作るのも、得意になりました…
○魔王が風邪
サニーに移してはいけない、と部屋に閉じこもって寝て治す。薬一切飲まず。汗をかくに限る!と昏々と眠り続ける。サニーは看病をこころみるも、樊瑞は移しては元も子もないと拒否。しかしそのサニーの心遣いが嬉しく、思わず枕を涙で濡らしたついでに鼻水もたらす。そのまま寝る。夢の中でサニーにおかゆをアーンしてもらって大感激。アーン、と飲み込もうとした所でサニーがいきなり十常寺に変わってて吹き出す。ご飯粒を顔面で受け止めた十常寺に敬礼!
「どういうことアルネー!」
「幼女がお前に変わっていたら誰でも吹くわ!!!!!」
と一触即発になりかけた所で目が覚める。鼻水ベターリのまま寝たので鼻の下と髭がガビガビして痛い。
「か、替えの下着を…」
汗たらふくかくのでこまめに下着を取り替えます。枕元においてあった濡れタオルで顔を拭いてスッキリして、さて下着を思った所に、スッと替えを差し出す白い手。
「おじさま、どうぞ」
「……ありがとうサニー。うん、サニーをここに入れたのは誰か教えてくれんか?」
「はい、ざん
「よしわかった待っていてくれ」
最後までサニーの言葉を聞かず瞬歩で部屋から飛び出す混世魔王。すぐさま残月の私室まで来るとノックもせずに扉をぶち破る。白昼様は優雅なアフタヌーンティーのお時間でした。頭がフットーしそうだよぉな魔王をみても平然としています。
「残月ぅぅぅぅぅぅ!貴様サニーを何故部屋に入れたぁぁぁ!」
「人の部屋へももひきで来るとは酔狂な奴」
「しかしマントで身体を隠してきたから支障はないぞ!」
「…ここでも隠しておいてくれたら良かったのだが」
ヨーロッパ風で統一してある残月の部屋に物凄い違和感を発する魔王が一人。
そして辛辣な残月にいびられまくり、薄着で口喧嘩しているうちに熱が上がってしまいその場に倒れてしまう樊瑞。残月はうんざりした顔で樊瑞を見下ろします。
樊瑞がここに着たら渡してやろうと思っていたい熱冷ましの浣腸を、部下に指示して樊瑞に使わせました。自分の手は汚さない、それが白昼クオリティ。薬は十常寺が作った効果覿面の熱冷ましなので今度起きた時には風邪などどこかに吹っ飛んでいる事でしょう。樊瑞は気を失っていて逆に幸せだったと思います。
そして残月は樊瑞を肩に抱きかかえて部屋まで連れ帰りました。部屋ではサニーがちょこんと座って待っていました。
「残月様!」
「うむ、サニー。布団をひろげてもらえるかな」
ささっと布団を開けてらい、樊瑞をそっとおろします。投げ捨てても良かったのですが、サニーの目の前でそうする訳にはいきません。
「これでいい。大声出して目眩がしただけだろうからな、よく効く薬も飲ませておいたから心配は無い。もういくぞサニー」
「はい、でも…」
「すぐによくなる。やつ…いや樊瑞はこれでも我らのリーダーなのだから」
数時間後、体調が万全になった樊瑞が何故か残月を追いかけまわしているとの目撃情報が孔明へと届けられた。
「馬鹿ばっかりだ!」
○残月編
残月のようなとても崩れそうにない人が風邪というウイルスでちょっとだけ妙になってしまうのも楽しいかなあ。自分では気が付かなくて、なんとなく体調が悪いな…と思ってる。
そして十傑集会議(ただのダベリ)中に気障ったらしくキセルを構えていると、指先が震えているではありませんか!そしてカラーンと手から落ちるキセルに皆の目が集まります。
「どうした、マスクマン」
「どこに針を差して欲しいんだ指パッチン」
ヒィッツカラルドを黙らせ、キセルを拾うとかすかに目眩が。幽鬼が話しかけます。
「白昼の、お前風邪引いてるんじゃないのか」
「…私が?風邪だと?」
しかしその症状は風邪なのではと幽鬼に言われるとなんとなくそんな気になる。流石は幽鬼。説得力があります。残月が立ち去ると、残されたメンバーはざわ…ざわ…とざわめいています。あいつが風邪か?って他の十傑集が驚くよね。たぶん眩惑あたりから性質の悪い風邪もらったに違いない。
皆、驚いてお見舞いにきてくれるよ。よかったね残月!でも苦しんでる自分の姿を見てからかったり笑ったりするような奴がいたら即座に眉間に針貫通だから気をつけないとね、特にレッドとヒィッツカラルドあたりは。
しかし風邪を引いてもマスクは脱がないのが残月です。他のメンバーは、あのマスクきっと蒸すと思うんだけど脱がないのかなあと思っていています。
○眩惑編
風邪引いて熱が出るなんて滅多に無いから逆にはしゃいじゃう。でも気持ちはそうでも身体はぐったりしているので、ナマズ髭は一層垂れております。目の下のクマが大変に濃くなっています。
そんでも療養しようと無いので、アルベルトが一言。
ア「寝ておれ馬鹿者」
セ「う、…うつさなきゃ!私だけ風邪なんてイヤだ!」
ア「(子供か…) サニーにはうつすなよ」
セ「あたりまえだ!しかしだね、十傑集ともなれば風邪なんて滅多に無いじゃないか、っていうか私は今まで見た事が無いんだよね。だから、私に風邪を引かせるような協力なウイルスなら他のメンバーにもうつるんじゃないかなって思うんだよなあアルベルト!そういう訳で私は他のメンバーの風邪を引いた姿が見てみたい!という一心なんだから邪魔をするなよアルベルト!」
誰がするか!しかし良くまぁべらべらと意外に元気だな。と心で突っ込むアルベルト。
そんで一人一人の部屋を回って無理矢理世間話としゃれ込むセルバンテス。
わざとらしくせきを顔めがけてするんだよ。イヤな奴だな!風邪か、ときかれると
「違うよ、喉の調子が悪いだけさ、気にしないでくれたまえ」
風邪のくせに!ヒゲたれてるくせに!入墨が赤から紫に変化してくるくせに!しかも他メンバーの部屋回りまくったから余計に具合悪くなってるくせに!
セルバンテスはね、唇が紫にならないかわりに入れ墨の色が変化するんだよ。
赤だと元気
青だと気分が悪く
紫だと熱で
黒だと死亡
赤から青に変わる時には綺麗なグラデーションに変化。流石にこれは不味いかもと部屋に帰ろうとすると、それをたまたま見ていたサニーがタタタッとよってきて、セルバンテスにうっとりと言うんです。
サ「おじさまの入れ墨、きれい…」
セルバンテスは嬉しくなっちゃって具合悪いのに我慢しちゃうの。
どうしよう、今ちょっと吐きそうなんだけどサニーが綺麗っていうから、動けない!どうしよう!
セ「そうかいサニーにそう言って貰えるなんて…嬉し……うっ うん、嬉しいよ… う」
どうしよう、一層グラデーションが深みをまして綺麗な色に。まずいよまずいよ眩惑の!
そしてご都合主義によりそこにいた残月とヒィッツカラルド。既にセルバンテスの風邪菌は二人の体内で隙をうかがっていますがまだ二人は気が付いていません。
残「一見微笑ましいが…」
ヒ「ヤヴェ眩惑の入れ墨マジキメェ!」
ヒィッツカラルドは指を指してゲラゲラ笑っています。
次第に具合の悪さが本格的になっていたセルバンテス。脂汗までかいてきた。
(どうしよう、このままじゃサニーに…!ってそれだけは嫌だ、私がイヤだ。)
サニーになんとかして具合悪い事を悟られないように離れなければ……そうだ!
一計を案じるセルバンテス。ナマズ髭の応用です。応用→地殻変動→地震という地殻変動アタック!
あんまり使いたくないんだけど仕方ないよね、うん、サニーのためだから、良いよな!
なまず髭が2.3回ヒクヒク動いたと思ったら、ぐらぐらと残月、ヒツ、そしてサニーと眩惑のいる辺りの地面が揺れはじめたではありませんか!なんてすごいんだ十傑集!
サ「あっ…地震、」
セ「サニー、大変だ!小さいとは言え地震だから、ここにいては危ない!」
サ「は、はいっ」
セ「私が部屋まで連れて行ってあげるからね!」
と、セルバンテスはサニーを抱っこするやいなや今までに無い最高速度でサニーの部屋まで送り届けます。地震をすぐさま止めて、今度は迷う事無く自分の部屋に向かいます。
自室のトイレで一回胃の中を綺麗にした後、部下に命じてお休みセットを用意させて十常寺のお薬を飲んでようやく一安心。
次の日、衝撃親子をのぞいたセルバンテスに話しかけられた十傑集全員が悪性のウイルスでダウン。
「や、奴めこれが始めから目的だったのか…っ!」
誰とは無くこのような呻きが聞こえてきたという。天下の十傑集の10人中8人も倒れるなんて!と、この日はBF団Qちゃんズの中で語り継がれる記念日になるのでした。
風邪なんてガキの頃以来だなと、思わず子供の頃の回想が始まってしまい影丸との青春の日々を思い出し、ついでに影丸が自分裏切って国際警察機構に入った事を思い出し、腹が立ってきて怒りくるって布団を破いたらダウンが飛び散って部屋羽だらけ。
○ヒィッツカラルド編
せきをしてもひとり
おかゆを作るのも、得意になりました…
○魔王が風邪
サニーに移してはいけない、と部屋に閉じこもって寝て治す。薬一切飲まず。汗をかくに限る!と昏々と眠り続ける。サニーは看病をこころみるも、樊瑞は移しては元も子もないと拒否。しかしそのサニーの心遣いが嬉しく、思わず枕を涙で濡らしたついでに鼻水もたらす。そのまま寝る。夢の中でサニーにおかゆをアーンしてもらって大感激。アーン、と飲み込もうとした所でサニーがいきなり十常寺に変わってて吹き出す。ご飯粒を顔面で受け止めた十常寺に敬礼!
「どういうことアルネー!」
「幼女がお前に変わっていたら誰でも吹くわ!!!!!」
と一触即発になりかけた所で目が覚める。鼻水ベターリのまま寝たので鼻の下と髭がガビガビして痛い。
「か、替えの下着を…」
汗たらふくかくのでこまめに下着を取り替えます。枕元においてあった濡れタオルで顔を拭いてスッキリして、さて下着を思った所に、スッと替えを差し出す白い手。
「おじさま、どうぞ」
「……ありがとうサニー。うん、サニーをここに入れたのは誰か教えてくれんか?」
「はい、ざん
「よしわかった待っていてくれ」
最後までサニーの言葉を聞かず瞬歩で部屋から飛び出す混世魔王。すぐさま残月の私室まで来るとノックもせずに扉をぶち破る。白昼様は優雅なアフタヌーンティーのお時間でした。頭がフットーしそうだよぉな魔王をみても平然としています。
「残月ぅぅぅぅぅぅ!貴様サニーを何故部屋に入れたぁぁぁ!」
「人の部屋へももひきで来るとは酔狂な奴」
「しかしマントで身体を隠してきたから支障はないぞ!」
「…ここでも隠しておいてくれたら良かったのだが」
ヨーロッパ風で統一してある残月の部屋に物凄い違和感を発する魔王が一人。
そして辛辣な残月にいびられまくり、薄着で口喧嘩しているうちに熱が上がってしまいその場に倒れてしまう樊瑞。残月はうんざりした顔で樊瑞を見下ろします。
樊瑞がここに着たら渡してやろうと思っていたい熱冷ましの浣腸を、部下に指示して樊瑞に使わせました。自分の手は汚さない、それが白昼クオリティ。薬は十常寺が作った効果覿面の熱冷ましなので今度起きた時には風邪などどこかに吹っ飛んでいる事でしょう。樊瑞は気を失っていて逆に幸せだったと思います。
そして残月は樊瑞を肩に抱きかかえて部屋まで連れ帰りました。部屋ではサニーがちょこんと座って待っていました。
「残月様!」
「うむ、サニー。布団をひろげてもらえるかな」
ささっと布団を開けてらい、樊瑞をそっとおろします。投げ捨てても良かったのですが、サニーの目の前でそうする訳にはいきません。
「これでいい。大声出して目眩がしただけだろうからな、よく効く薬も飲ませておいたから心配は無い。もういくぞサニー」
「はい、でも…」
「すぐによくなる。やつ…いや樊瑞はこれでも我らのリーダーなのだから」
数時間後、体調が万全になった樊瑞が何故か残月を追いかけまわしているとの目撃情報が孔明へと届けられた。
「馬鹿ばっかりだ!」
○残月編
残月のようなとても崩れそうにない人が風邪というウイルスでちょっとだけ妙になってしまうのも楽しいかなあ。自分では気が付かなくて、なんとなく体調が悪いな…と思ってる。
そして十傑集会議(ただのダベリ)中に気障ったらしくキセルを構えていると、指先が震えているではありませんか!そしてカラーンと手から落ちるキセルに皆の目が集まります。
「どうした、マスクマン」
「どこに針を差して欲しいんだ指パッチン」
ヒィッツカラルドを黙らせ、キセルを拾うとかすかに目眩が。幽鬼が話しかけます。
「白昼の、お前風邪引いてるんじゃないのか」
「…私が?風邪だと?」
しかしその症状は風邪なのではと幽鬼に言われるとなんとなくそんな気になる。流石は幽鬼。説得力があります。残月が立ち去ると、残されたメンバーはざわ…ざわ…とざわめいています。あいつが風邪か?って他の十傑集が驚くよね。たぶん眩惑あたりから性質の悪い風邪もらったに違いない。
皆、驚いてお見舞いにきてくれるよ。よかったね残月!でも苦しんでる自分の姿を見てからかったり笑ったりするような奴がいたら即座に眉間に針貫通だから気をつけないとね、特にレッドとヒィッツカラルドあたりは。
しかし風邪を引いてもマスクは脱がないのが残月です。他のメンバーは、あのマスクきっと蒸すと思うんだけど脱がないのかなあと思っていています。
○眩惑編
風邪引いて熱が出るなんて滅多に無いから逆にはしゃいじゃう。でも気持ちはそうでも身体はぐったりしているので、ナマズ髭は一層垂れております。目の下のクマが大変に濃くなっています。
そんでも療養しようと無いので、アルベルトが一言。
ア「寝ておれ馬鹿者」
セ「う、…うつさなきゃ!私だけ風邪なんてイヤだ!」
ア「(子供か…) サニーにはうつすなよ」
セ「あたりまえだ!しかしだね、十傑集ともなれば風邪なんて滅多に無いじゃないか、っていうか私は今まで見た事が無いんだよね。だから、私に風邪を引かせるような協力なウイルスなら他のメンバーにもうつるんじゃないかなって思うんだよなあアルベルト!そういう訳で私は他のメンバーの風邪を引いた姿が見てみたい!という一心なんだから邪魔をするなよアルベルト!」
誰がするか!しかし良くまぁべらべらと意外に元気だな。と心で突っ込むアルベルト。
そんで一人一人の部屋を回って無理矢理世間話としゃれ込むセルバンテス。
わざとらしくせきを顔めがけてするんだよ。イヤな奴だな!風邪か、ときかれると
「違うよ、喉の調子が悪いだけさ、気にしないでくれたまえ」
風邪のくせに!ヒゲたれてるくせに!入墨が赤から紫に変化してくるくせに!しかも他メンバーの部屋回りまくったから余計に具合悪くなってるくせに!
セルバンテスはね、唇が紫にならないかわりに入れ墨の色が変化するんだよ。
赤だと元気
青だと気分が悪く
紫だと熱で
黒だと死亡
赤から青に変わる時には綺麗なグラデーションに変化。流石にこれは不味いかもと部屋に帰ろうとすると、それをたまたま見ていたサニーがタタタッとよってきて、セルバンテスにうっとりと言うんです。
サ「おじさまの入れ墨、きれい…」
セルバンテスは嬉しくなっちゃって具合悪いのに我慢しちゃうの。
どうしよう、今ちょっと吐きそうなんだけどサニーが綺麗っていうから、動けない!どうしよう!
セ「そうかいサニーにそう言って貰えるなんて…嬉し……うっ うん、嬉しいよ… う」
どうしよう、一層グラデーションが深みをまして綺麗な色に。まずいよまずいよ眩惑の!
そしてご都合主義によりそこにいた残月とヒィッツカラルド。既にセルバンテスの風邪菌は二人の体内で隙をうかがっていますがまだ二人は気が付いていません。
残「一見微笑ましいが…」
ヒ「ヤヴェ眩惑の入れ墨マジキメェ!」
ヒィッツカラルドは指を指してゲラゲラ笑っています。
次第に具合の悪さが本格的になっていたセルバンテス。脂汗までかいてきた。
(どうしよう、このままじゃサニーに…!ってそれだけは嫌だ、私がイヤだ。)
サニーになんとかして具合悪い事を悟られないように離れなければ……そうだ!
一計を案じるセルバンテス。ナマズ髭の応用です。応用→地殻変動→地震という地殻変動アタック!
あんまり使いたくないんだけど仕方ないよね、うん、サニーのためだから、良いよな!
なまず髭が2.3回ヒクヒク動いたと思ったら、ぐらぐらと残月、ヒツ、そしてサニーと眩惑のいる辺りの地面が揺れはじめたではありませんか!なんてすごいんだ十傑集!
サ「あっ…地震、」
セ「サニー、大変だ!小さいとは言え地震だから、ここにいては危ない!」
サ「は、はいっ」
セ「私が部屋まで連れて行ってあげるからね!」
と、セルバンテスはサニーを抱っこするやいなや今までに無い最高速度でサニーの部屋まで送り届けます。地震をすぐさま止めて、今度は迷う事無く自分の部屋に向かいます。
自室のトイレで一回胃の中を綺麗にした後、部下に命じてお休みセットを用意させて十常寺のお薬を飲んでようやく一安心。
次の日、衝撃親子をのぞいたセルバンテスに話しかけられた十傑集全員が悪性のウイルスでダウン。
「や、奴めこれが始めから目的だったのか…っ!」
誰とは無くこのような呻きが聞こえてきたという。天下の十傑集の10人中8人も倒れるなんて!と、この日はBF団Qちゃんズの中で語り継がれる記念日になるのでした。
バレンタインの贈り物
赤い陽が沈んでゆく。
照り映える光を受け、少女はまぶしそうに目を細めた。かすかなため息が白く凍る。
ばさっ。
静寂を破り、樹の下に立つ少女の頭に雪が落ちた。それとともに、低い男の声が降ってくる。
「おい、サニー、そんなところで何たそがれてんだ」
サニーは声の主を振り仰いだ。聞き覚えのある声。
視線は、最後の一条の光に照らし出された赤い仮面をとらえた。それも束の間、男の姿はすぐに闇の中に溶け込んでいく。
あまり面識はなかったが、仮面の男が十傑集のひとりであることは、サニーも知っていた。
父と同じ、十傑集。
「あ、あの、レッドさん!」
レッドの姿を慌てて追いかけるように、サニーの声は木立に響いた。
「そんな大声出さなくとも、オレはここにいるぞ」
「ひゃっ」
思わずサニーは、素っ頓狂な声を上げてしまった。いつの間に、レッドはサニーの背後に立っていた。
「こんな寒いところにいつまでも立っていると、風邪引くぞ」
雪の降った林の中は、ひときわ寒い。
「え? あ、はい。それもそうなんですけど‥‥‥」
歯切れの悪いサニーの返事に、レッドが苦笑した気配が伝わる。
「おい、雪、被ったままだぞ」
慌ててサニーは、頭から雪を振り払った。傍らに立つレッドは、無言のままその様子を眺めている。
「私に、何かご用でしょうか?」
すっかり雪を払い終わったサニーは、自分より背の高いレッドを、下から覗き込むようにして訊ねた。辺りが暗くて、レッドがどんな表情をしているかわからない。もっとも、視界が明るかったところで、仮面の下の表情を窺い知ることもまた、難しかったろうが。
「そうだな。別に用ってわけじゃないが‥‥‥どうせアルベルトのことで悩んでいたんだろう」
「‥‥‥」
図星だった。
その言葉に、サニーは俯いてしまう。
「はん。去年は用意していたチョコレート、渡せなかったんだろ、アルベルトに」
確かにそうだった。
去年のバレンタインデー。父であるアルベルトにチョコレートを渡そうと、用意はしたのだ。樊瑞にも協力を仰ぎ、十傑集の会合の日程まで調整してもらった。
会合が終わってから、サニーは用意していたチョコレートを、十傑集の一人ひとりに手渡していった。そして最後に残ったのが―――
結局、父にチョコレートを手渡すことは、サニーには出来なかった。一番最後にアルベルトの前に立ったサニーは、しっかりとチョコレートの箱を抱えていた。渡すのが、こわかった。
セルバンテスが、何の感情も表さないで、じっとサニーを見下ろすアルベルトを小突いた。
その途端、サニーの中で何かがはじけて、駆け出してしまった。
それだけだ。
しかし、苦い思い出だった。
ふわり。
自分の中の思いに浸っていたサニーの首に、何か温かいものが巻きつけられる。
「‥‥‥いいんですか?」
巻きつけられたのは、レッドがしていたマフラーだった。
「次期十傑集候補に、風邪を引かれてしまっては困るからな」
注意していれば、声に幾分からかうような調子があったのに気づいたかもしれない。
それに気づいたふうもなく、サニーはちょっぴり気恥ずかしげに、マフラーに顔をうずめた。
「ありがとうございます」
「送ってやるよ」
サニーの肩を、レッドが押し出す。
雪を踏みしめる2人分の足音が、窓から漏れ出る光へと向かっていく。
「たかがチョコレートを渡すだけだろ? あんまり悩まないで、さっさとアルベルトに渡してやれよ」
「たかが‥‥‥ですか」
頭上から降ってくるレッドの言葉に、サニーは小さくつぶやく。
その言葉は、サニーにとってショックだった。
手の届くところにいても、けっしてアルベルトを父と呼ぶことはないのだ。それが、親子の縁を切ったということだった。
「悩んでいるより、行動したらどうだ。アルベルトだって‥‥‥ほら、着いた」
2人は話しながら、いつの間にか家の前まで来ていたのだ。父の友であり、自分の後見人でもある樊瑞と住む家。
「じゃあな」
「待ってください、レッドさん! 『だって』‥‥‥なんだというんですか!?」
しかし、身を翻したレッドがサニーを振り向くことはなかった。
(お父様だって‥‥‥)
先ほどレッドが言いさした言葉を、サニーは反芻してみる。
そのまま時が止まってしまったかのように、少女はその場に佇んでいた。
* * *
市松模様の盤面に、白と黒の駒が踊る。
「フフフ、チェック・メイト」
「む、これは‥‥‥」
キングの退路は完全に絶たれている。最強のクィーンもポーンに阻まれ、王を助けることが出来ない。
「どうだ、アルベルト。私もだいぶ腕を上げたろう」
男はそう言うと、自慢げにナマズ髭を引っ張り上げた。
「確かにそれを認めぬわけにいかんな、セルバンテス」
答えるアルベルトは、盤面を睨みつけている。どうやら頭の中で、今のプレイを再現しているようだ。
「ふむ。勝負はこれくらいにして、ひと息入れようか」
セルバンテスに促され、アルベルトはようやく盤面から目を離した。
「ちょうどお客人もいらしたようだ」
「失礼する」
「こ‥‥‥こんにちは」
ドアの前には、樊瑞と、後ろ手に袋を下げたサニーが立っていた。
サニーとアルベルトの視線が、一瞬だけ合わされる。
「今、お茶の用意をさせるから、あちらの部屋へ行こう」
さっと立ち上がったセルバンテスは、やって来た2人を招き入れる。
樊瑞の後について部屋へ入ったサニーは、すぐに足を止めた。
何かを感じて、樊瑞が足を止める。セルバンテスも振り返った。
「‥‥‥私に何か用かね?」
目の前に立ったサニーを、椅子に座ったままのアルベルトが見上げる。
「あの‥‥‥これ‥‥‥」
頬を上気させながら、サニーは意を決したように一気に言い放つ。
「受け取ってください、お父様!」
ぎゅっと目を閉じ、サニーはアルベルトに向かって小さな包みを差し出した。
その様子を、樊瑞は眉根を寄せながら静かに見つめている。セルバンテスはクフィーヤの下で、口の端をわずかに吊り上げた。
差し出された包みをアルベルトはそっと受け取った。
「ありがとう、サニー」
そう言って微かに笑ってみせる。当たり前のように。
サニーの胸に、じわりとあたたかいものが広がる。
「えっと、今度は誕生日にケーキを焼いてきますね、お父様」
華のような笑みを浮かべると、サニーはくるりと振り向いた。
「はい、これ、おじ様方に」
樊瑞とセルバンテスに、同じような大きさの包みを手渡す。
「ありがとう、サニー」
「ありがたくいただくよ。良かったじゃないか、アルベルト」
何がおかしいのか、樊瑞とセルバンテスはにやりと笑いながら視線を交わす。
咳払いをひとつすると、アルベルトは椅子から立ち上がった。
「今日はよく晴れたな。降り積もった雪もこれでだいぶ解ける」
アルベルトの言うように、外はいい天気だった。
「セルバンテスのおじ様、お庭を見てきてもいいですか?」
「どうぞ。でも、あまり遅くなってはいけないよ。お茶が冷めるから」
「はい」
嬉しそうにサニーは駆け出した。
後姿を見送ったアルベルトは、ぼそりとつぶやいた。
「まったく、子どもだな」
「それにしても、さっきはだいぶ動揺していたみたいじゃないか、アルベルト」
さすがに樊瑞の目は誤魔化せない。
「あの子に父と呼ばれるのも悪くないんじゃないか」
そう言ってセルバンテスは人の悪い笑みを浮かべる。
「まったく、いい加減にしないか、2人とも」
アルベルトは不貞腐れた様子で茶の席に着いた。
* * *
広い中庭をひとしきり散策し終えたサニーは、部屋へ戻ることにした。
強い日差しは数日来の雪を解かしていく。
ばさっ。
戻る途中で、サニーは頭から雪を被ってしまった。身体についた雪を振り払う。
「ハハハハハハ」
「だ、誰!?」
低い男の笑い声にサニーは辺りを見回してみたが、誰もいない。
「ここだよ、ここ。お前の頭の上だ」
見上げると、木の上に黒いシルエットが見えた。逆光で誰だかよくわからない。だが、この声は‥‥‥
「もしかして、レッドさん?」
その問いに応えはせず、影はひらりと舞い降りた。
赤い仮面の下には鋭い眼差し。マスク・ザ・レッドだった。
「レッドさん、昨日はありがとうございます! 私、あれから考え」
「アルベルトに渡したんだろ」
サニーの言葉を遮って、レッドは簡潔に述べる。サニーはこっくりと頷いた。
「見てたよ」
「え? 見守って下さっていたんですか!?」
思ってもみなかった言葉に、サニーの瞳が輝く。
「ん? まあ、そんなところだ」
楽しそうにレッドは言った。もっともそれは、アルベルトの慌てる様を見たかったためなのだが。
「これからお茶をいただくんです。よろしければレッドさんもいらっしゃいませんか? 昨日お借りしたマフラーもお返ししなければいけませんし、それに私、レッドさんにもチョコレートをお渡ししたいんです」
レッドの手を取りながら、サニーは一息に喋った。
「わかった、じゃあ一緒に行こうか」
サニーに引っ張られるようにして歩き出すレッドの口元には、終始笑みが浮かんでいた。
* * *
ゆらゆらと立ちのぼるコーヒーの芳香を、アルベルトは楽しんでいた。
この屋敷の主であるセルバンテスと、ともに談笑している樊瑞は、チャイを片手にしている。
扉が2度叩かれた。
「どうぞ」というセルバンテスの声に従って開け放たれた扉から、元気よくサニーが入ってきた。
「すみません、遅くなってしまって‥‥‥?」
小首を傾げるサニー。固まってしまった男3人の視線の先には、口の端に笑みを貼り付けたレッドが立っていた。
「レッド、どうしてここへ?」
我に返った樊瑞が問う。代わりにサニーが答えた。
「さっき、そこで会ったんです。レッドさんも一緒にお茶をいただいてもよろしいでしょうか?」
サニーは部屋の中にいた男たちをひと通り見回しながら、問いかけた。
「いや、びっくりしたよ。珍しいこともあるものだ。遠慮は要らない、2人ともこっちへ来たまえ」
セルバンテスに招き入れられるまでもなく、レッドはサニーの手を引き、お茶の用意のしてある円卓へと向かっている。
「おい、レッド」
樊瑞がやや渋い顔をする。
扉に背を向けるようにして座っていたアルベルトの前に回り込むような形で、レッドはサニーをアルベルトの右隣に座らせた。
「わざわざ回り込まなくてもいいだろうに」
セルバンテスが苦笑する。
アルベルトはむっつりと黙ったままだ。
その間に、椅子が1脚運ばれ、2人分のチャイが淹れられる。運ばれてきた椅子は、セルバンテスと樊瑞の間に置かれた。
「君がこんな日に、こんなところに来るなんて珍しい。いったいどういった風の吹き回しかね?」
セルバンテスはレッドに椅子を勧めた。
「非番だから、この辺をちょっとうろついていたのさ」
「ふん、おおかた女に振られて、行き場がないだけだろう」
「お父様!」
「アルベルト、そういう言い方は良くないぞ」
吐き捨てるように言ったアルベルトの言葉は、サニーと樊瑞に左右から非難された。
アルベルトはカップに視線を落とすと、不味そうに一気にコーヒーを飲み干した。
「ハハハ。まあ、似たようなものだ」
言われたレッドも、軽く受け流す。仮面の奥の瞳が暗く光る。
それを自嘲と取ったサニーは、慌ててその場を取り繕うように、レッドに近づいた。円卓を挟み、アルベルトの正面で、サニーとレッドが向き合う。
「レッドさん、どうぞ受け取ってください。私からのお礼です」
サニーが差し出したのは、アルベルトたち3人に渡したものより、ひと回り大きい包みだった。
わずかにアルベルトの片眉が攣り上がる。
「昨日、レッドさんがいらっしゃらなかったら、私、いつまで経ってもあのままだったと思います。だからこれ、私からの気持ちなんです」
「別にオレは何もした覚えがないが」
「ううん、そんなことありません」
見つめ合うサニーとレッド。
それを静かに見つめるアルベルト。膝に置かれた手が白い。
嵐を予感してか、心なしか樊瑞の顔が引きつっている。セルバンテスは肩を竦めてみせた。
包みを受け取ると、レッドは椅子から立ち上がった。
「これ以上、長居は無用。オレは消えることにするよ」
「え、まだお話もしていないのに」
鋭い視線を向けるアルベルトを一瞥すると、レッドは素早くサニーの頬にキスをした。同時に、アルベルトの怒りが爆発する。
「貴様あ~!! 娘に何をするかあぁぁぁ!!」
窓から飛び出したレッドを追ってアルベルトの衝撃波が走る。
慌てて樊瑞がアルベルトを押さえ込んだ。
「落ち着け、アルベルト!!」
「まったく、屋敷を壊さないでもらいたいね」
二重のショックで呆然としていたサニーが、はっと我に返る。半壊した窓辺に駆け寄り、外を見ると、木立の間から手を振っているレッドの姿が見えた。
「レッドさ~ん、マフラー、また今度お会いしたときにお渡ししますね~!!」
そのとき、サニーの背後で、アルベルトががっくりと膝をついた。
赤い陽が沈んでゆく。
照り映える光を受け、少女はまぶしそうに目を細めた。かすかなため息が白く凍る。
ばさっ。
静寂を破り、樹の下に立つ少女の頭に雪が落ちた。それとともに、低い男の声が降ってくる。
「おい、サニー、そんなところで何たそがれてんだ」
サニーは声の主を振り仰いだ。聞き覚えのある声。
視線は、最後の一条の光に照らし出された赤い仮面をとらえた。それも束の間、男の姿はすぐに闇の中に溶け込んでいく。
あまり面識はなかったが、仮面の男が十傑集のひとりであることは、サニーも知っていた。
父と同じ、十傑集。
「あ、あの、レッドさん!」
レッドの姿を慌てて追いかけるように、サニーの声は木立に響いた。
「そんな大声出さなくとも、オレはここにいるぞ」
「ひゃっ」
思わずサニーは、素っ頓狂な声を上げてしまった。いつの間に、レッドはサニーの背後に立っていた。
「こんな寒いところにいつまでも立っていると、風邪引くぞ」
雪の降った林の中は、ひときわ寒い。
「え? あ、はい。それもそうなんですけど‥‥‥」
歯切れの悪いサニーの返事に、レッドが苦笑した気配が伝わる。
「おい、雪、被ったままだぞ」
慌ててサニーは、頭から雪を振り払った。傍らに立つレッドは、無言のままその様子を眺めている。
「私に、何かご用でしょうか?」
すっかり雪を払い終わったサニーは、自分より背の高いレッドを、下から覗き込むようにして訊ねた。辺りが暗くて、レッドがどんな表情をしているかわからない。もっとも、視界が明るかったところで、仮面の下の表情を窺い知ることもまた、難しかったろうが。
「そうだな。別に用ってわけじゃないが‥‥‥どうせアルベルトのことで悩んでいたんだろう」
「‥‥‥」
図星だった。
その言葉に、サニーは俯いてしまう。
「はん。去年は用意していたチョコレート、渡せなかったんだろ、アルベルトに」
確かにそうだった。
去年のバレンタインデー。父であるアルベルトにチョコレートを渡そうと、用意はしたのだ。樊瑞にも協力を仰ぎ、十傑集の会合の日程まで調整してもらった。
会合が終わってから、サニーは用意していたチョコレートを、十傑集の一人ひとりに手渡していった。そして最後に残ったのが―――
結局、父にチョコレートを手渡すことは、サニーには出来なかった。一番最後にアルベルトの前に立ったサニーは、しっかりとチョコレートの箱を抱えていた。渡すのが、こわかった。
セルバンテスが、何の感情も表さないで、じっとサニーを見下ろすアルベルトを小突いた。
その途端、サニーの中で何かがはじけて、駆け出してしまった。
それだけだ。
しかし、苦い思い出だった。
ふわり。
自分の中の思いに浸っていたサニーの首に、何か温かいものが巻きつけられる。
「‥‥‥いいんですか?」
巻きつけられたのは、レッドがしていたマフラーだった。
「次期十傑集候補に、風邪を引かれてしまっては困るからな」
注意していれば、声に幾分からかうような調子があったのに気づいたかもしれない。
それに気づいたふうもなく、サニーはちょっぴり気恥ずかしげに、マフラーに顔をうずめた。
「ありがとうございます」
「送ってやるよ」
サニーの肩を、レッドが押し出す。
雪を踏みしめる2人分の足音が、窓から漏れ出る光へと向かっていく。
「たかがチョコレートを渡すだけだろ? あんまり悩まないで、さっさとアルベルトに渡してやれよ」
「たかが‥‥‥ですか」
頭上から降ってくるレッドの言葉に、サニーは小さくつぶやく。
その言葉は、サニーにとってショックだった。
手の届くところにいても、けっしてアルベルトを父と呼ぶことはないのだ。それが、親子の縁を切ったということだった。
「悩んでいるより、行動したらどうだ。アルベルトだって‥‥‥ほら、着いた」
2人は話しながら、いつの間にか家の前まで来ていたのだ。父の友であり、自分の後見人でもある樊瑞と住む家。
「じゃあな」
「待ってください、レッドさん! 『だって』‥‥‥なんだというんですか!?」
しかし、身を翻したレッドがサニーを振り向くことはなかった。
(お父様だって‥‥‥)
先ほどレッドが言いさした言葉を、サニーは反芻してみる。
そのまま時が止まってしまったかのように、少女はその場に佇んでいた。
* * *
市松模様の盤面に、白と黒の駒が踊る。
「フフフ、チェック・メイト」
「む、これは‥‥‥」
キングの退路は完全に絶たれている。最強のクィーンもポーンに阻まれ、王を助けることが出来ない。
「どうだ、アルベルト。私もだいぶ腕を上げたろう」
男はそう言うと、自慢げにナマズ髭を引っ張り上げた。
「確かにそれを認めぬわけにいかんな、セルバンテス」
答えるアルベルトは、盤面を睨みつけている。どうやら頭の中で、今のプレイを再現しているようだ。
「ふむ。勝負はこれくらいにして、ひと息入れようか」
セルバンテスに促され、アルベルトはようやく盤面から目を離した。
「ちょうどお客人もいらしたようだ」
「失礼する」
「こ‥‥‥こんにちは」
ドアの前には、樊瑞と、後ろ手に袋を下げたサニーが立っていた。
サニーとアルベルトの視線が、一瞬だけ合わされる。
「今、お茶の用意をさせるから、あちらの部屋へ行こう」
さっと立ち上がったセルバンテスは、やって来た2人を招き入れる。
樊瑞の後について部屋へ入ったサニーは、すぐに足を止めた。
何かを感じて、樊瑞が足を止める。セルバンテスも振り返った。
「‥‥‥私に何か用かね?」
目の前に立ったサニーを、椅子に座ったままのアルベルトが見上げる。
「あの‥‥‥これ‥‥‥」
頬を上気させながら、サニーは意を決したように一気に言い放つ。
「受け取ってください、お父様!」
ぎゅっと目を閉じ、サニーはアルベルトに向かって小さな包みを差し出した。
その様子を、樊瑞は眉根を寄せながら静かに見つめている。セルバンテスはクフィーヤの下で、口の端をわずかに吊り上げた。
差し出された包みをアルベルトはそっと受け取った。
「ありがとう、サニー」
そう言って微かに笑ってみせる。当たり前のように。
サニーの胸に、じわりとあたたかいものが広がる。
「えっと、今度は誕生日にケーキを焼いてきますね、お父様」
華のような笑みを浮かべると、サニーはくるりと振り向いた。
「はい、これ、おじ様方に」
樊瑞とセルバンテスに、同じような大きさの包みを手渡す。
「ありがとう、サニー」
「ありがたくいただくよ。良かったじゃないか、アルベルト」
何がおかしいのか、樊瑞とセルバンテスはにやりと笑いながら視線を交わす。
咳払いをひとつすると、アルベルトは椅子から立ち上がった。
「今日はよく晴れたな。降り積もった雪もこれでだいぶ解ける」
アルベルトの言うように、外はいい天気だった。
「セルバンテスのおじ様、お庭を見てきてもいいですか?」
「どうぞ。でも、あまり遅くなってはいけないよ。お茶が冷めるから」
「はい」
嬉しそうにサニーは駆け出した。
後姿を見送ったアルベルトは、ぼそりとつぶやいた。
「まったく、子どもだな」
「それにしても、さっきはだいぶ動揺していたみたいじゃないか、アルベルト」
さすがに樊瑞の目は誤魔化せない。
「あの子に父と呼ばれるのも悪くないんじゃないか」
そう言ってセルバンテスは人の悪い笑みを浮かべる。
「まったく、いい加減にしないか、2人とも」
アルベルトは不貞腐れた様子で茶の席に着いた。
* * *
広い中庭をひとしきり散策し終えたサニーは、部屋へ戻ることにした。
強い日差しは数日来の雪を解かしていく。
ばさっ。
戻る途中で、サニーは頭から雪を被ってしまった。身体についた雪を振り払う。
「ハハハハハハ」
「だ、誰!?」
低い男の笑い声にサニーは辺りを見回してみたが、誰もいない。
「ここだよ、ここ。お前の頭の上だ」
見上げると、木の上に黒いシルエットが見えた。逆光で誰だかよくわからない。だが、この声は‥‥‥
「もしかして、レッドさん?」
その問いに応えはせず、影はひらりと舞い降りた。
赤い仮面の下には鋭い眼差し。マスク・ザ・レッドだった。
「レッドさん、昨日はありがとうございます! 私、あれから考え」
「アルベルトに渡したんだろ」
サニーの言葉を遮って、レッドは簡潔に述べる。サニーはこっくりと頷いた。
「見てたよ」
「え? 見守って下さっていたんですか!?」
思ってもみなかった言葉に、サニーの瞳が輝く。
「ん? まあ、そんなところだ」
楽しそうにレッドは言った。もっともそれは、アルベルトの慌てる様を見たかったためなのだが。
「これからお茶をいただくんです。よろしければレッドさんもいらっしゃいませんか? 昨日お借りしたマフラーもお返ししなければいけませんし、それに私、レッドさんにもチョコレートをお渡ししたいんです」
レッドの手を取りながら、サニーは一息に喋った。
「わかった、じゃあ一緒に行こうか」
サニーに引っ張られるようにして歩き出すレッドの口元には、終始笑みが浮かんでいた。
* * *
ゆらゆらと立ちのぼるコーヒーの芳香を、アルベルトは楽しんでいた。
この屋敷の主であるセルバンテスと、ともに談笑している樊瑞は、チャイを片手にしている。
扉が2度叩かれた。
「どうぞ」というセルバンテスの声に従って開け放たれた扉から、元気よくサニーが入ってきた。
「すみません、遅くなってしまって‥‥‥?」
小首を傾げるサニー。固まってしまった男3人の視線の先には、口の端に笑みを貼り付けたレッドが立っていた。
「レッド、どうしてここへ?」
我に返った樊瑞が問う。代わりにサニーが答えた。
「さっき、そこで会ったんです。レッドさんも一緒にお茶をいただいてもよろしいでしょうか?」
サニーは部屋の中にいた男たちをひと通り見回しながら、問いかけた。
「いや、びっくりしたよ。珍しいこともあるものだ。遠慮は要らない、2人ともこっちへ来たまえ」
セルバンテスに招き入れられるまでもなく、レッドはサニーの手を引き、お茶の用意のしてある円卓へと向かっている。
「おい、レッド」
樊瑞がやや渋い顔をする。
扉に背を向けるようにして座っていたアルベルトの前に回り込むような形で、レッドはサニーをアルベルトの右隣に座らせた。
「わざわざ回り込まなくてもいいだろうに」
セルバンテスが苦笑する。
アルベルトはむっつりと黙ったままだ。
その間に、椅子が1脚運ばれ、2人分のチャイが淹れられる。運ばれてきた椅子は、セルバンテスと樊瑞の間に置かれた。
「君がこんな日に、こんなところに来るなんて珍しい。いったいどういった風の吹き回しかね?」
セルバンテスはレッドに椅子を勧めた。
「非番だから、この辺をちょっとうろついていたのさ」
「ふん、おおかた女に振られて、行き場がないだけだろう」
「お父様!」
「アルベルト、そういう言い方は良くないぞ」
吐き捨てるように言ったアルベルトの言葉は、サニーと樊瑞に左右から非難された。
アルベルトはカップに視線を落とすと、不味そうに一気にコーヒーを飲み干した。
「ハハハ。まあ、似たようなものだ」
言われたレッドも、軽く受け流す。仮面の奥の瞳が暗く光る。
それを自嘲と取ったサニーは、慌ててその場を取り繕うように、レッドに近づいた。円卓を挟み、アルベルトの正面で、サニーとレッドが向き合う。
「レッドさん、どうぞ受け取ってください。私からのお礼です」
サニーが差し出したのは、アルベルトたち3人に渡したものより、ひと回り大きい包みだった。
わずかにアルベルトの片眉が攣り上がる。
「昨日、レッドさんがいらっしゃらなかったら、私、いつまで経ってもあのままだったと思います。だからこれ、私からの気持ちなんです」
「別にオレは何もした覚えがないが」
「ううん、そんなことありません」
見つめ合うサニーとレッド。
それを静かに見つめるアルベルト。膝に置かれた手が白い。
嵐を予感してか、心なしか樊瑞の顔が引きつっている。セルバンテスは肩を竦めてみせた。
包みを受け取ると、レッドは椅子から立ち上がった。
「これ以上、長居は無用。オレは消えることにするよ」
「え、まだお話もしていないのに」
鋭い視線を向けるアルベルトを一瞥すると、レッドは素早くサニーの頬にキスをした。同時に、アルベルトの怒りが爆発する。
「貴様あ~!! 娘に何をするかあぁぁぁ!!」
窓から飛び出したレッドを追ってアルベルトの衝撃波が走る。
慌てて樊瑞がアルベルトを押さえ込んだ。
「落ち着け、アルベルト!!」
「まったく、屋敷を壊さないでもらいたいね」
二重のショックで呆然としていたサニーが、はっと我に返る。半壊した窓辺に駆け寄り、外を見ると、木立の間から手を振っているレッドの姿が見えた。
「レッドさ~ん、マフラー、また今度お会いしたときにお渡ししますね~!!」
そのとき、サニーの背後で、アルベルトががっくりと膝をついた。