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             『地平線の向こうへ』Interval1


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「ゼロ卿!ゼロ卿!!」
「何だ、ニトロ博士。煩いぞ」

きっかけは、些細な事だった。

いつもの如く屋敷の中で次に狙う宝についての資料を読んでいたゼロ卿は、急に部屋に飛び込んできた彼を鋭い目でねめつける。
ニトロはそれに一瞬ひるんだが、すぐに彼の目の前にある冊子をたたきつけた。

「何だこれは」
「ゼロ卿、これをご覧下さい」
「フン、これは中古機器の闇競売カタログでは無いか」

そう、それは彼愛用・中古機械闇オークションのカタログだった。
いつもメカローバーの予算をギリギリに抑えられている彼はこういう中古品の再利用で予算を切り詰めなくてはならないのだ。

どうせ、何かを研究資材として購入してほしいという腹だろう。そうはいかん。
言って、ゼロ卿は読んでいたエジプト考古学の本に視線を戻した。しかし博士は慌てて首を振った。

「いえいえ、そうではありません」
「じゃあ何だというのだ」
「…この44ページをご覧下さい」

言われ、彼はしぶしぶ本を置き、そのカタログをめくり――


「!」
「…判っていただけましたか」
「…同型のものではないのかね」

「いえ…この機体はそもそもあまり生産台数も出ていないはずです。まだ動くものと言えば両手で数えるほど。
非常に価値がある、というものではないですが…だからこそ稀少で、中古で「損傷・重度」でもカタログに載せられる」

ゼロ卿は信じられないものでも見るような目で、そのカタログを見つめた。

「つまりは、これはあの男のものということか」
「……確率は、高いかと。一応、報告までに」

それを聞き、彼は思わずため息を付く。


一体――何があった?


もし金に困って売るにしても――あの男がこんな裏オークションにわざわざ出す必要はないだろう。
…彼が何度も目にした事のある、その機体の写真を見、彼は椅子から立ち上がった。

もしそうであったとしても、彼が気にすることではない。
逆に、邪魔な相手の足が減った、くらいに喜べば良いことだ。




…だが、そのまま放置しておくには気持ち悪い事件でもある。





「…スリム!スラム!」
「はい、ボス」
「なんです?」

声を掛けられ、二人の男が部屋に入ってくる。
おなじみの彼の凸凹コンビ部下、スリムとスラムである。

「このオークションの品の出品者を調べろ」
「わかりましたっ」

投げ渡された冊子を手に、二人は慌しく部屋を出て行く。
それを見送り、彼は息をついた。

「…どういうことだ、ギルトの弟子」

呟き、彼はモノクルをかけなおす。

――冊子の写真にうつっていたのは、一機の中型飛行機。



…ことごとく彼の邪魔をする、目障りな男が乗っていたはずの飛行機だった。




 
 

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